環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年12月26日)

(大臣)今日は、今年最後の閣議が開かれました。一般案件が1件、政令が2件あり、政令案件のうち1件が環境省関連で、フロン冷凍庫の関係で特定家庭用機器再商品化法施行令の一部を改正する件です。また、人事案件が4件でした。最後に総理から、この間よく英気を養って、備えてほしいという言葉がありました。
私から2点お伝えいたします。今日は、初めて官邸に燃料電池車で行ってきましたが、できるだけ時々乗ってみようと思っています。先だって来年度予算概算要求ができましたが、実質、若干のへこみがあるわけですが、ここは様々な新しい発想をしっかり取り入れて、また、職員のやる気、発想力といった、知恵の部分でそれを補って、余りある形に持っていきたいと思っております。私も環境大臣を拝命して既に3ヶ月が経ち、実際に外から見ている環境省と、一緒に行政を共にやっていくようになった中で、いろいろと考えることもあり、環境省の有している力をもっと活用できないかと思い、皆さんの社でも記事、特ダネ等で社長賞等あるかと思いますが、それと同じ形でエコイスト大賞を設けることといたしました。エゴイストではありません。エコノミストがいるならば、エコロジーに対してエコロジストというと、生態学的なニュアンスがあるので、造語になりますが、エコイスト大賞というネーミングにさせていただきました。これは、環境省の職員が、個人なりグループなりで、柔軟な発想で、こうやったらいいのではないかとか、こんなこと、そのまま上司に言ってもダメかもしれないけれど、ひょっとしたらいけるかもしれないとかいった、そういったアイディアを募集して、その優れた提案に対して、大臣、副大臣、大臣政務官から表彰を行うこととしております。ご褒美は賞状一枚ではありますが、最大のインセンティブは、提案した施策が、実現の方向にいくということです。これは、環境省、国立環境研究所、現時点での環境事業団等の職員が対象です。よく若手の人たちが、こういうことを言いたいと思っているところに、チャンネルを作っていくということもそうなんですが、できれば幹部の方もこれに応募してほしいと思っています。幹部の方々は今の役職があって、他のことに口を出せないということもあると思いますが、これまでのいろいろな積み重ねがあるわけで、実は最大の宝庫であると思っております。これは若手の人たちだけではなく、これまでの積み重ねの中で、これはやっておかなくてはということを提案していただきたいと思います。環境省内の環境を更に活性化する意味を持っています。
もう一つの報告は、グリーン購入法の基本方針に定める特定調達品目等の見直しについてです。国の機関等において、グリーン購入法を進めていることはご承知のとおりですが、環境負荷を下げるということで、それにふさわしい物品の優先的な調達を進めるということで、この対象となる特定調達品目等を定めており、その追加の件で、今日からパブリックコメントを募集します。見直しの中身は、今年7月の一般公募でいただいた提案を参考にしたもので、植物由来のプラスチックを用いたクリアホルダーと、自動車整備におけるリサイクル部品の使用、そしてノンフロン冷蔵庫等についての追加などの見直しです。物品、役務の分野では11、公共工事の分野で12、合計23品目の追加となっている他、34件の見直しを行うことになっております。今回の見直しで、現在176品目に23品目を追加して、合計199品目となる予定です。私からは以上です。


(質問)冒頭のエコイスト大賞の件ですが、どう評価して、選別するかということが一番問題かと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
(大臣)まず2つあって、1つは、まさに環境の政策提言です。もう1つは、環境省で毎日行われている業務の見直しで、書類ばかりで時間がかかるのがおかしいとか、実際に働いている人たちが、ここをもっと改善すればいいのにと思える項目について設けたいと思っています。政策提言と日常業務に関しての改善案の、この2つの分野に分けたいと思っております。特に政策立案等で、技術的な話になると、私はわかる部分とわからない部分がありますので、実行可能かどうかということも含めて、国環研の方々の専門的な見方でコメントを付けていただいたりして、それで上がってきたものを最終的に大臣、副大臣、大臣政務官がそれぞれが責任を持って決めていくということです。

