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大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成20年1月25日(金))


1.発言要旨

 

 本日の閣議案件ですが、一般案件3件、国会提出案件2件、法律案5件です。
 環境省請議については1件あり、自動車排出窒素酸化物及び自動車排出粒子状物質の総量の削減に関する基本方針の変更についてです。
 ダボス会議への参加について申し上げます。ダボス会議に参加するため、本日夕方、政府専用機でスイスに向けて出発することになりました。帰国は27日の午後の予定です。
私は、26日土曜日のクライメイト・チェンジ・ディバイド、「気候変動における先進国と途上国の隔たり」などに出席します。これはパネルディスカッションで、中味については途上国との隔たりということですが、やや全般にわたって発言しようと思っています。一つはCOP13におけるバリ・ロードマップの歴史的な意味合いについて、北海道洞爺湖サミットに向け、日本及び各国、特にG8を含めた先進国が為すべきこと。あるいは日本独自の国別総量目標の設定の考え方、特にEUとの差違のようなものについても問題提起はしたいと思っております。加えて、排出量取引の考え方、意見を開陳するチャンスがあれば、こういうようなことを申し上げたいと思っております。ただ、これは総理がどういう演説をなさるか、その後のワーキングランチの中でどういう議論になるかといったことを受けて、私としてもさらに必要であれば発言をするというような機会にしたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今お話になりましたEUとの関係で、EUはこの間、排出権取引を柱にした温暖化対策を取りまとめて、これから議会に諮るということになると思うのですが、案については日本と差違があると思いますが、それについてどのようにお考えでしょうか。

(答)私もまだ直接話はしていませんから詳しくはわかりませんけれども、例えば、90年比で2020年に20%削減という話がどういうことなのかということと、これからポスト京都に向けて基準年の設定の仕方についてはいろいろな意見がありますから、こういうことも含めて議論したいと私も思っていますし、EUの考え方についても、いろいろと機会があるごとに、その真意はどういうものなのかということについてもう少し私なりに咀嚼したいと思っています。

(問)基準年の考え方というと、2000年という案も取り沙汰されていますが。

(答)そういうことも含めて、果たして1990年というのが本当に合理的だったのかどうかということについてはいろいろな意見がありますから。EUのルールでは90年ということですが、いろいろな考え方があります。我々も、もし国別総量の削減ということに踏み出すとすれば、すべてをEUのルールの中でやるかどうかという話についてはいろいろと議論もあるし、激しい交渉をしなければいけないこともあるでしょうから、それはこれからの議論になるのだと思います。3月のG20や、5月の環境大臣会合など、G8洞爺湖サミットまでいろいろな機会がありますから、我々の考えもより鮮明にして、さらに議論をしていきたいと思っております。

(問)今日、紙問題で、製紙連が調査結果を会見で発表するということになっていますが、大臣として、取り組み方を含めて注文する部分というのはありますか。

(答)とにかく全容をしっかりと解明しなければいけません。そのためには業界が自らの努力で、国民が納得できるような調査をしてもらいたいと思います。それからもう一つは、最初から申し上げていますが、冷静な議論が必要な点で、今まで配合率を偽って市場に出ている紙を処分してしまえという乱暴な議論もありますが、環境負荷という意味においては、何らかの形で次善の策を取りつつ、市場に出ている紙については、例えばあるNPOがおっしゃっているカーボン・オフセットみたいなものをセットでこなしていくというような緊急避難的なことも考えなければいけないと思っています。
 ただ、偽って出していた紙についての業界での責任はありますから、これはまた別の次元で考えなければいけないのだろうと思います。それを全部混同するのではなく、あまり市場が混乱しないよう、環境省としても早急に方向性を出したいと思っています。

(問)ダボスのことで確認したいのですが、先ほど話された、こういうことをお話ししたいという内容の中に、国別総量目標設定の日本の独自の考え方というのがありましたが、それはセクター別を基にして積み上げ方式でということでしょうか。

(答)時間的にも、そういう方法もあるという話の頭出しくらいしかできないと思います。まだ日本だって具体的な話は十分に詰め切れてないですから。ただ、今までのような公的機関あるいは政府がキャップを最初から決めるという話ではない、積み上げ式で、しかし最後はキャップがあるというやり方が合理的なのではないかという問題提起だけはしてきたいと思っております。

(問)排出量取引については、日本の自主参加型の説明をなさるということでしょうか。

(答)非常に時間が限られていますから、そこまで説明できるかどうか。私が出るセッションはクライメイト・チェンジ・ディバイドだから、ちょっと場所が違うのかなとも思いますけれども。ただ、おっしゃるように全体的な話としては、例えばこれから排出量取引についても、今まで自主参加型で集めたノウハウに加えて、どういう方法が日本の国益にかない、なおかつ究極の目的である地球温暖化防止をできるかという議論を精力的にやりたいと思っています。排出量取引という話になると今までは思考停止になっていましたが、そこについてはもう少し冷静な議論をしたいと思っております。

(問)排出量取引については、自民党の中でもしっかり検討していくという動きがあるようですが。

(答)そのようですが、具体的にどういう議論が進んでいるかということについて、私はまだ承知していません。

(問)おそらくダボスでは、日本に対して批判的というか、ある種皮肉的な見方で質問をしてくる場面もあるかと思うのですが、それに対してはどのように対応していかれるのでしょうか。

(答)我々は我々の考えをきちんと主張するべき時期にあります。例えばG8で日本がリーダーシップをとるということは、ただ唯々諾々とEUの議論に従うということではありません。お互いの言い分をぶつけ合って、その中で建設的に前に進むようなことをするというのが、これからの日本の役回りだと思います。 皆さんも単純に相手からいろいろと言われたからといって、日本がそういう立場だったということとして理解をしていただきたくないと思います。日本は日本なりに、まじめに気候変動に取り組むということについてはその通りなので、それを、ある種のバイアスをかけた、あるいは誤解に基づいた論調というのがダボスの中で行われるようなら、私は納得できない。バリである種のネガティブキャンペーンがあったことは、日本の状況を変えていくモメンタムになったという意味において、私はポジティブに受け止めていますが、それがずっと国際世論の中で続くという話については納得できないので、きちんと言うべきことは言わせていただきます。

(以上)

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