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大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成18年11月24日)


1.発言要旨

 おはようございます。
 本日の閣議案件は、一般案件1件、国会提出案件11件、政令6件、人事と資料配付でした。環境省の案件は、主請議、共同請議ともにありません。
 主だった発言としては、内閣府特命大臣から食育推進施策について、いわゆる食育白書の報告がありました。これは初めてのものですね。それから、犯罪被害者週間を実施するということです。
 財務大臣からは、19年度予算編成に係る財政制度等審議会、財政制度分科会の建議があったという紹介がありました。
 また、閣議に先立って地域活性化に関する関係内閣での協議会があり、その報告として、地域活性化担当大臣から地域活性化策に関する政府の取組について状況の報告と、関係閣僚へ協力の要請がありました。具体的には、経済産業大臣、農林水産大臣、総務大臣、それから総理大臣から最後に締めくくりで、施政方針演説にも述べているとおり、地域の活力なくして国の活力はないということを申し上げてありますので、どうか各省庁連携して一体的に取り組んでもらいたい、という話がありました。
 閣議は以上であります。
 なお昨日、新嘗祭、いわゆる新穀感謝祭が宮中であり、私は夕方の部と朝の部の両方に出席しました。夕方の部は18時から20時まで、朝の部は23時から午前1時までで、両方出たのは私と長勢法務大臣の2人でした。古代宮廷の儀式というのはこういうものかなという感想で、モノクロで電気は一切ついておらず、篝火と、足元を照らすのも提灯で、なかなか幻想的でした。
 報告は以上です。


2.質疑応答

(問)京都議定書についてお伺いいたします。現地で取材しておりますと、例えば中国やサウジといった途上国の頑なな態度から、京都議定書の難しさと言うか、モメンタムの低下といったものを感じたのですが、実際に現場でプレナリーなり、バイの会談をご経験された上で、今後の各国の気候変動に対する対策、あるいは日本の対策といったものに関してどのようにお考えかお聞かせ下さい。

(答)私は、地球上の全人類の問題である、ということを改めて重く感じました。やはり、それぞれの国益、利害関係を越えて、地球温暖化への対応を、かねて我々が訴えているように、すべての国がその能力に応じてできることをそれぞれに果たしていくという基本線が確認され、共有されなければならないと思いました。
 それから、炭酸ガスなどの主要排出国がもっとしっかりすべきであるということももっともだし、さりとて開発途上国からも、これから経済発展をすれば必然的に排出ガスが出てくるわけです。先進国の問題であって我々の問題ではない、といったような主張も見られましたが、そこを乗り越えて、やはり地球全体の、全人類の問題である、ということを受け止めて、それぞれの国がそれぞれの能力に応じて、やれる限りのことをやっていこうじゃないかという共通した認識を持たなければならないとしみじみ思いました。
 またそのことについては、最終局面に至って、いわゆる途上国の中で、中国が浮いてきていると言うか、孤立しつつあるように思えました。途上国がそういう意味で一本になって、すべてが先進国の問題ではない、という雰囲気ができてきたような感じがしました。
 ただ、中国の代表とのバイの会談もお互いに和気あいあいとすることができたのですが、中国も、およそ我々は関係ないと、すべてが先進国の問題であると言っているわけではないのですね。ただ、中国が第11次の経済発展計画を立て、排出ガスの問題もそれに伴って生じてくるが、中国側としては、極力省エネの推進などでそれを抑制的にやろうとしている姿勢が見られまして、私は好感を持ちました。また、中国の直面している難しさ、苦しさというものも、私なりに理解はできると思いました。
 なお、排出権取引については、EUの中で、スターン卿の報告を出したこともあり、イギリスが非常に積極的で、そういうマーケットを創っていこうという意図を感じました。併せてドイツも大変積極的であったのが印象的ですね。
 