(質問)第三者が評価するということもあり得るのでしょうか。
(大臣)上がってくる間にあるかとは思いますが、あまり第三者機関等を作って、どうだこうだということをしていたら、おもしろいとか突飛な発想は、かえって引き上げられないのではないでしょうか。

(質問)1回目の締め切り等はいつなのでしょうか。
(大臣)実はお正月の間でも職員に、初夢ではありませんけど、いろいろと考えてもらいたいということで、今日お話させていただいているところです。締め切りは2月末で、それまでにいろいろと考えてもらい、審査に1ヶ月くらいかけて3月末には決めたいと思っています。

(質問)年に1回ということでしょうか。
(大臣)まず、定着させたいと思っていますし、それによって、よしという気になってもらいたいと思います。普段やっている行政は着実に進めることは当然のこととして、プラスαのところで何かないかという考え方、アイディアを闊達に提案していただきたいと思います。

(質問)今日で今年の会見も最後となりますが、大臣に就任されてから3ヶ月の期間を振り返って、その総括をお聞かせください。
(大臣)3ヶ月、環境大臣として無事過ごすことができたと思っております。外へ向かってのものは、京都議定書に絡んでのCOP9という大国際会議がありましたし、北京でのTEMMでは、地域的な環境問題に取り組み、また内にあっては、知床の世界遺産のエントリー、トキの話もありました。また、ごみ、リサイクルの問題という日常的、必須な環境問題に、いろいろな技術的な面も含めて、取り組んでいきました。私にとっては、貴重な3ヶ月間に集中して勉強もし、なおかつ、そこから私なりのアイディアも出すこともできたと思っております。来年は具体的な法案も抱えておりますし、腰を落ち着けて着実に歩みを進めていきたいと思っております。最初からホームランを打つために、ぶるぶるとバットを振り回すということは考えておりません。むしろ一つひとつ確実に走者を前に進めるというステディな形で、これからも進めていきたいと思っております。それから2004年というのは、温暖化問題で大綱の見直しの年になります。よって今後、温暖化対策としてわが国がどうあるべきなのか、こういった戦略をもう一度定めていく場合に、非常に重要な一年になってくると思っております。また、先ほどのエコイスト大賞ではありませんが、従来の発想にとらわれず、斬新で、かつ実現することができるような政策を次々に打ち出していきたいと思っています。それから、何よりも環境省の行政に対して、また、環境省の政策に対して、国民の皆様に信頼を寄せていただけるような、そういう取り組みをこれからもしていきたいと思っています。環境問題は、いかに国民の皆様の御協力無くしては進まないかということを学んだ3ヶ月でもあったと思っています。

(質問)この3ヶ月間で、特に大臣らしさが出たと思うことは、何でしょうか。
(大臣)3ヶ月は、ゴルフでいうところの溜めだと思ってますので、まだ結果として出たということではないと思います。それくらいに心をいつも落ち着けていきたいと思っております。あれをやりました、これをやりましたと言うことは簡単ですが、それを評価されるのは皆さんなので、あれをやり、だからこうなったという、まだそこまで大きく言うのは、まだ3ヶ月は早いと思っています。大きな国際会議で、こうすればいいのになと思ってきたことを、自分が当事者になって、COP9等でやりたい方向のことがいくつかできたということでは、自信に繋がったと思っています。

