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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年4月20日)


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、一般案件1件、国会提出案件15件、法律の公布案件が2件、そのうち1件は温泉法の一部を改正する法律です。あと政令が2件、人事案件です。環境省の主請議、共同請議ともありません。
  閣議終了後、地球環境問題についての4大臣会合の検討の経過を、総理に報告致しました。次回は連休明けに4大臣会合をやろうということになっております。なお、この会合についてのご説明などは、申合せで官房長官が一元的にやるということになっており、それぞれの大臣はこれについてコメントしないということになっておりますので、ご了解をいただきたいと思います。
  私からは以上です。


2.質疑応答

(問)国連の安保理で公開協議が行われたことについての評価をお聞かせ下さい。

(答)国連の安全保障理事会が、安全保障の問題として気候変動問題を採り上げたということは、大変画期的なことだと思います。これを採り上げるに当たってはいろいろな経過があったようですが、安保理で結論を出すということではなく、それぞれの国からこれに関する意見を出してもらって協議をすることに留めるということになっております。五十数カ国から意見開示があったと聞いております。
我が国からは大島大使が意見を申し述べております。地球温暖化への対処は喫緊の課題であり、このことにしっかりと世界全体で対応をして、温暖化へのストップをかけないと大変な事態になるということを申し述べた上で、ポスト京都議定書について真剣に取り組んでいかなければならないという認識の下に、我が国はこの取りまとめについて貢献をする決意だということを述べております。どのような形で安全保障に関わるかということについては、食糧資源や、エネルギー資源、さらに干ばつ、海面上昇といったことをめぐって地域的な紛争のおそれがある、ということが採り上げた一つの大きな理由だと理解をしております。その意味で、限りある資源をめぐって、それぞれの国が影響を受け、その影響を回避するために行動することが地域的な国際紛争につながるおそれがあるという認識で採り上げたものであると理解をしております。

(問)昨日、東京大気汚染訴訟の原告の皆さんが安倍総理とお会いして要望をされて、安倍総理も誠実に対応していくという旨のご発言をされているのですが、これについての見通しや評価をお聞かせ下さい。

(答)承知している限り、総理が直接お会いして話を聞いたということではないんです。秘書官が要望書を受け取ったということですが、総理はその後のプレスとの話の中で、解決点を探っていくという視点で、大変長い間苦しんでこられたという認識を示した上で、秘書官が受け取った要望書については自分も誠意を持って対応しなければならないと思っているとお答えになったと聞いております。

(問)原告側はあくまで国の負担というものを求めていくという立場なわけですが、環境省としての立場は変わっていないということでしょうか。

(答)私も要望書を拝見致しました。要望書の焦点は、東京都が提案をした、ぜん息患者についての自己負担分を、東京都は負担する用意があり、国も同等の負担をしてもらうということで、これに対する参加を東京都が求めたわけです。これについて原告団の方は、国もこれに参加することを決断してもらいたいという要望が中心になっていると理解しております。
  このことについては、かねて申し上げておりますように、直接の因果関係がないと思われる人達も含んで、全般的にぜん息医療について国も負担をするということは大変困難であるという認識は変わっておりません。慎重に対処しなければならないと思います。それと同時に和解で解決を図りたいという趣旨は、総理からかねて原告の方々の意見をよく聞きながら検討する意向が示されておりますので、今、和解協議を詰めているところです。その和解協議に当たっても一つの焦点であることは間違いないと思いますが、今、大詰めに来ているという認識をしておりますので、具体的な解決策について、誠意を持って対応したいと思います。国として何ができるかということを詰めていきますと、皆さんご承知のように、NOx・PM法の改正手続が進んでおります。この国会で成立をさせてもらって、沿道周辺部の汚染に効果的に対策を実施するということを、これも原告団が言ってきたことですから、明確にするとともに、私もこの間国会で、さらにPM2.5の健康影響評価のための検討の場を設けたいと答弁しているのですが、これも今までより一歩踏み出した考え方であり、そういったことを原告団にも説明をして、公害対策として、原告団が主張をしてきたことについても誠意を持って対処するという姿勢の一つと評価をいただきたく説明をしていくということだと思います。
  同時に、今までも続けてきていますが、健康相談を行っておりますけれども、具体的に被害を感じておられる人達など、沿道の人達を中心に、健康相談などのニーズがいろいろ出てきていることも承知しておりますので、そういうものをどこまで拡充できるか、幅広く検討していきたいという姿勢で話合いを詰めているところです。

(問)因果関係というお話がありましたけれども、因果関係が伴えば、当然何らかの賠償という話が出てくるのでしょうが、そうではない形で、原告側の意を汲み取ってなおかつ負担をしないでできることは何かお考えですか。

(答)因果関係が不明確ですから、医療を直接補填するということは難しいのですが、健康相談は幅が広い分野ですから、健康相談の幅の中で対応できるものがあれば、ある種の負担を伴うものであっても検討し得ると私は思うのですが、そういう問題で決着が図れるかどうかまだわかりませんし、具体的に話をして、前進していかなければならないと思っています。

