環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成17年12月13日)

1.発言要旨
  おはようございます。
  今日の閣議は、一般案件が3件、国会提出が4件、政令が2件、配布が1件、環境、沖縄・北方、それぞれ関連の主請議などはありませんでした。
  閣議で、私から今回のモントリオールでのCOP11についての報告をさせていただきました。他にも麻生大臣の海外出張についての報告がありました。
閣僚懇では、タウンミーティングの報告がありました。
  私から3点、報告があります。一つが沖縄関係です。12月25日、26日の2日間で、美ら島ブランドシンポジウムを沖縄で開催するため出張いたします。場所は、最初に石垣島に行きまして、翌日は小浜島に行きます。これはNHKの連続テレビ小説「ちゅらさん」の舞台となった小浜島をベースにして会議をやろうということですが、その「ちゅらさん」に、おばぁ役として出演された平良とみさんという女優さんにお越しいただきます。平良さんは八重山を長い芸能活動のルーツとされておられまして、まさに離島との関わりも少なくないということで、離島のことや沖縄の芸能、芝居のことなど幅広くお話を伺いたいと思っています。これは26日の午前中を予定しています。せっかくの美ら島ブランド委員会ですので、まず現地、現場で開こうということです。それからいろいろな方々からもお話を伺って、更に意味のあるものにしていきたいと思います。どうぞ皆さんもクリスマスシーズンですが、モントリオールの疲れを癒すという意味でも、お越しいただきたいと思います。
  次に、環境関係です。先週、株式会社島津製作所の窒素酸化物(NOx)の測定装置について、二酸化窒素(NO2)濃度の測定値が実際よりも低くなるという技術的問題がある可能性が明らかになりました。私はモントリオールでその報告を受けておりました。大気汚染の状況を正しく把握することは、大気汚染対策を進める上での基礎となるものであり、その意味では今回の事態は極めて問題だと考えています。そこで、まず正確な環境状況を把握すること、今回の事態の原因の究明をすること、再発防止策を検討し実施すること、この3点を基本として事務方に私から指示をしました。具体的には、島津製作所の測定装置を設置している測定局について、過去の測定データの精査や他の測定装置を用いた並行測定、車で引っ張ってくるモバイルの形のものがありますけれども、それで合わせてみて、その違いなどをチェックするということ。それから、島津製作所に対して今回の事態の原因や今後の対応、再発防止策などについて正確な説明を引き続き求めていきたいと思います。また、環境測定装置全般の信頼を確保するための調査検討を行うこと、これらを指示しています。
  それから、COPの取材で同行された皆さんもご苦労さまでございました。12月7日から9日、実際は10日の未明まで、それも帰りの飛行機に乗れるか乗れないかという本当にぎりぎりのところまで会議が行われました。最後のところは、「伏兵あらわる」でした。
  いずれにしましても、今回は、COP11とCOP/MOP1の記念すべき年の会議でしたけれども、船は無事出航したということだと思います。かねてより申し上げてまいりました、全ての国が参加する実効ある枠組み構築のため各国の結束を訴え、呼びかけるという、我が国の基本ポジションですが、そのステートメントに沿って、日本が考えてデザインした形でのまとまりができて、まずは私もホッとしているところです。
  それから、現地では政府代表としてステートメントの発表、サイドイベントでプレゼンテーションを行って、我が国がどのような形で対応しているかという紹介を行いました。それから、バイ会談は一つ一つがすべて交渉という形になり、カナダのディオン大臣、アメリカのドブリアンスキー国務次官、イギリスのベケット大臣、インドのラジャ大臣やサウジアラビアのナイミ大臣など、各国の代表と個別に交渉を行わせていただきました。 
今回の会合では、京都議定書のルールブックであるマラケシュ合意等が採択され、議定書の遵守ルールが採択され、遵守委員会が設置されました。ここには日本の浜中さんと工藤さんがそれぞれ任命をされました。また、将来の行動については、アメリカも含めて「長期的協力に関する対話」に合意するなど、今回の会合は様々な成果を得ることができたと思います。最後のロシアの説得はイギリスのベケット大臣と私との共同作業のような感じで、ロシアのベドリツキーさんと交渉して引き止めたり説得したりしました。ベケットさんとは極めて緊密でお互いに信頼し合う仲間ですし、ベドリツキーさんも、これまで3度ほどお会いして、大体のパーソナリティーもよくわかっていました。やはり初対面同士でなかなか説得とか交渉はできないということがありますので、その意味では、COPに3回目として出席した背景があり、私自身が交渉に参画し、なおかつそれが最終的には成果に繋がったので、非常に手ごたえも感じていますし、やりがいがありました。
  私からは以上です。


