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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年6月19日)


1.発言要旨

 閣議に先立って、都市再生本部が開かれました。都市再生本部では、都市再生プロジェクトとして国際金融拠点機能の強化に向けた都市再生の推進、金融シティなどに見られるような金融都市機能というものを強化していくということでした。特段異論なく合意しております。
続いて閣議が開かれました。本日の閣議は、国会提出案件12件、法律2件、政令3件、人事と配布です。質問主意書があり、環境省の主請議で、衆議院議員 村井宗明君提出6月5日の地球温暖化対策推進本部から発注した安倍総理大臣夫妻を使った全国紙への全面広告に関する質問に対する答弁書というものがあり、答弁を決定いたしました。
このことについては、既に衆議院環境委員会で、また本日の参議院環境委員会でもこれに関連しての質疑がございます。また、参議院外交防衛委員会や文教科学委員会でも同じような趣旨の質問がございます。選挙を間近に控えて総理夫妻が広告に出て、広告費は政府の予算の負担を伴うものなので政治的中立を害するのではないかという趣旨のもので、既に何度かやりとりをしているものです。環境省の方の言い分としては、地球温暖化問題は今は世界的な問題ですし、国としても京都議定書の目標達成計画を決定して、これを強力に推進し、目的を達成しなくてはならないということで、その中の手段として国民運動を強力に展開するということが決められており、内閣に地球温暖化対策推進本部を設け、総理が本部長となり、その具体的な運動展開としてチームマイナス6%を編成し、総理がチームリーダー、私がサブリーダーとなって強力に展開しているわけです。陣頭指揮をとって国民に直接訴えることがまさに地球温暖化対策の国内の推進の重要な政策であり、その政策のトップリーダーが家庭の省エネルギーを推進するため、新聞に広告として掲載する際に総理が主役になって出て、家電製品などの購入管理には主婦の役割が大きいということで、総理の御夫人にも特別に出ていただいたということであって、何ら政治的な意図はありませんし、中立を害するとは思わないという趣旨の答弁になっております。

それと、明るい話題で、既に昨日資料の配布があったと思いますが、改めて私から申し上げます。那須御用邸についてですが、これは面積約1,200ヘクタールという広大なもので、そのほとんどは国立公園の中に入っています。そのうち約570ヘクタールについて、豊かな自然を維持しながら、自然観察など国民が自然とふれあえる場としてはどうかという天皇陛下の御意向がかねてございまして、宮内庁と関係省庁とが協議してきました。これを国民の皆さんが親しく有効に利用するということは大変意義のある、喜ばしいことだと考え、皇室財産から公共用財産として、国立公園を管理している環境省に所管換えをして、これからその整備を図っていくものです。本日、ここで皆さんに発表させていただきます。宮内庁も同時に本日閣議後に発表するということです。
那須御用邸は大正15年に設置されたもので、天皇、皇后両陛下を始め、皇族方の御静養の場として利用されているものです。570ヘクタールの所管換えで環境省が国立公園の一部としてこれを管理していくということになります。陛下のそのようなお気持ちをありがたくお受けして、陛下の御趣旨に沿った形で、優れた自然を大切にしながら国民の皆さんが自然とふれあえる場とするということです。植物、動物ともに大変貴重なものがございます。陛下はその前から、大変優れた自然の原状が保存されていることを承知されており、それをきちんと調査してはどうかという御意向があり、平成9年度から13年度までの5か年計画で、那須御用邸の動植物調査を栃木県立博物館が中心になって行っております。この調査では、3,492種の生物種が確認をされ、内訳は動物2,229種、植物が 908種、菌類が355種で、その中には未記載種23種、日本初記録種25種といった非常に珍しい、新しい動植物が発見され、登録されております。
環境省としては、所管換えを受けて、有識者からなる検討会を開催し、貴重な那須の資産を陛下の御意向に沿って活用していくにはどのようにしたらよいか相談にのってもらい、有識者の意見を聞いた上で計画をまとめたいと思います。今年度中に調査し、一部着手して、平成23年には一部供用を開始できるようにしたいと思っております。非常に明るい、ありがたいことであります。私も大役を仰せつかって、非常に責任の重さと同時に大変光栄に思い、喜びを感じているところです。豊かな自然の地域が我が国の国立公園の中でも特に国民に愛され、また親しまれるものとなるように誠心誠意取り組んでまいりたいと考えております。
  私からは以上です。



2.質疑応答

(問)水俣病についてですが、与党PTが今月中に救済策をまとめるというお話だったのですが、もう今月も終わりに近づいており、なかなか難しいという一部報道もあります。取りまとめの時期などについて大臣の御見解をお願いいたします。

