環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


小池大臣記者会見録(平成17年1月7日)

1.発言要旨
 新年明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
 今日は閣議に先立ちまして、郵政民営化推進本部会合がございました。
 閣議では、一般案件等はありませんでした。人事では、各大臣が海外出張中でもあり、これから出張に出られる方々もいますので、それについての承認のみでありました。
 閣議に先立ち、総理から、昨年来、内外ともに災害が多かった、天災は忘れたころにやってくるというけど、今年も緊張感を持って諸課題に対して取り組んでいきましょうという挨拶がございました。
 閣僚懇では、交通事故死者が減ったとか、標高が1メートル台のモルディブが今のところ死者がゼロであったということは、我が国がODAによって防波堤をつくったということが功を奏したということについて、国土交通大臣から詳しくご説明がございました。
 ちなみに、小学校か中学の教科書に「稲むらの火」という災害のときにみんなで協力した逸話が、かつては載っていたということを国土交通大臣が紹介され、やっぱり子供のころから教えないといけませんねということでした。昨日、ジャカルタでのASEAN首脳会議がベースになった被災国支援緊急首脳会議において、リー・シェンロン、シンガポール首相から小泉総理にこういう話があるのは本当ですかと聞かれたそうです。
 その後、ずっとスマトラ沖地震について、各大臣からいろいろなお話がございました。
 私からは、この地域は我が国にとってシーレーンとしても重要ですし、よく海賊問題が起こるところでもあり、まずは人命救助の観点、それからその後の復旧復興という観点からしっかり取り組んでほしい、かつその能力を有している自衛隊の隊員を万単位で送ってほしいということを、閣僚懇において発言しました。
 大野防衛庁長官からは、日本の自衛隊が、今回の救援にC130とかを飛ばす計画だけれども、現地の空港の受け入れ状況などが厳しいということで、現時点では那覇にいるという話がございました。そのニーズをよく精査して、必要な人間を送るという話もございました。

 
2.質疑応答
(問)せっかく年頭ですので、環境問題及び沖縄・北方について、今年の課題、その他について大臣の方から抱負も含めてお話を伺えればと思います。

(答)まず、環境でありますけれども、2月16日、京都議定書がいよいよ発効ということでございます。地球温暖化対策、今後の計画、そして大綱見直しなど含めて温暖化対策はまさに待ったなしの状況になりますし、また、昨年来持ち越しの環境税についても真剣に実効性あるものとして訴えていきたい。特に今年は、民生、家庭、こういった部門の皆さんに、それぞれが主体となって取り組んでいただけるようにしっかりと広報戦略を組んで、一人ひとりに自らの問題として取り組んでいただけるように訴えていきたいと思っております。
 それから、もう一つが循環型社会の構築です。これは4月に3Rイニシアティブ閣僚会合が開かれます。今年から自動車リサイクル法も始まりました。容器リサイクル法見直しの年にも入ってきます。そういった観点から、循環型社会の構築ということをしっかりやっていきたい。大気、水、さらにはアクティブレンジャーの実施ということをこれから始めてまいりますけれども、自然環境の保全ということ、広範に渡り環境の課題が山積しておりますので、全力で取り組みたいと思っております。
 沖縄・北方については、沖縄は沖縄振興計画の4年目が平成17年度ということですし、第2次分野別計画の初年度ということで、これまで取り組んできた各項目をしっかりと総括して、それをベースにしてさらなるジャンプに結びつけたいと思っております。
 それから、科学技術大学院大学の関連予算、それから三位一体改革の対応ということで、きちんと額の方は確保できたと思っております。これを活用して、そして具体的な成果に結びつけるように努めてまいりたいと考えています。
 特に昨年も申し上げましたように、離島の活性化については、各島々がオンリーワン、これはうちが一番なんだと、自立的かつ自信を持って歩いていける、そういうオンリーワンの体制をとってもらうようにサポートしていきたいと思っております。
 それから、何よりも米軍施設・区域の集中の問題ですけれども、沖縄の過大な負担についても県民の皆様の気持ちにお応えをして、一歩でも二歩でも着実に前進できるように引き続き努力をしていきたいと思っております。
 それから、北方対策ですけれども、今年は日魯通好条約の署名150年にあたり、そして、まだ日程は確定されていないようでありますけれども、プーチン大統領の訪日という予定もございます。北方領土問題を解決して、平和条約の締結に向けたプロセスを具体的かつ実質的に進めていくということをしっかり取り組んでいきたいと思います。ここも私の役目としては、外交交渉というよりは、国民世論に訴えるということがあります。環境もそうですし、北方・沖縄もそうですけれども、やっぱり国民世論にしっかりと政府としてこうありたい、そしてまた、こうしていくというビジョンを明確にして、世論のさまざまな声もしっかりと受けとめていくという、そういうコミュニケーションを大事にした年にしていきたいと思っております。
 以上です。

(問)スマトラ沖のインド洋の地震、津波の件ですが、昨日の枠組みで中長期的なことも含めて、例えば環境省なんかはし尿とかそういったことも挙がっていたと思いますが、何か支援について大臣のお考えはありますでしょうか。

