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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

鴨下大臣記者会見録(平成19年9月26日 一般紙)


1.発言要旨

 引き続き環境大臣を仰せつかりました鴨下です。皆さんとは顔見知りになりつつありますが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 今回の福田総理からの御指示は、一つは地球温暖化問題についてです。極めてはっきりとした口調で京都議定書の温室効果ガス削減目標の達成という御指示をいただきました。以前にも申し上げましたが、達成には難しいことがたくさんあります。特にそれぞれのセクターでの目標においては民生部分、運輸部分含めて、非常に難しい部分もございますが、これから第一約束期間に入るわけですから、できるだけ達成すべく、私としては先頭に立ってがんばっていきたいと思っています。
 もう一つは、2013年以降の新たな国際的枠組みの構築に向けた取組についてです。特に来年の7月には洞爺湖サミットがありますし、そこでの主要テーマはポスト京都の新しい枠組みの問題になるのだろうと思っております。安倍前総理も「クールアース50」の中で3原則も含めて、具体的にはアメリカ、中国、インドといった国も含めて全ての国が参加していただけるような弾力的な枠組みを作っていこうということを提唱していただきました。それを踏襲してポスト京都に向けて、しっかりと洞爺湖サミットまで追い込んでいきたいと思っておりますので、ぜひ御意見もいただきたいと思っております。
 もう一つのテーマとして、もったいないの心で、作ったものを長く使っていくことについて福田総理は非常に御関心もあり、熱意も持っております。私も昨日、多分最後の会見になるだろうということで、大量生産、大量消費、大量廃棄のパラダイムを変えていかなければいけないということについて申し上げました。福田総理はストック型社会を実現してもらいたいということでした。私も誠にそのとおりだと思いますから、ストック型社会を形成していくために、例えば住宅も20年、30年で解体して廃棄物がたくさん出るという形ではなく、100年、200年住み続けられるような住宅を、これは全体が環境省の所管ではないかもしれませんが、大枠ではストック型社会を作っていくということで関係省庁に働きかけていきたいと思っております。また、自動車等も、今は自分で所有するのではなく、使うという目的の様々な方法論が議論されているようですから、そうしたことを含めて、物を所有するとか、使うという概念ももう一度考え直さなければならない時期にきているのだろうと思います。包括的にはストック型社会を作っていくということで、この度、大臣という責任をいただきましたので、そうしたところで先頭に立ってがんばってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

2.質疑応答

(問) 京都議定書の目標達成について、今、達成自体が非常に危ぶまれており、達成のためには抜本的な対策を打ち出さなくてはならないと言われていますが、大臣としてはどのような抜本的な対策を講じて達成すべきだとお考えでしょうか。

(答) いくつかはありますが、今、省内の各部局に指示をして具体的に何ができるかを検討させています。例えばキャップ・アンド・トレードの問題も、任意の人たちが集まってというのではなく、もう少し裾野を広げて多くの人たちに参加していただけるような、インセンティブなのか、規制なのか、このあたりの行政ツールを使って、少し規模を広げていくことが必要だろうと思っています。
 また、これは申し上げると他のところからも怒られるかもしれませんが、例えば税制改革の中で、いわゆるグリーン税制のようなもの、その中でも道路特定財源の一般財源化の話の中に、道路が引き起こす様々な環境問題がありますので、環境の問題に使っていくことも必要なのではないかと思っています。ただ具体的にどのような形で働きかけていくかということはこれからですが、そうした様々な手法、行政的な方法を使って多くの成果を上げることを今検討してもらっているところです。もう少ししたら、はっきりとした形でお示しする時期が来ると思います。

(問) ポスト京都議定書についてですが、国連ハイレベル会合があり、バリで交渉を開始するべきだということになりましたが、日本は3原則を主張しているわけですが、具体的にはどのような枠組みになるべきか、そのために日本はどうするべきだとお考えでしょうか。

