環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成16年3月16日)

(大臣)閣議の案件ですが、一般案件が6件、国会提出案件が4件、政令が7件、人事案件が2件でした。環境省関連は、一般案件のうち、いわゆるグリーン購入に関する基本方針の一部変更について、また、政令では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令等の一部を改正する政令がありました。
 今日は、閣議に先駆けて8時10分から、鳥インフルエンザに関する関係閣僚会合が開かれ、政府一体となって対応するために、具体的な総合対策がとりまとめられました。これを受けて、環境省の体制も臨機応変に人材も厚くと先週も申し上げましたが、自然環境局に鳥インフルエンザ緊急対策チームを本日、設置いたします。人員ですが、自然環境局の各課から6名を増強し、省内他局から3名、また、外部の鳥類専門家1名にも加わっていただいて、総勢22名のチームで本件に精力的に取り組みます。基本的には、自然環境局内の鳥獣保護業務室が中心となってまいります。やはり環境省として、感染経路の解明に更に拍車を掛けられるようにしていきたいと思います。以上です。


(質問)先日の山口での調査の結果、また、昨日、韓国での調査結果の現時点の報告がありました。日本で採取したサンプルからは何も出て来ませんでした。併せて韓国での調査でも渡り鳥からウィルスは検出されなかったとのことですが、それについて、大臣は、どのようにお考えでしょうか。
(大臣)いろいろな可能性が考えられるところで、その可能性を一つずつ消していき、問題を凝縮させていくことは、当然とるべき手法です。こういう考え方に則って、山口での検査を行い、環境省職員が韓国で検査の結果を聴取し、また自ら現地を廻ったということで、ファクトの積み重ねを今やっているところです。山口県での結果ですが、貴重な資料が得られたと思っていますし、このデータが、これからの検討に総合的に活用されることを、まず期待したいと思っています。ただ、陰性であったということで、これで全て関係ないと断定するところまでいかないとは思っていますが、それでも調べたものが陰性であったことは、ある意味で少しホッとするところではあります。韓国については、その報告のポイントは2つあります。1つ目は、韓国で昨年の12月に、この鳥インフルエンザ問題が起こっていましたが、今の時点では、事態は既に終息していることがわかりました。2つ目は、韓国でも、水鳥など野鳥の調査が実施されて、5千件程度調べたようですが、高病原性鳥インフルエンザウィルスが検出されなかったということなので、山口も韓国もこれで問題なしと言い切るところまではいきませんが、これまでファクトを積み上げてきたということは、一つのルートの解明に大きな材料ができたと思っております。

(質問)今日、発足する対策チームですが、どういう方向性で、どの辺を狙いとして、チームとして取り組んでいくのでしょうか。
(大臣)今回、22名という体制にしたわけですが、これから都道府県との連携も深めていかなくてはならないので、臨機応変に活動できるように、それを受け止める人員と、その後の分析や後のことを考える人員と、人が増える分、対応がきめ細かくできることを期待しております。

(質問)外部の方は、具体的に決まっているのでしょうか。
(自然環境局)この対策チームに入る外部の専門家は、自然環境研究センターの有本研究主幹です。緊急対策チームの22名とは別に、鳥インフルエンザ野鳥対策に係る専門家グループを発足させようと思っており、明日、その打合せを早速行いますが、鳥取大学農学部の伊藤教授の他、野鳥関係の研究者で構成しております。

(質問)外部の鳥の専門家によるグループについて、簡単に説明をお願いします。
(大臣)この専門家グループは、鳥取大学農学部の伊藤教授、都市鳥研究会の唐沢さん、日本野鳥の会主任研究員の金井さん、山階鳥類研究所研究員の茂田さん、日本鳥類保護連盟調査室長の矢作さんの5名の方にお願いをしております。省内での緊急対策チームには、外部の専門家1名に非常勤の形で加わっていただくのと、外部の専門家グループの検討会を作るという整理です。

