環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成17年8月26日)

1.発言要旨
  おはようございます。
  今日、26日の閣議でありますが、一般案件が5件、公布が1件、政令が1件、配布が1件、環境・沖縄北方関連のものはございませんでした。
  この他、岩永農水大臣の豪州訪問の報告と消費者物価指数の公表があり、消費者物価指数はまだ下落が続いているということです。
  閣僚懇では、タウンミーティングの報告などがありました。
  その後、アスベスト問題関係閣僚会合が開かれ、環境省も含め、各省の検証が報告され、新規立法の次期通常国会提出を目指す方向性が定められました。スピード感を持ち省庁の縦割りを廃していきますが、作業に時間がかかるものもあるので、次期通常国会に新規法案が出せるように準備をしたいと思います。
  私からは、以上であります。

2.質疑応答
(問)過去の検証に関する感想をお願いします。また、救済策については臨時国会提出があり得るのかなと思いますが、これについてはどうでしょうか。

(答)環境省は、これまでOBの方々を含め、対象200名に聞き取り調査をいたしました。過去の国会答弁も含めかなり踏み込めたと思います。
  新規立法は、実体調査をしっかりやらなければならないので、ドタバタで決めるわけにもいきません。省庁間の連携をとり、しっかり対応していくことが必要と考えています。また、被害者の方々の救済の方向を決めると同時に、これから起こり得る危険をいかにして防止していくのかを検討する必要があると思います。
  過去の部分と、これからの部分と両方考えながら、すき間のないシームレスな法律を作る必要があり、その制度設計は、きちんとしたものでなければならないと思います。バランスのとれた、きちんとした新規立法で取り組むため、時間を少々いただきたいと思います。

(問)救済の対象者は、今後どのような形で決定していくのでしょうか。

(答)これは難しいところであり、例えば、どのような環境にいらしたのか、現時点でわかっているのは本当に様々です。そのあたりの精査に時間がかかると思います。
  いずれにしても、すき間のない対応を念頭におくのが今のあるべき姿勢だと思います。

(問)個人的な見解で良いのですが、どなたが救済の費用負担をすべきだとお考えでしょうか。

(答)だれが費用負担をするかは、総合的に判断しなければなりませんので、個人的な意見を申し上げる段階になってないと思います。

(問)クボタの例では、労災と見舞金にかなり差がありますが、そのあたりは新規立法でどのように考えていますか。

(答)労災が適用された方、労災が適用されない方、周辺住民の方々でもクボタから既に見舞金を受け取られた方とそうでない方、実体が非常にまばらです。何をどう対応するか改めて検証しながら進めていくことが必要と思います。これまでの問題点を検証した結果、新たな法律でないとカバーできないと確認できた点において、今日の閣僚会合の意義は大きいと思います。
  いずれにしても、今後の問題として、その責任のあり方が問われるのですから、一度テーブルに全部並べて、きちんとした体制がとれる法律にしていく必要があると思います。

(問)過去の検証について、小池大臣からどのような発言をしたのでしょうか。

(答)私からは、完全に科学的確実性がなくても、深刻な被害をもたらす恐れがある場合には対応を遅らせてはいけないという、予防的アプローチが社会全般に欠けていたのではないか、浸透していなかったのではないか、ということを申し上げました。
  その点について、私は率直に反省すべきではないかと思っています。環境問題において、アスベストだけではなく、様々な予防的な措置を、どこで実行するかについては、経済とのバランスの問題で遅れがちだったと思います。ですから、これは今回の大いなる反省として、予防的アプローチに軸足を置かなければならないのではないかと思います。水俣でもその他の公害でも同じことが言えて、危険性をどの時点で判断するのか、その判断が遅れることによって、社会の負の部分が大きくなってしまうのです。経済と予防的な措置のバランス感覚を持たなければならないという意味で、率直に反省すべきではないかと申し上げたのです。

(問)規制する側の官庁である当時の労働省や通産省についてはいかがでしょうか。

(答)これまでは、何も問題がなかったと言い切りそうなところでも、今回はしっかり検証されていると思います。またこれからの方策を考えるに当たっても、各省庁の協力体制を作らないと、すき間が生じる恐れがありますので、今回の関係閣僚会合をベースに、各省庁の連携が図れるよう、私なりに努力したいと思っています。内閣官房でもそういう観点で進めていただけると考えています。

(問)この検証は、まだ続くと考えて良いのでしょうか。

(答)検証は、これで終わったのではなく、引き続き行っていきたいと思います。

(問)前回から1カ月経って、評価に物足りなさを感じるのですが、例えば第三者を含め、もう少し評価の部分を見込んだ検証をしていくことになるのでしょうか。

(答)新規立法の作業はできるだけスピード感を持ってやらなければならないと思います。と同時に、検証も進めていく。この両方をダブルトラックで進めていくことによって、対策がさらに明確になるのではないかと思います。

(問)大臣は、予防原則が確立されていなかったと言われました。今の立場からは、何となく言い訳に聞こえる部分もありますが、そのあたりで大臣が率直に思われることを、お話いただけますか。

(答)検証全体を通じて、率直に反省すべき点はあると申し上げました。当時の環境庁は、吹き出しのところに集中して、そこを自分の縄張りのようにして大気汚染の測定を進めたことなど、まさに縦割りの問題というのがあったのだろうと思います。検証を通じても、そういった声があったと言われたわけですから、そこは反省すべきところを反省しなくては前に進めない、本当の環境行政の形はとれないのではないかと思っています。


(以    上)