環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年12月2日)

(大臣)閣議の案件ですが、国会提出案件3件、政令が3件、これは、全て環境省関連の政令で、ご承知のことと思います。人事2件、報告が1件、この報告は、私の方から、環境基本計画の進捗状況の第2回点検結果について、ご報告をさせていただきました。また、総理から、会計検査院の決算検査報告の指摘がまとまったということで、337件の報告で、約400億円という数字が出ているが、各省それぞれ事業内容に不公正、不明朗無きように、注意を払われたしということで、ご発言がありました。
 先ほどの報告の事項について、若干お話をいたします。11月26日に中央環境審議会の森嶌会長からいただきました、環境基本計画の進捗状況の第2回点検結果についての報告をいたしました。これは、環境基本計画の進捗状況を点検して、今後の政策の課題等を指摘したものですが、今回は、初めて各府省から自主的点検結果の報告を受けて、これを踏まえた全般的評価が示されたというところが、ポイントになります。また、地球温暖化対策、環境への負荷の少ない交通に向けた取組など5つの重点項目について、評価や今後の課題が示されています。環境省では、今回示された指摘を踏まえて、的確な情報提供を国民に対して行うこと、また、各種施策に率先して取り組むということですが、環境問題は、各府省に跨るテーマが多いので、それぞれの閣僚に協力をお願いしました。もう一点ですが、従来より政府全体の環境保全施策が効率的、効果的に展開されるように、見積り方針を調整して、環境保全経費として取りまとめをして、財政当局に配慮をお願いしているところでありまして、これに加えて、今般、関係府省の環境保全経費の新規要求のうち、環境保全上の観点から特に高い効果が期待できると考えられる施策を推奨事項として選定いたしたところです。ポイントが4点あります。第一に、施策を行う国民的ニーズ、緊急性の高いもの、第二に、施策を行うことによって波及的効果が高いもの、第三に、各府省が連携し効果が高いもの、第四に、先駆性があり効果が高いもの、これらを推奨するときのメルクマールとして、選定をしたところであります。これによって、より効果的に環境保全施策が進められるということを期待しているところであります。
 閣僚懇では、やはりイラクの問題が取り上げられ、川口外務大臣から、いろいろとご心配をかけ申し訳ないということと、各方面からの弔意を頂戴していることに対しての謝辞がありました。ご家族が、お昼にでもクウェートに到着するであろうというご報告もありました。各大臣からもご発言がありましたが、私からは、ご家族のご意志もあるでしょうが、外務省の省としてのご葬儀を考えているように聞いていますので、役所だけの問題じゃないのではないかということから、より開かれた形で、多くの方が参加できるように、お別れの会という形にされたらいかがですかということを提唱させていただきました。方法はいろいろあるかと思いますので、今後、外務省を中心として、検討されるものと理解しています。以上です。


(質問)COP9が始まりましたが、京都議定書の早期発効というのが焦点になると思います。大臣ご自身のお考えとして、京都議定書の発効が遅れると、どのような影響が出てくるとお考えですか。
(大臣)まず、メカニズムとしての京都議定書の約束ごとになるわけですから、メカニズムが十分に動かないということは、メカニズムそのものに大きな支障をきたすということに他ならないと思っております。また、なぜメカニズムが動かないかというと、これからのロシアの出方、アメリカの考え方、そして開発途上国などの取り扱い方等、いくつか大きなポイントがあると思います。今回のCOP9がどういう位置付けかということによって、また、日本の対応の仕方も練っているところですが、いろいろな政治状況なども考えますと、今回のCOP9で、今申し上げたような大きなポイントが、前にががっと動くということは、なかなか難しい状況であろうかと思います。COP9が始まって、オープニングの挨拶もあり、締約国の間で、より強い信頼関係を築いていこうという、今回のハンガリーのペルシャニ議長から、そういう旨の話があったと聞いております。まさに、まず締約したところが、まず団結をして、強い意志を持ってこれからの仲間づくりに励むという、ここが今回のCOP9のポイントになってくると思います。メカニズムを進めていくうえで、各国へ様々な呼びかけを、日本としても不断の努力を続けていかなければならないと思っております。地球温暖化は、待ったなしの状況であるということは、各国も今年の日本だったら冷夏、ヨーロッパだったら猛暑ということ、アメリカでも今いろいろと変化も起きているやに聞いておりますので、先ほど申し上げたような、不断の努力を続けていくと、これに尽きると思います。