(質問)検討会の狙いを教えて下さい。
(大臣)専門家の意見をまず集約して、これからどこを調べたらいいのか等を含めて、ご助言をいただこうと思っています。

(質問)日韓の渡り鳥調査を含めてということでしょうか。
(大臣)それを含めるのかどうかということも、併せてお願いしようと思っております。

(質問)なぜ、このタイミングで、この規模、この陣容なのか、国全体の対策の中の位置づけをお聞かせ下さい。
(大臣)何よりも鳥インフルエンザの広がりについて、国民の皆様が心配されておられること、学校給食で鶏肉がどうとか卵がどうとか、食の方にまで広がっているので、できるだけ感染経路を明確にし、また経路が明確になれば対策の打ち方も変わってきます。そういった観点から、職員もあちこち飛んでいて、そうなるとこちらの人員もかなり手薄になってきます。また、47都道府県の調査が動き出すと、その集約もあり、もちろん農水省と連携をとってやるわけですが、そのヘッドクォーターとしても十分な人員が欲しいということです。ある意味で、いろいろな環境問題でも、これから考えられないようなことも起こってくるでしょうから、私は、局であるとか課であるとかでなく、臨機応変に、アドホックの組織体で動けるようにしておくのも必要かと思っております。

(質問)鳥インフルエンザの場合、人にも感染する危険性があるのではないかということで、これだけの騒ぎになっているわけです。日本であまり見られなかったこういう騒ぎ、対象が人であれ動物であれ、野生動物起源の感染症等に、今後、環境省が主体的に対応していくという考えの現れということでしょうか。
(大臣)例えば、昨年はコイヘルペスもありましたが、野生であれ飼育されているものであれ、生物起源ということならば、環境省が担当する部分もその度に出てくると思います。ですから、問題の原因がどこにあって、広がりがどのようになるのか、それぞれ事象が違ってきますので、規模がどういうものであっても、環境に関するものであるならば、ある時は、比重をそちらにかける場合もあるでしょうし、そういう組織体であるべきだと思っています。今回は、鳥インフルエンザに力を入れて、環境省として取り組んでいきたいという意志の表れだと理解して下さい。

(質問)状況からして、これまで環境省として野鳥に対しての取組が、相当いろいろなことに手を広げてやったと思いますが、今からその対策の動員というのではなく、これまでに人を多くしてやるべきではなかったのかという気もしますが。
(大臣)みんな必死になって頑張ってきたのですが、まず、職員がもう少し壁を取り除いて役所全体で取りかかれるような、そういう体制にした方がより効率がいいと感じたこともあります。これまで、山口で起こり、大分、京都とだんだん広がりが出てきたということからも、そういった人員の拡大の必要性を更に感じたということです。

(質問)先ほど、山口の調査でウィルスが検出されなかったことについて、ホッとしたというご発言がありましたが、どこかでウィルスが出た方が、ルート解明を絞り込めたのではないでしょうか。
(大臣)どうでしょうかね。すべて野鳥のせいというわけでもないでしょうし、今の時点では、一つひとつ可能性を潰していくことで、問題の本質に突き進んでいった方がいいのではないかと思っております。

(質問)都道府県へお願いする分の集約のヘッドクォーターというのは、例の各都道府県で野鳥のサンプルを集めるというものですか。
(大臣)そうです。

(質問)そちらの進み具合は、いかがでしょうか。
(大臣)これからです。

(質問)目処としては、どうでしょうか。
(大臣)農水省とすり合わせをしていますので、近いうちにということです。最近は、カラスとかハトとか鳥の名前ばかり聞いているので、新幹線のニュースで、ツバメという名前を聞いて、今度はツバメかと思いました。でも、いろいろと広がりのあることであり、季節によって動きが変わってくるでしょうし、広い、先を考えた対策、対応策を考えていきたいと思っています。

(質問)小泉総理が、官僚の天下りについて言及されていますが、それについて、大臣のご意見をお聞かせ下さい。
(大臣)基本的には、適材適所ということだと思います。私もどちらかというと、そういうものを問題視してきた方ですが、中には適材の方もおられるし、事務次官をやっていたからダメというのもおかしいと思います。これから、具体的な指示が出てくるでしょうから、それに従って、判断すべきことは判断していきたいと思っております。 

(了)