環境省大臣記者会見・談話等


小池大臣記者会見録(平成17年5月31日)

1.発言要旨
 おはようございます。
 今日の閣議ですが、一般案件が2件、国会提出が4件、配布が2件です。環境、沖・北、それぞれ関連ありませんでした。
 閣議では、私から、来週の6月5日、日曜日が環境の日であり、その環境の日を中心として6月は環境月間であることで、6月5日の愛・地球博でのイベント、京都議定書の目標達成計画の策定を踏まえて地球温暖化防止の国民運動、チーム・マイナス6%について大々的に行事を実施するので、各省庁の皆さん、よろしく連携のほどお願いいたしますという発言をしました。
 それから、麻生総務大臣と尾辻厚生労働大臣から、それぞれ雇用状況についての報告がありました。失業率、完全失業率ですけれども、麻生総務大臣から、4月は全国で4.4%ということで改善、沖縄の4月の完全失業率については7.3%でありまして、前月比では0.7ポイントの低下で改善、ただ、前年同月比で見ますと0.3ポイントの上昇となっております。
 尾辻厚生労働大臣からは、有効求人倍率、全国では0.94ということでございますが、沖縄の4月の有効求人倍率は0.44、前月比で0.02ポイント、それから前年同月比で0.06ポイントそれぞれ上昇で改善ということです。
 閣僚懇で、明日からクールビズですが、これは義務なのかどうなのかという質問が出ました。細田官房長官から、国会対応で衆・参それぞれまだ決まっていないところがあるなどの話がございました。小泉総理の発言といたしまして、「義務ではない。ただ、大臣がずっと締めていると部下の人が外せないじゃないか、そのところをよく理解してほしい」という発言がありました。そして、常識とセンスに任せるという言葉が小泉総理からございました。
 私は、総理のこの御発言というのは、まさにクールビズの核心をついているのではないかと思います。上が外さなければ、なかなか下の人は外せないという話、それからただネクタイを外せばいいというのではなくて、やはり品位を保っていこうということが根幹にあろうかと思っております。
 このほか、島村農林水産大臣から、JRAの収入が非常に好調で、国庫に納めているのが、これまでで9兆円であるということで、いかに競馬が日本において定着をして、本場のダービーとかフランスなどを抜いているということ、これからのグレンイーグルサミットで、共通の話題でいいんじゃないかということで話がありました。そうすると、総理が、それはきっとディープインパクトを与えるだろうなということでした。
 私からは、まず、沖縄関係の御報告でございますが、先週の土曜、日曜、28、29日で沖縄を訪問いたしました。今回は、宮古島、伊良部島、下地島をそれぞれ視察したところでありますけれども、この宮古圏域の訪問で、5つの圏域をすべて訪れることができました。また宮古圏域市町村長との意見交換も行いました。
 また、視察では、伊良部架橋建設予定地などの現場を見ることができました。残念ながら時間の関係で、この伊良部架橋を架けようという地元のイベントである船のレースを見ることはできませんでしたが、建設予定地と、その状況を自分で見ることができました。
 それから、昨年、スウェーデンの水のノーベル賞と言われる水大賞のジュニア版を受賞されました宮古農林高校を訪れることができました。皆さんが引き続き、熱心に取り組んでおられるというお話を直接お聞きしました。
 これで5つの圏域を全部回ることができましたけれども、それぞれの地に足を運ぶことによって、またお話を伺うことによって、これからも特に離島の活性化、美ら島などのこれからのバックアップにも、より具体的なことができるのではないかと考えております。
 環境関係ですが、一つ重要な御報告をさせていただきたいと思います。知床です。知床の世界自然遺産登録でございますけれども、昨夜、世界遺産委員会の諮問機関でありますIUCN(国際自然保護連合)による評価結果が明らかになりました。
 この中で、知床は世界自然遺産の評価基準のうちで、生態系と生物多様性のクライテリア、各基準を満たしているということで、世界自然遺産として登録することが適当であるということが示されました。
 知床について、今回このような形でIUCNの方から前向きな評価が得られ、世界自然遺産登録の可能性が一段と高まったということで、大変心強く思っているところでございます。
 また、このような評価が出てきたというのは、これまでもいろいろと地元で調整をされてこられました関係者の努力、その熱心な取組が国際的にも認められたという結果だと考えております。
 昨日はIUCNの評価結果として非常にいいものが出てまいりましたが、7月10日から南アフリカのダーバンで開催されます第29回の世界委員会で決定をされるという運びになります。その際には、今回のIUCNの評価結果に基づいて、また、地域バランスであるとか、それから類似地域との比較など、総合的な要素を加味した上で委員国による審査が行われると承知いたしております。
 こういった連絡を昨夜、IUCNから頂戴して、私自身、知床の世界自然遺産登録を確信しているところでありますけれども、最後は南アフリカのダーバンということになりますので、この世界遺産委員会に環境省の職員を派遣いたします。また外務省とも連携を図り、登録の実現に向けて最善の努力を払ってまいりたいです。
 後ほど事務方にお尋ねいただければと思いますけれども、2点ほど勧告がございます。
 1つが、前回のいろんな調整の中でもあった項目ですが、海域管理の計画の早期策定などの措置を講じてほしいということ、それから登録後2年以内に、評価調査団を招くことを決議するようIUCNから遺産委員会に勧告されたということです。
 最終的にこういったことをしっかりと誠意を持って対応していき、もちろんその前に最終的な世界遺産委員会で決議を行っていただきたいと、このように思うところです。
 次に、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律、いわゆる外来生物法が明日6月1日から施行となります。御承知のようにオオクチバスを初めとして37種類の特定外来生物の飼育、輸入などの規制がスタートすることになるわけです。
 環境省としては、この外来生物法の的確な取締の実施を確保するために、職員の中からこの法律の第26条に基づく特定外来生物被害防止取締官41名を6月1日、明日付で発令することにいたしております。
 この法律そのものの施行の周知も図らなければなりませんので、明日から、わかりやすいリーフレットを配布いたして、普及啓発活動を実施いたします。成田空港にもそのリーフレットを置いて皆さんに理解をしていただこうということでございます。いよいよこれで外来生物法が施行されるわけであり、生態系の保全に対してしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答
(問)知床についてですけれども、漁業についてもダムについても、かねてよりの問題も残っていまして、屋久島、白神も含めてそうですが、IUCNが登録後の体制というのを非常に厳しくチェックして、問題があれば危機リストに載ってしまうという、いろいろ課題がたくさんあると思うのですけれども、その辺の御決意は。

