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環境省大臣記者会見・談話等>大臣記者会見要旨

大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成19年3月30日)


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、一般案件3件、国会提出案件9件、法律公布が8件、法律案が3件、政令13件、人事とその他の報告案件が3件、資料配布が3件でした。
  環境省の請議案件は、昨日ご説明をしておりますが、政府の事務・事業に関する排出の抑制のために実行すべき計画を定めましたということを請議をして決定をしました。
  共同請議として、特別会計に関する法律の施行令で、これは幅広く特別会計に関する各省庁が関連しておりまして、環境省もその一つということになっております。
そこで実行計画ですが、閣議で私は以下のような発言をするとともに、後で資料をお配りしますが、各府省別の温室効果ガスの排出量の資料をつけまして、そのことを説明致しました。地球温暖化は今や、人の健康、食糧、居住地など、あらゆる分野に関する脅威であり、気候安全保障の問題として対処していくべき喫緊の課題です。この課題に対処するための一里塚である京都議定書の6%削減約束の達成のためには、国、地方公共団体、事業者及び国民が一体化となって取り組む必要があります。京都議定書の約束期間の開始を来年に控え、新たな政府実行計画を決定し、政府自ら率先して温室効果ガスの排出削減に取り組むことは、社会全体の牽引役を果たし、国民等の積極的な取組を求めるためにも、大変意義があるものであります。各府省におかれましては、新たな計画に基づき、更なる削減に向けた取組を強力に進め、国民の模範となるようによろしくお願いをいたしします、ということを発言しました。
参考として、基準年である平成13年の府省庁ごとの数値と、平成18年の4月から12月の数値、これに3分の4を掛けたものが18年の推計値ということになり、それの平成13年との増減率を出し、それらの府省庁別の数字を資料に示しました。全体としてはマイナス15.7%になるということでございますが、このことについて、どの大臣からも質問はありませんでした。
  このことに関連して、塩崎内閣官房長官から発言がございまして、これは政府から国民に対して強いメッセージを送ることができるのではないかと期待をしています。新たな政府計画に基づいて一層の温室効果ガスの排出削減に努めていただくようお願いをしますということで、官房長官からもお願いがありました。
  併せて安倍総理大臣からも、地球温暖化問題は必ず克服しなければならない人類の課題であります。京都議定書に掲げる6%削減目標の達成は決して容易ではありませんが、我が国の総力を挙げて、国民すべてで取り組まなければなりません。そのような中で、政府が一体となって、先導的な取組を進めることは、広くモデルを示すという大きな意味があります。本日、閣議決定された新たな政府実行計画は、そのような取組を一層強化するものです。自分たちの職場での温暖化対策が、我が国全体の取組に、ひいては、我が国の国際約束の実現に通じているという誇りを持って、政府の職員一人一人がそれぞれの場で努力するとともに、各閣僚は先頭に立って意欲的な目標を掲げ、国民のモデルとなるように努力していただきたい、という各閣僚に対するお願いの指示を出していただきました。
  なお、閣議が終了した後、閣僚懇でございますけれども、ウォームビズの実施期間が終了致しましたという報告を私からしております。このウォームビズは、今年が2年目なのですが、3月31日までという取組期間でありまして、明日をもって終了となると、ご協力に感謝をしながら、今年は第一約束期間の前年という節目の年でもありますから、企業や国民が、地球温暖化防止の重要性について理解を深めて、行動や生活様式を見直していくきっかけとなりますように、今後とも、様々な場面を通じて、普及啓発に努めていただきますようお願いいたしますというお願いでございました。
あと私の方から、皆さん方にお知らせをしておきたいことがいくつかありますので、順次お話ししたいと思います。
  まず、生物多様性の行政体制の問題ですが、4月1日付で自然環境局の自然環境計画課に生物多様性地球戦略企画室というのを設置することに致しました。これは組織要求の中でやってきたことです。ご承知のように、先日ドイツでのG8環境大臣会合で気候変動と並ぶ議題として、この生物多様性問題が取り上げられております。その保全の重要性について認識が高まってきているわけですが、この生物多様性国家戦略の着実な実施と、条約への一層の貢献をすることを通じて、地球規模の視点に立った生物多様性保全に関する国内・国際的な取組をより積極的に推進するということで室を設置したということでございます。2010年に手を挙げております生物多様性条約第10回締約国会議、COP10の我が国での開催の実現を具体的な課題として、この室が動き出すということでございます。これが第1点です。
  2つ目は、容器包装のリサイクル法が4月1日から施行されるわけでございます。この容器包装のリサイクルに加えてリデュース、発生抑制の強化を狙いとしているわけでございまして、この法律が施行され、この法律に基づいて4月からはスーパーやコンビニなどの小売業者はレジ袋などの使用量を減らす取組の実施が求められることになります。循環型社会を目指すためにはリサイクルを進めるというだけではなくて、まずできるだけごみを出さないようにするという意味でのリデュースというのが大事ですから、このことをアピールしていきたいと。日本には昔から物を大切にする、また物を作った人の心を大切にするという意味での「もったいない」という心があります。こういう日本で長く育てられてきた文化とも言うべき考え方、これをリデュースの取組を進めるという意味から、国民の皆さんに十分理解をいただきたいと思っております。
  既に、改正容器リサイクル法の実施を先取りする形で、各地で小売業者や自治体、消費者が手を組んでレジ袋の有料化を始めようとしている動きが進んでおりまして、身近なごみを少しでも減らそうとする取組が感じられるようになっております。私もそういう報道を見るにつけ、そのように感じるところです。今回の容器リサイクル法の改正は、国民の皆さんにリデュースの必要性を訴えて、そのような取組を全国に広げていく大きなチャンスだというふうに考えておりますので、今までもこのことをPR、キャンペーンをしてきたわけですが、この施行直後のタイミングを捉えて、容器包装の廃棄物の3R推進に資する優れた取組への環境大臣賞の授与、改正容器リサイクル法による3R推進員ですが、発生抑制推進員、ペットネームを3R推進マイスターと命名しましたが、その推進員の委嘱をしたいと思っておりまして、この機会を通じて、リデュースを進める取組の国民運動の一層の展開のきっかけにしたいと考えております。
次に、前から皆さんが大変な関心を持っておられる、私どもも度々レクをしてきました、クマ類の出没対策のマニュアルです。ようやくマニュアルができました。「クマ類出没対策マニュアル -クマが山からおりてくる-」というテーマで、どう取り組むかを取りまとめましたので、この会見が終わりましたら配布することにしております。これについては会見が終わった後、引き続きお聞きいただきたいと思っております。
  私の方からは以上でございます。


