環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成16年3月12日)

(大臣)閣議の案件ですが、一般案件が2件、国会提出案件が6件、法律案が1件、政令が7件、人事案件が1件でした。環境省関連では、自然公園法施行令の一部を改正する政令があり、国立公園の特別地域内における行為の許可等に関するものを法定受託事務として処理する都道府県から岩手県等4件を除くものです。
 私からの報告は、知床を世界遺産の新たな候補地として推薦し、これからPRに努めていきたいと思っておりますので、お配りしてある名刺ですが、知床のPRをしている英文の名刺を閣僚の方それぞれに作成し、今日、閣僚懇で私から渡しました。今年の夏から秋にかけて現地調査等になりますので、これから盛り上げていきたいと思っております。それに関連し、昨日、第2回エコツーリズム推進会議を開催しました。私は、大変、力を入れているので、是非、出席したかったのですが、国会の都合で出席できませんでした。その中で、去年11月以降、検討をしてきた推進方策について、その基本的な考え方を議論して、推進会議で合意をしていただきました。その中の一つで、モデル事業を公募することを決めましたので、これを発表させていただきます。このモデル事業ですが、エコツーリズムに関心を寄せている自治体に対して、環境省として支援させていただき、その地域にエコツーリズムを定着させることと、全国的なエコツーリズムの推進への課題をより深く検討するという、2つの目的で行うものです。モデル事業を実施するタイプとしては、典型的なエコツーリズムの適正化、マスツーリズムのエコ化、保全活動実践型エコツーリズムの創出、この3つの観点から、モデル地域を選んでいきたいと思っております。自然環境が良く、雇用が増進できる、地域が活性化するといった、いろいろ工夫することで、大きく発展する可能性があることから、多くの自治体から、ご関心をいただいておりますが、8地区に絞ることになると思います。募集期間ですが、今月15日から来月16日までの1ヶ月間であり、モデル事業の実施地区は、計画内容等を審査した上で、6月に予定している第3回推進会議で決定したいと考えております。
 それから、何よりも関心事である鳥インフルエンザ対策ですが、大阪府茨木市で死亡し回収されたカラスが高病原性鳥インフルエンザに感染していたことが昨日、判明しました。昨日、職員を現地に派遣し、大阪府の調査に協力させており、引き続き、調査等について大阪府と連携を図っていきたいと思っております。同じ昨日、韓国にも職員を派遣し、韓国環境部等との情報交換及び現地調査をさせております、また、3月9日付けの四府省連名の通知により、都道府県において、持ち込まれた死亡鳥についてインフルエンザの感染の有無の調査が行われていることろです。さらに、日々の生活の中でも身近な鳥であるカラス、ドバトについて、サンプルを捕獲して調査を実施するよう、都道府県に要請していきたいと考えております。なお、捕獲鳥のウィルス検査については、農林水産省のご協力をいただかなければなりません。今、農林水産省は、この鳥インフルエンザでご苦労されているところですが、やはり国民の皆様方のいろいろな不安を取り除くためにも、協力をしてやっていきたいと考えております。以上です。

(質問)カラスとドバトのサンプリング調査ですが、環境省として、独自に要請するということでしょうか。
(自然環境局)現在、要請中ですが、農林水産省と協力をしてと思っております。まだ固まっておりません。

(質問)いつ頃になるのでしょうか。
(自然環境局)なるべく早くと思っております。

(質問)何度もお聞きするようですが、それぞれの調査の進捗状況は、いかがでしょうか。(大臣)あちこちの調査がありますので、整理する意味で、まとめてお伝えいたします。まず、大分の調査は、9日で終了しています。そこでは、9種類、99個体を捕まえており、採取した献体は、鳥取大学で検査をしております。京都の鳥も、同じく鳥取大学で検査をしています。調査は、11日木曜日に終了しており、そこで捕獲したのが、21種類、105個体となっています。大阪府の方は、先ほど申し上げましたように、昨日、職員も派遣し、韓国にも職員を派遣をしております。検査は、培養させたりするので、結構、時間がかかるようです。急がせているといろですが、こちらの思いと、検査の結果が出ることと、タイムラグがあるかもしれませんが、着実に、正確な結果を出したいと思っています。
(質問)カラス等が、別の感染源を想像させるように他のところから出てきたりして、場合によっては、拡がりを示唆するかのような事態になっています。時間がかかっているところを見ると、体制の見直し等を考えてないのでしょうか。
(大臣)京都の事例については、カラスは養鶏場から感染したとの見方を学識経験者が示しております。また、大阪の事例についても、京都の養鶏場からの感染の可能性が否定できない状況で、一連のカラスの感染は、京都の養鶏場が感染源となっているとも考えられ、連鎖的に広がっているとは断定できません。また、自然界における野鳥同士の接触の機会はかなり少なく、感染が広がる可能性は低いと学識経験者に言われており、いずれにしても、今の時点で、断定的に申し上げることは、残念ながらできません。ただ、あらゆる可能性を考えながら、できるだけ早く、答えを出したいと思いますし、それが即ち、皆さんの不安を取り除く最大な方法であることもわかっております。

(質問)知床についてですが、これから名刺でもPRしていくとのことですが、他の閣僚の方々がそれを受け取って、どんな印象だったのでしょうか。
(大臣)鳥インフルエンザを含め、今、いろいろな問題が山積みする中で、日本の自然をPRするという明るい話題で、皆さん、顔をほころばせてくださったと思います。ちなみに、お渡しする際に、ホワイトデーの催促ではありませんと申し上げました。

