環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成17年10月25日)

1.発言要旨
  おはようございます。
  今日の閣議は、一般が4件、国会提出案件が3件、政令が2件、配布が5件、沖縄・北方、環境関連はありませんでした。
  閣議において、私から発言をいたしました。
  ソウルで開かれた第7回の日中韓3カ国環境大臣会合の結果を報告いたしました。会合では、日中韓3カ国の極めて実のある意見交換、情報交換ができました。また、これから協力してやっていく方向性などについても改めて確認をしてきたところです。閣議は以上です。
  まず、沖縄の件で、発言させていただきます。沖縄での記者会見で前にお話ししたかと思いますが、御承知のように、沖縄は、本土と比べて出生率は高い傾向にありますが、残念ながら産婦人科のお医者さんが不足しています。特に、本島の北部の県立病院の産婦人科はお医者さんがいないので、4月から休診している状況です。救急対応のできる病院が地域にないので、北部に住む妊産婦の皆さんは大きな不安があります。そこで、産婦人科の話だけではなく、沖縄の県立・公立病院で働いてくださるお医者さんもまだ十分とは言えないので、お医者さんを募集したいと思います。脳神経外科のお医者さんも募集しているとのことです。ちょっとこんなクリップを作ってみました。沖縄で働いてくださるお医者さんを広く募集をしたいと思います。
  委細面談と書いてありますが、公務員としての待遇なので、そのあたりはおわかりいただけるかと思います。ここにアクセスして、ホームページをチェックしていただきたいと思います。健康の島沖縄ですので、真の意味で健康を守るという意味でも、ぜひ沖縄の方で働いていただきたいと思います。
  次に、環境税について、環境省の具体案を取りまとめたので、報告します。
  深刻化する地球温暖化問題への対応は、喫緊の課題です。さらには、京都議定書が今年の2月に発効したことにより、温室効果ガスの90年比で6%削減することは、日本の国際的な義務となっています。また一方で、2004年度の温室効果ガスの排出量、速報値でありますが、先だって発表したように、逆に約7%強の上昇になっており、ギャップは依然かなり大きいものがあります。
  京都議定書の目標の達成をより一層確実なものにするためには、規制を受ける人、そして大企業による自主行動計画といった限られた範囲による取組だけではなくて、あらゆる手法を総動員して、国民の皆様が広く参加した、さらに裾野の広い取組を進めていくことが必要です。このためには、夏のクールビズ、そして今のウォームビズなどを初めとする普及啓発に加え、国民全体が温暖化対策に参加していくための仕組みとして、環境税を導入することが是非とも必要と考えています。環境税は、中長期的にも、現在の国民のライフスタイル、そして社会経済システムを脱温暖化へと転換する推進力になるものと考えています。
  内容ですが、まず原油価格が高騰していることも踏まえ、環境税の規模は必要最小限のものに抑えます。そして税収は、荒れた森の再生、企業そして家庭が行う温暖化対策のうち、特に緊急に必要な対策にその全額を充てたいと思います。それを集中的かつ強力的に進めていきたいと考えています。
それから、地球温暖化対策への企業の取組を奨励する観点から、削減努力を行った企業に対しては環境税を軽減する仕組みを盛り込んでいます。グッズ減税・バッズ課税と言われるところです。
  ガソリン、軽油等については課税対象とはしますが、原油価格が高騰しており、かつ既に他の燃料と比較して、高い税負担となっているということも考慮して、当分の間、適用を停止します。
  また、御承知のように、特別会計や特定財源のあり方についての検討が行われているところですが、環境省として、地球温暖化対策の観点から、このエネルギー課税などの環境負荷に関連する諸税の税率の水準を維持していただきたい、また、この環境税案の税収規模では緊急に必要な対策の実施が当面確保されるにすぎないことから、特別会計、特定財源の改革に際しては、その財源を地球温暖化対策にも充てること、この2点を環境省として要望するところです。
  新税のことですので、引き続き、政府税制調査会、与党の税調などで御審議いただき、また、国民の皆様方、関係省庁、産業界からの御意見、御理解をいただきながら、環境税の実現に向けて、最大限の努力を払ってまいりたいと思っています。
  私からは以上です。

2.質疑応答
(問)当面の税収が3,700億円からは随分小さくなるかと思いますが、そうすると、大半が森林整備になってしまうような気がしますが、その点はどう考えられますか。

(答)森林整備が大半ではありません。そこはバランスよく、また最も効果的な形になるような、税収の使い方をしたいと考えています。

(問)ジェット燃料については、航空会社に対して、税率は軽減になるのでしょうか。

(答)ガソリン、軽油等のところに含まれる形になると思います。世界の航空会社もそうですが、ジェット燃料が非常に高くなっていて、かなり厳しい状況にあるところに、この環境税で負荷をかけるのは現実的ではないという考え方から、そこは外すということです。

