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大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成19年10月11日)


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議ですが、政令が4件、人事が6件でした。特に環境省関係のものはございません。
 私からは以上です。


2.質疑応答

質問
 昨日の国会で、民主党の岡田副代表が、環境問題について聞いていましたが、その中で国内の排出量取引について、大臣が積極的に取り組んでということをおっしゃっていましたが、環境省として、京都議定書の約束期間内に、国内排出量取引を導入する考えというのは、今、持っているのでしょうか。

→排出量取引については、今、中央環境審議会、産業構造審議会の合同で、京都議定書の目標達成計画の見直し作業をやっているわけでございますが、その見直し作業の中で、今後引き続いて総合的な観点から検討すべき課題の一つとして挙げられています。そういう観点から私どもとしては、国内排出量取引については、目達計画の見直しの一環として、これからも検討を続けていきたいと考えています。また環境省としては、自主参加型の排出量取引を進めております。段々増えてきて、150社程度の参加になっております。第1期の17年度に既にスタートいたしました分の成果も、当初予定の21%より多い29%までCO2をカットできたということも示されております。それをしっかり評価して、これからはどういうふうに更に改善できるかという勉強も進めていく予定です。国内排出量取引全般についても、システム構築に当たっての諸問題や、各国とのつながり等、いろいろございますので、そういうことについてもしっかりと検討を進めていきたいと思っております。
 いつまでに導入するというところまでは、率直なところまだいってないわけですが、十分検討を重ねていくということだと思います。

質問
 経済界も反対をしていますが、その辺の説得はどうお考えでしょうか。

→キャップアンドトレードの、特にキャップのかけ方など、確かに排出量取引をめぐっては、いろいろと論点、メリット、デメリットがあるのは事実ですから、きちっと検討を重ねていきたいと思っておりますが、やはり大きな時代の流れとして、排出量取引というのは二酸化炭素を削減していく方策の一つとして有効だと思っておりますから、産業界に対してもいろいろな機会を捉えて、国内排出量取引について、メリットも多々ある、デメリットもある、改善・工夫を加えなければいけない点も多々あるけれども、これからも是非、理解をしていただきたいという努力を重ねてまいりたいと思っております。

質問
 今日、審議会がありますけれども、経産省所管の13業界が目標を引き上げると、経産省の試算では1300万トンという話もありますが、それについて次官はどう評価されていますか。

→自主行動計画については、このあいだの中間取りまとめにおきましても、例えば病院などの例示もありましたが、裾野を広げていくこと及び、今既に作っているところは、もっと目標を高めること、或いはもっと数字を定量化することとか、一言で言えば、自主行動計画の更なる強化といいましょうか、深堀りといいましょうか、それが掲げられているわけです。そういう観点から、今回出される業界において自主行動計画の更なる深堀りが図られるということは望ましいし、必要なことだと思っております。

質問
 13業種のうちほとんどが、所詮は目標が原単位ですから、目標を引き上げて、それで削減効果を試算していますが、今後の生産量の伸びを想定したものではなく、原単位ですから、生産が伸びれば排出も増えるわけですし、大口の電事連とか鉄鋼連盟が目標も掲げませんし、極めて不十分だと思うのですが、そういう認識はお持ちでしょうか。

→更なる深堀りが必要と申し上げたのはそういう意味も込めてですが、やはりより定量的で、より深い、より幅広い、そういう自主行動計画であるべきだと思いますから、これからも実際の追加削減効果を私どもとしても精査していかなければならないと思っております。それぞれの業界が抱えた事情・範囲の中で段階的に進めていっているというのが実情だと思いますし、自主行動計画という性格上、ある程度限界があると思いますが、基本的にCOを大幅に削減するということが計画の基本ですから、それに沿って、より努力・深堀りを進めていってもらいたいと思います。

質問
 13業界の目標引き上げで、既に自主的に達成しているような引き上げも数多くあるようですが、それについてはどうお考えですか。

→そこはさまざまだと思います。既に達成しているけれども、目標に合わせて上げているところもあるし、達成していなくて上げたところもある。しかし、全体として目標を上げたということを、それはそれで受け止めるべきだと思いますが、それでもご承知のように不足分が出ているわけですから、更なる自主行動計画の強化というのは、依然として必要だと思います。

質問
 報道の出方を見ても、産業界はこれだけやった、偉いでしょう、あとは業務と家庭で、というような論調もあるのですが。

→私どもは、あとは業務と家庭だけとは思っておりません。産業という場合は、普通は業務部門も含めて使うのだから、業務部門はもちろんこれからも必要だし、また工場という意味での産業部門も、やはりウエートも高いですから、もっと進めていただきたいと思います。業務・家庭が中心ではありますが、自主行動計画を今回発表されたもので、はい、これで、というふうには思っておりません。さらに深堀りしていくべきだと思っております。

質問
 高い目標を掲げて引き上げたことはいいと思うんですけれども、いわば甘い、目標を引き上げないところについては、更なる深堀りを求めていくということでしょうか。

→まだ数字自体も、今日これから審議会で説明されるものでありますから、それを見てまた我々なりに判断をしていきたいと思っております。一概に今、少なくとも審議が行われる前にいろいろ申し上げるのもどうかと思いますが、いずれにせよ全般として言えば、やはり自主行動計画にさらなる深堀りをお願いしていきたい、強化を図っていきたいというのが、これまでの合同部会全体としての考え方だと思っております。

質問
 ボランタリーベースが限界があるじゃないかとか、あるいはこのままいけるじゃないかとか、その辺の見極めというのは大体いつ頃になりそうでしょうか。

→これから審議を進めていって、年内にある程度取りまとめの方向が出される予定です。ただし、そのあとパブリックコメントなどもありますから、最終的な目達計画の見直しという意味では、年度内ということだと思います。