(質問)2004年は、温暖化大綱の見直しという非常に重要な節目の年ですが、来年のことを言えば鬼が笑うかもしれませんが、温暖化大綱の見直しということで、国内の温暖化対策の基本的な方向性が示されていくのでしょうか。
(大臣)国内的には、いくつか進めていく施策があります。これまでに決まっていることを更に加速できるようにしていきたいと思ってます。例えば、先ほど、政府としてのグリーン購入の話をしましたが、国民の皆さんが、グリーン購入を積極的に、その方向性を更に持っていただけるように、これは結局、経済性にも係ってくると思います。ですから、政府が一丸となってグリーン購入を進めるということが、即ちスケールメリットを呼んで、それが、国民の皆さんが、こちらの方が安いではないかということと、地球に良いのにということを子どもに教えるということの積み重ねだと思います。新製品等を見ていても、非常にエココンシャスなものが、競うように出てきています。これは、いい傾向だと思いますし、今回の予算要求でも、石油特会等を活用して、環境志向の製品なり技術開発なりを進めていくことの環境も整ってきたと思っております。ですから、温暖化の問題も、ホームランはなかなかないと思います。ボールが投げられて、バッターボックスに立っているのがロシアとアメリカなので、来年秋の大統領選の結果等を見ないとわかりませんが、日本としてバッターボックスに立ち、温暖化対策でホームランを打つことができるかといったら、そうではないと思います。しかし、温暖化対策は、着実な一つひとつの積み重ね、特に残念ながらCO2の増大している民生部門、運輸部門を中心に、削減できるような施策、小さなヒットを積み重ねていくということではないかと思います。戦略的にというのは、まさにCO2の問題で一番大きく出しているところに対しての働きかけを、どうやっていくかということだと思っています。

(質問)大綱の見直しの中で、一つの焦点になるのは、温暖化対策税をどのように盛り込んでいくかということだと思いますが、改めて温暖化対策税についてのお考えをお聞かせ下さい。
(大臣)やはり経済的な手法とすれば、大変強力であります。これまでの審議会のいろいろな積み重ねもあります。見直しを踏まえた上で、この手法がいいということが出てくるならば、まずは国民的議論に繋げられるような活動をして、国民の皆さんが、例えば来年の今頃に、今年は年金の問題でしたが、来年は、環境に対する税金のあり方等について、建設的な議論が巻き起こるようなことを、1年間のスケジュール表を睨みながら、盛り上げていきたいと思っております。できれば、それまでに経済が大きく元気になって、環境税を入れるとおかしくなるのではないかという経済界の反対する部分の根拠が、少なくなればと思っています。

(質問)消費税率のアップの話が出てきていて、環境税の導入のタイミングと似通った部分あり、負担が重くなることばかりで、客観的に見たらきついなと思いますが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
(大臣)税が上がることは、客観的に見てきついことですが、きついけれども、それが十分理解されて、全体でそうしようという方向性が出てくるならば、それは一つの考え方だと思います。消費税の論議は、これからどのように進んでいくのかということもありますが、負担する側は、何税であれ、負担になることは変わりないでわけですから、これまで語られている温暖化対策税のスキームが、消費税率のアップとどういう形になるのか、消費税問題の流れをにらみながら考えなければいけないと思います。税というのは、それだけ総合的なものだと思いますが、何のために、そしてそれをどのようにという方法は、消費税にせよ温暖化対策の新税の検討にせよ、負担していただく側の納得、なかなか難しいかもしれませんが、理解がなければ進まないものだと思います。しかし逆に言えば、環境に対しては、一般の国民の皆様方は、非常によくわかっていただいているのではないかと思っています。むしろその使い方に、環境省として、理解を進めていく、深めていくということが、必要になってくると思います。

(質問)大綱の見直しが2004年ということですが、大臣としては、2004年の何月までに見直しを終えるべきだと考えていますか。
(大臣)それは、いろいろな作業がありますので、それを見てからになると思います。何月とかは、今は申し上げる段階ではないと思います。

(質問)概算要求の時期に合わせるということは、お考えではないのでしょうか。
(大臣)それも含めて、全体を見て判断したいと思っています。

(質問)大臣の年末年始のご予定を、差し支えない範囲でお聞かせください。
(大臣)忘年会と新年会にそれぞれ挨拶したいと思います。お祝いしてくださる方が、今年は多いので、あちこち顔を出していくというのが、私の年末年始です。年末は地元で、年始は宮中参賀から東京におります。後は、行ったり来たりです。


(了)