環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成17年11月25日)

1.発言要旨
  おはようございます。
  閣議は、一般案件が1件、政令が3件、配布が1件、環境、沖縄・北方関連はありません。
  今日は、CPI(消費者物価指数)、一言で言えば、いまだデフレ続きです。
  それから、海外出張などの報告、三位一体などもいよいよ佳境となり、調整よろしくということでした。それから、鳥インフルエンザ関連、それぞれ関係閣僚から報告がありました。
  私からの報告は2点あります。
  明日、土曜日に尼崎市で、アスベストに関連した懇談会を開きます。被害者がいらっしゃる現場ということで、直接お話を伺ってこようということです。
  健康被害の救済については、今日も各社書いておられますが、現在、環境省と厚生労働省を中心として新たな立法措置の検討を、かなり詰めて話をしているところです。具体的な内容、費用負担などについても鋭意検討中ですので、できるだけ早くまとめていきたいと考えています。
  もう1点は環境税です。前回、コーヒー1杯180円、これによって地球を救いましょうとアピールをさせていただきました。
  先だって、一般紙、専門紙を使って産業界から環境税反対の意見広告が掲載されました。しかしながら、今年はクールビズなどで大変、環境の面で注目も集めさせていただきました。世界的に見て、環境の一番の大きなテーマは京都議定書の発効という年であったと思います。そして、来月はモントリオールでCOP/MOP1に臨ませて頂きますが、どうも危機感がかなり違うのではないかと思います。これから政府税調、与党の関係という形で進んでいきますが、環境省として、また私としても、地球温暖化対策というのはアスベスト問題ではありませんけれども、予防的アプローチの最たるものですので、だからこそ対処していかなければならないと思っています。産業界の方は、これは増税ではないかという話がありますが、むしろ、よくやってくださるところに対しては減税措置をしようということですので、増税には当たりません。
  森林については、手入れが不足している森林面積が520万ヘクタール以上にのぼるわけで、それに手入れをしていこうとすると不足額は2,000億円近くになります。このため、環境税の税収が、森林の手当にどうしてもかかってしまうということですが、基本的にはしっかり取り組んでいただいているところに対しての減税であったり、技術開発に対しての支援であったりということで、いわゆる純粋増税という形には当てはまらないと私たちは考えています。
  それから、石炭火力問題をもう一度見直すべきではないかと思います。原子力発電所のさまざまな問題が生じて、その分を石炭火力に頼ったことが大きなCO2の排出を生んでしまっているということです。電気量当たりのCO2の排出量は、京都議定書目標達成計画上、約27%の減少が必要なのに対し、実際は逆に3.5%悪化しています。この石炭の増加が相殺されて、電気に伴うCO2排出量が政府の計画通りに減少していくのか、かなり心配をしているところです。石油価格の高騰という別の材料もあって、いろいろなシフトも進もうとしていますが、ここははっきりと明確に意志を持って、CO2の排出を変えていこうという、きっかけを作っていきたいと思っています。
  いろいろな指摘の中で、アメリカが入っていない、中国やインドが義務を負っていないなど、それこそ、このモントリオールの会議で、そういった重要なテーマを話し合うものだと思います。環境で日本はもっとリーダーシップを取るべきだと言いますが、世界に対して、京都議定書の約束を達成できない国がどうやってリーダーシップを取ることができるのかということを強く思います。
日本の経済をリードしている分野は何かといったら、環境技術に優れた産業、そして環境技術に特に注意を払っている企業です。これらの企業が経済をリードしていることを考えると、環境税は負担どころか、それを引っ張っていく牽引役にもなり得ると思います。 20世紀では、経済優先ということで環境は後回しにされてきましたけれども、今こそ環境税を一つのツールとして、経済優先から経済と環境の統合ということを実現していきたいと思っています。
地球のために180円、これを何に使うかというと、荒れた森林の再生に役立てます。昨日も行ってきましたが、エコ住宅の普及を推進し、自然の力を利用した発電をサポートします。他にも、エコビルディングの普及の促進、グリーンエネルギー自動車の普及を加速、そして自然燃料、バイオマスの利用促進などです。こういった支援をして、品位ある国家づくりをするために、これを進めていきたいと思います。そういったことに反対するのは簡単ですが、しかし、そこをどうやっていくのかというところまで責任を持って考えると、こういう結論になってきます。そして、それを実効していく自信があるということを申し上げたいと思います。
  私からは以上です。


2.質疑応答

(問)党税調の議論も始まりますが、これから大臣が産業界のトップにお会いになるとか、もしくは税調メンバーにお会いになるといった予定はあるのでしょうか。

(答)いろいろな機会をとらえて、日本の置かれている現在地がどこにあり、方向はあっちだということについて説明をする機会をどんどん作っていきたいと思います。いろいろな形で説得し、御理解をして頂きたいと思います。

(問)明日のアスベストですが、どのような方々とお会いになる予定ですか。

(答)今回、お目にかかることにしているのは、被害者とその家族の方々です。中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会関西支部の方々をベースにして、患者の皆さん、家族の皆さんという形になります。できるだけ多くの方から直接お話を伺いたいと思っています。

(問)大臣から、何かアスベスト対策についてお話しになることはありますか。

(答)まずお話を伺うということです。そして、御質問なども出てくるかと思いますので、政府としても対策を練っているところでありますので、その現状などについてと、考え方や方向性などについてお話しできるかと思います。

 

(以    上)