環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成16年9月17日)

(大臣)閣議の案件ですが、一般案件が1件、国会提出案件3件、政令1件、人事5件、報告1件でした。このうち、環境省関係は、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律施行令の一部を改正する政令で、経済産業省と環境省の共管のものです。閣僚懇では、本日はほとんど何もなく、静かだねという一言があっただけです。私からは以上です。


(質問)昨日、茨城県神栖町でヒ素に汚染された米が見つかったという大きな問題がでましたが、これについての大臣のお考えと、米を自粛している農家に対する補償について大臣はどのようにお考えでしょうか。平塚などの他の地域に対しての調査についてどうお考えなのかというのも併せてお願いします。
(大臣)まず、地域の方々が不安に思っていらっしゃると思いますので、できるだけ情報の公開もし、説明もし、丁寧に対応していきたいと思います。その際に曝露が想定される方々の健康被害については緊急措置事業の対象という形で対応させていただいて、9月22日に専門家検討会を行う予定ですのでそこに諮っていきたいということです。
 それから、ジフェニルアルシン酸の健康影響について、これまで実施してきた毒性試験の結果なども踏まえまして、さらに精度の高い試験等を早急に進めていきたい思っております。ジフェニルアルシン酸の健康影響がどれくらいのものなのか、こういうことは、0.0何とかmgと聞いてもなかなかよくわからないと思いますので、その目安が一体どの辺にあるのかということもしっかりと説明していくことが、まずは不安を取り除くということになると思います。今回、このジフェニルアルシン酸が出てきたことは事実ですから、ボーリング、モニタリング等の調査も引き続き行って、発生源はどこなのかという解明をさらに行っていきたいと思います。また、今回お米から出てきているということで、そこで採れたお米をお友達にあげているとかそういったこと等もあるかも知れませんので、そういう方々に対しても調査の対象にすべきだと考えております。

(質問)この自粛している農家に対して、補償というところまではなかなか環境省としてお考えではないでしょうか。
(大臣)健康問題については、9月22日の専門家検討会で決めていくことになると思います。
(環境保健部)補償の問題は、農林水産省の方でも検討すると思われますし、県の要望がこれからなのでそれを受けて政府の中でどのように対応していくか決めていきたいと思います。内閣官房の方で連絡会議等も設けていますので、そういう場で検討されると思います。

(質問)来週、海外出張に行かれると思いますが、英国等ではどのようなことをされますか。
(大臣)本日、この会見後、成田に向います。まず英国は、国立公園、そして私が興味があるのはナショナルトラストです。短い日程ではありますが、いくつかのナショナルトラストを見に行って、実際どのように運営されているのか、今回、レンジャーの見直しもしましたが、自然を守るというのは各国で形態が違いますので、どのような形でやっていくのが日本の自然を守るのに一番いいのかということを頭において実際に見てきたいと思います。
ヨルダンでは何人かの政府の方々、もちろん環境大臣にもお会いするということになっております。

(質問)昨日、国立環境研究所等のグループが、このまま温暖化が進行すると2100年には真夏日が1年の1/3ぐらいになるというシミュレーション結果を出しまして、今年の夏以上の温度が日常的になるという結果がでていますが、温暖化対策を非常に強めなければというお考えをお持ちでしょうか。
(大臣)素晴らしいスーパーコンピュータを持っているわけですし、東京大学、国立環境研究所が共同して、スーパーコンピュータを使ったシミュレーションで結果を出していただきました。漠然と皆さん地球は壊れているのではないかと、科学者ではないのでこういう言葉を使いますが、漠然とした不安を今年は特に抱かれたと思います。これは日本のみならず世界中でそうだと思います。ブレア首相が最近、地球温暖化に対して、大変危機的な状況にあるのではないかということを、わざわざコメントも出しておられるぐらいです。また、アメリカでも科学的な解明が足りないということで、どちらかと言うと一歩引いたような形でしたが、ここへきて気候変動についてこれまでよりはかなり前向きに捉え始めてきていると思います。実際にハリケーン等も今襲っているわけです。世界各国でそうある中で日本としても今年の豪雨、さらには真夏日ということをしっかりとシミュレーションして今後どういう傾向になるのかを知ることはこれからの日本における地球温暖化対策等に一定の示唆をもたらすものだと思っております。科学的というと46億年の中でどうか、なかなか捉えにくいのですが、それでも長期的なスパンで見ていくと明らかに温暖化の方向に向かっているということ、それがどういう結果をもたらすのかをシミュレートして下さったという内容だと捉えています。