(答) それは「クールアース50」に準拠した形なのだろうと思います。今回のハイレベル会合では、森元総理が出席して、特に途上国支援の重要性、コベネフィットアプローチについても紹介しました。それと各国首脳の大半とは言いませんが、数多くの方々が50%削減ということについては共感を持っていただいているというニュアンスの報告を聞いております。そうしたことを元に、これから洞爺湖サミットに向けての様々な会合の中で、一つ一つ各国の理解を求めながら、我々は先頭に立っているという自負心はあります。そうした中で「クールアース50」の実現に向けてやっていきたいと思っています。

(問) アメリカ、中国、インドは、義務的な枠組みについて依然として否定的な態度を示す中で、日本として洞爺湖サミットで、それぞれの国を巻き込んだリーダーシップをどのように発揮していきたいとお考えでしょうか。

(答) 今回、森元総理からお話いただいたように、コベネフィットアプローチのようなもので途上国にも参画していただくこともあるでしょうし、アメリカについても、京都議定書の我が国の批准の時期から比べて随分全体的な雰囲気が変わってきていますので、私自身は洞爺湖サミットに向けて、暮れにはバリでのCOP13がありますから、そうした中でかなり進展するだろうという多少の希望は持っております。ただ現実的な話として、やはり日本でさえも産業界と環境はいろいろな意味でのフリクションがありますから、それは国際社会の中でも同じことがあります。そこを乗り越えるためには様々な困難を克服しないといけないと思っていますので、簡単なことではありません。

(問)やはり日本としては、EUのように早く交渉を始めることを主張して、自ら数値目標を掲げるということは今の段階では難しいというお考えでしょうか。

(答) 今日の段階ではね。だけど、私としてはそういうこともイメージしつつ、せっかくこうして、また皆さんと話をさせていただいているので、目標を掲げて努力をしたいと思います。ただ、現時点では数値目標をどうするという話については、環境省だけで決める話ではありませんし、各産業セクターにも協力していただかなければなりません。昨日の就任の会見で申し上げましたが、片や経済を成長させていくこととのバランスの中でやらなくてはいけないので、必ずしも我々が言うだけでものが進むとは思っておりませんが、ただ環境省という立場、あるいは環境大臣という立場では、もちろん環境を最重要の優先順位として主張していくというスタンスでいきたいと思います。

(問) 水俣病についてですが、今、与党プロジェクトチームの方で被害者団体と交渉していいますが、大臣としては、やはり与党PTの推移を見守るというスタンスなのでしょうか。もしくは大臣としても何かしら力を及ぼしたいとお考えなのでしょうか。

(答) 今は与党PT、特に園田先生を中心に各団体との折衝をしている、いわば進行形の段階ですから、私が今意見を差し挟むという段階ではありません。ただその中で双方が合意でき、第二の政治決着のようなものができるのであれば、それを受けとめたいと思っています。なかなかそういうような事態にならないときには、私としても何かやれることがあるのだろうかと、その時点でまた考えたいと思っています。

(問) 排出量取引についてですが、昨日の会見の中で福田総理から、経済とのバランスを考えて国内目標を達成してほしいと指示されたとおっしゃっておりましたが、経済産業省は排出量取引に強く反対した甘利経産相が再任されており、排出量取引の導入ということは難しいといいますか、相当抵抗が強いのではないかと思うのですが、その辺を打開するお考えがあれば聞かせください。

(答) 打開するというよりは、甘利大臣がもしそういうお立場でしたら、私は環境省の立場ですから、両方の立場がそれぞれあるわけです。それはどちらがいい、どちらが悪いということでは私はないと思います。二つの相対立するといいますか、そうした中で私たちが次の世代に「クールアース」を残していくために、国民の皆さんにも考えていただくという健全な意見の対立というのはあって然るべきだと思っています。できれば二つの意見が国民の皆さんにわかりやすくなるように提示しつつ、最終的には国民に理解していただくことが重要ですので、そうしたプロセスを着実にやっていくということなのだろうと思います。
 私としては、もう一刻も猶予がないと思っていますので、排出権取引も含めて、キャップ・アンド・トレードの話も申し上げましたが、単にボランタリーにといいますか、任意に集まってくださったことだけでやるのではなく、もう少し幅広な考え方もあって然るべきだと思います。場合によると対立することもあるかもしれませんし、合意点を見出せるかもしれませんから、それはやってみましょうと。

