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環境省大臣記者会見・談話等>事務次官会見要旨

大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成19年11月15日(木))


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、政令が6件、人事が1件でした。
 政令6件のうち2件が環境省の主請議でございまして、国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律第二条第三項の法人を定める政令案及び、同法律の施行期日を定める政令案という二つの政令案でございます。この二つの政令案は、環境配慮契約法、いわゆるグリーン契約法の施行に伴いまして、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に努めなければならない法人を定めておりまして、具体的には、自動車検査独立行政法人をはじめとした100の独立行政法人と10の特殊法人の名前を定めたものです。また施行期日の方は、法の施行期日を11月22日としたものでございます。詳しい内容は配付資料をご覧いただきたいと思います。
 私から二つ申し上げたいと思います。一つはトキの関係ですが、今年4月の日中首脳会談におきまして、中国温家宝総理より供与されることが表明されました2羽のトキの移送について、中国当局との間で、トキの個体の負担軽減と安全確保の観点から、慎重に調整を進めてまいりました。昨日、中国との間でこれら2羽のトキの移送日程が決まりましたのでお知らせしたいと思います。
 中国から日本に供与される2羽のトキ、具体的には雄1羽、雌1羽でいずれも4歳でして、繁殖できる年齢であると連絡を受けていますが、この2羽のトキは、11月18日日曜日、19時45分に日本貨物航空226便にて成田空港に到着し、同日中に佐渡トキ保護センターに移送する予定です。また、平成12年に中国から供与されたトキ「美美」の子で中国に返還すべき13羽のトキについては、11月20日火曜日5時頃に佐渡トキ保護センターを出発し、同日10時5分に成田空港より日本貨物航空225便にて中国に向け出発する予定です。日中友好の象徴であるトキの供与・返還という機会を通じ、野生生物の保護、生物多様性の保全分野での日中の技術協力・交流関係が一層活発になることを願っております。
 また、この一環として、環境省では、新潟県等関係団体と共催ですが、11月25日日曜日に、朱鷺メッセ・新潟コンベンションセンター、これは新潟県新潟市にございますが、ここで「トキ野生復帰 日中国際シンポジウム」を開催します。このシンポジウムでは、日本と中国それぞれの保護活動や、豊岡市のコウノトリ、ヨーロッパのホオアカトキの取組事例が紹介されます。また、トキと人とが共生する社会とはどのような社会なのかについて、市民とともに考えるパネルディスカッションを併せて行う予定です。会場は首都圏から少し遠いのですが、是非ご参加いただければと思っております。
 もう1点は、我が国の国別登録簿へのCERクレジットの移転開始、CERというのは認証排出削減量ですが、これが行われるということでございます。昨夜、我が国の国別登録簿内の民間法人の固有口座へ、CDMプロジェクトから得られるCERクレジットが、国連事務局が管理するCDM登録簿から国際取引ログを通じて移転されました。CERクレジットが個別の国別登録簿へ移転されたのは、世界で初めてのこととなります。
 国際取引ログと我が国の国別登録簿の物理的な接続についてはこの夏に完了しましたが、CERの移転に必要とされる様々な機能の試験をこれまで行ってまいりました。昨夜、これらの一連の試験がすべて完了し、実際の移転の実施に至ったものです。本件については、担当部署からお知らせを配布していると思いますので、そちらも参考にしていただければと思います。
 私からは以上です。


2.質疑応答

質問
 公害健康被害補償不服審査会の委員人事ですが、お二方、衆・参で同意を求められましたが、お一方は参院で否決という形になってしまいました。これに対する受け止めと、今後の対応についてお願いします。

→今回、参議院の本会議で、お一人、田中氏ですが、不同意となったことにつきましては、環境省としては、公害健康被害補償不服審査会の役割、あるいは田中委員のこれまでの実績に照らして、最も適切であると考え、再任いただくようお願いしていたところでございますので、残念です。また、候補者の田中氏にも申し訳ない結果になったと考えております。
 今後は、今回の国会の御判断の内容を受けまして、内閣官房とも相談しつつ、公害健康被害補償不服審査会の業務に支障を生じさせないということを旨として、適切に対応してまいりたいと思います。

