本文へジャンプ
ここから本文
環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年8月27日)


1.発言要旨

 今日の閣議の御報告をいたします。
 閣議では、外国に出張をしました各大臣等から、それぞれ状況の結果報告がございました。私からは、後ほど話しますけれども、中国の訪問結果を御報告いたしました。その後、それぞれ辞表を書き、提出いたしました。総理からは11カ月、本当によく努力をして、国務にあたったことへの感謝の言葉があり、同時に、これからも安倍内閣を支えて、今後とも新しい国づくりに理解を示し、協力してもらいたいという趣旨のお話があり、それで閣議は終了をいたしました。
 私が報告いたしました中国への出張の結果でございますが、既に皆さん御承知のとおり、8月21日から25日までの間、中国を訪問してまいりました。総理からは温家宝総理あての親書を預かってまいりました。その親書は初日、21日ですけれども、周国家環境保護総局長にお渡しをいたしまして、温家宝総理にお届けしていただきたいというふうにいたしました。それを受けて温家宝総理から、ちょうど温家宝総理は新疆ウイグル自治区に出ておられましたけれども、お戻りになりまして、温家宝総理と会見をいたしました。総理から親書に対する御回答があり、また、私との間で地球温暖化問題、更に農業、林業をめぐっての意見交換をいたしました。なお、訪問中、周局長とはかなり環境問題で懸案の事項についてお話をいたしました。その辺のやりとりは資料としてお配りしてあるとおりでございます。
 その他、国家発展改革委員会の解副主任、国家発展改革委員会がエネルギー、環境問題、地球温暖化対策を担当いたしており、この解副主任とお会いいたしました。解副主任とは、実はポツダムでの環境大臣会合で既にお会いをし、意見交換をしておりましたので、更にそれを発展させる形で意見交換を行いました。その後、国家質量監督検験検疫総局の李局長とお会いしました。トキについてのお礼を申し上げながら、農林水産省関係でありますけれども、コメの輸出、上海と青島で第1回目が行われたわけでありますが、非常に成功裏に終わったこともあり、引き続き、第2回をなるべく早い機会に認めてもらいたいといったような趣旨のやりとりをしたところでございます。また、農業部の牛副部長および国家林業局の雷副局長ともお会いをいたしました。気候変動問題、農林水産物の輸出促進など、環境と農林水産問題に関する課題について意見交換をしました。これらの会談の結果を踏まえて、中国との協力を更に発展させていきたい、このように考えている旨、本日の閣議で御報告をしたところでございます。
 私からは以上でありますが、振り返ってみて、環境大臣としては、御承知のように環境立国戦略に省を挙げて取り組んで、6月1日に閣議決定をすることができました。環境新時代において、新しい環境政策を組み立てていくという方向性を出すことができたということは、私としても非常にいい仕事ができたというふうに思っております。さらに、その中にもございますけれども、ドイツのハイリゲンダムサミットに向けて、安倍総理が「美しい星50」、いわゆる長期目標として、2050年にはCO2の排出を半減するという長期の目標の下に3つの原則を世界に示し、途上国も含めて地球全体で温暖化問題に取り組むという提言を発することができたわけでございますが、そのような大きな転換期にあたりまして、お役に立てたことは私としても微力を尽くした甲斐があったというふうに思っております。
 なお、予期せざることでありましたけれども、農林水産大臣の臨時代理あるいは兼務ということになりました。農林水産大臣の臨時代理は、結局、全体で8回いたしました。日数を再度数えてみましたら39日間でございました。8月1日からは農林水産大臣を兼務するという形になりまして、これが27日間でございます。振り返ってみると結構長い期間、66日間ですか、農林水産大臣の責任を負ったということでございます。懸案の多い農林水産行政でございますけれども、言わばリリーフピッチャーとしての役割を、果たし得たのではないかと考えております。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)改めて、今回、安倍首相が内閣を改造したということについて、感想をお願いします。

(答) あのような選挙結果を受けてでございますから、総理が言われるように、人心一新を図って、国民の理解を求めて、更なるこれからの国家の運営に資していきたいということでございますので、それはもっともと思っております。