(問)キャップ・アンド・トレードは、大臣は京都議定書の達成期間内に導入をお考えなのでしょうか。それともポスト京都でということなのでしょうか。

(答) 日本はポスト京都でもリーダーシップを取りたいと思っているわけですから、この約束期間の中で様々な手法も含めて、やるべきことはやって、なおかつ排出権取引のようなメカニズムも成熟させていくことも必要なのでしょう。ただ、前にもお話ししましたが、原則はやはり、実際の二酸化炭素削減の努力を、国民も、あるいは産業も全てのセクターでやっていかなくてはいけないということは誠にそのとおりです。加えて排出権取引のメカニズムを更に洗練していくことも約束期間中にやらなくてはいけないことだろうと思います。そうでないと、世界の中で我々はリーダーシップを取りたいと思っているわけですから、自らができないことを各国に申し上げるわけにはいきません。

(問) キャップ・アンド・トレードは、今はボランタリーな、いわば意識の高い企業だけがほんの数十社集まっているだけですが、大臣が今おっしゃっている幅広なというのは、ある程度強制的にという意味なのでしょうか。

(答) それは合意形成しつつの話です。簡単なことではありませんが、先程申し上げたように、インセンティブなのか、それとも規制なのか、そうした様々な行政手法も使いつつ、できるだけ広く参加してくれるところを増やしていくということです。ですから強制まではいかないかもしれませんが、やっているうちに結果的には企業のステータスの中に、環境を意識しない、あるいはそういうところに参加してくれないことで、肩身が狭い思いをするような状況は作り出したいと思っています。

(問)インセンティブというのは、参加した企業が何か得をするような、例えば税制上の優遇策を設けるとか、そういうことも含むのでしょうか。

(答) そういうことも含めてです。そういうことのインセンティブもありますし、行政的な規制もありますし、社会の様々な世論といいますか、そういうところに積極的に参加していないと肩身が狭いというような状況も含めて、あらゆる手を使って。ただ、強制的に法律でがちっと決めるというのは、まだ時期が早いのではないかと思います。そこまで本当に環境のプライオリティーが上がっているかどうかというのは、まだ私自身は慎重にやらなければいけないところもあると思います。

(問)水俣病についてですが、認定基準を見直すお考えはおありでしょうか。

(答) 認定基準というのは基本的には変わらないものだと思います。認定基準というのはある種の物差し、クライテリアですから、これは変わらないけれども、それをどのように準用していくかという話については様々な考えがあるのでしょうから。そこは、それぞれの団体、あるいは与党PTで、認定基準は動かさないけれども、軽い人あるいは認定基準を満たさない人、こうしたことについてどのような形で救済していくかという話だろうと思っています。基本的な物差しを動かすべきでないというのが私の原則的な思いです。

(問)理由としてはどういうことなのでしょうか。

(答) 過去に認定された人と今認定される人で物差しが違うということは、やはりそれは混乱を招く元になりますから。それが際立って医学的に合理性を欠いているということでしたら別ですが、私はそうは思いません。

(問) 国際社会での日本の存在感ということについて、日本がクリーンエネルギーなどの分野で遅れているのではないかという指摘もあるのですが、来年の洞爺湖サミットに向けて、どのような環境先進国というイメージを印象付けていくのか、何かお考えがあればお伺いしたいのですが。

(答) シンボリックな話としては様々あるだろうと思います。例えば自動車でも、プラグインハイブリッドのような話も含めた技術的な話もありますし、太陽光発電もありますし、風力発電もありますし、そうした形での技術、日本が一番先進的な部分についてある程度表に出していくという象徴的なことはできるのだと思いますが、ただやはり全体を動かしていく、構造的に動かしていくというのはまた難しい話で、先程申し上げたような税制やライフスタイルなども含めた話ですから、それも含めて私は全体を動かしたいと思っています。ですから、こんなすばらしい技術があります、こういうことをやっていますという、モデル的な話ではなくて、むしろ根こそぎ全体が変わっていく工夫というのもできないだろうかと今考えています。もちろん、そういう技術的なことを導入しつつです。総合的にやらないといけないのだと思います。

