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大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成18年12月5日)


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、一般案件1件、国会提出案件11件、法律公布3件、政令6件、人事と報告でした。
 私の方から、先般の日中韓三ヵ国環境大臣会合の結果について閣議への報告をしました。
 また、閣議終了後、総理の時間をいただき、フィリピン・セブ島で行われるASEAN+3の際に予定されている日中韓の首脳会談での課題のひとつに環境問題が取り上げられると聞いていますので、そうした角度から、先般の日中韓三ヵ国環境大臣会合の結果について、さらに、すでに説明はしておりましたが、ケニアで開催されたCOP12及びCOP/MOP2における地球温暖化対策について再度のご説明をしました。日中韓三ヵ国環境大臣会合をこれまで8回重ねてきて、お互いの信頼関係も高まっており、今後も協力して環境問題に取り組んでいくことを確認していますので、日中韓三ヵ国環境大臣会合を基盤として、まずアジア諸国、更には世界に向かって環境対策をアピールしていくことを三ヵ国大臣で確認しています。そうした視点で総理も首脳会談に取り組んでもらいたいというお話をしてきました。
 私からは以上です。


2.質疑応答

(問)その中で安倍総理からはどのようなご指示、あるいは感想を述べられたのでしょうか。

(答)特段の指示事項等はありませんでした。よく分かりましたということでした。昨日は決算委員会で質問があり、私から地球温暖化対策について流れと我が国の方向について説明をしておりますし、安倍総理もそれを聞いていらっしゃいますので、間違いのない理解をしていただいていると思っています。

(問)日中韓の首脳会談で、環境問題が重要なテーマになるということは、日本が主導的に仕掛けたのでしょうか。

(答)いえ、それはしておりません。三ヵ国共通の課題がいくつかあり、どういう課題で行うかという話の中で、その課題の中に環境問題が入っているということを伝え聞いていました。それについては三大臣とも共通の情報として持っていましたので、今、我々が取り組んでいる問題について、それぞれ三首脳にインプットしておこうということです。同時に、議論としてはASEAN、アジア地域といった広がりの中で考えると有効ではないかとか、さらに言えば、先般のCOP12、今度のCOP13はインドネシアで行われますが、そうした場面でやってはどうかと言う方もいます。三ヵ国が共通の認識を持ち、三ヵ国で発信をして、アジアに問題提起すると同時に世界にも問題提起をしていく、日中韓三ヵ国環境大臣会合の共同の立場を大事にしていくということで出てきた話です。
 環境問題の解決については、温暖化対策もそうですが、トップのイニシアティブは大事です。関係各省は非常に広く、日本でもそうですし、中国でもそうです。植林その他の問題は林務の仕事ですし、排水の問題だと産業排水は工業部門の話になります。発電、電力の煙の問題だと、エネルギーの方の問題になってきます。新しい分野は、縦割のいろいろなところに深く関わっていますので、トップがこうした問題をしっかり受け止めていこうという意志がないと前進しにくい分野です。お互いそうした問題意識を持っていますので、首脳レベルに上げていこうということです。

(問)中国のトップが、こうした議題を議論することは1つの大きなステップと捉えられるのでしょうか。

(答)それはそうだと思います。中国のトップまで環境問題が大事だという認識を持ち、三ヵ国のトップがそれを共有するということは非常に大きな意味があると思います。

(問)京都議定書に関して、COP12及びCOP/MOP2での立場をある程度変換したということだと思われますか。

(答)いや、そういうことではないと思います。京都議定書はCO2の排出については先進諸国が義務を負うという形で決まっています。しかし同時に、議定書9条で、幅広くみんなに入ってもらい、全体でどう進めるかを協議する場を設けているわけです。
 我が国の主張としては、ポスト京都議定書の中で、先進国も途上国も全世界の国がその能力に応じて地球温暖化対策に加わっていくということであり、今の京都議定書の枠組の中に入ってきてほしいということを言っていたわけではありません。
 中国は第11次経済計画の中で9%近い成長計画を立てていますが、その中で、今までであれば排出されるであろうエネルギー消費に伴う排出汚染の問題や、エネルギー消費についてはGNP比で20%減のエネルギー効率の改善を行うことを発表しています。中国に行ってみて感じたのですが、中国の環境問題は世界一深刻だと思います。そういう意味で、中国が環境問題に真剣に取り組んでいるということは間違いありませんが、転換したということではありません。今の京都議定書は、1990年基準で何%減らすということでできあがっている枠組で、自分たちの事情と発展段階が全然違うので、その枠組に乗れと言われてもそれには乗れないということです。