質問
 水俣病の件で、チッソが新救済策で費用負担を拒否するという報道が一部で出ておりますが、国として、その辺についてどういう連絡が入っているのかということと、こういったチッソの姿勢に対する国の考え方についてお聞かせください。

→報道は拝見しておりますが、その内容については全く承知をしておりません。いずれにしましても、水俣病の新たな救済策の実現について、今、まさに与党の水俣病問題に関するプロジェクトチームで取りまとめが進められているところでございまして、その一環として、原因企業であるチッソとも調整が行われているところでございます。プロジェクトチームから出されました「基本的な考え方」の中の、最後の「今後の取り運び」の中でも、救済を求める者の理解を最大限得るように努めるということや、費用の負担について、原因企業の合意を求めていくということが書かれております。環境省としては、新たな救済策の実現に向けて、与党のプロジェクトチームとよく連携を取りながら進めてまいりたいと思います。

質問
 正式表明という形ではないですが、今後、やはりチッソには参加してもらうということで見守りたいということですか。

→与党プロジェクトチームはまさにそういう認識でチッソと協議をしているところでございますから、私どもとしてもプロジェクトチームに協力しながら、この救済策が実現するように力を尽くしてまいりたいと思います。

質問
 委員の人事ですが、これで今回、田中さんは駄目ということになってしまいまして、今後の対応ですが、国会は延長されまして12月15日まであと1ヶ月ありますが、この臨時国会での対応ということでお考えでしょうか。

→先ほど、国会の御判断の内容を受けて、内閣官房とも相談しながら、審査会の業務に支障を生じさせないことを旨として対応したいと申し上げました。公害健康被害の補償等に関する法律の114条の中に、委員の任期が満了したときは、当該委員は後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとするという規定がございます。従いまして、任期切れの11月2日以降、職務をカバーしていただいているわけでございます。今回こういうことがありましたので、申し上げたように、やはりできるだけ早く、審査会の業務に支障を生じさせないことを旨として、適切な対応を検討したいと考えております。

質問
 参院では、第1党の民主党が反対ということで、結果的に否決されてしまったわけですが、民主党の方は、大きな理由として、省庁からの天下り、OBだから駄目だということで、人事の同意に対する基本方針がありますが、それに田中さんは引っかかってしまったような形になっていますが、今後の対応として、省庁OB以外ということで人選に入るのか、あるいは民主党側にも、省庁OBであったとしても理解を求めていくのか、その辺の姿勢についてはいかがでしょうか。

→そういうことも含めてお答えしたつもりなのですが、やはり今後については今国会での御判断、あるいは議院運営委員会での議論というものもよく検討して、内閣官房とも相談しながら、かつ審査会の業務にも支障が生じない範囲で、これから検討してまいりたいと思います。

 私から一つだけ、先ほどのトキの話ですが、申し上げた事実関係に尽きるのですが、若干敷衍して申し上げると、生物多様性戦略について、昨日、答申がありました。生物多様性の保持ということも、地球温暖化対策、循環型社会の構築とならんで、極めて大きな環境政策の課題だと思っております。一方でトキは、来年秋の試験放鳥を目標に今野生復帰の準備を進めているところです。5羽はもう既に訓練センターに入れておりますし、分散飼育の問題等も含めて、野生復帰の試み・検討を進めているところでございます。この野生復帰を成功に導くということは、トキ自身を絶滅の危機から救うということのみならず、生物多様性保全という観点からも、これからの日本にとって重要な、人と自然とが共生する地域社会作りの一つのモデルとなるものだと思いますし、我が国における希少野生生物保護の取組全体をレベルアップさせることにつながると思います。今般中国から2羽のトキが供与されるということは、我が国のトキの個体群自体を一層充実させるものだし、近親交配を避けるという大事な課題にも応えられるものでございますし、トキの野生復帰がさらに一歩前進するとも考えていることを付言しておきます。

(了)

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