環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


小池大臣記者会見録(平成17年1月17日)

1.発言要旨
 おはようございます。
 1月17日、阪神・淡路大震災から10年という日であります。
閣議は、一般案件が5件、国会提出案件が1件、公布・条約が1件、ちなみにこの公布・条約が「気候変動に関する国際連合枠組み条約の京都議定書」であり、2月16日を前に、この機に国民の皆さんにも知らせるという意味で、本日の条約公布となったわけです。それから政令が3件あり、このうち環境、沖・北関連はございませんでした。
 閣僚懇では、大臣の海外出張が私を含めて何件かございましたので、財務、防衛、金融、竹中国務、そして私、それぞれの報告がございました。
 そして、総理から、今日は阪神・淡路大震災から10年で、節目の日であり、改めて危機管理をしっかりと不断に行っていくように、それぞれの大臣も心するようにというお話が改めてございました。
 そのほか総務大臣から、あのときは全国各地から、消防、救援などで応援に入ったけれども、消防車のゲージの大きさが合わなくて、結局使えなかったといったような種々の反省の中から、例えば総務大臣であると消防庁も管轄しておられるということで、そういった点、不合理な点、やってみてだめだった点など、それらの経験の中から着実に改善をしていった。消救車を前にもちょっと御紹介したと思いますが、その例であるとか、昨年の水害のとき、バスの上にみんな乗っかって助けを求めていたというシーンを覚えていらっしゃると思いますが、そういったときに、ヘリの出動が非常にスムーズにいくようになったという紹介などがございました。
 私も被災地、兵庫の人間でございまして、今日たまたま朝少し早く目が覚めて、5時46分に、改めて被災された方、亡くなられた方、御遺族に対して、また今もいろいろな苦労を重ねておられる方々に、いま一度思いをはせた日であり、幕開けでございました。
 私の方からは、2点御報告をさせていただきます。閣議でも報告しましたが、今回は1泊3日、日程的には1月11日から13日にかけて、アメリカのサンフランシスコを訪問しました。これは沖縄科学技術大学院大学設立構想を推進する上での重要事項について審議をするボード・オブ・ガバナーズの第3回の会合に出席をしたものです。
 今回の会合で、新メンバーの追加を決定いたしました。このメンバーは、ノーベル化学賞の受賞者であるフランスのジャン=マリー・レーン博士であります。
 そして今回は、独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構(仮称)を設立するための法案の概要、それから大学のキャンパス計画などについて議論を行った次第でございます。
 ちなみに、ボード・オブ・ガバナーズの先生方4人が、ノーベル賞の受賞者であり、分野もそれぞれ異なり、出身国も異なっているということで、文化的ないろいろな刺激を私自身も感じました。各国の法律の立法の過程が異なるので、非常に法律のつくり方、日本もある意味特殊な立法作業をするところだと思いますけれども、その辺のところの基本的な部分が違うので、それをすり合わせるのというのは結構大変なものがありました。
 私が感じましたのは、ボードのメンバーの方々は非常に熱心で、どうやっていい大学、文字通り世界最高水準にするためにはどうしたらいいのか、そして御自分たちの意見をどうやって確保していくのかということを本当に熱心に繰り広げられまして、それだけでも非常に有意義といいましょうか、非常にエッセンシャルな今回の会合でした。そうやって意見を交わしていくことによって、この大学院大学の基盤が固まっていくように思えた次第でございます。
 いろいろと意見をちょうだいしておりますので、これから関係各省の協力も必要であります。法案の次期通常国会の提出に向けて必要な作業を進めてまいりたいと思っております。ボード・オブ・カバナーズに実際に参加させていただくことで、私自身もこの大学院大学に対しての思いが、さらに一層深まったということをお伝えしたいと思います。
 それから、環境省関連でございますけれども、今日、京都議定書の条約公布を御紹介いたしましたが、2月16日が京都議定書の発効の日です。その日に、京都府、京都市と共催で、場所は国立京都国際会館、まさに京都議定書がつくられた場において、京都議定書発効記念行事、『京都議定書発効!世界からのメッセージ』というイベントを開催いたします。
 時間は、夜6時半から10時半、大変遅い時間でありますが、これは、日本の時間を夜にもっていくことによって、ヨーロッパ大陸とか、そしてアメリカ大陸など、アメリカは入りませんけれども、一斉にまさに世界がこの京都議定書で手をつなぐということを実際に行うために遅くするものです。
 参加者ですが、ヨーケ・ウォラーハンター国連気候変動枠組条約事務局長、ノーベル平和賞を昨年受賞されましたワンガリ・マータイ・ケニア環境副大臣の基調講演を予定いたしております。
 この基調講演後、第10回締約国会議の役員メンバーなどによる記念シンポジウム、それから世界を結んで京都議定書発効に寄せる、世界からのメッセージリレー、この3部で行っていきたいと思っております。多分この日は、私自身は国会で夕方まで東京にいなければならないと思われますので、3部目の世界からのメッセージリレーの進行役も兼ねて、ここから参加することになろうかと思います。
 今どきでございますから、このイベントにつきましては、インターネットを使って同時進行で世界に配信して、海外で行われる行事との中継なども検討を進めているところです。詳細については、追って御報告、発表をさせていただきたいと思っております。
 これを機に改めて京都議定書のつくられた京都から我が国が世界に発信をするということと、京都議定書に参加する国が心を一つにして、地球温暖化に対するそれぞれの責務、役割を果たしていくことを確認するということを進めていきたいと思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答
(問)冒頭、御発言がありましたが、阪神・淡路大震災から10年ということで、大臣の御所感と、あと地震のときに、危機管理体制というのが相当いろいろな面で指摘されたかと思いますが、10年たってどう改善されているか、またどういう課題があるか、閣僚としてまた一国会議員として、御所感をお願いします。