2.質疑応答

(問)政府の実行計画についてですが、この季節要因を除いた試算値ですけれども、季節要因を含めても、現実行計画の7%削減という目標は達成できるのでしょうか。

(答)大体いけるのではないかということで、事務方の判断はしています。

(問)昨日、この関係で総理とお会いになったようですが、総理から何か特段お話はありましたでしょうか。

(答)それぞれの実施状況と、これからの新しい計画の考え方などを説明しました。大変関心を持っておられまして、所信表明演説、臨時国会のときだと思いますが、屋上や壁面の緑化、あるいは太陽光発電などを積極的に進めるといったことを、政府としてももっと具体的に示さなければいけないのではないかという関心を持っておられまして、そのことについて、私の方でさらに実務的に詰めましょうと、つまり、政府側が極力、施設緑化や、太陽光の利用を進めるという方針の下にやっているけれども、具体的に官庁営繕と結びつけて、どのような実行計画を作るかというところまでは詰めておりませんから、これは私の方で引き続き関係省庁とも協議して、どこまで実行するかということについてもう少し詰めさせてもらおうというお話を昨日は致しました。

(問)7%の削減が達成できるとした場合、これから民間に更なる目標の上積みみたいなことも求めていくときに、今回8%を目標にするということですけれども、その1%の上積みというのはどのようにお考えでしょうか。

