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大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成19年10月26日)


1.発言要旨

 おはようございます。
 今日は、今帰ってまいりまして、閣議に間に合いませんでしたので、臨時代理が立ちました。閣議に関する御報告は私からはできません。
 ボゴールで行われたCOP13の準備会合に参加してきました。我が国を含む多くの国から、バリで次期枠組みの交渉を開始する必要性が強調され、バリにおいて議論されるロードマップの重要性と、2009年までの合意について、各国間で認識を共有できたものと考えております。
 本会合におきましては、日本から次期枠組みの交渉の本格化に向け、米・豪を含むすべての国が参加する新たな交渉の場の必要性について、具体的な提案を行ってまいりました。その中で、具体的に議論すべき重要な構成要素を挙げ、本会合で取り上げられた四つの要素、すなわち緩和、適応、技術、資金の四つに加え、長期目標、コベネフィットアプローチ、国際競争力の観点からの衡平な負担分担といったことについても構成要素として取り上げてもらいたいと、日本として提案しました。また今般、日本は森林炭素パートナーシップ基金への1千万米ドルの拠出を決定したことについても紹介をしてまいりました。我が国としては、米・中・インドを含むすべての主要排出国が参加し、世界全体の排出削減につながる実効ある枠組み構築に向けて、バリでの交渉をリードしていきたいと考えております。
 私見ではありますが、極めて熱心な議論が行われまして、加えて日本からは、一つの提案としては理想に近いもの、もう一つは現実的なものとして、二段構えで提案をしました。理想型に近いものについてはいろいろと御意見もあるようでしたが、基調を作ったという意味においては、それなりの意義があったと思います。基調を作ったというのは、2009年までに合意をする必要があるということや、すべての国が参加しなければ駄目だということについて、全体的な底流にある合意が得られたのではないかと我々としては自負しております。これからまた、バリ会合に向けてさらに努力をしてまいりたいと思います。
 それから資産公開についてですが、大臣等規範に基づいて資産公開をいたしました。詳細は既に資料で配付させていただいているところです。質問がおありでしたら、後ほど受けさせていただきます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問) 準備会合なのですが、途上国の参加という意味では、前回と違ってかなり必要に迫られたところですが、その辺りでの日本の働きかけや相手の反応についてお聞きしたいのですが。

(答) 途上国に対して直接個別に働きかけというようなことはありません。準備会合は入れ物を作るための準備会合ですから、それぞれ言いっぱなし、聞きっぱなしということです。ただ、やはり資金的なもの、あるいは技術移転の問題なども含めて、途上国それぞれ御意見があるようでしたので、単純に言えばAWGのグループと、そうでない主要排出国と、それから途上国と、それぞれの立場をそれぞれが主張したというところに今回はとどまりました。ただ少なくとも、バリでスタートしようというような機運については途上国も共有してくれていると思っております。ただそのときに、新興国も含めてですが、2トラックでいくのか、我々が提案したようにAWGを発展的に拡大して、すべての国が議論するような状況ができるか、なかなかそこのところについては難しいなという感触を得て帰ってきました。あと皆さんおっしゃっていたのですが、2トラックでいく場合には、リンケージ、連携をどうするかというようなことの具体的な言及もありました。少なくともバリで新たな枠組み作りのスタートをするということについては、おおむね合意が取れたという認識でいます。

(問) 資産公開なのですが、御自身の内容についてどういう感想を持たれているかということと、制度そのものの意義や見直しの必要性についてはどうお考えかをお聞きしたいのですが。

(答) 基本的に、私の資産の異動はありませんので、例年のような報告をさせていただきましたが、大臣になると、さらに詳細にという要請があるようですから、それに沿ってさせていただきました。制度全般については、例えば大臣、副大臣といった政府の地位にある場合は、その前後で、例えばその地位を利用して資産を増やすといったことを厳に慎まなければなりませんから、資産公開というのは極めて重要な仕組みだろうと思います。

(問)資産公開について、そもそも御自身の資産について、他の大臣や議員に比べての評価はいかがでしょうか。

(答) 私は昭和56年に父親から資産を相続しまして、私の母親と二人の共有名義で資産を維持してきています。それと同時に、議員になるまでは医者をやっておりましたので、さまざまな事業、クリニックを開業したりしてきましたので、他の大臣はわかりませんが、一般的な議員と比べると、資産も借金も多いと見られているのだろうと思います。
 議員になったのは平成3年で、よく聞かれるのは、政治で借金を増やしたのではないかということですが、それは全くありません。私の借金の大きな一つは、相続税を払うための借金が残っているということと、それから56年に父親を亡くしましたが、そのときに開業をしました。その開業のための資金の返済が残っているということと、資産の運用ということで借家等を造っておりますので、それについての借金と、こういったことがトータルであります。皆さんから見ると、借金が多いなと思われるでしょうが、きちんとした返済計画にのっとって20年以上払い続けていますけれども、なかなか減らすのは大変なことだなと思っております。

(問)資産公開全般のことですが、こうすればもっと良くなるといった改善点や見直し点というのはいかがでしょうか。

(答) いいのではないでしょうか。ただ、是非理解していただきたいのは、先ほど申し上げましたように、例えば大臣の地位を利用して、あるいは議員という立場を利用して蓄財をするということについては厳に慎まなければいけないと思います。ですからその前後で、議員をやっているときと辞めたとき、大臣をやったときと辞めたときなどに、資産が急速に増えたといったことについては、明らかに見える仕組みを作った方がいいと思いますから、そういう意味で言うと、今はかなり厳密だろうと思っています。

