環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成16年3月23日)

(大臣)閣議の案件ですが、一般案件が2件、国会提出案件が3件、政令が21件でした。環境省関連は、政令のうち、いわゆるグリーン購入法で指定する法人を定める政令の一部改正がありました。また、4月1日に発足予定の日本環境安全事業株式会社、PCBを担当しますが、この代表取締役社長に、旭化成株式会社取締役兼副社長執行役員の宮坂真也氏を充てることについて、閣議で了解が得られました。今後、創立総会、取締役会等を経て、正式に決定される予定です。略歴については、後ほどお配りしますが、相応しい人事と考えております。
 それから、鳥インフルエンザに関してですが、京都府と大阪府でカラスの感染例が確認されています。いずれも、京都府で最初に発生した丹波町の養鶏場から二次感染したものと推測されておりますが、念のため、感染したカラスが発見された地域において、大規模なねぐらなどの追加調査を実施したいと考えています。具体的な調査方法は、現在、専門家の意見も聴きながら事務方で詰めているところですが、近日中に実施することを考えております。
 また、閣僚懇で、環境とは違いますが、昨日のパレスチナにおけるハマスのヤシン師が殺害されたことについて、日本政府として、明確に非難、抗議をしてほしい、そのメッセージを発出してほしいということを、私からお願いしました。それに対して外務大臣から、遺憾に思うことについて、今日、イスラエル大使にその旨を伝えるということでした。アルカイダとかタリバンとか、これらの組織名がよく出てくるときに、一緒にハマスが出てきて何かひっくるめられていますが、私の認識では、ハマスは、武装軍団もいるけれども、行政そのものがパレスチナで十分機能していないこともあり、福祉、教育といった行政で補えない面の社会活動をしている組織であり、ヤシン師は、その精神的な指導者であるということから、今回の殺害は、パレスチナ問題をより複雑にすることになりかねないのではないかと、私は大変危惧しております。今週末に、ご承知のように、パレスチナ、イラクの大臣を含めて日本・アラブ環境大臣セミナーを開きますが、パレスチナの環境大臣が、それによって出席できるかどうか、アラブでの様々な動きの影響も受けるのではないかと思います。だからこそやるのですが、そんなこともあり、今回のヤシン師の殺害については、特に私は、抗議の声を大にしたいと思っております。


(質問)岐阜市の産廃問題ですが、市の対応に問題があるという話がいろいろ出ていますが、その辺の大臣のコメントをお聞かせ下さい。
(大臣)何よりも規模の大きさ、豊島級とのことで、私自身もびっくりしております。岐阜市も周辺環境への影響を把握するための調査を実施するということで、岐阜市長が、市
に対策本部を設置し、情報公開等を進めておられるということです。これまでの経過など、関係者から伺って、そして環境省としても、今週末26日の金曜日に、近隣の県及び保健所設置市の産業廃棄物対策の責任者を招集して、何がどうなったのかという情報収集を行い、それをベースにして、今後どうするのか、その策を決めていきたいと思っております。

(質問)ヤシン師殺害の件ですが、大臣が非難すべしというトーンと、遺憾の意を伝えるという日本政府の対応と、トーンの差があるように思いますが。
(大臣)ですから、そこのトーンの差を埋めてほしいというお願いをしたということです。

(質問)自爆テロを容認するような発言を、ヤシン師はしていたということですが。
(大臣)それぞれの立場の違いで、どっちがテロなんだという応酬をしており、私は、どっちにも正当性がないと思います。だからといって殺害して、何か新しい方向が見つかるかといったら、混迷の度を極めるだけではないか、むしろ、更に混乱を呼んで、そして周りを囲む高い壁を作って、それを正当化する手段に使われるならば、かなり行き過ぎだと思います。

(質問)憎悪の連鎖を止めるのには、どうすればいいのでしょうか。
(大臣)シャロン首相の国内事情もあるでしょう。これについては、本当の意味で、もう一度、中東和平のロードマップを明確に出せるように、結局はアメリカの力に戻ってきてしまいますが、そこに期待するしかないと思います。