(答)先ほど御紹介したような勧告が出てきております。まず決議がされること、それからその上で、しっかり誠意を持ってこれらのことに対応してまいりたいと考えている、それに尽きると思っています。

(問)今回ほぼ指定が確実になったと思うのですけれども、率直な感想は、ほっとしたというか、その辺のところはどうなのでしょうか。

(答)これまでシェパードさんという専門の方がお見えになって現地を見てこられるときも、今日はどうだったのかなといろいろと気にかかって、その日の行動はどうなったのか、どんなことをおっしゃっていたのか、大変気になっているような状況でした。
 ですから、今回、これで大きく前進をして、あとは最終的な決議、登録を待つのみということで、大変充実感がございます。ただ、幾つかの勧告もこれからも出てくるということですから、大きな意味で生態系の保全ということが一番大きい我々の任務でもありますので、それについてはしっかりと対応していきたいと思っています。一言で言ってうれしいです。

(問)話は変わりますけれども、総理の靖国参拝をめぐって、今、アジアの近隣諸国との関係が難しい局面になっていると思いますけれども、そのことで今朝、どなたかが発言、もしくは大臣はどのように御発言なさったのでしょうか。

(答)それに関連しての発言は一切ございませんでした。私も、もちろんしておりません。

(問)6月1日にもう一つ、水俣病対策の第一弾の勝訴原告への医療費などの支給が開始されますが、それに対して率直に今の思いといいましょうか、どう感じているのでしょうか。

(答)これまで、対策が速やかに実施されるように、その方法についても詰めて、明日の日を迎えるわけです。原告の皆さんには、1日も早くそれがスムーズに支給されるように、まず着実な実施を行うことによって原告団の皆様方のこれまでの長いつらい思いなどに少しでも報いることができればと思っております。

(問)知床に戻って恐縮ですが、今回、もう大丈夫かなと思ったら追加で注文がきたりとか、かなりハードルが高くなっていくような気がします。それでまた今後5年以内に登録できるのではないかという土地が幾つかピックアップされていて、例えば小笠原とかですね、続々と後続があると思うのですけれども、そのこと自体の課題というか、教訓のようなものもあるかと思うのですけれども、そこはどのようにお考えでしょうか。

(答)今回もハードルが上がったというか、それは基本的には生態系保全をするべきアドバイスと受けとめておりますので、それは真摯に受けとめたいし、また対応もしていきたいと思っています。
 これでひとつ世界自然遺産が加わる流れになってきているわけですけれども、それは日本として誇るべきことだと思います。そういった地域が増えていくことによって、次なる候補地にもいろんな具体的な刺激であるとか、方策の暗示も多々あるわけです。これからはまた積み重ねをしていかなければならないとは思いますけれども、こういったことも全体としていい方向に流れてきているのではないかと思います。

(問)そういう意味でいいますと、小笠原も琉球も海が入るわけですけれども、ただ水産庁などは、IUCNのレッドリストにマグロを載せたりして、海について非常に警戒心を持っているわけですが、環境省としては、海洋の保護というのは。

(答)遺産に登録するためには、まず地元の調整であるとか、理解がないと進まないというのは、今回の知床で、まさにいろんなこれまでの積み重ねでどういうことが問題になって、そして何をすべきか、また何をしてはいけないかということが明確になってきていると思います。ですから小笠原にせよ、琉球にせよ、まずは地元の環境保全に対しての大いなる覚悟というか、そういった地元におけるコンセンサスをきっちりまとめていただく必要があろうかと思っています。環境保全というのはやはりそこの方々との総体的な、また総合的な作業が欠かせないということは言うまでもないと思います。

(問)今、高橋はるみ知事が北方4島に行っているのですが、どんな言葉をかけられますか。

(答)知床が今回こういう流れになったのも、北海道という地元の協力があって、また皆さんの熱心な、まさに熱意があったからにほかならないと思っております。グッドニュースになるのじゃないでしょうか。

(問)明日のクールビズに関して、小池大臣から、ほかの閣僚に何か呼びかけをしたのでしょうか。

(答)今日みたいな寒いときはどうするのかという話がありました。明日寒かったらどうするかというので、明日は28度だということをお伝えいたしました。環境省の職員も、それからこちらの内閣府の職員も、しっかりと対応してくれるものと思っております。   

       
(以上)