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大臣記者会見・談話等

若林大臣記者会見録(平成18年11月7日)


1.発言要旨

 本日の閣議ですが、一般案件2件、国会提出案件5件、政令5件、人事と資料配付がありました。
  環境省関連として、国土交通省と環境省の共同請議の下水道法施行令の一部を改正する政令案がありました。
  私からですが、昨今、世間の話題になっており、重大な問題であるクマによる被害への対応です。今年のツキノワグマの人里への大量の出没によって人身などへの被害発生、またツキノワグマの保護を進める上でも深刻な状況になっています。このため、今年のツキノワグマの被害状況等が非常に顕著である福島県、長野県、富山県の3県において、各県の協力も得ながら、この出没要因の調査を行うとともに、クマが人里に出没した際の対応マニュアルを緊急的にとりまとめて公表することとしました。こうした事項について検討するために、専門家による会合を11月10日金曜日の午後に、急きょ開催をすることにしました。詳細については後ほど事務方からお知らせします。マニュアルを作るということは、被害を防止するという意味で非常に大事なことだと考えています。 次に、非常に関心を呼んでいるナイロビでのCOP12及びCOP/MOP2の開催についてです。昨日、開催され、ケニアのキブワナ環境大臣が議長に就任したと連絡を受けています。現地からの情報によれば、キブワナ議長は挨拶の中で3点を強調したということです。
  1点目は、気候変動への適応対策を実行に移していくこと、2点目は、アフリカで普及が進まないCDMを改善すること、3点目は、共通だが差異のある責任に基づき、それぞれみんなが責任を負っていくということですが、将来の取組に対するモメンタムを維持することです。
  これらのいずれもが、今回の会合において大きく取り上げられることが想定されることから、今後の交渉に注目していきたいと思います。また、国会の承認が得られれば、私もナイロビに赴き、閣僚級折衝において、議論の進展に貢献したいと思っています。 我が国の主張は3つあり、第1番目は、2013年以降の温暖化対策の次期枠組みについてです。主要排出国であるアメリカ及び中国やインドに今後、何らかの形でポスト京都議定書である2013年以降の次期枠組みに参加してもらえるように、削減へのコミットを得たいということ、それと、長期目標とそれを達成するための道筋に関する合意に向けた議論を活発にしていきたいということ、削減ポテンシャルや削減能力に関する共通認識、科学的知見の共有ということが次期枠組みのために重要だと考えています。 2番目は、避けられない気候変動による悪影響に対する適応です。開発政策と密接な関係があり、また、各国の開発機関及び国際開発金融機関などの参加が不可欠であり、この適応の問題が大事だと考えています。
  3番目は、ケニアで開催されるということですので、アフリカにはどのような貢献があるかということにかなりの関心が寄せられると思いますので、アフリカへの貢献が議論されるだろうと考えています。我が国を始め、先進諸国がどのような貢献ができるか、しっかりと議論しなければならないと思っています。
  私からは以上です。


2.質疑応答

(問)昨日、安倍総理とお会いになって、COP12及びCOP/MOP2に関してのお話をされたと思いますが、そのやり取りについてお聞かせください。

(答)昨日、総理にお会いしてお話したのは2点です。
1点目は、チームマイナス6%がウォームビズを11月1日から始めるということで、これを活発に動かしていきたいというお話をしました。これまでチームリーダーは小泉総理が担当していましたので、今後は安倍総理にチームリーダーをお願いしたい、サブリーダは私がいたしますとお話して、了解を得ました。
「うちエコ」の話をしたところ、家庭の省エネ努力がこれほどの大きな意味合いを持つのかということに関心を示されました。ちょうど全国紙に出した日でもありましたので、その新聞をお持ちし、こうした形で全国へアピールします、来年になったら総理にも是非お出ましいただきたいとお話し、事務的に詰めることにしました。
2点目は、国会の了承が得られれば、COP12及びCOP/MOP2に私が参加しますとお話し、了承をいただきました。その際、ナイロビで何が課題になるかということをご説明し、ご理解いただきました。このことについては特段、総理の方から指示事項等はありませんでした。

(問)米国で中間選挙が間近に迫っていますが、この米国の政局が、今後の温暖化交渉に与える影響についてはどのようにお考えになりますか。

(答)関心を持ってテレビの報道を聞いたり、アメリカの政治に詳しい方に状況を聞いたりしています。民主党が優位に展開しているということは共通の認識のようですが、民主党が上下院あわせて半数を得るかどうか、これを得たときにどのような変化があるかということについて、少なくとも環境問題への関わりについては予想がつきません。