(答)取組の姿勢を示したということですよね。政府機関としては皆さんもご不便を感じておられるでしょうけれども、エレベーターの間引きだとか、廊下の照明に人感センサーを入れるとか、各省庁いろいろ努力をしています。今日はそういう紹介はしていませんでしたが、これから政府はどうなんだと問われたときにいろいろなことを説明できるように、省庁の実際の実行状況というのは環境省でヒアリングをしています。共通しているのは、トイレとか廊下などにセンサーを入れて節電に努めること、それから蛍光灯の間引き、部分消灯、反射板の取り付けといった省エネ対策や、昼休みは消灯してもらうとか、エレベーターの間引き運転、冷暖房時間の短縮といったことも、だいたい各省共通したことです。
  そのほか省庁別に見ると、なるほど、こんなことまで努力してくれているんだなというのが内閣府や、警察庁、防衛庁、宮内庁など、いろいろな省庁が今の共通の努力以外に特に気をつけてやっていることというのを出してもらっておりまして、設備投資も予算上の措置を講じて、営繕の方でだいぶやっています。そういったことを説明しながら、民間の方も、業務用オフィスを中心にもっとしっかりやってほしいというようなことを、これから見直しの中で求めていくことになると思います。

(問)この数字で民間を説得していけると大臣はお考えですか。

(答)数字でというより、姿勢を示したわけで、むしろどういう努力をしているかということで、非常に数字は動くんですね。特に今年は暖冬でしょう。この1~3月というのは暖冬によって、これは家庭でもそうでしょうが、だいぶ暖房機などは少なくて済んでいると思います。そういう意味では、数字自身は姿勢を示すという意味で1%乗せてさらにやろうということだから、民間も1%をなんとかすればいいということではなく、やれることをとにかくやってもらうという趣旨で、こんな工夫をしていますということを紹介しながら、民間の努力を一層お願いするということです。

(問)改正容リ法についてなのですけれども、今、大臣がおっしゃっていたように、一部の事業者で既にレジ袋を有料化しているところがありまして、今、有料と無料が混在しています。その状況については今後どうしたいと思っていますか。

(答)これはそれぞれの業者の営業戦略に係わることですから、こうしろということではありませんが、いろいろ報告をもらったりするようにしておりまして、そういう報告をもらう中で、できるだけレジ袋等を抑制する行動として、有料化というのも1つの方法ですし、寄附をもらうというようなことをやっているところもあるようですね。それは、それぞれの営業戦略の中でおやりになることですから、一義的にこうしてもらいたいと求める部分ではないとは思いますが、かなりいろいろなところで取組が進んでいます。具体的に一つ一つは申しませんけれども、いろいろな地区で、いろいろな事業者が、それぞれ自治体等とも打ち合わせをしたりしながら進めておられます。

(問)よく聞かれる質問かもしれないのですけれども、将来的にはやはり有料化を進める方針というか、そういったことはありますか。

(答)押し付けると言ったら変ですけれども、そういうようなことを行政側が頭からやるという方針を決めているわけではありません。これは、理解を得られると私は思っています。消費者の方がこの問題について非常に理解度が高いですし、事業者の方もだいぶ心配をしながらやって、一時売上げが落ちたけれども、また元に戻って、このことによって顧客が他のお店に流れるといったことはあまりないようだという報告も聞いております。むしろ実際は、そういう姿勢が消費者に受けるような流れが、マイバック運動等と関連しながらできつつあるのではないのでしょうか。ですから、頭ごなしにみんなそうすべきであると規制的にやるよりも、国民運動の中で展開をしていくのが望ましいと思います。

(問)今日、一部報道でありましたヤマダ電機の関係で、事実関係を確認したいのですが。

(答)中古業者の横流しを行っているのではないかという報告は、私どもも今年の1月頃に事務的には受けていまして、ヤマダ電機に対して、廃家電の処理状況の実態をきちんと把握するという目的で、所管の経済産業省とともに家電リサイクル法に基づく報告徴収を行ってきております。この報告内容を踏まえて、ヤマダ電機に対する廃家電のメーカーへの引き渡しが義務付けられているわけですが、これが適正に行われるように措置をとらなければいけないという意味で、今、そのことを検討しているところです。