(問) キャップ・アンド・トレードについて、先程インセンティブと規制というお話をされましたが、インセンティブというのは言ってみれば、税制とか助成金という話になると思うのですが、一方で法律でがちっとやるのはまだ早過ぎる、時期尚早であると。そういう中で規制的なものというのは、どのようなものをイメージされていますか。

(答) まだ私自身も熟慮しているわけではありませんが、例えば参加してくださっている企業をそれなりにきちんとした形で公表していくとか、いろいろな方法があると思いますが、あまりきつい規制を言うと、すぐにいろいろなところから殴られますから、もう少し考えさせてください。今、そういうことを各部局に投げて、検討してもらっています。然るべき時に、かなりはっきりした形で打ち出したいと思っています。

(問) 先程、道路特定財源について言及されましたが、大臣のおっしゃった趣旨は一般財源化した上で環境の予算を増やすべきということでしょうか。それとも現行のように、特定財源の中で使途を拡大するべきということでしょうか。それとも環境税を作ってやるべきということでしょうか。

(答) 環境税ではないです。一般財源は一般財源ですから、特定財源の中の枠の中で、環境に関わるものに使えないだろうかということについて、大臣としては先頭に立って、少し税制議論の中で問題提起をしたいと思っています。

(問)具体的にタマとしてはどういうようなものがあるのでしょうか。

(答) 例えば環境省の概算要求などでメニューはたくさんあります。ただ事業規模などは場合によると、私がイメージする100分の1ぐらいの予算しかついていないようなこともたくさんあります。例えば財源があれば圧倒的なパワーで展開できるという、いいメニューも中にはあるわけで、そういうようなことです。

(問)その特定財源のうちの受益と負担の関係で理解を得なければならないと思うのですが、その理解を得る方策についてはどのようにお考えでしょうか。

(答) 私は理解していただけると思っています。道路を使う方々、自動車に乗る人たち、そうした人たちが何らかの形で環境に負荷をかけているということは皆さんわかっていますから。極端に言えば渋滞道路を緩和するということも、場合によると排気ガスなどがかなり削減されるわけですが、そういうことではなくて、むしろもう少し広範な環境にお金を使ってくださいと言っても理解していただける部分はあるのではないかなと思います。これから提案します。

(問)一般財源化自体には賛成なのでしょうか、反対なのでしょうか。

(答)一般財源化については、私は所管ではありませんから、あまり申し上げません。考えはありますけども。

(問) 確認ですが、今までやってきた道路特定財源の使い道を広げるという流れが国交省中心にありました。今、大臣がおっしゃっているのは、道路特定財源そのものは残した中で、その使い道を道路そのものとかそういうものではなく、環境にまで広げるというイメージでいらっしゃるのですか。

(答)そうです。解釈していただければそういうことではないかと思います。

(問)それは温暖化対策にということでしょうか。

(答) 温暖化対策もありますし、局地対策もあると思います。例えば交差点などの大和陸橋だとか梅島陸橋だとか、そうしたところの交通がもっとスムーズに流れるだけでも随分いろいろな問題が解決できるわけですから、これはまさに道路そのものです。そういうような具体的な話もありますし、もう少し広げて環境省が今要求しているメニューの中に、場合によっては国民運動的なことにも使えるかもしれませんし、例えば揮発油税だとか従量税だとか、負担してくださっている人が納得できる事業で環境に当てられるものだったらどうだろうかという提案をしたいと思っています。

(問)国交省のやっている使途拡大をさらに広げて、環境にも広げたいということでしょうか。

(答)そうです。そこは少し闘いたいと思います。

(問) 3原則と2050年は大方の理解は得られたとして、次、日本が出していくべきは、短期、中期の目標設定についてどのようなものを出していくかという部分が求められていると思いますが、それはいつ頃までにまとめていこうとお考えでしょうか。