質問
 そのときに、要するにボランタリーベースで実績が伴っていなければ、やはり強制力を伴うものを。

→そうですね、先程の質問とも関わりますけれども、自主行動計画が、実際に削減効果としてどれくらいのものがカウントできるのかということを、定量的にきちっと政府としては詰めていかなきゃいけないわけです。ただ自主行動計画というのも、やはり京都議定書目標達成計画の中に1項目として大きな手段として入っているわけですから、それを否定するつもりはありません。自主行動計画をきちっと進めていってもらうのは、我々としても望ましいと思っていますし、深堀りをしていっていただきたいという、繰り返しですけれども、そういうことでございます。

質問
 ポスト京都の枠組みを考えるときに、まずは6%を削減を達成するんだということは、昨日も国会で言っていましたけれども、6%を無視してポスト京都の枠組みを話し合っていくというオプションはないのでしょうか。

→2008年から、2012年の京都議定書の目標達成計画、その次にやはり2013年以降のポスト京都といわれるものが出てくるわけですから、昨日、大臣が国会で答弁なされたように、基本的には、まずやはり今のマイナス6%をきちっと達成していくことに力を費やすべきだと思います。そして、いわばそれと並行してその次のポスト京都、あるいは長期目標等も含めて考えていくべきであって、マイナス6%の話は横に置いておいて、こっちだけ議論していこうという、そういう選択肢は考えておりません。マイナス6%は、きちっと達成を期していこうというのが政府の考え方でございます。

質問
 達成しなくてもいいやという考えはないんですか。

→ありません。達成を期したい、達成を期さなきゃいけないと思っております。

質問
 アメリカでコノートン議長が、比較的、できるだけの範囲でやっていこうという対策を取っている、我が国、豪州、日本と連携してこれからのポスト京都の議論を進めていきたいというような発言をなさっていたということなんですけれども、そういう受け止め方に対してはどのようにお考えですか。

→日本は、アメリカで行われた主要経済国会合、あるいは国連で行われた会合を含めて、アメリカの対応が、従来と比較してですけれども、やはり積極的になってきているという点は評価しています。これからもより積極的になっていただきたいと思っていますから、そういうアメリカに対して働きかけはこれからも続けるし、アメリカがもっと変わっていってほしいという気持ちですので、私どもはそういう意味ではアメリカに対して対立する立場にあるとは思っておりませんけれども、アメリカ、オーストラリアと同じグループに属し、同じような考え方で進めているということではありません。

質問
 一部報道がありましたが、電事連が目標計画の中で京都メカニズムを取り入れるような姿勢を出してくるみたいな、そういうものに対しては、環境省的にはどうなのでしょうか、ずっとみんなに聞かれていて、原発は稼働率低いのに、大丈夫かということに対して、前に温暖化対策課長が、これは電事連さんが考えることだというふうに言っていましたけれども、京メカを結局大幅アップで解決という姿勢についてはどのようにお考えですか。

→基本的に申し上げれば、ご承知のように、京都メカニズムというのは補完的な手段だと思います。国内の削減量にまず第一義的に重要性があるわけで、まず削減していくと。削減できない場合に補完的な手段として京都メカニズム、CDMというものが存在しています。まずCDMありきではありませんから、どの業界においても、まずは国内削減について努力していくべきだし、例えば原発稼働率の上昇や火力発電所等における一層のCO2削減技術等の努力をしていくべきだと思っておりますけれども、それでもなおかつ足りない部分については、補完的と言えどもCDMについて、予定よりもよりCDM購入にもっと依存していかねばならないという状況があるならば、それはそれでやはり受け止めるべきだと思っております。つまり自分たちの自主行動計画を達成するために、予定よりも多くのCDMを購入せざるを得ないならば、そのようにして達成していただくということだと思いますけれども、基本的には申し上げたように、まずは国内の削減努力ということだと思います。

質問
 水俣病の話なんですけれども、被害者互助会が今日提訴するようで、ご存じだと思うのですが、まずその受け止めをいただけますでしょうか。

→私どももその件、本日ということで報道等によって承知をしておりますが、基本的にはこれは司法の場において係争される案件ですから、ここでコメントをすることはできません。水俣病被害者の救済策については、ご承知のように今与党プロジェクトチームにおきまして検討が進められているところでございますし、園田座長も、10月の半ばには何とか取りまとめたいと、努力したいということを言っておられますから、その方向で今、検討が進められているところだと承知しておりますし、私どもとしてもよくプロジェクトチームと連携をとって、協力して進めていきたいと思っております。ちょっと質問を広げて申し上げましたが。

質問
 ある意味、最高裁判決以後、環境省として新保険手帳をつくられ、そして今まさにPTが新たな救済策を作る動きがある。その中でまた訴えられたということはどういうふうに思っておられるのですか。残念なのか嬉しいのか、何とも思わないのか。

→司法の場において今係争中のものは、1人というのもあるし、多勢としてもありますけれども、6件目だと思います。それぞれの時期に出てきているのは事実でございますし、司法上に訴えていくということは、行政がどう思うとかいうこととは関係なく、やはり1つの権利として、1人の人間としてそういうことに対して司法に訴えていくということ、それはそれでこれからもあるかもしれないし、あるいはないかもしれませんけれども、行政としてコメントすることではないと思っております。  ただ、我々のやるべきことは、多くの水俣病の被害者の方々がおられるわけですから、そういう方々に対して救済をどのように進めていったらよいかということを、今与党プロジェクトチームで真剣に取り組んでおられるわけですから、それに協力して、一生懸命力を尽くしていくということが、今環境省に与えられた責務だと思っております。直接の答えになっていませんけれども、そういう気持ちでおります。

(了)

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