環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


小池大臣記者会見録(平成16年10月22日)

1.発言要旨
 おはようございます。
 今日の閣議ですが、一般案件が1件、国会提出案件が7件、政令が9件で、環境並びに沖縄・北方、両方の関係はございませんでした。
 その後の閣僚懇ですけれども、発言はすべて台風関係でありまして、村田防災担当大臣からこれからの対応、また被害状況の報告がございました。そして大野防衛庁長官から自衛隊の緊急出動について今後ともしっかりやっていくと。それから、谷垣財務大臣からは、これは財務大臣というよりは被災地代表として―京都ですね、今回の川の氾濫のところですけれども―よろしくということがありまして、今後の執行などは迅速にやっていく、これは財務大臣の発言、というふうにおっしゃっておられました。そのほか、宮崎の中山文科大臣からも、農作物の被害が大変であるというようなことなど、各大臣の発言がございました。
 私も、環境大臣として、これは地球温暖化との大きな関係があるということを言おうかと思っていたのですけれども、時間がなさそうだったので発言しませんでした。また21世紀、今世紀中に最大88センチ水位が上がるなどという話になると、例えば公共事業の設定基準のことも考えていかなければならないのではないかという非常に大きな話にもなってくると私は思っております。その点についても、発言はいたしておりませんが、そういう大きな取組でやっていく必要もあるのではないかと思います。地球温暖化対策にしっかり臨みたいと思います。
 それから、私の方から、先だっては鉄鋼業界との直接の対話を環境大臣としていたしました。次に、11月1日の月曜日に、第10回として石油業界との懇談会を開催する段取りをいたしております。言うまでもなく、エネルギー供給という観点から、石油業界はその要でありまして、また、石油業界も、来年1月からサルファーフリーのガソリン、軽油の全国供給を世界に先駆けて行うということで、各社とも環境に熱心に取り組んでいただいているところです。一方で、地球温暖化、温室効果ガスという観点では、石油というエネルギー源、それについてはいろいろと議論があるところであります。よって、ずっと一連でやってまいりましたけれども石油業界を第10回ということで、私も真摯に意見交換の場としたいと考えています。
 私からは以上であります。

2.質疑応答
(問)昨日の鉄鋼連盟との会議、懇談の中で、環境税とか排出権取引などがいろいろ出たと思いますが、まずその感想と、環境税については今まで経団連の中でずっと反対が出てきていると思いますが、今後の取組について改めてお聞かせ願いますか。
(答)昨日の鉄鋼業界との意見交換の感想とすれば、地球温暖化に対して、また省エネという目標に対しては一致している、その方法論は全く違うと。だから、目標の共有と、それから認識の違い、これを認識したということになるのではないのではないでしょうか。
 確かに、鉄鋼業界の方は、それぞれ大変な省エネの努力をこれまでも重ねてこられて、その労は多としたいと思います。また、環境報告書などへの取組などもしっかりやっておられるし、それから今後、海外への進出、例えば中国などへの進出なども報道もされていますけれども、そういった際に省エネ技術を技術移転していくというのも大きな意味があろうと思います。
 しかしながら、全体の地球、日本の今後の温暖化対策という意味では、やはり国の基幹産業の一つであることから、ともにやっていきたいという意思は変わっておりません。今、連日この環境税に絡んで、昨日も政策小委員会があり、いろいろな案を―何か決めで4900幾らとかと出ていますけれども、それは一つの目安で出しているわけで、その目安の部分がないとなかなか議論が煮詰まりませんので、その意味で出させていただいて、あれで決め打ちというわけではありません。私は、是非ともその環境税という有効な手段を導入することによって、幅広く国民そして産業界、さまざまな主体全体が取り組んでいただけるような、納得をして、皆さんがよしやってやろうじゃないかという象徴としての環境税になり得るような、そういう策をこれからもしっかりと煮詰めていきたいと思っております。これから、いろいろな節目の会議が目白押しですから、できるだけ早急にまとめて、そして議論していただきたいと思っています。
(問)台風関係では、何か環境省として取り組む具体的なものというのはあるのでしょうか。
(答)衆参ともに予算委員会でも、地球温暖化のことを台風でのいろいろな被害を含めて言及される議員、質問も多かったと思います。台風が、毎年の風物詩だけではなくなってきて、地球全体での変化、異変ということにつなげて考える方も非常に多くなってきたと思います。台風も、一つの気象の現れだとは思いますけれども、私たち環境省とすれば、やはり地球温暖化という大きな枠組みの中での最近の異常気象、そしてそれに対して1人ひとり、そしてまた国として何ができるかということを地球温暖化に関連してこれからも訴えていきたいと思っています。
 それから、クマの話もありましたね。クマも、私は思うのですけれども、農作物の被害などでとどまっている範囲と、今、大分様相が変わってきています。これから冬眠に入る前に、もう一度食料というか、みずからのエネルギーを蓄えようという、そういう時期に入るのかもしれない。クマについては、これから環境省としても調査していきますけれども、里におりてきて、その1頭1頭をそのたびに射殺していると、クマも不本意だと思いますし、非常に対症療法的な話なので、環境省とすればやはり生態系としての今のクマの異変などを捉えていかなければならないと思っています。
(問)知床の世界遺産の回答期限が今日になっていると思いますが、どのような内容で、今日回答するのかどうかということについてお願いします。
(答)もともと、IUCN―国際自然保護連合から、今日が回答期限ということで要請をされておりました。これまで、質問書という形で幾つかの課題を取り上げられていて、それを1つ1つ地元の方で対応していただいているのですが、若干、北海道の方から、関係の機関、そして地元関係者と十分調整をするためにもう少し時間的な余裕が欲しいということで、回答期限の延期の要請を受けております。IUCNの方にその点を率直に御相談させていただいて、回答期限を11月5日まで延期してもらうということで先方の了解もとりました。世界遺産に登録をするために必要な措置でもありますし、また登録された後に地元との関係でいろいろと問題が起こるよりは、今この時期にしっかりと地元で調整をしていただくということが必要なのではないかと思います。
(問)北海道からというのは、これは道庁からということですか。
(答)道庁です。
(問)クマの問題ですけれども、調査の結果が出るのが来年3月ということなのですが、今まさに起きている人間とクマとのトラブルと、かなりの頭数が殺されていて、これまでの減ったところについて専門家の話などを聞くと、ぱたっと出なくなる前に非常に多く出るというパターンがあるらしくて、その辺、来年3月の結果を待ってというのも、何かちょっとタイミング的に遅いような気もするのですけれども、何か有効な手だてとかというのはとりようがないものなのでしょうか。
(答)先ほど申し上げたように、出てきたからどう対処するという、そういう対応の仕方も時には必要でしょうけれども、私たちがやることは、例えば自然現象との絡みがどうであるのかとか、それからもっと長いスパンで言えば地域の過疎化との影響で収穫しない果実をそのままほったらかしにしているなどというような原因が指摘されているわけです。林野庁とも協力をして、それから今回クマが出るたびに、それぞれの地元の自治体なども大変苦労されて、逆に言えばそこに情報があるということで、ともに調査を進めていこうと考えております。
 ですから、先ほども申し上げたように、環境省とすればやはり生態系としてどうなっているのか、そしてまた、社会的には過疎化の問題もありますでしょうし、そういったことで対症療法ではなく対応するためにも、しっかりと調査をやっていきたいと思っています。

(以    上)