本文へジャンプ
ここから本文
環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成20年4月8日(火))


1.発言要旨

 本日の閣議案件ですが、一般案件1件、国会提出案件14件、政令1件です。環境省請議はございません。
 既に報道されておりますが、「甘利大臣、鴨下大臣と語る 希望と安心の国づくり」が洞爺湖において行われたことについて、閣僚懇で報告いたしました。
 私から、セクター別アプローチについて申し上げます。世界全体の排出量の実効ある削減につながる公平な国別総量目標の設定に向け、総理はダボスで、「科学的かつ透明性の高い尺度としてエネルギー効率などをセクター別に割り出し、今後活用される技術を基礎として削減可能量を積み上げる」という方法論を提案しました。この提案を具体化し、G8議長国である我が国としての次期枠組みづくりに向けたリーダーシップを発揮することを目指して、「セクター別積み上げによる国別総量目標設定方法論に関する日本政府主催の国際ワークショップ」を日本政府主催で、5月8日にパリで開催することとなりました。詳細については追って発表いたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)先週末、洞爺湖に行かれ、有識者懇談会で排出量取引も含む政策手法分科会が設置されることになりましたが、環境省は環境省として独自に検討されていると思うのですが、この政策手法分科会に期待されること、またこのこと自体をどう受け止めていらっしゃるのかお伺いします。

(答)有識者懇談会で様々な政策手法、特に排出量取引等についても検討していただくことになり、大変結構なことだと思いますし、歓迎をしています。環境省では新たな排出量取引に関する検討会を始めたところですし、経済産業省の中でも行われており、また東証も勉強会を始めたと聞いております。このように様々なところで制度についての考え方をまとめる動きが出てきたことについては、全体的に制度が国民の中で議論され、最終的には実現していく方向が徐々に醸成されてきたと考えております。その中で最も重要な、官邸に置かれた有識者懇談会の中でもそうしたことが行われるということは、結構なことだと思います。実現に向けて我々は加速したいと考えます。

(問)政府でいくつも検討会があることで、逆に国民にわかりづらいということはないのでしょうか。

(答)まだ今はキックオフの段階ですので、これから何らかの形で収れんしていくと思います。国の中で排出量取引というのは一つですから、どこで最終的に収れんしていくかということはあるかもしれませんが、今の段階では大いにいろいろなところで議論していただくということでいいのではないでしょうか。

(問)バンコクでの気候変動会合で、日本が提案したセクター別アプローチは当初6月に議論を目指していたのが、7月以降に繰り延べされ、雲行きが非常に厳しくなってきたところなのですが、日本が目指しているようなリーダーシップを果たして発揮できるのか疑問視する声がありますが、これについての大臣の御見解をお伺いします。

(答)バンコクでの議論で、セクター別アプローチを議論の俎上にあげることになったという意味では、私は前進したと思っております。AWGの作業の段階で、最初に議論する適応、資金などは途上国は非常に懸念事項ですから、こうしたことが優先され、その次ということでは、私は同等だと思っています。次の検討項目と、次の次の検討項目で優先順位が違うかということではなく、作業のプロセスの中でそういうことになっているということです。セクター別アプローチについて、例えば途上国等が懸念していることが原因で先送りになったということではないという理解です。単純なスケジュールです。

(問)会議の状況を聞いていますと、セクター別アプローチが何らかの義務を途上国に課すのではということが拭えなかったのではないかと思うのですが。

(答)5月8日にパリでワークショップを行うということもありますし、そうした折々にしっかりと議論をしたいと思います。私はG20の中でも、それぞれ誤解もあるようだという話もしましたが、私はセクター別アプローチで今までの国別総量目標を代替するわけではないということは世界の中で共有されていると思います。ですから、そうは心配しておりません。必ず理解していただけると思っております。それは積み上げのための方法論、手法の問題ですから。
ただ、それについては各国、非常に敏感になっており、まさか自分たちに削減義務を負わされるのではないかなど、いろいろな考えがありますが、途上国に一方的に何かを押しつけるのではなく、トータルですべての国が入って究極の目的を果たすために、セクター別アプローチがどういう位置付けになるのかということについては、お互いに議論すればいいわけです。考え方はいくつもあります。かつて言われていたセクター別の考え方もありますし、我々が言っている、積み上げていって最終的に何らかのキャップをつくるという話もありますし、特別に排出量の多いセクターだけについて何らかの共通の土俵をつくるべきなど、いろいろな考えがあります。
環境省としては5月8日の段階までに、ある程度粗々の、セクター別積み上げというのはどういうことなのかということを、もっとより明確にしておこうということを、事務方にも促進するようにという話はしています。

