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環境省大臣記者会見・談話等>事務次官会見要旨

大臣記者会見・談話等

事務次官会見要旨(平成19年2月1日)


1.次官会議案件等概略説明

 本日の事務次官等会議でございますが、一般案件が2件、それから法律案が2件、配付が2件でした。
 一般案件のうちの一つは環境省関係でして、環境物品等の調達の推進に関する基本方針の一部変更ということで、いわゆるグリーン購入法の基本方針の改定です。ポイントだけ申し上げますと、いわゆるグリーン購入法に基づく環境物品等の調達の推進に関する基本方針、これは環境負荷の低減に資する物品、役務の調達を総合的かつ計画的に推進するための基本的事項を定めるものでございますけれども、今般の改定は、一つは、ノートパソコンについて省資源化の観点から、搭載機能の簡素化に関する基準を設置すること、あるいは庁舎管理、輸送や配送といった役務における省エネルギー措置を充実するといった基準の見直しを行い、それらの結果、グリーン購入法の対象となる特定調達品目は222品目となります。
 私から一つ申し上げておきたいと思います。昨年の12月に我が国で初めて確認されたカエルのツボカビ症について、希少な両生類をはじめとした生態系への被害が非常に懸念されております。このため環境省におきましては、この飼育されているカエルから、野生のカエルへのツボカビの感染を防ぐために、環境省のホームページ上あるいはチラシ等で、カエルを扱う飼育者あるいは業者に向けた、注意喚起を行っていきます。このほか、飼育されているカエルの流通状況や、ツボカビ症の発生状況の把握を行います。詳しくはこの後、資料を配付致しますので、ぜひご参照いただきたいと思います。ホームページなどでは、ツボカビの野外への蔓延を防ぐという観点から、飼育しているカエルを決して野外に捨てないように、また、その感染個体を扱った飼育の器具を適切に消毒することなどをこれから呼びかけていきます。また、絶滅のおそれのあるカエル類が多種類生息している沖縄、奄美等の南西諸島での対策につきましては、那覇の自然環境事務所において、専門家を初めとする関係者の協力を得て、検討を進めていく予定です。
 現在、専門家、研究者あるいはNGOにおいても対応が進められつつありますので、こうした方々とも連携をしながら、野外への感染拡大を防止していきます。できれば全国的な対策も今後の検討課題ですが、特に南西諸島は、環境省のレッドリストに記載されている絶滅危惧二類以上の両生類、これは21種ありますが、そのうちの9種がここに生息をしており、特にその保全の対策が急がれる地域ですので、対策の検討等を行うこととしました。
 私からは以上です。


2.質疑応答

質問
 鳥インフルエンザについて、感染がどんどん広がってきていますが、今後もすべての発生地で同じような対策をとっていくお考えなのでしょうか。それとも、何か新しい対策を考えているのでしょうか。

→基本的にはこれまでと同様の対策を、的確かつ迅速にやっていきたいと考えております。今般、30日に宮崎県の新富町におきまして、高病原性の鳥インフルエンザと疑われる事例が発生したことを受け、明日、環境省の九州地方環境事務所の職員が、宮崎県の鳥獣行政担当職員や専門家と一緒に、発生の疑われている農場から半径10キロの範囲で、野鳥の生息状況の把握を行うことを予定しております。
  また、宮崎県の日向市についてですが、本日から宮崎県とともに付近の野鳥の生息状況の監視や、あるいは鴨類等のウイルス保有状況の調査のための糞の採取、あるいは陸鳥のウイルス保有状況調査のための陸鳥の捕獲などを実施することとしております。
  それから岡山県の高梁市の発生につきましても、1月30日ですが、岡山県等とともに、発生農場から半径10キロの範囲で、野鳥の生息状況の概況把握を行いました。野鳥の大量死などの異常な状況は確認されませんでした。高梁市での鴨類の糞の採取等の日程も、現在調整しているところです。

質問
 ツボカビ症は、これまで国内で判明したのは何匹ですか。

→これまで真性ツボカビと診断された事例は12個体と聞いています。

質問
 流通状況の把握というのは具体的にはどういうことをするのでしょうか。

→1つはすでに始めていますが、実際に南西諸島における野生および飼育下にある両生類の現状について専門家やペットショップの人達からヒアリングをすること、それから専門家を集めて緊急会合を行うこと、ツボカビ症の侵入を防止するパンフレットを作成し、教育機関や飼育者、野外活動を行っている方々に配布していくこと、それから一般の方からの相談窓口を設置すること、また、野外等でツボカビ症が疑われるような大量の両生類の死亡等があった場合について、現地に獣医師を派遣し、実態を調査することなどです。後ほど資料を提出してご説明をいたします。

