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大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成18年11月21日)


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、一般案件4件、国会提出案件8件、政令4件、人事と配付資料がありました。
政令で環境省主請議のものとして、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律施行令の一部を改正する政令」、「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律施行令の一部を改正する政令」がありましたが、内容については事務次官の方から説明をしておりますので省略します。
 閣議で、外務大臣からAPEC首脳会議出席についての発言とITER事業の共同実施のためのITER国際核融合エネルギー機構の設立に関する協定の署名についての報告がありました。この件に関して、科学技術政策担当特命大臣と文部科学大臣から発言がありました。
 財務大臣から20カ国財務大臣・中央銀行総裁会議についての発言と、少子化・男女共同参画特命大臣から平成17年度犯罪被害者等施策について「犯罪被害者白書」が出たことに関連して発言がありました。
 私からはケニアの会議に出席した結果報告をしました。
 ナイロビで開催された気候変動枠組条約第12回締約国会議(COP12)及び京都議定書第2回締約国会議(COP/MOP2)に11月15日から17日まで出席し、閣僚級会議に出席するとともに、各国の環境大臣などと二国間会談を行いました。会議では、温暖化への適応対策に関する合意、先進国の第二約束期間に関する作業や、京都議定書の見直しに関する作業について合意が得られるなど、一定の成果が得られました。
 しかしながら、2013年以降の枠組に対して、京都議定書を批准していない米国、中国・インドなどの途上国、日本・EUなどの京都議定書の義務を負っている先進国との見解の隔たりは大きく、今後の交渉の困難性を予測させる会合となりました。
私は今次閣僚会合を通じ、温暖化対策の次期枠組交渉に日本のリーダーシップをとっていくためには、次のことが重要であるとの認識を強くしました。まず一番目として、京都議定書の6%削減目標を確実に達成することができるよう、京都議定書目標達成計画の見直しに当たって万全を期すること。二番目として、温暖化がもたらす影響は甚大であり、「気候安全保障」の問題として対処する必要があること。そのために世界が取り組むべき温暖化対策の究極目標とその達成の道筋を示すことを通じて、日本や主要排出国の削減の必要性を明確にすること。ODA政策に適応対策を明確に組み込むこと。特にアフリカ諸国、小島しょ国などの低開発国の適応対策に留意すること。日本自身の適応対策を検討する基礎として、地域的な影響に関する調査・研究を開始することも喫緊の課題であること。三番目として、温暖化に関するグレンイーグルス・プロセスの報告を受け取る2008年の日本でのG8の成功に向けて、今から準備を開始すること。これらの作業を行い、また今後の交渉のプロセスにおいて、日本がリーダーシップを発揮していくことが重要と考えています。
 また、二国間会談として、英国のミリバンド大臣、ドイツのガブリエル大臣、米国のドブリアンスキー国務次官、中国の姜(ジャン)副主任などとバイ会談を行いました。米国に対しては、我が国に米国の京都議定書への復帰を求める声が強いことを伝えるとともに、日米を中心とする各種協力を通じ、実効ある取組を推進したいということを話しました。中国に対しては、先進国も途上国も、能力に応じて気候変動に取り組むべきとの考えを伝えました。
 私としては、気候変動枠組条約及び京都議定書の締約国会合に出席し、改めて、温暖化問題の重要性を認識するとともに、今後、 国内対策のみならず、次期枠組に向けた作業も加速していかなければならないという強い印象を持った次第です、という趣旨の報告をしました。
 私からは以上です。


2.質疑応答

(問)会議で主張されたような温暖化対策に関して、先週の自民党環境部会でも環境税を含めた税のグリーン化を自民党として提案することになりましたが、改めて環境省として税のグリーン化に関してどのように進めていくお考えでしょうか。

(答)環境省としては、地球温暖化対策のための税制のグリーン化として、環境税、道路特定財源、個別税制のグリーン化の3つの視点を一本化して、自民党税調に部会要望とすることをお願いしていましたが、部会要望として決定したとの報告を受けています。本日、環境部会が、関係議員、部会、調査会の皆さんと話をしており、今、扱いは部会長一任とされています。部会長がそれらを整理し、明日、部会長から部会に確認の報告をします。それをもって、部会長が党税調に提出して説明をしますので、環境省はそれをバックアップしていくという状況になっています。