(質問)岐阜の産廃の件ですが、現地の報道によると、大臣が先日発言されたように、上から覆土を何重にもしていて、そこに何回も立ち入ったり、周りの住民から、汚水が漏れているという苦情があったのにも関わらず、建設残土だという説明を受けて納得してしまったようです。岐阜市もミスがあったということを記者会見で認めているようですが、その辺の対応については、どうなんでしょうか。
(大臣)これまで善商という会社に対して、チェックを何度もやっていながら、これだけのことがわからなかったということで、まず何がどうなっていたのかを、私たちもしっかり知りたい、その意味で会議を開き、岐阜市にもしっかりと理由を聞き、そういうものを重ねていきたいと思っています。
(廃棄物・リサイクル対策部)岐阜市でも、どういう行政対応をしてきたかを検証すると表明されております。そういう話も伺いながら、どうことがあってこれが起きたのか、話を聞いていきたいと思います。

(質問)国が対策を強化していっても、肝心の第一義的に対応するところがこうではと思いますが。
(大臣)これから、今日も衆議院の環境委員会で、まさに廃掃法の改正をめぐっての審議をするわけです。法律を作って、しっかり一つひとつやる、そして、そこの網の目から逃れることのないように何をしていけばいいのか、岐阜の例もまた、しっかりと現実を踏まえて、取り組んでいきたいと思います。情報が直接こちらに入るように、今、検討しており、何らかの形で、不法投棄をここで見かけたという情報のネットワークができないかなと、今、その辺を投げかけているところです。

(質問)それは、市と地元住民ではなくて、国に直接入るということでしょうか。
(大臣)その辺も考えて、機能する形を考えたいと思います。
(廃棄物・リサイクル対策部)こういった話は、基本的には都道府県あるいは保健所、市に情報がいく、それが役割分担だと思いますが、国にもいろいろな場合に立入検査をすることもございます。私どもにも地方環境調査官事務所がございますので、環境省としてもそういう情報をダイレクトに取り入れることができないかという大臣からの宿題ですので、検討しているところです。

(質問)週末に開催する、アラブ環境大臣セミナーですが、その意義をもう一度お聞かせ下さい。
(大臣)アラブ各国で、環境問題に対しての取組が非常に熱心に行われていることを鑑みて、日本の最新の技術であるとか、これまで日本が、公害の対策等、様々な法律的な対応をしてきた、日本自身もこうすればよかったなと思うような点、そういったことをこれから環境にしっかり取り組むアラブの人たち、特に環境担当の大臣の皆さんにも知ってもらいらいと思います。そして、アラブ各国で環境に関するニーズはそれぞれ異なりますが、そういう彼らの実際の問題点等の意見交換をするということを目的に、セミナーを開くことにいたしました。私は、アラブとの関係というのは、前にも申し上げましたが、これまでは、アラブ外交は油外交だと揶揄され、そしていつもこのような湾岸、イラク戦争等によって、自衛隊をどうこうという防衛的な安全保障の面でしたが、これから重層的な関係をアラブと築くのには、彼らのニーズである環境という面に対して、日本から呼びかけをし、そして彼らのニーズに応えていくというのが、極めて意味があると思っております。本来、私は現地を一つひとつ回りたいところですが、回りきれないので、まずは日本でセミナーを開くということです。今のところ、大臣が出席するのは、20に声を掛けて、13程度です。いろいろと状況が動いておりますので、最終的な出席者等は直前にお知らせすることになりますが、極めて多くの方が関心を持って下さっており、次官の方が出席されるところもあるので、基本的には、全ての国等が出席となると思います。

(質問)大臣のリーダーシップでこの会議自体を進めていくということでしょうか。
(大臣)そうですね。

(質問)温暖化問題については、このセミナーで触れていくのでしょうか。
(大臣)燃料電池車も見てもらおうと思っています。

(質問)京都議定書の批准に直接関係ないかもしれませんが、応援団になっていただきたいとか、そういう呼びかけをするのでしょうか。
(大臣)そうですね。ただ、産油国の場合、議定書については、COP9の場でも非常に後ろ向きと言うか、彼らにとってプラスではないという見方をしています。ただ、これに限らず、基本的に地球環境問題で一致するところがたくさんあります。例えば、広い国土を持っているところに水道を敷設するよりは、それぞれの集落で日本の浄化槽のような優れものを紹介するというのも、彼らにとって、極めて興味深いところになるのではないかと思っています。


(了)