(問)そのことについては変わっていないわけですね。

(答)今度も、それに乗ると言っているわけではありません。ポスト京都議定書の、新たに作っていくであろう枠組について、日本で行われる2008年の会議までにいろいろと意見を出してもらい、そこで決めることには合意したわけです。これからお互いの理解を深めなければいけません。一方、中国も韓国も排出権取引、CDMについては大変積極的です。そういう意味では、中国も新しい環境投資について、二酸化炭素等の温室効果ガス削減の新技術をどのように導入し、製造業関係の環境改善をどのように図るかという場合に、CDMを活用し、資本投入を図ることを意識しているなと感じました。
 COP12の際の担当者、責任者とのバイ会談で、それぞれの国の置かれた状況の違いがあるので、今の京都議定書のシステムの中に入れということを言うわけではない、中国が中国の置かれた状況の中でどのように参加していけば有効な体制ができるかについて工夫を凝らしてもらいたいし、よく相談していきましょうとお話しました。
 

(問)東京大気汚染訴訟で、12月1日に国の方針を東京高裁に伝えたということですが、改めて環境省の方針を聞かせていただきたいのですが。

(答)訴訟になっておりますので、その意味では具体的な中身についてはお話はできません。基本的には東京都は東京都の立場として都民の健康保全、健康対策としての対応をする、他の自治体でも例はありますが、そういうことでおやりになるということでしょう。国の立場としては、やはり健康被害との因果関係がはっきりしなければ、国としての負担を伴う対策は講じられないと考えていますが、提案された医療費助成制度の中で、今後の検証事項として、大気汚染の問題と患者の発生状況などに触れておりますので、環境省が実施している疫学調査、いわゆる「そらプロジェクト」の報告などについて、東京都とは協力していきたいと思います。

(問)東京都は助成制度に国が乗れないのであれば、対案のようなものを出してほしいとも言っていますが、それについてはいかがお考えでしょうか。

(答)それは今のことに尽きるのではないでしょうか。東京都が提案している医療費助成制度は、自治体の立場で、小笠原も含めて全部でやろうというもので、因果関係などを問題にしないでぜん息対策を行うわけです。現在、我々は因果関係について調査、検証中ですので、それが明らかになるまでは医療について特段踏み込んで一緒に何かをしようということは考えていません。調査はやっていきます。
 

(問)環境税についてですが、先週の自民党税制調査会小委員会で、環境税の先送りについて町村小委員長もお話しており、来年の導入は非常に困難を伴うと思うのですが、今後環境省としては、環境税を含め、税のグリーン化についてはどのように対応していくのでしょうか。

(答)環境税の取扱いについては、環境部会長が、経済産業部会長などと協議し、もっと具体的な前進を図るための枠組を考えるべきではないかという話をされ、経済産業部会長もこれを前向きに受け止めることになったと承知しています。町村小委員長からは、更にこれに加えて、国土交通部会、農林水産部会をも加えた4部会で検討委員会のようなものを設けてはどうかという意向が伝えられたようです。これから大詰めになっていきますが、最後、税制改正大綱をどう決めていくかという詰めの段階で、今のようなことが盛り込まれるのではないかと思っています。ただ、昨年の大綱にも書かれていますが、先送りという性質のものではなく、今のような形で自民党税調が整理をするのであれば、私は大変な前進だと思っています。つまり、言い放しで、総合的に勘案して検討するようにと言っていた段階から、それらを具体的に検討するための関係4部会が検討委員会のようなものを作り、そこで議論をし、結論を出そうということは、プロセスに入っているということですので、非常に前進だと受け止めています。

(以 上)

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