(問)そういう意味で言うと、前回の川畑の事例ではどこに行ったのかわからないという段階だったのが、今回はそれよりちょっと悪質かなと思うのですが。

(答)処分前ですから、どういう中味かということを今ここで私が申し上げるわけにはいきませんが、必要な行政上の措置を講ずるつもりでおります。中味は検討中です。

(問)前回より一段重くなると思うのですが、いかがでしょうか。

(答)そういう措置をとる以上は、具体的な事実も把握しなければなりません。報告徴収をして、事実に基づいて具体的措置を検討したいと考えております。

(問)戦略アセスですが、結局、発電所除外という形で差し込まれたような形になったと思うのですが、大臣のご感想は。

(答)座長のところで、今、整理をしてもらっていまして、座長から報告をいただく前に私が申し上げるのもいかがかと思います。いろいろなやり方があり得るのではないかと思うのですが、聞くところによるといろいろ怯えておられたと思います。これは国際的な流れ、そしてその趣旨から言えば、前広に地域の人の意見を聞きながらそれをビルトインして、最終的な実行計画を作っていくという姿勢も必要だと私は思います。最大限ちゃんとやるんだから任せておけ、という自負や責任感も大事だと思いますが、広くいろいろなご意見を参考にしながら計画を作っていくという姿勢も必要だと思います。
  戦略アセスという形で、それぞれの事業体が、その事業に応じて実施上のルールを決めていくわけですが、ご意見をうかがった中で、無理だという意見が強く出たようですね。

(問)今日、電力業界から経産省に報告がありますが、データの改ざんがあったり、任せておけという前提そのものがどうなのかというところが、国民の世論としてはあると思うのですが、専門家の意見というのはあくまで参考になるところであって、その方針をどうするのかということについて、大臣としてはどうお考えですか。

(答)今のいろいろな偽報告であるなど、各電力会社の隠蔽体質と言いますか、そういうことについて次々にいろいろなことが明らかになり、不信感が広がっているということはあります。だからといって、それと関連して戦略アセスもやるべきだと、私はそれを理由に言うつもりはありません。これはもう、そんなこととは無関係に、もっと早い段階から環境アセスというものを通じて、地域、あるいは関係者の理解を求めていくという姿勢が大事だと思っております。今ただちにやるのは難しいという理由は、みなさんがどう評価されるかということにかかっていますが。
ただ、今後にわたってやらないというように言っているわけではないですよね。これで着手ですから。他の公共事業などについて実施がされていきますと、気持ちが変わることもあるのではないでしょうか。安心感と言いますか。だからこれは、押しつけて無理矢理にねじ込むようにしてうまくいくとは思いませんから、積極的に、よしやろうという気持ちになって取り組んでもらわないとうまくいかないから、そこは座長がそういう状況もご判断になって、取りまとめていただけると思いますが。

(問)研究会では、局長は、もうSEAの取組は発電所に対して今後ずっと求めないと発言していますが。

(答)そんなことはないんじゃないでしょうか。それは受け止め方ですが、今回は、ということじゃないですか。私が言った、無理矢理口を開けてねじ込むというような性格のものじゃない、今回の戦略アセスの導入というのは、任意的なものですからね。法制的なものではありませんので、できるだけ趣旨を理解してやってもらいたいということで始めていることなので、状況判断として、局長がそのようにお話ししたんだと思いますがね。
  最終的には、そういう立地をめぐっての協議・調整過程というのは避けて通れないわけで、そういうことを進めていく上で、やはり戦略アセスのような、計画決定以前にやった方がいいという判断に至るかもしれませんよね。世論が決めていくんじゃないでしょうか。世論といってもいろいろな世論がありますが、それに直接あるいは間接に関わるような人達の意見が決め手になるのではないでしょうか。ただすぐさま、引き続きどうだ、といくようなことではないと思いますが。いずれ世論動向を見た上で、また事業者側も考えがあるでしょうし、変わってくるかもしれませんね。

(以上)

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