環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成18年5月30日)

1.発言要旨
  今日の閣議ですが、一般案件が2、国会提出案件が8、法律が5、政令が5、配布が3、環境省関係では、主請議が3件ありました。環境の状況、保全に関する施策について、それから循環型社会の形成について。この2つは白書です。それから自然再生事業に関しての質問書が1つありました。
  閣議で総務大臣から、4月の全国の完全失業率が4.1%、沖縄については7.7%、前月比0.5ポイントの低下と出ていました。厚生労働大臣からは4月の全国の有効求人倍率が1.04倍、沖縄については0.44倍、前月よりも0.01ポイントの低下、前年同月比で同水準という結果が示されました。
  今日は米軍再編の閣議決定、国土交通大臣から首都圏の整備について、私から申し上げた環境白書、それから鳥インフルエンザについて、世界禁煙デー、食育月間についてということで、それぞれ閣議、閣僚懇が行われました。
  米軍再編の閣議決定でありますけれども、私からは、すでに皆さんのお手元に配ってあることをそのまま述べました。最初のところで、閣議決定案に対しては、沖縄県及び名護市から同意できない旨の意見が、私のもとに伝えられたということから始めまして、以下皆さんのお手元にお配りしたような発言を行ったわけであります。今回の閣議決定について容認できないということを、沖縄県、そして名護市の方から、私が今回、太平洋・島サミット関連で参りました際に、そういった主旨の話を述べておられました。もちろん、全否定ということではなくて、いろいろとそれぞれ県の思い、市の思いがあるわけで、そういうことを私が受けとめてきたわけでありますけれども、今後ともさらに地元の理解、協力が何よりも必要なわけでありますので、今後も地元沖縄の意見によく耳を傾けて対応していかなければならないと考えております。今後の協議において、地元沖縄の意向を反映できるように、今後とも努力をしていきたいと考えています。
  私からの報告ですが、5月26日から2日間、沖縄県の那覇市、名護市、恩納村を訪問しました。沖縄の各離島ごとに「沖縄こども環境大臣」を私が任命し、今年で2年目に入りました。留任した「沖縄こども環境大臣」も何人かいまして、聞いてみたら、島の人口が40人しかいなく、子供は私だけとか、そんな事情もあるようでした。この「沖縄こども環境大臣」と太平洋・島サミットに出席した太平洋諸島の国の子供たち16名が一同に集まりました。沖縄の子供たちは、みんな環境大臣であるということにとても誇りを持って、よく話をしてくれたと思います。太平洋の島々の子供たちと良いサミットができたと思っております。
  16名足す沖縄こども環境大臣28名、計44名ですが、とてもビビットな太平洋・島サミットジュニア版ができたと思っています。未来の沖縄を支える子供たちが、貴重な国際交流を体験したわけですから、今後の国際社会での沖縄の重要性であるとか、発信力をつけてもらい、子供たちの方から発信してもらえればと思っています。
  それから、別件でありますけれども、沖縄科学技術大学院大学構想の推進の拠点ができました。旧白雲荘というところで、私はまだ荒れているところを知っているがために、余計今回リノベーションされたところを見まして、とてもすばらしい建物ができたと思っております。「OIST Seaside House」と呼んでいるところです。それと入れかわりになりましたけれども、27日に東京で機構の第2回運営委員会が開催されて、そこではキャンパス施設の基本設計が承認されたということで、着実に大学院大学の方は歩みを進めているということであります。機構のブレナー理事長とも、その前に東京で私はお会いしておりますけれども、いずれにしてもこの大学院大学構想について、着実にしっかりと沖縄における知の拠点、世界に発信する知の拠点というものを作ってまいりたいと考えております。
  それから、環境白書、循環型白書ですが、今日の閣議で決定され、国会に提出されます。環境白書のテーマは、「人口減少と環境」と「水俣病50年」とです。水俣病については公式確認から50年の節目ですので、改めて取り上げて、その発生と拡大の経緯、被害救済の現状を説明し、なおかつ今後は医療対策などの充実だけではなくて、地域福祉と連携した取り組みが重要であることを述べました。人口減少に関しては、人口が少なくなると、その分いろいろと物を買わなくなるとか、車の台数が減ってCO2の排出が少なくなるだろうと考えがちですが、単身世帯が増えることなどによって、結果として人口減少でCO2がすぐ減るかといったら、そうではないということです。人口の減少が単純にCO2の排出量の減少につながらないことを浮き彫りにしました。循環型白書については、循環型社会づくりについての日本のこれまでの経緯、今後国際的に発信していく点などの必要性を書き込んでいます。また6月は環境月間、6月5日は環境の日であるということを申し上げました。
  私からは以上です。

2.質疑応答
(問)米軍再編についてですけれども、今日の閣議決定で平成11年の閣議決定に盛り込まれた北部振興事業については、今年度は実施すると書かれているのですけれども、ということは今の北部振興事業は、来年度は実施されないということでしょうか。

(答)いえ、地元からまさに最終最後までいろいろと意見が出てきたというのは、やはり今後の足がかりの部分を何とかならないかというような話がありましたわけであり、お手元に配っているように、「地元・沖縄の意見を踏まえ、北部振興事業などの振興策については、今年度の予算執行、19年度概算要求など適切に対応して参ります。」ということで、今後の振興策については従前のとおり継続して実施するという旨のことをそこに入れ込んだというように読んでいただければと思っております。今日、この閣議発言をしたということは、いろいろな地元の考え方、それらをきっちり私の方から言葉として表して、そして、それである意味ではフォローということをしたというのがポイントです。