(問) COPの話ですが、ポスト京都とよく言われていますが、平行して京都議定書に来年から取り組むということで、最大の排出国のアメリカが入ってきていないということについて、特に途上国など、各国から意見は出ましたでしょうか。

(答) 多少、そういうようなことはありました。アメリカを名指ししてという話はありませんが、今回はアメリカも参加していましたので、アメリカの顔を見ながら発言をなさる国はありました。今回の京都議定書にアメリカが参加しなかったということについてのさまざまな思いは各国ありますし、EUもありますし、我々もありますから、そういう意味で言うと、次はアメリカに参加してもらうことは我々にとっての必須の命題だろうと思っております。

(問) 準備会合なんですけれども、この前日本は、主要国が入るならば2009年合意でいいのではないかということだったと思うのですが、今回、2009年ということを大臣が自らおっしゃっていたということで、アメリカと中国は、2009年ということに対して、どんな主張をしたのでしょうか。

(答) アメリカはあまりはっきりとした主張も言及もありません。中国については、2009年というようなことについて、全体的な合意について、特別異論もおっしゃってなかったので、私の感触として、中国は基本的に2009年に枠組みを作っていくということについては合意ができているんだろうと思います。ただ、やはり中国は、主要排出国としての立場がありますけれども、加えて、AWGのグループに入って、同じ立場になっていくかどうかということについては、私は必ずしも楽観はしていません。

(問)アメリカは反対も賛成もしなかったのでしょうか。

(答) アメリカは、まったく色は出しませんでした。現状について、ある意味で評論的なことはおっしゃっていたけれども、積極的に参画するとか、しないとかというようなことについては、極めて慎重でしたね。

(問) 交渉を12月に始めるとすると、日本の立場を明確にしなければいけない時期が来ると思うのですけれども、日本としての立場、例えばどのくらい削減義務を負うのかとか、その辺の主張というのは、バリの直前とか、その辺でされるのですか。

(答) バリは入れ物をつくるための会議ですから。今回、私なりに、バリで主要排出国も含めたすべての国が入るような、入れ物をまずつくるということが非常に重要だということを再認識しました。ですから、そこで中途半端なやり方をすると、また全体が崩れてしまうということにもなるので、まず大枠を合意することなんだろうと思います。バリが最終的な合意ではありませんから、2009年までいろいろな議論をするわけで、バリからのロードマップで、スタート時点に皆さんついてもらうのがバリ会合です。そこから先、2009年のCOP15に向けて、いろいろな厳しい交渉が行われるのではないでしょうか。
 先ほど申し上げたように、一部の国は対話を続けるというようなダイアローグという話をしておりましたけれども、我々の、この場で数値目標も含めた交渉をしたいという話について、まだ対話だとおっしゃっている人もいるし、それから、参加の仕方もボランタリーに参加をするというような趣旨の話をしている人たちに、日本があまり突っ走っていくと、後ろが誰も付いてきてなかったというような話になるのも困ります。なかなかここは難しいところですね。ただ何度も申し上げていますけれども、日本は世界のリーダーシップを取りたいと言っているので、自らはそれなりの削減目標を持ちつつ、途上国、新興国の言い分も考えつつ、全体的な大枠を作っていくことに汗をかくのが今の仕事じゃないでしょうかね。
 いくつか国際会議がありますから、そういうことを含めて、途上国まで全部包含した枠組みというのは、本当に大変です。環境問題というのは南北問題だという人もいますけれども、全くそういうような感じを受けて帰ってきました。パプアニューギニアのようなところは、先進国に対してかなり、ある種のフラストレーションを持っているような発言をしていました。

(問) 今回、日本の提案があって、途上国の側からそれに異論というか、違う意見が出されて、12月にまた日本は違うタイプの提案を作っていくということなのでしょうか。それとも、なるべく日本提案に合意を得られるようなネゴをこれからやっていくのでしょうか。

(答) 日本はまず、全部が合意できるような枠組みと、2トラックでいってもいいかも分からないという提案と、柔軟に提案していますから、全体的な相場観から言うと、やっぱりある程度2トラックで行きつつ、もしかすると、そこでAWGと他の国との議論の中でリンケージを取りつつ、ゴールは9年というところをどこまで合意できるかというのは、ギリギリのところかなと思います。2トラックでいって、対話だけして、9年にゴールしないという考えも途上国の中にはあるわけです。それぞれの立場があり、ある国の代表は、俺達のところにはまだ選挙もあるから、そんな簡単にはいかないみたいな話を言っていましたけれども、そういうある種、エクスキューズを皆さんおっしゃっているということは、簡単には合意できないというような認識はあります。

(問)国連のCDMの関係で、東京電力と三井物産が却下されたという報道がありましたが、環境省から見たコメントはありますか。

(答) 今、成田からこっちに来るところで新聞のコピーを見ただけなので、まだ何とも言えませんが、やはりその評価はある程度厳密にあるべきだけれども、今の個別の問題がどうして認められなかったのかということについては、もう少しきちんと全体的な話を聞いて、また後日お話させていただきます。

(以上)

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