(問)ナイロビでの会議結果は一定の成果になりましたが、満足がいく結果だったと思われますか。

(答)2013年以降の扱いについて途上国、とりわけ中国が、これは先進国の問題だという考え方をかなり言っており、実際、会議が始まって、適応の問題や技術移転の問題がそれなりに着地点が見えてきた中で、この問題については見えないでいましたので、
 どのようにして2013年以降につないでいくか、どう整理していくか初めは非常に心配をしていました。しかし、2008年に協議するという段取りが見えてきましたので、そういう意味では良かったなと思っています。関係諸国の皆さんもほっとしたのではないでしょうか。

(問)思っていたよりは良い結果が得られたと思われますか。

(答)まとまらないとは思っていませんでした。そうした心配はありましたが、それを乗り越えなければいけないと思っていましたし、乗り越えることができました。その展望が開けたという意味で良かったということです。中国代表とは、バイ会談をしましたが、第一約束期間が終わった後、中国も一定の削減義務を課せられることになるのではないか、そうした議論に引っ張り込まれるのは絶対反対だという強い意向がありました。立ち話でしたが、ある主要な国から私に、日本ももう少し柔軟に対応してはどうかというような話もありました。しかしすべての国が、アメリカも含めてですが、その能力に応じて温暖化対策に取り組んでいくという前提がしっかりしない限りは、この温暖化対策は効果を挙げないだろうという意味で、そこは譲れないということを繰り返し主張してきました。

(問)アメリカの態度に変化の兆しは感じられますか。

(答)代表とは初めて会ったのですが、バイ会談では話をそらしていました。2013年以降の問題も含めて、これだけ削減しなければ地球温暖化がさらに進んで大変だと、先々について中長期の計画を立てて削減努力をしていくこと自身を否定するかのような発言がありました。主張の背景としては、科学的知見を共有していない、あるいはそうしたことをある程度予測しつつも、どういう対策を打てばこれだけ温暖化を防げるということが明確ではない、ということだと思います。いずれにしても話に全く乗ってきませんでした。ただ、実際、9条の問題などを苦労してネゴシエートしてきた実務の方たちの話を聞くと、概して全体的にアメリカはサイレント、静かだったということで、多国間の話の中では黙っていたようです。つまり自分の方にいろいろ注文が飛んでくることがないようにしていたのではないでしょうか。この間の中間選挙の結果で民主党が前面に出てきて、その結果として上院も下院も関係委員会の委員長は全部民主党が占め、「キャップ・アンド・トレード」といいますか、温暖化対策についてある種の法的な規制をかぶせながら抑制していかなければいけないと主張してきたような方たちが委員長に就任すると予想されています。そういう意味で、アメリカ連邦政府側も議会のそうした動きをどう受け止めるか、まだ方針が出ているわけではありませんが、全く無視してもいけないだろうという流れができつつありますので、政府代表側も今回あまり打たれて、あるいは反論することを通じて態度を明らかにすることになるような場面になることを避けたのではないでしょうか。これは予測ですが。

(問)アメリカに働きかけたが、思ったほどいい印象ではない、いい返事がなかったということでしょうか。

(答)最大排出国であるアメリカがこの義務を負わない、議定書から離脱しているのはおかしい、早く復帰してもらいたいというのが、日本だけではなく議定書の義務の努力をしている国々の共通の認識だと強く伝えました。それに対して、長期計画などあまり意味があるとは思えないということです。ですが、アメリカがきちんと踏み切っていかなければなりませんし、中国も土俵に乗らないのですが、そうした途上国にも入ってもらうためにもアメリカに入ってもらうことは絶対必要だという立場を強く主張しました。バイ会談の後、最後そのような話でまとまっていったので良かったのではないでしょうか。

(問)日本も排出が増えているなどと言われませんでしたか。

(答)何も言いませんでした。アメリカはああした政治情勢を背景に、今じっと貝になっているのではないでしょうか。

(問)アメリカに限らず、他の国からも何かなかったのでしょうか。

(答)ありませんでした。私は2日目のハイレベルセグメントで意見発表しましたが、かなり明確に言いました。会った方たちは概して、クリアカットに問題を出し決意を述べたことに好意的でした。

(以 上)

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