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大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年5月8日)


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、条約公布1件、法律公布6件、人事です。環境省の主請議、共同請議ともにありません。
 本日は各大臣から連休中の海外出張の報告が10件ありました。非常に集中的に、かなり強行軍の列国訪問をそれぞれの大臣が行っておりました。私もインドネシア及びシンガポールに出張してきましたのでその報告をいたしました。
 私は、5月3日から6日までインドネシアとシンガポールを訪問し、両国の環境大臣と会談を行ったこと、インドネシアでは、今年12月に開催される気候変動枠組条約のCOP13の議長となるウィトラー環境大臣に対して、先進国のみならず途上国にとっても、温室効果ガスの削減は喫緊の課題であることを訴え、地球温暖化対策の将来の枠組みのあり方について、主要排出国がその能力に応じた最大限の排出削減努力を促す実効ある枠組みの構築の必要性をめぐって意見交換を行ったこと、シンガポールでは、イブラヒム環境・水資源大臣と地球温暖化問題に加え、持続可能な交通や、我が国が推進している3Rイニシアティブなどについての意見交換、視察を行ったこと、これらの分野のアジア展開について、日本とシンガポールが連帯して取り組んでいくことで合意したことを報告いたしました。
 私からは以上です。


2.質疑応答

(問) タイ・バンコクで開催されていましたIPCC第4次評価報告書第3作業部会で今後の温暖化対策の目標や選択肢を示した報告書が採択されましたが、これについての御所感をお願いいたします。

(答) IPCCが気候変動の予測、そしてその影響という第1、第2作業部会を踏まえて、第3作業部会でその対策について計数的な分析を含めて報告書をとりまとめ、発表したことについては、私は大きな意義があると評価しています。この報告は各種の要素について分析した結果を示しており、これはオプションを示したのだと思います。それをどのように評価して政策決定に至るかは、まさに各国の政治に委ねられたと思います。いよいよこれから、政治がオプションをどのように組み合わせた上で対策を講じていくか本格的な検討に入る準備が整ってきたと受け止めています。
 なお、IPCCとしては、それぞれ縦で整理してきたものを、横で繋ぎ合わせて総括的な報告を11月に出すということになっています。11月にどのようなまとめ方をするか注目されるところですが、IPCCは極力、各国利害からくる政策の決定に踏み込まず、政策決定をするに当たって客観的な調査・報告を基礎にして要素を提示する、各国の科学者が論議を通じて合意した線でそれを提示したということに意味があるわけです。そうしたオプションをどのように受け止めるかは、これからのG8サミット、あるいはその流れをくむG20、直接的には今年12月にインドネシアで行われるCOP13、そして来年、我が国で行われるG8サミット、その前段としての環境大臣会合などに場面が移っていくと理解をしています。

(問) 京都で開催されたアジア開発銀行の年次総会で、日本が環境問題への対策のため新たに2つの基金を創設すると表明しましたが、これについての大臣の御所見をお願いいたします。

(答)これは大変優れた見識だと思います。これは、アジアの持続的成長のための日本のイニシアティブという課題において、尾身財務大臣が発表されました。アジア太平洋地域が直面している3つの新たな課題を整理した上で、「気候変動への対応」をその中の一つに掲げています。アジアの開発途上国とADBによる取組を支援するために、このイニシアティブを発表されたということで、私も全面的に賛成をしています。今後ともADBなどの国際援助機関とも連携しながら、アジア太平洋地域において気候変動問題の対応が進んでいくように、我が国のイニシアティブを発揮していくことが重要だと考えています。

(問)カナダが京都議定書削減目標の達成を断念ということなのですが、日本政府の対応は変わらないのかということも含めて御所見をお伺いします。

(答) かねてカナダ政府側は京都議定書の削減目標の達成は難しいということは言っていましたが、公式に発表されたことは誠に遺憾であると思っています。来年から始まる第1約束期間中において各国とも厳しい中で努力するわけですから、その前に無理と発表したことは大変遺憾だと思っています。

(問)昨日、安倍総理が、参議院選挙で環境問題を争点にするべきではないかということで指示したらしいのですが、これについてはいかがでしょうか。

(答) そういう形では聞いておりません。しかし、かねて日本の経済政策、社会政策の上で環境問題が大変重要な課題であるということは総理が施政方針演説で述べられたとおりで、国内外にわたって環境問題にどう取り組むかということは人類の課題、国民の課題だと言っておられ、環境立国戦略の策定を指示されております。我々としては当然、政策の重要な項目として認識しておりますので、政策を問うという意味で、参議院選挙が行われる際に大きな柱になるという認識は持っています。

(問)環境問題というと広いですが、特にどういうところが政党で意見の分かれる点となるか、公約として競わせるような話題になると思われますか。

(答) それがあまりはっきりしないですね。環境重視の経済運営や環境重視の国民課題、例えば3Rにしても、生物多様性条約を含む自然との共生にしても、それぞれ非常に大事な課題であり、今までの国会での論議、論戦で言えば、そこ自身に対立軸があるとは思いませんが、理想的に言えば、私が以前から申し上げていますが、温暖化をストップするということについては世界的にも国内的にも共通の認識を持っていると思います。では、いつピークを打って、いつからその後は相対的に減少に入るのか、これは財政におけるプライマリーバランスと同じですが、その時期をいつに設定するかによって実は温度の上昇のマキシマムが決まってくるわけです。そういう意味でそれをいつに設定するかということは大きな課題だと思います。中長期的に見れば、排出量を半減しなくてはいけないと言っていますが、中長期的に見て半減していく目標をどこに設定するかということを明らかにしていません。総理がドイツでのG8サミットを前にして、我々に環境立国戦略の策定を指示している中には、つらいけれども実現していくという我が国の方向性について、まずは、世界全体でどうするかということについての我が国の基本姿勢をその前に示そうというつもりでおられるのだと私は思います。
 結果的に野党が、もっと早く前倒ししてやればいいのではないかというような意見を言う可能性はあります。しかし前倒ししてやりますと、それだけ経済なり、あるいは国民生活への負担は非常に重くなるわけです。経済成長を安定的に成長の軌道に乗せながら削減していく時期の決定というものは、場合によっては対立軸になってくる可能性はあると思います。我々はまず国民にわかりやすく説明する責任があると思います。

(問) 安倍総理が靖国神社へ内閣総理大臣名で真榊料を出していたと報道されていますが、これについて閣僚の間で何か話があったのでしょうか。また、大臣御自身はどのように思われますか。

(答)閣僚との間では全く何の話もありません。私自身にどうかと問われましても、これは総理御自身のお考えによったことでしょうし、新聞で報道されるまで全く知らなかったことですので、特段の意見は持ち合わせておりません。

(以上)

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