(質問)先ほどのブレア首相のお話ですが、英国は来年のサミットに向けて温暖化交渉で次の枠組を含めたリーダーシップを取っていこうという意志が感じられますが、今回の英国訪問だけに限らず英国との関わりはどのようにお考えでしょうか。
(大臣)これまでもCOP等の国際会議を通じて、特にベケット環境大臣とは非常にいいコミュニケーションが取れております。京都議定書という点では、イラクの問題で米英がしっかり手を握っているのとは違って、京都議定書になるとイギリスは全ヨーロッパ側につくというような形で明確に分かれてきています。京都議定書の実施について我が国としてもイギリスと常に情報交換を行っていきたいですし、次のG8で地球温暖化気候変動というテーマでイギリスがイニシアティブをとられることは歓迎すべきことです。さらに問題意識を共有していきたいと思っております。

(質問)三位一体改革で、小池環境大臣が地方6団体との会合に出られましたが、その感想と、細田官房長官が額に見合う代替案を各省庁10月下旬までにまとめるようにと閣僚におっしゃったということですが、環境省として今後1,215億円という額に関してどのような行動をとっていかれるのか、また6団体と直接お話する場はあるのでしょうか。
(大臣)まず予定につきましては、6団体とそれから政府の方でこれからの日取り調整が行われます。今回は入り口で全部の総論でやりとりをしましたが、次の時はテーマ別で総論から各論のところにも落とし込んでやりとりができればと思っております。6団体の方は、ずっと総論でやりたいのではないかというのが私の印象です。各論に入ると6団体がまとまらなくなるというのが本音だろうと思います。代替案ということですが、9割を対象にされて代替案を出せという方が無茶苦茶な話で、それに対してここをこうしてああしてという形での代替案は現時点では考えておりません。これで環境保全が本当にできるのかどうかという視点からの代案という意味では代案がないことはないですが、9割取られて代替案を出せという方が無理だと思います。他の役所なら別かもしれませんが。

(質問)逆に同じ額ではないけれども、一部譲歩するような、環境省側としてこの部分の補助金は移譲しますというような考えなのか、それとも全く違って、先ほどおっしゃられたように環境保全の観点からこれには応じられないという姿勢ですか。
(大臣)これからの意見交換の中で具体的に詰めていく話だろうと思っております。環境の問題は、地域密着の部分と地球温暖化、循環型社会の構築という大きなテーマまであり、そこで役割分担があっても然るべきだと前から思っていますが、しかしながら、今回はこちらからすれば環境にターゲットを当ててきているのではないかと我々が思っても仕方がないようなそういう状況になっているのではないかと思います。地方と国との役割分担を見直すきっかけですので、環境省として環境保全の観点から最も効率的な方法は何かと考えております。この間もむしろ補助率を上げて欲しいということを申し上げたのは、環境対策が遅れると、それを取り戻すのにかえって時間と労力がかかることになることを考えたならば、むしろこの際に国と地方が環境で一体としてガッと取り組んだ方がこれは国家の運営とすれば正しいのではないかと私は信念を持って考えたからです。今回は財源移譲ということがテーマですが、予算の分捕り合戦の霞が関の中に地方6団体が加わったようなそんな構図が見えるような気がします。だから、政策論議が抜けているということです。

(了)