(問) これからも懸案が多い時期に、途中で中休みという形になるかとは思うのですけれども、その辺は非常に残念な思いとか、あるいは次に引継として強調されることとかがあればお聞きしたいのですが。

(答) 環境行政について言いますと、先ほど申し上げましたように、新しい時代をどのように展開していくかという問題意識で環境立国という方向に沿って戦略を組み立てることができたということでありますから、これはけじめがついていると私は思っておりまして、そのような戦略に沿ってこれから具体的な行政展開を図っていくという意味では、いい区切りではないかというふうに思いますし、地球温暖化への対応につきましても、総理が「美しい星50」という提言を発信いたしました。世界のそれぞれの主要な国々や途上国の皆さん方からも理解をいただいております。そういう意味では、来年の洞爺湖サミット議長国として日本が責任を負うわけですけれども、そのような枠組みの提案が為されたということも大きな意義があることだと思います。提言の方向に沿って、世界の主要な国々との合意をこれから形成していくということになるわけでして、これも方向付けができていると私は理解しております。
 農林水産行政は、まさにリリーフピッチャーでありますから、諸懸案はございますね。一番大きな問題は、やはりWTOの交渉が大詰めになって、なかなか打開できない状況になっております。これは長い間かかってきた懸案の大詰めでございますから、どのような展開をしていくかは、それぞれの国の主張というものをしっかり捉えた上で、我が国の国益に沿った決着を図っていくということだろうと思います。
 環境行政の立場で農林水産業というのは、やはり地球環境が平穏に展開しているということを前提に組み立てられている産業でありますので、地球環境に異変が起きつつあるということでありますから、これに農林水産業がどう対応していったらいいのかということで、その面では同じ土俵の上で農林水産省の幹部の皆さん方といろいろ協議ができたということは、有意義だったというふうに思っております。

(問)日本の温暖化対策は、今後、どのように進むべきだとお考えでしょうか。

(答) あの提言の中に書かれてありますからね。安倍総理の日本の提案というものに対する、それぞれの国々に対する理解を求めていくと。私は今度、温家宝総理ともお話をいたしましたけれども、温家宝総理も日本の「美しい星50」の提言は高く評価をしておられましたし、総理御自身がマレーシア、インドネシア、そしてインドにも出かけて行って、首脳同士の話をしておられ、理解が深まったと評価をするということになっています。外務大臣もメキシコに出かけて、温暖化問題も協議をして、一緒になって協力してやろうという合意を取り付けていますから、そういうことを更に深めていくということだと思います。

(問)国内対策はいかがですか、6%減らす約束で、約8%増えていますが。

(答) これは京都議定書の目標達成計画を見直しているところですね。見直しの中で、今の仕組みの中で行く限り、マイナス6%を達成するには、若干苦しいという状況になっているわけですから、この見直しに当たって、従来、自主行動計画で決めておりました範囲をさらに広げるなど、国民の理解と協力が得られるような運動をさらに強化して展開していくというような、追加的な措置が必要になると思います。これは、年内に方針を固めて、年度内には京都議定書目標達成計画の改訂版を作るということになると思います。
 気がかりといえば、東京の大気汚染については、関係者の努力と、そして総理の決断で和解にこぎ着けることができたということは、関係者の今までの長い間のご苦労を思えば、いい結果だったというふうに思うのですけれども、水俣については、今なお、調査をした状況というものを、与党PTが預かっているわけで、その中からどのような対策が講じられるのか、そのことについて関係者の理解・納得が得られるのかどうか、そういう問題が全体として先送りになっているということは、これはやむを得ないことだと思いますけれども、今後の環境行政の大きな課題になると思います。

