環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成17年7月29日)

1.発言要旨
  おはようございます。今日の閣議では、一般案件が5件、国会提出案件5件、政令4件、配布4件、環境、沖縄・北方関連はございません。
  閣議では、総務大臣から、雇用状況について6月の完全失業率は全国で4.2%との報告がありました。沖縄県は7.7%、前月比で0.1ポイント、前年同月比は1.0ポイント低下で改善しています。厚労大臣から、6月の全国の有効求人倍率は、0.96倍との報告がありました。沖縄県は0.45倍、前月と同水準、前年同月比で0.05ポイント上昇し、こちらも改善しています。
  閣僚懇では、人工降雨技術について、棚橋大臣からどうやって雨を降らせるかの説明がありました。
  閣議の後、アスベスト問題に対しての関係閣僚会議が開かれました。最初に事務方から報告があり、その後、それぞれの関係大臣から発言がありました。私からは、情報公開と省庁間での情報の共有について申し上げました。いずれにしても今日の資料で、今後の対応を示ししていますので、御参照ください。また、これからもスピード感を持って、しっかりした検証も同時に進めていくという話でありました。
私から、報告があります。
  8月1日から5日まで「環境と交通に関する世界会議in愛知」を開催します。記者発表資料をお配りしていますので、御参照いただきたいと思います。環境面から持続可能な交通の在り方について議論します。また、アルピニストの野口健さんと私との対談等も予定しています。 
  私からは以上です。

2.質疑応答
(問)アスベスト問題ですが、与党や閣僚の一部から特別立法として補償の問題を解決すべきではないかという声が上がっているようですが、小池大臣はそのことについていかがお考えでしょうか。

(答)今、各種の調査が始まったばかりですが、関係閣僚会議を開くなど、かなりスピードアップしてやっています。どのような形でやっていくかは、中皮腫とアスベストの関係、それからその後の治療の話も含めて、非常に詳細な部分を詰めていかなければならないと思っています。
  厚労大臣もおっしゃっていたと思いますが、私も申し上げたように、シームレスな対応をしていかなければならないと思います。労災の期限が5年という問題に加え、例えば子供の頃に工場に入って遊んでいた方に中皮腫の疑いがある、もしくはもう既にお亡くなりになったなど、いろいろな事例が出ています。それは労災なのか大気問題なのかという議論なども出てくるわけです。その意味で、さまざまな対応の方法を考え、同時にしっかりとした調査をして、漏れのないように対応できる方法を探したいと思います。あれがいい、これがいいということを、現時点で決めるよりは、まずしっかりとした対応策が出るように調査を進めたいと思います。

(問)容リ法の関係ですが、昨日、経済界の方の記者会見があり、リサイクル費用は払うけれども、今後の展開次第では国を訴えるという旨の発言もあったようですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。

(答)企業のコンプライアンスが言われる時代ですので、今回の支払い留保は、いかがなものかなと考えておりました。その意味では、法治国家の中の企業として支払いをしていただけるということで、まずは一安心です。それから、先だって環境省にお越しになって、私自身がお会いしたのですが、主張なさっておられることについては、しっかりと伺いたいと思います。不透明さや不公平さ等の具体的な内容もお聞きしたいと思います。引き続き開かれる容リ法の見直しに関する審議会には、企業の代表の方も参加しておられますので、そういった場できっちり述べていただければと思います。今後の展開については、意見交換などもしっかりした上で考えたいと思います。

(問)アスベストの補償ですが、当面の結論、例えば特別立法や調査などについて、どれぐらいを目途にして一応の方向性を固めるというお話があったのでしょうか。

(答)目途については、十分な実態把握を進め、幅広く検討し、9月までに結論を得ることが決定されています。これを目標として、できるだけ早く、前倒しになればそれに越したことはないと思います。

(問)これまで各省庁で検証を進めてきましたけれども、政府としての検証の評価等はいつぐらいを目途にお考えでしょうか。

(答)環境省では、皆さんへの公表と当方の分析は、ほぼ同時進行です。日にちの確定などもきっちりと進めています。
  政府の過去の対応は、8月までに検証したいと思います。

(問)過去の検証ですけれども、今までの過去の検証というのは、それぞれの省庁がどういうふうにやったかということだと思うのですが、通産省とか、いろいろな力関係の中で、経済優先という時代の中で限界があったと言うのであれば、例えば文書でどういうものがあるかということを、省庁間のやりとりについても、きちんと詰める必要があると思うのですが、その辺についてはどうですか。

(答)その当時、誰が局長で、誰が課長で、誰が担当していたかは聞いています。当時の環境庁は、いろいろな役所からの出向がほとんどであったということもありますし、また、文書として残っているのは国会の議事録といった完全なオフィシャルなものです。そこでどういう発言になったのか、そんなことも調べる必要があると思います。省庁間のやりとりについては、何より職員に聞くのが一番早いと思っています。

(問)その点で、大臣が最初におっしゃられた各省庁間の情報の共有を、あえて今日言われたことは、その辺を意識して言われていることですか。

(答)私だけでなく、その重要性については、ほぼ全員がおっしゃっていました。例えば防衛庁長官は、米軍基地での作業に当たっていた方の被害について言及されました。これについても、各省で情報を共有しようという話になりましたので、情報共有の部分は重要だと思います。

(問)アスベスト被害者で労災認定が出ている事業所のマップを公表するというお話があるようですが、住民の不安の解消にということだと思うのですが、場合によっては不安を煽る一面もあろうかと思います。その辺について大臣の御意見、あるいは今日の会議では、どんな御意見があったのですか。

(答)公表による不安についての話し合いや発言はありませんでした。
  ここでこのような事業をやっていましたと公開することによって意識が高まるが、高まり過ぎて不安になるという話だと思います。
それに対してお答えできるよう、まずホームページ上のよくある質問のQ&Aに出していきたいと思っています。より詳しい問い合わせについては、保健所の方にQ&Aの形を出しております。全体的な不安が、だんだん特定化されていき、個人も特定化されて、対応も絞られていきます。今は全体的な不安という状況ですので、それが特定化されていくことは、今後の対応を具体化するためにも必要だと思います。一方で、不安を煽ることにつながらないような工夫は必要だと思います。

(問)旧環境庁が何をやったか、各省庁が何をやったかと客観的に見る上で、一つは諸外国がどういうことをやっていたかを比較するということが大事な視点になると思うのですが、その辺についてはいかがでしょうか。

(答)諸外国と日本の取組を年表の形にして非常にわかりやすくまとめています。これこそ情報の共有の中から出てきました。
特に危険だと言われる青石綿ですけれども、86年にILOの石綿条約で原則禁止が出されて、ドイツが対応したのが86年、英国92年、フランス94年、我が国は95年に使用禁止になっています。代替化の促進は76年の段階からしており87年の自主規制で使用中止としております。白についても今と同様な形で整理しています。
  なお、米国では、現在においても一部の製品を除き使用可能です。もっと早くやればよかったというお話にも繋がるかもしれませんが、諸外国の動きを考えると、ひどく遅れたのではないと思います。


(以    上)