(問)5月8日までに日本型のセクター別アプローチの何かモデルのようなものを提示するということでしょうか。

(答)環境省として、そうした考え方はある程度まとめておこうというぐらいです。それがそのままになるというわけではなく、そこでまたいろいろな議論が行われるわけですから、必ずしもすべてそこで結論が出るということではありません。環境省が考えたことだけがそのまま通るわけではありませんが、今少し議論が拡散しており、誤解されている部分もありますから、もう少し明確に、こういうようなことだと言えるように我々の考えは整理しようということを言っています。

(問)発表はされるのでしょうか。

(答)発表といいますか、そういうものを持って5月8日に臨みたいということです。

(問)サミットで福田総理が議長になり、総括ペーパーを最終日にまとめられると思いますが、そのときにダボス会議でも総理がアピールされたセクター別アプローチという言葉が、そのペーパーに盛り込まれるかどうかというところが福田総理のリーダーシップが発揮されたかどうかのバロメーターになるという見方がされると思われますか。

(答)それは皆さんの評価の仕方だろうと思います。我々としては少なくとも、今日本が言っているセクター別の積み上げについて国際的な評価をいただき、合意形成ができることはかなりの前進だとは考えますが、それがサミットの中でどのように扱われるかについては、これからまだいくつも国際会議を経ていくわけですから、その段階でどのように考えられるかということも踏まえてやっていかなくてはいけないと思います。
今、環境省が考えている話と経済界が考えている話は微妙に違います。そうしたものをある程度取りまとめて、最終的に日本案として提示し、例えば神戸での環境大臣会合、あるいはエネルギー大臣会合といったところで、それについてどのような評価をいただくかを踏まえてサミットに持っていくわけで、まだまだこれからの段階だと思います。

(問)経済財政諮問会議に出席されるとお聞きしているのですが、そちらではどのような話をされるお考えでしょうか。

(答)経済財政の問題ですから、低炭素社会づくりのようなものが、経済に対してイノベーションを促進することになるのかどうかというようなことについての御下問なのかなと思っております。そうした趣旨について、少し私なりに、環境省なりの考え方を申し上げたいと思っております。

(問)3日に「地球規模の気候変動に関するピューセンター」のクラウセン代表と会談されたと思いますが、どのような内容のお話をされたのでしょうか。

(答)今後のアメリカの動向について、特に大統領選を経て、アメリカが環境に対してどのような方向になるのかというようなことについて少し私から質問しましたし、それぞれお考えをいただいたと考えています。

(問)ブッシュ政権は年内なので、日本としてはポストブッシュを見越しての戦略も立てなければいけないというようなお考えでしょうか。

(答)これから大統領が代わられることは明白なわけですから、そういう中で、次の大統領が環境問題についてどのような考えを持って、世界の中でどのようにアメリカという立場で発言、行動するのかということは、日本にとっても非常に重大な関心事ですから、様々な状況を踏まえつつ、我々としても用意しておかないといけないと思っています。

(問)水俣病問題についてですが、与党PTの会合が今月下旬にも開かれる見通しとなり、昨年末以来久しぶりの開催となるわけですが、新救済策について何らかの進展が見込めそうな状況なのでしょうか。

(答)今までも与党PTが先頭に立ってやっていただいているわけで、我々はそれを注視しながら、政府として環境省としてやるべきことをやってきたということです。時間がなくなりましたが、できれば5月1日の慰霊式のときに、決着ということかどうかはわかりませんが、それぞれの立場の人たちが穏やかな気持ちで参加できるような環境づくりをしてくださいという話は各方面に申し上げています。与党PTとしてもある程度、期限を意識しながら何らかの形でやっていただけたら大変ありがたいと思っています。

(以上)

▲Page Top