(問)政府内で、必ずしもオーソライズされていないということでしょうか。

(答)いえ、これから今日の閣議決定を経て、今後地元の対策なども含めて進めていくわけですね。あと協議機関を設置するなど、これからいろいろな協議の場ということが進んでいくわけですから、そこで地元の声、要望をしっかり聞いてくださいということを、まず私からお願いをし、そして今後の節目、節目でその声を私が伝えていくということを確認したということです。

(問)今日の発言については、閣僚懇ではなくて、閣議での発言でしょうか。

(答)閣議での発言です。まず防衛庁長官から、今回の米軍再編の見直しについての発言、それから外務大臣の発言、そして私の発言と、この3段セットになっています。

(問)大臣の発言について、総理から、何らかのリアクションみたいなものは。

(答)これは閣議でのそれぞれの発言ということで、皆さんにしっかり受けとめてもらったと思っております。それに対して、一つ一つのコメントがあったわけではありません。

(問)今回、沖縄県、名護市が反対をしている中での閣議決定となったわけですけれども、日頃、国と県との架け橋を務めている大臣として、今回のこの閣議決定に納得されているのでしょうか。

(答)反対といっても、どこの何を反対しているかということを、やっぱり精査していかなければならないと思うのですね。やはり今回の米軍再編の見直しというのは、非常に大きなものであって、そして実際にこれまでの負担軽減という部分も実現されている部分も多いわけです。ですから、そういったことから、沖縄県としても全部が全部反対と言っているわけではない。これからも沖縄そして特に名護市や北部の地域の声に耳を傾けてほしいという、そのことをおっしゃっているわけで、それを伝えるのが私の役目であると。私の役目については何ら変わっているものではないと思っております。

(問)環境白書ですけれども、今回、水俣病を取り上げた意義というのですか、どのような効果を期待されるのかということをお尋ねしたいと思います。

(答)公式発見から50年という節目の年であり、改めて、これまでの経過を見直し、それから今後のあり方ということをまとめておくことは、意味があると思います。また、今後については、地域福祉という観点で水俣病対策をさらに押し進めていくことを盛り込んだつもりです。

(問)循環白書ですけれども、循環型社会の資源のリサイクルという話の中で、リサイクルセンターのような形で、廃棄物を受け入れて再資源化するような新たな戦略が書かれていたんですけれど、現実に可能かどうか、国内の法整備や国際的な理解を得られるかという問題もあるのかと思いますが、その点大臣はどのようにお考えですか。

(答)廃棄物は、よく言われるように、分ければ資源、混ざればごみで、まさに資源として価値のあるものも多々あるわけです。そういった観点からイーウエイストはいい例だと思っています。それらを国際的に動かして、そして価値のあるものにしていくことは、地域全体から見て資源の有効活用にもつながってくると思います。3Rについては、東アジアを含めた地域的な連携の重要性を、これからも情報発信や実際の拠点づくりなども含めて押し進めていく価値があると思っています。法整備の点は、今回容器包装リサイクル法が参議院での審議を残していますが、有効な資源の活用について、国内であるもの、それから国境を越えてやるものなど、それぞれ内容によって有効に回せるようにしていきたいと考えています。

(問)閣議前に、総理と額賀長官とお会いしてお話は。

(答)いえ、それはしていません。

(問)していない。お会いしていない。

(答)はい。総理とはしていません。

(問)そうですか。長官とだけですか。

(答)長官とだけです。

(問)どんなやりとりを。

(答)いえ、最後に詰めをしたということです。

(問)最後の詰めというのは。

(答)発言の内容を確認したということです。

(問)北方領土について、元島民の融資資格の法律上の問題で、お伺いしたいのですが。

(答)先だって、北方の関係の方々と懇談した際のお話を聞く機会の中に、ちょっと、そういったものがありましたが、これまでの旧漁業権者法の制定の経緯であるとか、それから引き揚げの問題とは違うのかもしれませんけれども、漁業権との関係などなどから、その終戦前後の3年8カ月の間で、北方四島で生まれながら、これまで元島民として融資の対象者の扱いをされていなかった900名ほどがいるという風に聞いているわけですけれども、私は旧漁業権とか引揚者とか、特に引き揚げについては、これは今も日本の領土であるわけですから、それはそちらとの絡みで引き合わせるのはおかしいと思っています。旧漁業権との関係は、もう一度ちょっと精査しなければならないと思いますけれども、私はこの3年8カ月の間で生まれた人たちということも、これも立派な元島民ではないだろうかというふうには思っておりますので、これは議員立法という形でいろいろ働きかけるということもしていきたいと思っております。

(問)水俣に戻りますが、昨日、熊本県議会が95年の政治決着のときに出されたような、同じ支援策を今回もお願いしたいというような要請を取りまとめられて、明日にでも大臣もしくは与党に要請すると思われますけれども、環境大臣としてはどういうふうに受けとめられるかという点と、懇談会がいよいよ大詰めで、委員主導で提言内容から全部書き起こすというふうになりました。その結果、中身はまだわかりませんけれども、かなり柳田委員はすごく環境省に覚悟を求めたところもあったと思うのですが、それをどう見ておられるのか、その辺は。

(答)熊本県のお話については、私はまだ書類も見ておりません。存じ上げておりません。懇談会の方については、いろいろ水俣の問題について、例えば省庁の縦割りとか、廃し難い日本の問題を抱えていると思っているからこそ、それを分析してほしいとお願いしています。委員の先生方には思いっきり書いてほしいと思っており、私はむしろ期待をしています。

(問)思いっきり書かれた内容については、受けとめられるべきは受け止めようという趣旨ですか。

(答)現実のところと、環境省だけの問題ではないということから、むしろ世にアピールしていきたいと思いますね。

(以    上)