(答) 長期はある程度決まっていますが、中期については、まず足元の約束期間のことをしっかりとやっていった上でです。長期は決まっていますが、足元のことができないのに中期もないでしょう。比較的現実的な話については、やはり足元をきちんとやるのが重要だと思っています。2012年までが一つの勝負だろうと思います。そこである程度のことができれば、もちろん中期もはっきりしてくるでしょうし。

(問) 京都議定書における家庭部門の排出の問題ですが、環境省として国民運動をやっていることについて、先日の環境省の懇談会でも一部の識者から批判が出て、やはり効果がないのではないかということが言われていますが、国民運動自体の効果を含めて、家庭部門の排出削減をどのようにお考えになりますか。

(答) 例えば、省エネ家電への買い換え促進なども含めて、蛍光灯にしてもらうとか、いろいろなことがあるのだと思いますが、具体的に国民の皆さんがそういう行動をとろうというところまではいっていないと思います。北極の氷が溶けて心配だとか、秋になっても真夏日があるとか、漠然とした不安はあるけれども、それが具体的な行動になるというところまでは至っていないのだろうと思います。具体的な提案として、一つは「私のチャレンジ宣言」のようなことで環境を意識していただくことも必要でしょうし、私は、経済とのバランス、経済界からも協力してもらわないといけないということもありますので、例えば省エネ家電、省エネ自動車などを積極的に利用していただく理解をもっと進めたいと思っています。先ほどお話したように、環境省の事業の中には結構いいタマはあるのですが、タマが小さいんです。ですから、それに少し予算をつけてやれば、それなりの効果が上がってくると思います。私がイメージしているのは、やはり省エネ家電の買い換え促進ですね。

(問)それは先程おっしゃっていたストック型社会と反しませんか。

(答) 大きな負荷があるようなものよりも、小さな負荷があるものに買い換えていただき、それを大事に使っていくということです。この20年、30年の家電のイノベーションは目を見張るようなものがありますから。30年か40年程、扇風機を使っていらした高齢の方で、その扇風機で火事が出たという話がありました。今までそれは大事に物を使うということで美徳とされていましたが、今は家電製品は古いものはできるだけ省エネ的なものに買い換えていただいた方が、最終的には全体的な環境負荷が少なくなります。更に20年後になって、もっと負荷の低いものが出てくるかもしれませんが、少なくとも30年前のものを大事に使っていただいているのは本当に美徳なのかということは、随分また違った価値観になってきているのだろうと思っています。家庭の部分、生活の部分でもいろいろと工夫をしていただきたい。そうしたことを批判をあえて覚悟しながら言っていきたいと思っています。

(問)先ほどおっしゃったキャップ・アンド・トレードのすそ野を広げるというのは、今、環境省がやっている自主参加型排出量取引のことですね。

(答)そうです。それをより幅広に、皆さんが参加しないと肩身が狭いというような感覚を受けるようなやり方はないだろうかということを今検討しております。

(問) 1円以上の領収書の公開についてですが、前回就任時には全て公開することに賛成だとおっしゃっていましたが、昨日の会見では、全て公開するのは政治活動を阻害する場合もあるので考えないといけないというようなことをおっしゃっており、少し主張が変化したように思うのですが。

(答) それは与党でのいろいろ議論があり、1円まで公開するということについては、みんな合意はしていますが、公開の仕方について第三者機関等で吟味する必要があるのではないかという話を私は申し上げたわけです。後退しているわけではありません。私自身は公開することに委ねることはするけれども、それを誰でも見れるかどうかということについては、これはいろいろな議論がありますよという話です。善意の人たちが見る時はいいですが、場合によると政治活動というのは相対する勢力というのもありますから。それは今の与党と野党とかということではありません。過去のいろいろな歴史の中で、いろいろな権力が登場したり消えていったりしているわけで、そういうところが変に悪用されないようなメカニズムを作っておかないといけないということを言っているのであって、政治活動の資金を透明化するということについて後退したということではありません。日本は民主主義を原則としているのであり得ないのでしょうが、何らかの形で悪用する人も出てくるかもしれませんから、それについては我々は、今、民主主義で非常に情報化の時代ですから、努々そういうことはないでしょうけれども、変な形でいろいろな権力が政治全体を支配するようなことになったら困るなということも少しよぎるものですから、そういうことを申し上げただけです。