(問)すべての航空会社のジェット燃料ということでしょうか。

(事務局)すべてです。

(問)裾野を広くしてということですが、ガソリンとか、場合によっては家庭での消費が多くて、その割には小さいと思いますが、その辺はいかがですか。

(答)もっと取れということであるなら、そうしたいのですが、既に原油価格の高騰がいろいろな形で出てきております。そういったところと、これからの景気の全体を見て、さらに景気をよくする中で環境をよくすることによって、景気が種類を変えてよくなるという方向にしたいと考えています。昨年との大きな違いとすれば、原油価格の高騰であり、これをしっかりと折り込んだ形で、なおかつ環境によくする方法としての設計をさせていただいたところです。

(問)当面の間とは、どれぐらいの期間を想定すればよろしいのでしょうか。

(答)当面の間です。

(問)昨年と今年の違いは、どのようなところでしょうか。

(答)昨年は、社会保障を組み込ませました。いわゆるヨーロッパ型のことも念頭に入れた形でしたが、それを除くと、基本的には昨年と大きな違いはありません。むしろ明確に地球温暖化対策であることを打ち出したと考えています。

(問)環境税として、既存の税制を充てるという考え方もあったかと思いますが、あえて新税を打ち出したことについての意味を教えてください。

(答)基本的に、これから各種の税制の議論が始まりますが、やはりCO2をどのようにして減らしていくかに着目するならば、むしろ新税という形の方がいいのではないか、その上でこれからのさまざまな議論を見守って、またそこに我々としても意見を言っていくという形をとりたいと思います。

(問)経団連が当初から反対の表明をするなどしていましたが、それについては、今回の発表に対して何かありましたか。

(答)環境税というイメージ、それから昨年の環境税の設計に対して、これまで経団連の皆様方は、1つのメッセージとして反対とおっしゃっていました。しかしながら、まだこの設計の中身については、よくご存じないと思います。これから経団連、同友会も含めて、設計、思想、その効果と、丁寧に説明して回ろうと思っています。

(問)沖縄の医師募集の件ですが、産婦人科と脳神経外科と先ほど総じてとおっしゃっていましたけれども、それ以外にも診療科目を募集するという考え方ですか。

(答)特に産婦人科、そして脳神経外科ということが緊急に必要であると、特に産婦人科ですね。お医者さんの数というのは、沖縄全体で考えますと、やはり不安があるということからこの際、皆さんが手を挙げてくださって、どういう方が来ていただけるのかということにも参考にもなるかと思います。まずは産婦人科の方をお願いしたいと思います。
  また、産婦人科と小児科というのは、これ全国的に見ても今減少傾向にあると聞いております。いろいろと仕事上ほかの科と比べまして、なり手がいないとか、そんなこともあると聞いております。特に出生率が高く、元気な沖縄に生を受けるときに、お医者さんがいないというのはとても心細いことだと思いますので、まずは産婦人科の先生に来ていただきたいと思います。

(問)すると、プロジェクト名の先ほど呼びかけられた広告というあれが旧漢字ですが、これは年配のお医者さん……。

(答)ちょっとおしゃれなものにした方がいいかなと思ってのデザインで、そこまで考えておりません。

(問)環境税についてですが、既存のエネルギー諸税の税率について現状の水準を維持するという形の一方で、ガソリン、軽油、揮発油税、軽油引取税にも関わると思います。向こう側の見直しで水準が下がるようなことがあれば、仮に環境税の徴収手段ですが、そういう積極的な関与は打診中ですか。

(答)これからの全体の動きを見ながらということになると思いますが、今、暫定税率の引き上げ等を元に戻す、暫定ではないレベルにという話がありますが、それをしますと、逆に環境に対しての負荷となってしまう、そこまでは容認できないという意味で、まずはこの点について訴えさせていただきました。これについても、今後の議論が行われるところですので、見守りつつ、必要なときにさらに声を挙げていきたいと思っています。

(問)昨日のイフタールについて、ご感想をお聞かせください。

(答)これまで二度ほど個人的に行ってきたイフタールですが、断食の期間は1カ月で、この間に世界中各国で、例えばアメリカはホワイトハウス、それからフランスやイギリスなどは外務大臣のホストによってこのイフタールが行われています。
  私も日本の首相官邸で行うことに意味があるのではないかということでお願いをしたところ、快く受けて下さいました。また大使たちも、今年はどうするのかと言って、私に要請、要望もございました。であるなら、せっかくですから首相官邸で行っていただくということで、3年目にして首相官邸でのイフタールが実現して、大変よかったなと思っております。
  また、首相官邸の年中行事の1つに、これから毎年入れていただければいいなと思っています。イスラムの食事はヒツジであるとか、食材の特別なものがあります。ヒツジをほふる際にお祈りをしなければならないとか、いろいろな約束事がありますので、それを日本の調理場でやるというのはなかなか難しいこともあって、それぞれの大使が持ち寄っていただき、日本の参加者にこういった食事がありますよという文化を紹介していただくということでも御理解を得て、持ち込んでいただいたところです。
  ずっとこのイフタールが続ければと思っていますが、問題は陰暦でありますので、大体毎年12日ずつ早まってくるので、来年は多分9月の何日からか始まるので、こういうイスラム暦に目を向けることも、一つ日本の文化の目安がふえるということでいい結果になるのではないかと思っています。
  44カ国ですので、世界中の国々の数からしたらすごい数字だと思います。

(以    上)