質問
 IPCCについてですが、環境省として注目しているポイントを教えていただけますか。

→IPCC自体は、今日まで第1作業部会をやっており、中身については、別途詳細にご説明をさせていただきたいと思います。本日の段階では、国際的な会合でもあり、私から言及するのは避けたいと思います。ただ、第1作業部会というのは、最近の地球温暖化の状況について多くの科学者等が集まって、最新のデータに基づく現在の状況把握を出そうとしているものです。その中に、もちろん気温や海面上昇も含めていろいろな側面で、地球温暖化が非常に深刻化しているということが如実に出てきているようなデータがございますので、しっかりと中身について協力・分析し、また実際に、それに対してどういうことが考えられるかを含めて、一つ一つ注目して見ていきたいと思っております。

質問
 人間の活動によって温暖化が加速しているという指摘もあり、特に日本の取組も遅いという意見もあります。例えば、何か新しい法規制など、そういったことは考えておられるのでしょうか。

→地球温暖化対策の一つの大きな柱として京都議定書があるのはご承知のとおりですし、この京都議定書の第1約束期間自体が2008年、まさに来年からスタートするわけですから、今年がまさにその文字通り大事な正念場の年だと思っております。地球温暖化対策を網羅的に、例えば、おっしゃられた規制もそうだし、あるいはその他にもどんな策が取れるのか、あるいはこれまでいろいろ執ってきた施策の進捗状況はどうなのか、といったことをすべて含めて総合的な見直しを全省庁でやることとなります。その作業の中で、地球温暖化の問題は、まさに人為的な側面が大きな要素を占めているということも明らかなわけですから、しっかりした対策を検討していきたいと考えております。

質問
 水不足の懸念だとか、生物の絶滅だとか、いろいろな項目の恐れがあるという指摘がありますが、次官としては、この作業部会報告で一番注目しているところというのはどこでしょうか。

→実際に温暖化が進行して温度がどれくらいまでこれから進んでいくのか、あるいは海面がどれくらいまで上がってくるのか、降水はといったことを中心として、第1作業部会に限れば科学的実態面の問題が中心です。それが実際にどういう影響をもたらしていくのか、人体や生態系にどういう影響が出てくるのかということは第2作業部会の話ですが、それでも今までずっと積み重ねてきた知見がありますので、温暖化の問題自体が、地球生態系といいますか、人類のみでなく生態系全体に極めて大きな影響を与えるわけですから、しっかりと取り組まなければいけない課題だと思っています。

質問
 京都議定書のマイナス6%という目標に日本はまったく近づいておらず、2008年には実際に約束期間が始まります。IPCCの明日の報告では、人為的な要因というのがこれまで以上に高い確率であるというところまで踏み込んでいて、世界各国を見ても、だいぶ企業に対する規制が厳しくなっていると思うのですが、その中で環境省の政策というのが非常に経済を重視したものであるという批判も強いと思うのですが、ここまで温暖化が進んでいるという報告が明日出てくることを受けて、環境省として若干の政策のシフトチェンジみたいなものは。

→私どもとしては、温暖化対策というのは、企業や産業ももちろんですが、国民生活ですね、家庭やドライバー、あるいはこうした事務所等もそうだと思いますが、あらゆる分野の方々がみんなで対策を練っていく、みんなで一つ一つ進めていくことだと思いますから、どこの分野に特に重点を置くということではなく、全体で取り組まなければ効果も発揮しませんし大きな数字になってきません。今おっしゃられたようにマイナス6%という目標に対して現実はプラス8%という数字になっているわけですから、何よりもマイナス6%を目指して、2008年から2012年の約束期間がもうすぐ来るわけですから。
 経済分野に特に力点が置かれているというのはどういう御趣旨か私にはよくわかりませんが、あらゆる分野においてどういうことができるのか、京都議定書自体はマイナス6%ですが、2050年くらいになればマイナス50%とかそういった数字を達成していかなければならないというのも、コンセンサスに近い状況になってきています。そういう意味では、やっぱり温暖化対策というのを、ごく環境に熱心な企業や人だけでなくて、我々のライフサイクル等を含めて、家庭・学校・病院・事務所あるいは企業はもちろんですけれども、工場・運輸、みんなにわたるような、そういう対策が必要であるということだと思います。先ほどの質問にも関わりますけれども、温暖化対策の見直しというものが、今までやってきた諸施策、規制や、自主行動計画も含め様々あるわけですけれども、それらの一つ一つのフォローアップもしっかりやっていきます。

質問
 マイナス6%というところでプラス8%という数字も出ている中で、大分残されているというか、与えられている猶予はほぼないと思うのですが、みんなでやっていこうというのでは、ちょっとどうにもならないのではないかなと、私個人としては思うのですが。

→実施可能で、かつ効果が上がる施策というものを目指していかなければなりませんから、ただ普及啓発して、しっかりやっていきましょうだけでは効果が上がりませんので、それは具体的な目に見えるしっかりした施策を迅速にとっていかなければいけないと思います。


(了)

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