2.質疑応答

(問)ロシアとの経緯というか、大臣の発言などをお聞かせ下さい。

(答)ロシアは、むしろ自発的に削減努力をすることを入れてほしいということをプロポーズしていましたが、おおよそ、途上国は受け入れられないと思います。しかし、逆に日本からすればありがたい提案であったわけです。その提案というのが、ちょっと他の国々はついていけない状況でしたので、なかなか受け入れられないということで、ロシアは不満に思っていたということだと思います。ロシアの代表も、そこを何とか自分たちの意見も聞いてよということで、だんだん不満が積もっていったのかなと思っています。

 反対に対して反対をするというか、もっと激しく反対をするというのではなくて、逆に歩み寄りを見せてくれているという提案でしたので、非常にその辺がわかりにくいというか、先進国側とすればありがたい提案でした。しかし、それでは全てのまとまりがかえってできなくなるという困難さがありました。結局、最終日の夜まで、事務方の交渉ということで西村大使と環境省から笹谷審議官が直接当たっていましたが、私も現場に行ってと思いまして、ホテルから会議場に参りましたら、ちょうど議長ほかでロシアを説得しているところでしたので、その場に加わったということです。ロシアが途中で席を立ち、それでプレナリーが開かれましたが、次のプレナリーは、ある意味すごくよかったと思います。いろんな意見が平場で出てきました。そこで問題点がクリアになったし、課題も明確になったということで、結果として、ロシアは最後まで大変ではありましたけれども、COPが抱えている課題が明確にもなったし、また次に繋げていく意味では非常によかったのではないかと思います。「雨降って地固まる」みたいなところがあったような気がします。また改めて、今回の会議が歴史的であったということが印象づけられたと思います。

(問)よく経緯がわからないところがあるのですが、環境税の話で、もうじき結論が出ると思いますが。

(答)こちらの方も、刻一刻と事態の変化については、モントリオールでずっと報告を受けていました。その中で、環境税については9日の自民の税調で賛否両論の意見が出されたと聞いております。それから、今日の午前中、正副顧問幹事会議、午後が小委員会ということで、環境税も議題に上がると聞いていますので、先生方のご賛同を得るべく、これからの時間を使っていきたいと思っています。

(問)先ほど、安倍官房長官と10分ほど話されたと聞いていますが、何を話されたのですか。

(答)いろいろです。

(問)昨日、総理は、安倍さんは逃げるべきではないという発言をされましたが、これについて、ご意見がありましたらお聞かせください。

(答)どういう文脈で言われたのかわかりませんが、各国、若い人たちが頑張っていらっしゃいます。安倍さんもそう若くはないのというか、イギリスなんかもっと若いじゃないですか。39歳ですよね。そういう意味では頑張っていただきたいと思います。

(問)もう一点COPについて、最終的にアメリカは譲歩を迫られたという理解でいいのですか。

(答)いや、私はそうは考えていないです。アメリカとしても、UNFCCCの枠組みについては、もともと入っていますし、それを継続していこうということについては何ら反対の立場ではないと思います。ただ、京都議定書との絡みとなりますと、非常に敏感になっています。ただ、前回はセミナーという言葉に非常にこだわりましたが、今回はダイアローグという形に表現は変わっていますけれども、その位置づけはよりオフィシャルなものになっていますし、その報告はきちっと締約国会議にもしていくということですので、譲ることを迫られたということよりも、ある意味で積極的に参加してくれているという理解をしています。

 

(以    上)