(問)COP12及びCOP/MOP2での議長の挨拶の中でCDMのお話がありましたが、日本はアフリカでCDM関連でどのようなことができるのかお聞かせください。

(答)CDMなどの具体的な話はまだ聞いていません。どのようなプロジェクトがあるのか、日本がその中で貢献できる分野があるのかどうか。まさに現地で、会議の過程でいろいろな問題が出てきたときによく話を伺って、できることなら貢献していくということになると思います。

(問)水俣病の新たな救済策について、なかなか時間がかかっていると思うのですが、時間がかかる理由について大臣なりのお考えをいくつか挙げていただきたいのですが。

(答)関係者の、これからどうするかという距離感というか、熟度がまだそれほど高まっているような感じがしないのです。前々からスタートを切っている与党の協議もありますが、その前に自民党内部の協議ということになると思います。水俣問題小委員会の園田委員長は地元の方でもありますので、地元の事情もいろいろと聞いていらっしゃるようですが、明日、自民党の協議が行われ、どのような対応をするか方向性を出した上で、公明党を含めての協議をするという動きになっています。訴えた方々からも、政治決着を、という話が出ていると聞いていますが、法制上の枠組みの中で動いていますので、熟度がないまま、困ったということで訴訟や認定申請が増え、政治的に色を付けてほしいというような話は、そのままではのめないと私は思っています。関係者間で問題の所在をもっと詰めてもらい、相当多数の関係者がこれなら解決できると納得できる着地が見えないと、政治決着と言ってみても決着しないのではないかと思っています。

(問)大臣ご自身は、その救済はどういう形であるべきだとお考えですか。

(答)皆さんの意見をよく聞いて決着できればいいと思っています。無理に何かやってもまた問題を巻き起こしていくのではないかという危惧の念はあります。

(問)やはり、もう少し時間をかけて考える必要があるということでしょうか。

(答)今のようなテンポで、自民党内部の協議あるいは公明党を入れての与党協議が進み、政治的な解決を求めるとすれば、与党がイニシアティブをとり、地域の方の話をすべて聞くと思います。そうした状況が非常にハイテンポで進んでいけば早めに着地が見えてくるかも知れません。行政は法律、制度に基づき事務を執行しているわけですから、行政側が、そういうことではうまくいかないのでこれぐらいのつかみでどうかというようなことはできないと思います。

(問)環境省として、今のところ政治の動きにゲタを預けているととらえてよろしいでしょうか。

(答)ゲタを預けるということがどのような意味か、あまりアバウトなので何とも言えないですが、政治の方が見通しを持ち、どのような着地をしたらいいか判断されない限り、行政からやっていくということではないだろうと思っています。議院内閣制であり、政治と対決しているわけではありませんので、与党と政府は一体となって行うものですが、事柄の性質から言えば、与党側が問題解決の見通しをもってもらうことだと思います。こういうことでどうだ、というような線が出てきたときに、関係省庁との協議をするのが我々の仕事だと思っています。

(問)明日の自民党水俣問題小委員会において、環境省としての打開案的な原案のようなものを出す予定はないのでしょうか。

(答)ありません。

(問)クマによる被害についてですが、緊急に対応マニュアルをまとめるということですが、クマが人里に出るのは毎年のことだと思うのですが、それまでに環境省としてそうしたマニュアルをまとめたことはなかったのでしょうか。またいつ頃を目途にまとめる予定なのでしょうか。

(答)後ほど、事務方から詳しくお話をしますが、今までにないほど多くの出没があり、捕獲数についても今までは2,500頭ほどだったのが、今年10月末現在で3,700頭ほどになっています。これは異常な頭数です。またこれに伴って、被害についても、前回出没が多かった16年度では被害者数は111名ですが、今年は10月末現在ですでに130名ほどの方が被害に遭っています。やはり、予防的に被害に遭わないような工夫をこらすことができるような、分かりやすいマニュアルを定めることに意味があるのではないかと思います。冬眠に入る前で、急がなくてはいけませんので、10日に関係各県に来ていただき、専門家の話を聞きながら、マニュアルを決めていこうということです。

(以 上)

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