(問)ポスト京都に絡んで、火曜日に御手洗経団連会長がエネルギー効率でポスト京都を進めてほしいという要望を首相に出したんですけれども、それに対する大臣のお考えをお伺いしたいんですが。

(答)一昨日ですが、私のところにも経団連の環境問題の委員長が来られました。総理に出されたものと同じ意見書を持ってこられて、経団連のかねての主張と変わらないですけれども、趣旨は伺いました。
  どういう意見かというのは皆さんもご承知だと思います。やはりアメリカ、中国が入った形でポスト京都議定書をやらなければ実効が上がらないということを言っていて、それは全く同じ考え方なんですね。そこで、一番断定的に言われているのに同意ができないのは、キャップ・アンド・トレードは絶対反対だと言っているんです。いろいろな理由を挙げておられるのですが、これも従来からの経団連側の言い分なんです。
  私の方は、キャップ・アンド・トレードをやると言っているわけではありません。しかし、ご承知のようにヨーロッパではもう実施に踏み切って、ヨーロッパ地域内ではこれを実行してきているわけです。アメリカも、州によってモデルを作って、州単位でもやるというような動きがかなり広まってきています。ですから、今ここでそれは反対だと言って、じゃあどういうことをやれば効果的なのかということを提案するような準備ができているわけでもありませんから。
来週、環境省と経済産業省と、それから経団連の幹部、実務者レベルで、EUと英国に調査団を出そうということを考えておりまして、そのことは、既に経団連側にも伝えてあります。実際、EUで、第一フェーズで実施をしたことをめぐって、いろいろな問題が指摘されておりますし、第二フェーズに入っていくわけですから、どういう考え方でキャップ・アンド・トレードを導入したのか、導入をした際に課題になったことは何なのか、そしてその課題は実施してみてどんな問題があったのか。さらに、第二フェーズに入っていくに当たって、検討の結果、そういう問題をどのように改善をしてやろうとしているのか、そういう話について率直に意見交換をしていきたいという趣旨です。これは、この間ドイツで行われたG8プラス5の会合のときに、私からEUの地球温暖化担当の責任者、それから英国のミリバンド環境大臣に申入れをして、EUも英国も大歓迎だと、しっかり協力していこうということになっており、私に入ってきた非公式の評価としては、経済産業省、さらに経団連も含めて、一緒に来てもらえるなら歓迎するということで来ていますから、その協議の結果について、関係者間でまた問題点の詰めをしたいと思っておりますが。
今の時点で、私はキャップ・アンド・トレードをやるというように踏み切るような状況にはないんですね。今、そういうことを決める状況にはないと思いますが、しかしこれはだめだということを決め付けることもないと思います。問題は、ポスト京都議定書の実効的な成果を挙げるためには、どのような手段が効果的なのかということについて、まさにポスト京都議定書の中心課題でもありますから、時間がかかると思いますね。

(問)産業界は、オイルショック以降の効率改善努力が反映されない、不平等だというような主張をされるんですけれども、ポスト京都のキャップ・アンド・トレードなりの枠組みで、効率という指標が入る余地はおありだと思いますか。

(答)その前提として、キャップを決めるかどうかというのはあるんですよ。そしてその国別のキャップを今度は産業セクター別に振り分けていって、事業所別にキャップが決まらないことには、トレードするための量が出てきません。そういうマーケットが出てこないと価格が決められないということになりますから、そこに行く前の段階でもう少し詰めた議論をしなければいけないし、ご承知のように、今度2013年以降の新しい枠組みというのは、何としても中国やインドに乗ってもらわなければいけないわけですね。アメリカはかなり状況が変化してきております。アメリカももちろんこれに乗ってもらわなければ、中国やインドも乗ってきませんからね。アメリカを何としても納得をして乗ってもらうということと、そのことを前提にして、中国とインドにどういう形で次期枠組みに参加してもらうかということを決めて、それが決まってきたときに、その条件としてキャップをどうするのかといったような話が出てくるわけで、それが決まらなければ先に行かないわけですね。アメリカの産業界がかなり積極的な動きを示してきているということがあって、経団連はアメリカのそういう動きを警戒しながら意見を出したんじゃないかと私は思うのですが、アメリカはまだ政府としてそれを採り上げるということになっているわけではありませんで、上院、下院ともどもキャップ・アンド・トレードを前提にした法案が出ているというわけですね。まだそんな段階で、政府側の考え方というのは全く示されていませんしね。私どもは、今の段階でそれを採り上げて結論を出すような状況になっているわけではないという認識です。

(問)将来、EU-ETSとアメリカの今起こりつつある排出権取引制度が接続した場合、日本として、やっぱり出遅れるのではないかという危機感はございますか。

(答)突然、そんなふうになるわけじゃないですからね。だから、そういう動きを私の方はウォッチするだけじゃなくて、今話したように、接触も深めていくわけです。ですから、そういう動きが出てきたら、その動きを、それぞれ国内の関係者にお伝えしながら関係者間で協議していくということなので、そういう取り残されていく危機感などは特に感じておりません。