(答)与党PTにまとめていただくわけですから、私どもの方は調査の結果の取りまとめを急いでおり、取りまとめはほぼできてきておりますので、PTの方の御都合のいい時、これは国会開会中の方がいいのではないかというかねての意図もあり、PTの方の都合がつけば、今週末にでも報告したいと思っております。その後、どのように取りまとめていかれるかはPTの方の考え方ですので。

(問)那須御用邸についてですが、供用開始は平成23年ということでしょうか。

(答)平成23年に一部供用開始したいと思います。来年度の予算要求もしなくてはなりません。今年度中から一部着手して、3年有余かかります。

(問)その手前に天皇在位20年という節目も来ますが、それも関係するのでしょうか。

(答)よくわかりませんが、宮内庁側はそのことも念頭に置きつつということのようです。

(問)豊かな自然の代表的な種にはどのようなものがあるのでしょうか。

(答:事務方)レッドデータブック掲載種が24種ありまして、代表的なもので言いますとオオタカや、哺乳類ですと、ヤマネなどです。

(問)施設はどういうものを作ることを念頭に置いていらっしゃるのでしょうか。

(答)一度にたくさんの人が入って荒らしてしまってはしょうがありませんから、少なくとも観察のルートを決めて、観察路の整備ということはあります。それと休憩所を作らなくてはなりません。

(問)観察するための歩道ということでしょうか。

(答)そうです。歩道です。

(答:事務方)具体的には先ほど大臣からお話のありました有識者の検討会の中で具体的な整備計画を詰めていくことになると思います。方向としては今大臣がお話されたような方向で考えています。

(問)有識者の検討会はいつから開催するのでしょうか。

(答:事務方)検討会は今年度から開催します。

(答)これだけの規模のものを国民に開放するという形で環境省が責任を負うわけですが、これは大変なことです。ですから、有識者から様々な御意見が出てくると思います。有識者側の御判断ですが、広く国民の皆さんの意向などもお聞きし、どういう形でお聞きするかはこれからの検討ですが、皆さんの御希望もお聞きすることが大事ではないかと思っております。
  また、環境省が自然環境保全調査を継続的に実施するために、モニタリングサイト 1000として地区を決めて長い観察をしています。そのモニタリングサイト1000の一つとして御用邸用地の動植物について、その生息生育環境の長期的なモニタリングを行っていきたいと思っております。長い間、人が入っていない自然林、あるいは自然林に近い地域もあります。

(問)皇室からの所管換えは何年ぶりとなるのでしょうか。

(答)何年ぶりかはわかりませんが、古くは京都御苑も新宿御苑もそうです。

(答:事務方)宮内庁によりますと、大小があるのでしょうが、御用邸用地ということですと、昭和59年に葉山の御用邸用地の所管換えをしたということはあるようです。面積は小さくて、1.8ヘクタールです。今回は570ヘクタールということで大分規模が違います。

(問)一般公開としても昭和59年以来ということでしょうか。

(答:事務方)御用邸用地の例ということで宮内庁から聞いたものですが、葉山は地元の公園として利用されているそうです。

(問)一部供用化は平成23年度からということでしょうか。

(答:事務方)平成23年度を目標にやっていきたいと思っています。

(問)戦略的環境アセスメントに関してですが、熊本県の川辺川ダム計画について先週末に、電源開発から発電目的での参画断念が表明され、治水専門のダムという形になるということで、所管法律も特定多目的ダム法から河川法に変わり、大分大きな計画変更になりますが、そうした事態を受けて戦略的環境アセスメントの観点から、環境省としては環境アセスが必要とお考えなのか、どのようにお考えになるかお伺いします。

(答)まだ国土交通省の方から正式に説明を聞いていません。どのような内容になっているのか国土交通省から聞いてからでないときちんとしたお答えができないのですが、一般的に言えば、既に関連の道路などの整備に一部着手していますので、それをそのまま活用して多目的ダムから防災用の治水ダムだけに目的を変えるということであれば、もう既に着手しているということでもありますので、環境アセスの対象にしないでいくことになるのではないかと思うのですが、きちんと聞いてみないとわかりません。

(問)国土交通省から正式に照会があれば、環境省として正式に考え方を伝えることになるのでしょうか。

(答)国土交通省に聞かれれば答えます。

(問)では、今のは大臣の個人的な考え方としてということでしょうか。

(答)この新聞報道を見る限りです。目的は電源開発を含む多目的から治水目的だけに変わるのですが、実際にダムがあり、そのための工事に一部着手しているのであれば、そのことによって環境全体に更にマイナスの影響を及ぼすと予想されるわけでもありません。工事には既に一部着手しているということを考えれば、そのために改めてアセスをしなくてはならないということはないのではないかと私は思っています。


(以上)

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