環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成16年5月7日)

(大臣)閣議の案件ですが、一般案件が1件、国会提出案件が2件、公布が5件、政令がが1件、配布が3件でした。環境省関連はありません。閣議では、連休期間中に各閣僚の海外出張等が多々ありましたので、それぞれから報告があり、私からは、ニューヨークの国連本部で行われたCSD第12回会合の成果等について、手短に報告をさせていただきました。以上です。


(質問)環境大臣としての今回の外遊の具体的な成果について、お聞かせ下さい。
(大臣)まずCSDの方ですが、広い議場の私の席のすぐ後ろに、サウジの王子様がいらっしゃったので、まず挨拶をしました。そして、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ等の大臣と、まさに親しく仲間という感覚で、各国の取組についてとか、あの国は今こういうことを考えているわよとか、そういった情報をもらったりしました。私は、人間関係ができてきたことは、情報収集という一番大きな部分で、その下地が十分できたと実感いたしております。具体的には、アメリカの地球規模問題担当のドブリアンスキー国務次官と国務省やニューヨークの国連の場でもお会いして、アメリカの取組等について、話しをお伺いしました。京都議定書への参加についても、ブッシュ政権中は難しいと言われていますが、我が国の主張として、しっかりお伝えしてきたところです。また、ホワイトハウスの地球環境問題担当でもあり、環境評議会(CEQ)のコノートン議長と意見交換をしてきました。その他、ワシントンでは、下院の排出量取引法案、これはマイケン・リーバーマン法の下院版という形で、実際に進めているギルクレスト下院議員や、マイケン・リーバーマン法案の提出者である民主党のリーバーマン上院議員、このお二人にも議員としてお会いしました。共和党でも、このギルクレスト氏のように環境問題にしっかりと取り組んでおられる議員も多々おられることで、これから法案の提出の可能性であるとか、下院、上院での今後の動き等について、直接お話を伺ってきたところです。NGOの方ともお会いして、アメリカ大統領選前ということでありますが、ワシントンにおいて、それぞれの方々との情報交換は、非常に有意義であったと思っています。それから、ロシアのオソキナ次官にお目に掛かりバイ会談をしたことが、一番大きかったかなと思います。オソキナ次官は、科学者でもあり次官でもあるという方ですが、人間的に非常におもしろい方で、ロシア人得意のアネクドート、小話がとてもおもしろくて、その中で、チラチラとロシアの本音が覗くのですが、京都議定書に対しては、非常に積極的な発言をされてきた方であります。いずれにしましても、各国の取組状況、ロシアの感触等、直接情報収集ができたことは、今後の京都議定書批准に向けた我が国、各国の基盤ができたと思っております。

(質問)EU等と京都議定書のことが話題になっているわけですが、オソキナさんとの具体的なやりとりの中で、日本政府として、どのような感触、情報が得られたのか、教えていただけますか。
(大臣)オソキナ次官は、京都議定書に対してロシアが取り組むことを何度か言及されています。また、フリステンコ産業エネルギー大臣は、経済的なメリットについて、もっと研究すべしということをおっしゃっていますが、一方で、批准の反対勢力も根強いことについては、以前からのとおりです。これについては、WTOの加盟と掛けて交渉も行われていることも承知しておりますが、今のところ、まだ、いつということについては、明確なところまできていません。オソキナさんが、いみじくも夕食の場で、「みんな私に、『いつか、いつか』ばっかり聞く」とおっしゃってましたが、まさに「いつ」が、今問われているわけですし、ロシアの動きをこれからも注視していきたいと思っております。それから、大胆な省庁再編が、今回のプーチン大統領の再選に相前後して行われたわけですが、天然資源省が気候変動問題の責任を有することになった旨を、本人から直接聞きました。

(質問)具体的に、どのような小話をされたのでしょうか。
(大臣)アンブレラグループの夕食会の場で、英語で話をしたのですが、マーク・トウェインの話を出して、彼は作家だけど、同時に気象学者でもあって、今後、地球は大変なことになるということを言っているが、「いつ」ということを言わなかったということを話していました。いきなりマーク・トウェインが出てきて、みんな何だ何だと思って聞くわけですけど、そこで言うべきことは言っているわけです。だから「いつ」というのは、まだ言えない状況であるということを、彼女自身がその小話の中で言っているんだなと思います。

(質問)鳥インフルエンザの関係で、京都での調査を続行されるということですが、これは、念のためのという意味合いが強いのでしょうか。
(大臣)まさにそうであり、6月まで京都府と協力して、モニタリング調査を行うということです。鳥インフルエンザのこれからの動向等を把握するするためにも、有害鳥獣捕獲、傷病鳥等で回収された野鳥について、ウィルス検査を6月まで実施するということです。

(質問)普天間飛行場代替施設のアセスの方法書が公告縦覧になりましたが、これに対して、環境省としては、どのような姿勢で取り組んでいくのでしょうか。
(大臣)基本的には、事業主体が防衛施設庁なので、事業者が、地方公共団体、住民、専門家等の意見を幅広く聞き、これらの意見を踏まえまして、環境影響評価を行っていただくというのが、基本的な位置付けになるわけです。環境省としてどうかということになりますと、環境保全の見地から必要な意見を述べるということで、今後も必要に応じて助言等を行ってきたいと思っています。ちなみに、方法書の段階では、環境省の意見は求められていません。

(質問)イラクにおける米軍の収容所での虐待問題が、このゴールデンウィーク中に大変な話題になりましたが、米国の今の方針を支持している日本政府として、大臣として、この問題について、今日の閣議等で何か日本政府として言うべきことはないのか、あるいはこのまま静観していていいのか、その辺について、どうお考えになりますか。
(大臣)私は、ちょうどニューヨークにいるときに、アメリカのテレビニュースで、あの映像を見ました。最初は何かなと思ったんですが、率直に言って、非常にディスガスティングというか、うんざりする映像でありました。また今日は、首からひも巻き付けて犬のように引っ張っている女性兵士の写真が出ていました。日本語でも犬というのは、時々悪い意味で使われるときがありますが、アラブの世界で犬というのは、日本人が考える以上にひどい表現として使われることがあります。それから、年配の女性にロバのように跨ったそうですが、ロバというのも非常に目はかわいいのですが、ロバと言うと、おまえは馬鹿という表現として、その一言で全部言い尽くすことで使われます。犬とかロバとか、アラブ人が一番嫌うことをやっていることに対して、あまりにも配慮が足りないなと思います。今日の閣議の中では、このことについて、あれはもうひどいというのが言わずもがなであるために、触れる方はいませんでした。私の感想を述べさせていただくと、いろいろな理由があって収容所に入れられているのでしょうけど、そういったアラブの尊厳、イラクの人たちの尊厳、そういったことについて、あまりにもアメリカの配慮が足りないということについて、私は、これは違うと思っています。また、私は、言うべき時は、言っていきたいと思っています。ただ、6月30日までにどうやっていくのかという、この重要な時期において、アメリカがこういった問題であたふたとすることによって、主権移譲が滞ったり、さらには、そこで更に無用な混乱を引き起こすことがないように、配慮してほしいと思っています。


(了)