(質問)いろいろな場でその名刺を配るということでしょうか。
(大臣)そうですね。英文と日本文の両面の名刺を作りましたが、海外からお越しになる方に、特に、お渡ししていこうと思っています。

(質問)サンプリング調査ですが、カラスとドバトを選んだ理由を教えてください。
(大臣)私たちの生活圏に一番多い鳥であることが、最大の理由です。特にカラスの場合は、雑食ということで、今回もカラスがウィルスに感染して死んだ事実があるわけですから、皆さんのすぐそばにいる鳥が大丈夫かということは、ご心配の向きが多々あろうと思います。ドバトも同じように身近であるという理由です。ですから、カラスとドバトを対象とすることにしました。

(質問)サンプリング調査ですが、鳥取大学で調査しているのと同じやり方でやるのか、そうするのであれば、元気な鳥からウィルスを検出するのは、非常に困難であるという話もありますが、その辺はいかがでしょうか。
(自然環境局)生きている鳥ですので、捕り方は、これから都道府県の方で考えていただくことになるかと思います。完全に高病原性鳥インフルエンザに罹って死んでしまったものは、体中に蔓延していますので、確かに短時間でわかりますが、これまで鳥取大学と自然環境研究センターが、カスミ網を張って採ったことと同じようになりますと、2回培養することになるので、時間は少しかかると思います。

(質問)韓国から、お願いしてもなかなか情報が来なかったということで、職員の派遣に踏み切ったわけですが、一日しか経っていませんが、初日の報告はありましたか。
(大臣)まだ入ってきていません。入り次第、整理をして、皆さんにご報告できると思います。

(質問)大阪での調査の報告は来ているのでしょうか。
(大臣)今のところ、まとまったものは出てきていません。
(自然環境局)概略ですが、数種の野鳥を確認しております。周りにネグラがあるので、その状況も見に行ったということです。特に何か異常があったとは、聞いておりません。

(質問)ネグラの位置、規模等を教えていただけないでしょうか。
(自然環境局)ネグラの規模は、ちょっとわかりません。

(質問)ネグラの中では、特に異常はなかったのでしょうか。
(自然環境局)ございません。
(大臣)松本清張の点と線の世界で、ネグラ全体が、汚染されているか否かによって、判断の仕方も違ってきますし、どういう飛来経路で行くのか、そういったことも踏まえ、また、ウィルスそのものについて、いくつかチャック事項が重なっておりますので、途中の経過のご報告をするのがいいのか悪いのかということもあるかと思います。ですから、しっかり結果が出たことについてはちゃんとお伝えしていき、それが不安の解消に繋がり、事態の収拾にも繋がるという、そういう頭の整理をしていくつもりです。

(質問)茨木市のカラスのケースもそうですが、住民の方からの通報でした。これまで、飛んでいる野鳥を見るというのが中心でしたが、住民からの情報提供や聞き込みをするとか、手法自体が変わるということはないのでしょうか。現地調査に場合でも、ある種、素人さんに聞いても、ちゃんとした知見かどうかわからないので、当事者の方には事情を聞いたりしないとのことでしたが、カラス等だと生活圏での話ですので、地域住民の情報というのは、小さくないのではないかと思うのですが。

(大臣)実際に市民の方々が、いろいろな鳥や動物がそうではないかと情報を寄せていただいており、検体が集まることは集まるのですが、次はチャックに追われるという状況である意味、皆さんのご協力を得て、大変うれしい部分がありますが、その分、検査の対象も広がるということだと思います。

(質問)どこまで報告したらいいのか、市民として協力の線引きが難しいところですが、どう判断すればいいのでしょうか。昨日も霞が関にフラフラしたカラスがいて、問題になっていたようですが。
(大臣)少なくとも死んだ鳥は、ご報告いただいた方がいいのかもしれませんが、それも日本全国で言えば、おびただしくいるのかもしれません。
(自然環境局)先般出した通知の中では、いろいろな鳥インフルエンザのタイプがあり、感染症も別にあって、寄生虫も持っているということで、今、このような不安状態ですので、ビニール袋に入れ、密閉し処理をするということもありますし、同時に、保健所や家畜衛生研究所にも報告していただくということですが、そこは市民の方々の判断ですが、ケースバイケースで、すべて持ってこられる状況になると、受け手がパニックになるのではないかと思います。いずれにせよ、市民の皆さんのご判断ということになります。

(質問)鳥取大学は、パンクしていないのですか。
(大臣)かなり激しいのではないでしょうか。

(質問)他を探すことはないのでしょうか。
(自然環境局)鳥インフルエンザの関係で専門というのは、鳥取大学と北海道大学だけで、長年、そちらの方で研究をしています。仮に検査ができても、うまく判断ができるかどうかわかりませんので、総合的に考えると、今お願いしているところが、現時点では。一番
適切なところだと思います。

(質問)増やすつもりはないのでしょうか。
(自然環境局)ないというわけではありませんが、どういうところがあるかは、私どもは
まだ承知しておりません。
(大臣)広がりが出てくることによって、不安も広がっていきます。実は、私どもの担当を非常に人数が少ないと言いますか、これまで想定しておらず、環境省内でも韓国に行ったり現地に行ったりして、こちらのネグラにいなくなってしまうので、その辺も臨機応変に対応していきたいと考えています。鳥取大学だけで間に合うのかということですが、基本的には鳥取大学も学術的な調査を専門にこれまでやってきていますので、このような危機対応というのも、難しい部分があるのかもしれませんが、必要に応じて、そういう体制もしっかりととっていきたいと思います。
(了)