(問)その点で関連して、次の大臣に引継ぎをなされるときに、特にどのような点を次の大臣には託すというか、お願いされたいと思っておられますか。

(答) やはり先ほど来申し上げましたように、地球環境の問題というのは、新時代に入っていくわけでございますから、そのような人類の危機とも言うべき、地球環境、気候変動の対策というものは、世界を挙げてこれに取り組むべきところ、ちょうど日本が議長国としての責任を果たすべき立場にありますから、世界の各種の主張をよく取り入れた中で、同じテーブルの上に乗って、安倍三原則が達成できるような状況を作っていくと。そのためには、先ほどちょっとお話がございましたけれども、国内対策としての京都議定書の目標達成は、これは間違いなく達成するということがなければ、世界に対する責任ある提言ができないわけでありますので、それはセットでしっかりと取り組んでいただきたいというお願いでございます。
 それから、先ほど申し上げませんでしたけれども、やはり温暖化との関係が深く、また環境立国戦略の中にもそのことについて申し上げておりますけれども、生物多様性の問題への対応ですが、生物の多様性に関する条約第10回締約国会議、COP10を、日本が主催をして開く申し出を国際的にしているわけで、これは是非、日本で開催できるようにしていただきたいということでございます。
 さらに言えば、今、残っております水俣の問題は、与党とよく相談をしていただいて、関係者がその与党で取りまとめた提案で納得していただけるような、そういう着地が図られるように、与党との関係を緊密にとりながら対処していただきたいと思います。

(問) 先ほど農水大臣として、リリーフピッチャーとしての役割は果たしたというふうにおっしゃっていましたけれども、11カ月の在任中に2カ月もの兼任をするというのは、そうそうない話なので、政策的な、仕事的な面というよりは、心情として、こうした異例な兼任をずっとやってこられたことに対して、どういうふうなご感想があるか、お聞かせください。

(答) 2カ月余にわたっての農林水産大臣の責任を担ったわけですけれども、その半分は、松岡大臣やあるいは赤城大臣の海外出張の出張期間中の臨時代理でして、これは特段、懸案の政策課題がそこで出てきていたということではありませんから、2カ月というのはちょっとオーバーなんですけれども、兼任の発令を受けての1カ月というものは、なかなか重いものがあったと思います。それはちょうど来年度の概算要求の時期でもあるわけで、この間の選挙結果を受けて、地方の反乱とか、農政に対する地域の不満・批判が非常に強かったという選挙の結果を受けてどうするかということ、概算要求の面でどういうふうにしていくのか、これからの農業政策の展開をどうしていったらいいのかということと重なっておりましたから、なかなかきつい仕事だったと私は思います。兼務で処理するには、大変荷が重かったと思います。
 ただ私は、昔とった杵柄でありますけれども、25年間にわたって農林行政の中で勉強をさせていただいたわけでありますし、政治の道に入ってからも、かなり農林水産政策には関わっておりましたから、そういう意味では、現役の幹部の皆さん方と、忌憚のない、率直な議論ができたと思っております。これから与党の関係の議員の理解が得られるように説明を十分すると同時に、野党も含めて、いろんな意見が出ていることについては、率直に、意見は意見として受け止めて今まで進めてきました政策との間のすり合わせというのをきちっとやっていく必要があると私は思います。そんなことを幹部には日頃申し上げていたところでございます。

(問) 大臣が中国に出張されている間に、農水省の概算要求のあらかたの説明がされ、農政改革の方向について説明がされたということなのですが、今おっしゃられたように参議院選挙での結果、地域の方々が農政に対して期待ということをどういうふうに反映をされているのでしょうか。

(答) それは主としてまずは品目横断対策ですね。品目横断対策の骨格、方向性は間違っていないというふうに幹部の皆さんには申し上げてあるのですが、ただいろいろ誤解もあります。説明が十分でなかったこともありますと同時に、野菜とか果物とか畜産とか花とか、農業生産というのは多様なわけで、コメとか大豆とか麦とかという品目横断の対象作物以外の作物を主として栽培しているような人たちが、併せてコメや麦も栽培しているという複合的な経営のものについては、コメの生産ということも麦の生産ということも複合経営の中に入っているわけですから、こういう人たちが集団的な組織の中で取り組んでいけるんだということ、取り組みやすいような対応が必要になってくるというふうに考えています、そのようなことを指示しましたし。
 それから水・土地、いわゆる地域対策ですね。担い手対策と、一方で車の両輪であります農村地域の地域対策ということについては、従来の単なる土地改良という意味ではなくて、幅の広い生活環境も含めた地域対策というものを重視して政策を組み立てると。それはすでにそのように農林水産省としては方向付けをしておりますけれども、それがさらにきめ細かく実効が上がるような仕組みを考えていく必要があるというふうに言っております。
 もう一つは森林、「美しい森林づくり」というものを平行して始めておりますけれども、森林の見直しというようなことが必要になってくると。このことについては従来から間伐の推進ということをやってきておりますけれども、地球温暖化との関係の中で森林のCO2吸収源としてこれが3.8パーセント確保しないといけないわけで。この3.8パーセントの確保については従来の間伐対策の枠をさらに広げて、かなりの民有林における樹齢の高いものですね。これはやろうと思えば経済的にもやり得るのですけれども、これらの森林所有者とこれを整備をしていく人たちを上手く結びつけて、これらも森林吸収源対策としての実の挙がる森林整備を付け加えていく必要があるというようなことを指示したところでございました。