(問)環境省としては、排出権取引制度について今どのような立場なのでしょうか。

(答)しっかりと勉強しましょうということです。いろいろな批判がありますよね。特に産業界からいろいろ批判がある。EUでの実施についてもいろいろな批判をしておられる。それは、行って聞いてみなければわからないいし、それを聞いてきて、実行上の諸問題というのが解決できるのかできないのかというようなことをしっかり勉強した上で、お互い相談をしないといけません。いずれにしても、はっきりしないまま頭から反対だと、いわば官僚統制につながるとか、色々な意見が出ていますよ。ヨーロッパはその問題をどうやって解決したんですかと、アメリカはどういうふうにしようとしているんですかと、そこで、こういう問題があると思うけれども、そういう問題については、どういうふうな見解を持って実施に踏み切ったのですか、踏み切ろうとしているのですかといったようなことを、よく情報を取ってこないとわからないのではないですか。
  私もわからないところがいっぱいあります。だからこの間行ったときに、私の方からミリバンド大臣にいろいろな質問をしたんです。ミリバンド大臣からいろいろな答がありましたけれども、それは大臣同士のそういうやりとりの中でわかったというようなことじゃありませんから、技術的な問題など、いろいろありますので、実務者レベルでちゃんとした勉強をしたいと、そういうふうになっているんです。それができてからじゃないでしょうか。

(問)バイオエタノールの話ですが、石油連盟が27日から首都圏の50箇所で始めるということで、かなり詳細なデータというか、どこでやるかというのが見えてきました。原油換算して10年で20万klということで、かなり量的にも販売コストもしっかりしたものが出てくるようですが、その中で、環境省や大阪府は1000kl単位でやっていくということになっています。そうすると、主流がどうしてもETBEの方に流れていくのではないかなという気がするのですが、世界的な傾向を見ても、ETBEではなくて直接混合が多く、その中で、日本でETBEが主流になってしまうのかもしれないということについて、どう思いますか。

(答)ご承知のように、京都議定書の目標達成計画の50万klという目標を政府として決めているんですよ。ですから、50万klを第一約束期間中に達成をしなければいけないということですから、石連の側はETBEで21万klというふうに聞いていますけれども、それだけじゃ十分じゃないんですよ。どうしても過半のものを、今の段階ではE3ですけれども、E3だけですむかどうかというのはわかりません。世界諸国はもっと水準の高い混合率でやっていますので、そういう混合率も含めて検討していかなければいけませんが、少なくとも、バイオエタノールを混入した形で50万klを消化するということですから、石連がやるのも結構だと思います。だから、両建てでやれることはやっていくということで、お互いに協力をし合ってやっていかなければならないと思います。
そのことについては、もちろん石連側はいろいろな心配事を言っておられるんですよ。それ見たことかと。変な混合をしたら変なことになると。諸外国でも、給油所の段階で混入するという方法はどの国も一切やっていません。それは精油所でやって、給油所の方では流すだけです。給油所でそれぞれがやり始めたら品質を保証できませんし、そういうことが徹底していない結果として、その問題の給油所の理解がないまま先行したということじゃないでしょうか。現場でそういう混合をするということは、消防法上もできないことになっていますよね、危険物ですから。手続をまだ定めていませんから、手続をきちっと決めていくということだと思います。いろいろな心配をしている人がいますね。脱税の問題はないかとか、そういう実務的なシステムを徹底すれば出てくる問題ではないと思います。そう大きな問題ではないと思っています。
当面、3%でいこうということですが、リスクに対するチェックもしなければならない。予断を持って、もっと増やしても、よそがやっているからいいじゃないかとは言い切れない。E3までは認めたわけですから、当面はE3できちっとした体制を組んで、E3ガソリンが実用に供されていくということが大事なので、そういう意味で、実証事業も今年から手をかけるということですからね。

(問)4大臣会合の重要性についてどうお考えでしょうか。ヨーロッパからも注目されているということですけれども。

(答)ヨーロッパの注目というのは、私は聞いてないからわかりませんが、やはり来年は日本がG8の議長国になってイニシアチブを取るわけですから。ドイツでの今年のG8プラス5、そしてその後のG20。そういう中で、プレーヤーとしてみれば、日本は大きなプレーヤーですから、日本がどういうような考え方でいるのかというのは、注目はされているでしょうね。
  そういう方向性というのは、まさに4大臣会合で基本的な方向性を出そうということですから、いつ終わるということではありません。今後、何回か会を重ねていくことになると思います。ただ、G8などサミットというのは各国首脳レベルのまさにイニシアチブというのが問題になってくるわけで、我々はそれを補佐する立場として、しっかり詰めていかなければならないと思っております。
  基本は、主要排出国がみんな乗れるような枠組みがどうやったら作れるかということです。先日、温家宝さんが来られました。今度は総理がアメリカに行かれますけれども、その前に総理はヨーロッパの首脳とは会っておられますしね。そういうような状況の中で、どんな条件なら中国やインド、あるいはアメリカが参加していくのかというのを探っていくという段階ですよね。

(以上)

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