(答)副大臣としてではありませんけれども、高野さんが公明党として現地にお入りになっておられます。タイのプーケットの方にいらしています。この後、現地の模様なども高野さんから直接伺っていきたいと思っております。
 今の段階は、昨年の国内における災害もそうでしたけれども、まずは人命救助があって、その後、食料とか水、その場で人間が生きていくために必要なもの、これの確保。その次に、災害廃棄物の問題などが出てくる。そして復旧・復興という段取りになってくると思います。環境省として今すぐにできることということも含めて、ただ、どちらかというと、環境面では中長期的な課題も多いと思いますので、現場のニーズなども考えて取組をしていきたいと思います。まずは現地のニーズの把握ということに努めていきたいと思っております。
 昨日のジャカルタでの国際会議では、拠出額の競い合いみたいな話になっています。競うこともないよりはいいと思うのですが、往々にして各国プレッジだけして、ふろしきはわっと広げるのですけれども、実際にどれぐらいやるかといったら、それはお国柄が結構出てということがあります。その意味では、日本はODAもそうですけれども、アジアの各地域における支援というのはかなり信頼を得ているものだと私は思います。ですから、額もさることながら、日本の着実な対応をしっかりやればいいので、額の積み上げばかりに目をとられ、その競い合いに一喜一憂する必然性はない。そのために、自衛隊についても自衛隊ができる範囲の、またその範囲は非常に広いと思いますので、そういった形で対応して、顔の見える援助、お金の額とそれから顔という、その両面を実践してくれるのではないかと思っています。
 今後も、環境問題についてもいろいろと他の省庁と連携を取りながら、有機的に進めていければと思っております。

(問)東京湾の方で、上海ガニ、チュウゴクモクズガニが相次いで見つかっているということがあって、省としても要注意生物の候補とされているようですけれども、今後はどのように対応されていく予定でいらっしゃるのでしょうか。特定外来生物と指定されてしまった場合は、生きたまま日本に輸入することに規制がかかってくると思うんですけれども、そういうふうにやはり特定外来生物として指定してしまうというようなお考えもあるのでしょうか。いわゆる悪化によって。

(答)外来生物に対しては、ずっと専門委員会を設けてまいりました。それによって、特に問題となっている種類について、今、精力的に取り組んでいただいているところであります。専門家の方々の取りまとめ、これから精力的に行っていきたいと思っています。

(問)話題が全く違うのですけれども、昨年末28日、3年間にわたって環境省でされていたジュゴンと藻場の広域調査の結果概要の記者発表がありました。これでまとめに入られたということで、ジュゴンについてはまだ知見が不足しており、なかなか種の保存法とかでも指定がされていなかったのですけれども、この点について、3年間の調査を終えられて今後どうするかということも含めて、今のお考えはどうでしょうか。

(答)ジュゴンについては、今、紹介がありましたように、これまでも生態ということで年数をかけて調査をしてきました。それからどこに喰み跡があるかとか、それまでの生態などの調査もまずは続けてきたわけであります。
 特にお聞きになりたいのは辺野古のことだろうと思うんですけれども、ボーリング調査については、防衛施設庁の環境配慮事項に沿った形で適切に作業を進められるようにということで、助言などもこちらとして対応をとったところであります。

(問)辺野古のボーリング調査で27日、おっしゃるとおり、防衛施設庁の方でサンゴや岩盤の30数カ所を削ったという発表をしたのですけれども、この点について、環境省としては働きかけというのはどのような形で。

(答)今、申し上げたとおりです。

(問)それは、助言をされたということですか。

(答)そうです。直接しました。

(問)いつですか。

(答)12月27日です。

(問)もう少し助言の内容をよろしいでしょうか。

(答)まとめたメモがありますから、そちらを差し上げます。

(問)それで、環境省としてできることとしては終了でしょうか。

(答)主体が防衛施設庁ですから、海底に潜ったりしていろいろと調査をしてきた。そういったことを踏まえてどのような対応ができるか、いろいろと工夫もしていくということです。しっかりこちらの助言に沿って、適切な対応をしてもらうことを願っています。

(問)大臣ご自身としては、今回のいわゆるサンゴの損傷というか削られたことについては、どういうふうに受けとめていらっしゃいますでしょうか。

(答)サンゴへの影響について、施設庁の作業計画では、サンゴの被度5%以上の区域である海底面に足場が接することは概ねないという形ですが、環境省としては、被度5%未満の区域も含めて、先ほど申し上げた環境配慮事項に沿って、サンゴや岩礁などへの影響が回避、低減されるように、作業をやっていただくよう、こちらから助言をしたということです。

(問)話題は変わりますけれども、今月からEUで排出権取引が始まりましたけれども、早速、地域環境の悪化で1,000万トンを超えるような取引が始まっているという話もありますが、日本での取引も含めて、その辺どのように考えていらっしゃいますか。

(答)EUの取組は大変スピーディだと思います。そういったEUの取組の成果をこれから注視して、また、学んでいけることは学んでいきたいと思っております。これから大綱見直しが佳境に入ってくるわけでありますけれども、我が国として温暖化対策はどのようなものを進めていかなければならないのか、そういったことも踏まえながら見直し作業に入っていきたいと思っております。

(問)その大綱ですけれども、環境税への対応、どういう形で文言を入れていくのかというのが大きな一つの焦点になると思います。経済産業省や各省との調整が続いている段階だと思いますが、政府、それから党税調の見解なども出ていますし、今後、どういう形で盛り込んでいく方向で進めたいとお考えでしょうか。

(答)大綱については、関係省庁多岐にわたりますし、その計画に盛り込む対策であるとか施策、また、そういう施策をやることによって、どれぐらいの削減が可能となるかという削減目標については調整が今まさに現在進行形であります。これから法定の地球温暖化対策推進本部で計画の案をつくるということですけれども、調整を積み重ねて取り組みたいと思っています。ちょうど2月16日が、京都議定書の発効になるわけですから、そういったことも後押しになってくるのではないかと考えております。これから鋭意、各党の取組との連携も含めて精力的に取り組んでいきたいと思っています。これから脱温暖化ということでは、やはりこの大綱の見直し、計画案づくりということが一番大きな仕事になってくると承知しておりますので、そこにしっかりエネルギーを注いでいきたいと思っています。

(以    上)