(問)権力というのは司法権とか、そういう意味も含めてでしょうか。

(答) そういうこともあるかもしれませんし、一部のいろいろな勢力というのもあるかもしれませんし。そういうことはないでしょうが、わざわざそうした人たちが利用しやすいような制度はよくないので、やはりワンクッション、ツークッション置いて、でも国民の皆さんにはきちんとオープンにしておくという仕組みを作るために衆議院、参議院の院があるわけですから。

(問) 昨日の閣議で総務省が、領収書の紛失を理由に提出しないことは政治資金規正法では認められないという答弁書を決定しているのですが、大臣は紛失されたことがあったと思いますが、これについてはいかがでしょうか。

(答) 私の場合は紛失という手続をしました。あの当時は合理的な話としてです。領収書はありませんでしたが、振込の控えはあったということは報告申し上げました。私個人のは調べて結果的には紛失ではありませんでした。総務省の答弁書については、紛失というのはもう事実上ないということになるわけです。ですから紛失という手続を今度は何らかの形で改正しないと、紛失というものはないということですから、全て再発行しろということでしょう。ですから総務省の方針が変わったのでしょうね。

(問)それについて大臣としての対応を変えられる御予定はありますか。

(答)もう紛失しないようにしっかりと管理します。

(問)過去に紛失したものに関しては、それはもう手続は済んでいらっしゃるのでしょうか。

(答) 手続は済んでいます。それは紛失という手続の仕方があったわけですから。ですがそれは不透明だというので私自身がそれを調べた結果、全く金額が全部揃って、銀行振込の控えがありましたので。それはその当時の担当者が領収書と振込の手続、電子振込通知書というのでしょうか、それが同義のものだという解釈ではなかったようです。もしそうだとすれば、今私が振り込んだ先に再発行してもらい、その領収書を整えればそれで済む話ですが、もう既に総務省には紛失ということで受理してもらっているわけですから、それはその時々では合法的だったわけですし、それで受理して受け取ってくれているわけですから、それを変更するという話というのは、多分これから先は紛失は認めないという認識なのだろうと思います。ですから、これからはもう紛失という手続はないということです。

(問) 水俣病についてですが、認定基準を変えたら混乱を招くおそれがあるとおっしゃいましたが、現に認定基準を変えないことで今もう混乱が生じているわけです。その混乱を生じるおそれがあるということは、更に基準を変えれば、今以上の混乱が生じるというお考えなのか、どちらの混乱を選択したということなのでしょうか。

(答) 基本的には医学的な判断に則って判断基準というのはでき上がっていると思っていますので、それを今の段階で変えるということは、過去の基準に則って保障なり医療なりを受けてきた人たちにとって大混乱になるということです。例えば、四肢末端のしびれといったものをどのように読むかとか、客観的な事実をどのように見るかということについてのその判断を変えるということについては、これから先の人にとってはいい場合もあるかもしれませんが、過去に今の基準によって保障なり医療なりを受けて来られた方にとってみると、それは随分違った認識になるのだろうと思っていますので、基準は一つです。それができるだけ幅広に、基準よりも軽い人も救済するのかとか、基準に完全に準拠するのかというようなことについては、その時々の政治的な判断あるいは全体的な困っている方々の状況を見て考えるべきだろうと思いますが、基準は一つだと私は思っています。

(問)そうすると、今後、基準の運用の仕方も弾力の幅があってもおかしくないということなのでしょうか。

(答)ですから、基準よりも軽い人をどのように救済するかなどについては、いろいろな判断はその時々、その時代時代であって然るべきだと思います。

(問)では今、正に与党PTがやっていることも、その一つの考え方であるということでしょうか。

(答)そう思います。

(以上)

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