(問)今度の概算要求の中に、大臣が指示されたものは具体的にどのように表われているんでしょうか。

(答) 数字の面では今申し上げませんが、今すぐ数字が出てくるわけじゃないんですけども、今度の概算要求の、6千億の配分として、5項目の重点配分要求の中に、地域活性化と環境立国戦略枠というのがあるんですね。そういう意味では、両枠を中心に目いっぱい要求をするという意味で、農林水産予算については、今申し上げたようなことを、地球環境との関係あるいは地域活性化という意味で、車の両輪としての地域対策というものは十分盛り込んで、要求をしていると思います。
 問題は、最後の暮れの着地までの間に、プライオリティをつけながら、どういうふうに決着つけるかで、要求は、今言ったようなことでかなりいい要求をすることができたというふうに考えておりますけれども。

(問)国民も、若しくは地方の方々も、納得するような要求になっているということですか。

(答) まあ、これは説明しなければならないですよね。農林水産予算というのは、大変でね。私自身もしばらく振りで、詳細を見てみて、いろいろなネーミングがいっぱいありましてね。こちら側とこちら側とどういう関係があるのか。この予算とこの予算がどんな関係がお互いあるのかということが、積算基礎まで下りていかないとその違いが分からないような、そういう予算ですね。昔からそういう予算になっています。
 それで、昔の名前で出ていたんではなかなか一般受けしないというので、新しく衣替えしたようなものもありますから、そういう名前だけ変えて同じことをやっていくということではなくて、実際名前にふさわしいような政策展開をしなければいけないと思うんですね。それは暮れまでの概算要求を最終的な予算要求に持ち込んでいく過程で、付けるものは付ける、さらに重点をおいていくものはそれを拡充していくといったような過程が必要となってくると思います。
 これは目いっぱい膨らまし粉を入れて膨らまして要求しているというところがありますから、これからの政策論議を通じて、それまでの間に固めていくことになると思いますし、これで臨時国会も開かれるわけですから、そういう臨時国会で与野党ともに大変重大な関心を持っていろいろな意見が出てくると思います。そういう意見をしっかりと受け止めた上で、来年度の予算確定までに、かなり努力をしなければならないと思いますね。

(問) 環境行政と農政行政が奇しくもリンクする問題で、中央卸売市場、築地市場の東京ガス跡地への移転が問題となりまして、確か4月の環境委員会において国会でも取り上げられまして、土対法の規定はございますが、実質、特定有害物質の汚染地区に中央卸売市場が移転させられてしまうという問題について、大臣ご自身は、今後どういうふうにこの問題を解決すべきとお考えになりますか。

(答) 国会で、かなり繰り返し、私はあの時は環境大臣としての立場ですけれども、いやしくも生鮮食料品の取引が行われる場ですから、そのことについて不安・不信があってはならないというふうに思うんですね。
 そこで、東京都は卸売市場の開設者であると同時に、生鮮食料品の流通に責任を負う市場経営者でもあるわけですね。同時に環境の面で言えば土壌汚染についての責任官庁知事でもあるわけですから。その東京都がさらに突っ込んだ、学者の意見なども入れて再調査をやっているわけですね。ですから、そこはそういう調査をしっかりと東京都が責任をもって行い、その調査結果で、関係者に対して、これで安心できるかということについて説明をし、納得をしてもらうということがまず必要になってきているわけで、そのように東京都は努力をしていると理解していますけどね。

(以上)

▲Page Top