(問)来週スターンさんがいらっしゃいますが、どういうことを話そうと思っていらっしゃいますか。

(答)在ケニアイギリス大使の公邸でもお会いして、いろいろな話をしました。そのときにスターンさんから、日本の後は中国に行き、いろいろ講演を予定しているという話がありました。また、東京でお会いしましょうと、私もパネルディスカッションで報告することになっています、という話をしました。忙しい人ですね。科学的知見を結集してそれらの科学者の見通しなどの集約はしたが、自分は科学者ではなくエコノミストである、ということをしきりと強調していました。
 日本での会談時間はそれほど長い時間ではなく、むしろ現地でお話ししたよりも話す時間は少ないでしょうが、ケニアの会議での私の受け止め方についてお話しします。枠組みに関して言えば、もっと幅の広い、多様な選択が次は求められるのではないか、そうしなければ、地球上の各国みんなが乗っていくような枠組みは作れないのではないか、というような趣旨でスターンさんの考えを聞いてみたいと思います。特にスターンさんは中国にも行くわけですから。中国をどうやって乗せていくかですね。
 皆さん方も感じておられると思いますが、米国はこの間の中間選挙の結果、キャップ・アンド・トレードを強く主張した有力な議員が委員長になられたとして、これからの議会では非常に積極的になってくるでしょう。ご承知のように、州単位でキャップ・アンド・トレードを始めようという動きがカリフォルニアから始まって、今9州に拡大していますから、そちらは動いていくと思います。問題はやはり中国でしょうね。中国がどのようにこの問題をとらえるかということだと思います。
 ご承知のようにスターンさんは非常に排出権取引には熱心ですね。
 

(問)自動車の排気ガスに関しまして、小委員会で一部、素案が出ましたが、今後の自動車の対策に関してお考えをお聞かせいただきたいのですが。

(答)もう少し詰めてもらって、検討を進めなければいけないのではないでしょうか。
 

(問)一昨日、経団連との懇談会がありましたけれども、そのご感想があればお聞かせいただけますか。

(答)まず環境大臣になってみて改めて感じたことを皆さんに申し上げました。大企業は大企業、中小企業は中小企業なりにそれぞれの環境への配慮といったものを、本業の部分で省力化を進めるということ以外にも、社会的貢献として環境に配慮してビジネスをやっていかなければさまざまな障害が出てくるという認識がそれぞれあり、各企業が環境問題に非常に積極的で、具体的な取組をしているということを改めて感じている、という感想を申し上げました。
 ここからは私が言ったことではないのですが、それじゃあ経団連というのは各産業を統括するものとして、本当にそういうようなビビッドな動きを受け止めながら、具体的に環境政策を進めているかということになると、規模がやや大きいですから、役所の総論的な段階にとどまっているのではないかと、いろいろな問題の指摘がありました。そこで土屋副大臣が口火を切ったのですが、私も是非お願いをしたいこととして、こういう大括りの会議とは別に、各論と言うか、もう少しテーマを絞って、そのテーマごとに率直な意見交換ができると有効なのではないか、ということで申し入れをしました。御手洗会長も、そういうことはしっかり受け止めていこうという姿勢ですし、言い放しにならないようにするために大事なことだと思います。

(問)経団連は、また改めて環境税と、キャップ・アンド・トレードの2つに関して、明確にメッセージを出したようですが。

(答)反対だと言っていましたよ。だからそこで、経団連の方はどこの部門が言っているのかわからないけど、内部でどんな議論をしたのかもわからないけど、結論だけで言えば反対です、ということなのですね。だから、そういうことではなく、もう少しテーマを絞って、今のキャップ・アンド・トレードならキャップ・アンド・トレードについて、何故、経団連として反対なのか。その観念を越えて、世界の流れをどう受け止めるか。最後に日本が孤立したようなときにも、日本は流れに乗っていかないとしてうまく行くのか。それとも孤立しないようにEUやアメリカを説得できるのか、といったことをもっとお互いに専門的な立場のメンバーも入れて、よく話をしなければならないのではないかという意味で先ほどのような提案をしました。

(問)具体的に、いつ頃からそういう話し合いを始めたいとお思いでしょうか。

(答)できるだけ早く、どんなような進め方をするか事務方同士で相談して、来年度の予算要求や税制改正などは別に考え、できるところからやっていけばいいのではないでしょうか。

(以 上)

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