(答)まず、ああ10年が過ぎたんだなと、早かったような、またもう10年かという思いとが交差しております。実際、今回も地元に戻って、慰霊祭、慰霊式にも出席もしてまいりました。やはり御遺族の方にとって、忘れられない瞬間であったと思いますし、あの段階で時計がとまったというように思います。
 復興の方は、町並みなどについては、かなり改善もされ、取り戻したと思いますけれども、まだまだトラウマといいましょうか、それは地域には残っていると思います。
 先ほども御紹介したように、制度的な面、ハード面での不備、それからソフト面での不備、日本における危機管理の実態が、浮き彫りになったわけであり、私自身は、この間に例えば災害対策基本法の改正、当時は、野党でありましたが、いろいろ提言をし、対案を出す形で取組をさせていただきました。
 車が動かない、緊急と張りつけた自衛隊の車が1キロ進むのに2時間ぐらいかかっていましたから、全然絵にかいた緊急ということで、これはいかんと、道路交通法の改正も、これを機に行ったわけです。
 それから、一番この10年間で変わったのは、特に兵庫県の場合は、兵庫県庁であるとか、一部市役所など、非常に自衛隊に対しての対応が厳しいところがありましたが、あの阪神大震災で自衛隊の存在、本当にこの人たちが私たちの生命、安全、財産の確保に必要な人なんだということをみんなが確認したと思っております。
 その意味で、自衛隊の活動についても、今回のスマトラ沖地震でも、むしろ自衛隊を出すのが遅いのではないかと言って、これまで反対していたような論客が、テレビで忘れたようにそういうことをおっしゃっているのを見て、隔世の感もいたしましたし、それはこの間に災害という非常事態を通じて自衛隊の役割が認識されたものではないかと思っております。
 やはり国の機能としての自衛隊を必要なときに必要な形で活用するというのは、大目的に合っているものではないかと私は思っております。細かいことを言えば、たくさんありますけれども、本当にあっという間の10年だったと思います。
 また、日本がその間の危機管理と、それから今回私も18、19日と神戸の方にまいりますが、地球温暖化というある種、マンメイドディザースターです。ナチュラルディザースターというと、何かどこかで神様のいたずらで、もうどうしようもないものという全くの受動態でしか考えられない、被害者としての自分たちというのと、地球温暖化というのは、私たち自身が温暖化の原因をつくっているということで、この最近の自然災害の凶暴性などは、実は人間が加害者であるという点などもこれから訴えていきたいと思っております。
 ハード面、ソフト面、この間いろいろと改正されましたが、結局はそのときのリーダーの危機感覚だと思います。いくら装置があっても、そのボタンを押す人がきちんと危機を把握していないと、どんなものも機能しないということだろうと思います。今日、総理が改めて危機管理についてはしっかりと不断に神経を使っていくようにということは、文字通りそのことをおっしゃったのだろうと思っております。

(問)先ほどの京都議定書発効記念行事ですけれども、マータイさんが来られるということですが、小池大臣御自身は、例えばマータイさんと懇談されたりするのでしょうか。また、日本の環境省として、世界に何かメッセージなりを伝えること、関わりをどう考えていらっしゃるのか。それと今回の行事に関しての期待という部分について、お話を伺いたいと思います。

(答)マータイさんは、3部の世界からのメッセージリレーのときにも御参加いただくことになっておりますので、その場でお会いすることになると思います。
 今回は、それこそ日本から、地球温暖化に対してしっかりと対応していこうという日本の姿勢のあらわれを世界的に配信していく、そのきっかけとなるイベントだと思っております。せっかく京都の地においてつくられたものですから、京都から発信をするのがよかろうということで、京都の地を選ばせていただきました。

(問)先週末に、神栖町の掘削調査で出たコンクリートの中から、ジフェニルアルシン酸が見つかるということがあって、いわゆる旧軍のということでずっと捜していて、見つかり方として、少し意外な印象を受けたのですが、今後どうされるかというような話も含めて、どのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。

(答)今回、こういう形で非常に高濃度の有機ヒ素化合物が検出されたということで、これはやはり汚染源と深い関わりがあるということは推測されるわけです。これからもより重点的に調査を進めていきますが、これまで約200カ所、だんだんそれを広げたり縮めたりしながら今回これを掘り当てたということでございます。これのみが唯一の汚染源になっているのかどうかを含めて、引き続き調査を行いたいと思っております。それと同時に、これを機会に改めて全国からそれについて知っているというような方がいらっしゃれば、ぜひ担当室の方に御連絡を頂戴したいと思っております。

(問)セメントを流し込んだようにという表現を検討会の方々もおっしゃっていたのですが、そうしますと、だれかが戦後、割と新しい時期にということで、いわゆる廃棄物的な側面も印象として出てくるかなという感じですが。

(答)それはわからないですね。いつごろのコンクリートなのかという、これもこれから分析するので、何年ぐらい前とか、コンクリートの質などによってもわかってくるのではないかと思っています。

(以    上)