(質問)イラクへの支援ですが、大臣としてのお考えを改めてお聞かせ下さい。
(大臣)微動だにしておりません。今回、奥参事官という大変すばらしい外交官が亡くなったということ、井上さんという優秀なアラビストを亡くしたということで、いろいろとこれからの情報の集約に支障が大きく出るのではないかと懸念をしております。それほど彼ら二人が活躍していたということだと思います。


(質問)それでも自衛隊派遣はするのでしょうか。
(大臣)今は、自衛隊派遣という一点だけではなく、今イラクがどういう状況に置かれているのか、各国がどういう努力をしているのか、していないのか、これを総合的に判断すると、ひょっとして全体から見れば、今、分岐点にあるのではないかと思います。そこを日本の態度によって、どう全体が流れていくのか、これをよく見極めなくてはいけないと思います。ここで、やっぱり日本は危ないからということで、確かに危ないとは思いますが、そこだけの判断だけでいいかというと、私は違うと思っています。あくまでも私は、これまでの二人が、特に情報収集等を重ねてきた、その遺産を十分に活用することが必要なのではないかと思っています。いつ、どこに、だれを、どうやってというのは、極めて技術的な話もあるので、私はまず、送るべきだということを申し上げるのが、私自身、できうることの最大限のところではないかと思います。状況は刻々と変わるでしょうし、ここは明確にいろいろな総合的な判断が必要ではないかと思っております。


(質問)関連してですが、大臣が言われていたように、ソフトターゲットというのが現実の問題となって、自衛隊とは別に、いろいろな貢献策も検討されていたようですが、文民派遣や民間人の派遣ということに関して問われますと、大臣は今、どのようにお考えですか。
(大臣)私は前から民間人とは言っていなくて、特にイラク国民の医療活動に自衛隊の医務官を送れということを常に前から言ってきております。つまり、民間人というのは、まさにソフトターゲットのわけですから、これはやはりどこの国であれ、誰であれ、危険は伴うと思います。ですから、まず自己完結型の組織の一員である医務官を送ることによって、自らの安全を守り、かつ、かつの方が大きいのですが、イラクでの医療活動に従事してあげるというのが、イラクの国民のニーズを十分に満たすものだと思っておりますので、民間人、NGOというのは、私はもともと賛成をしておりません。


(質問)イラク国内の治安状況について、以前の大臣のお話ですと、散発的に起こっていることが、報道によって、イラク国内全体のような印象を与えているというご発言がありましたが、現在のイラク国内の治安状況についての認識は変わりませんか。
(大臣)変わらないです。ここが危ないという情報と、地域、それぞれの治安組織の充実という、プラスとマイナスの情報を受けておりますので、そこは、まさにまだら模様ということがあると思います。最近のを見ていると、コロンビアとか韓国の技師とか、かなり散発的であることは、事実であると思うし、またソフトターゲットだけに、やられやすいということではないかと思います。今回のニュースを最初に聞いたときに、行動が全部知られているのではないかと思って、だいたい雇っている運転手とかが、仲間に知らせるということで、なかなか誰を信じていいのかわからないようなこともある社会なので、その辺が大丈夫なのかなと思ったら、運転手までもが死んでしまったということを聞いて、そちらのほうはかえってないのではないのかと思いました。憶測にすぎないので、ここで私が断定するわけにはもちろんいきませんが、いろいろな情報を考えて、また、ソフトターゲットで今もあり続ける、残っている大使館の5人の方々の安全をどうやって守るのかということを真剣に考えないといけないと思います。一番今、彼らが不安に思っているのではないのでしょうか。


(質問)誰を信じていいのかという状況ということですと、それは自衛隊の隊員が行っても、状況は同じではないのでしょうか。
(大臣)そうではなくて、治安の関係で、向こうで警備の会社を雇うという時の、その人員の中に誰が入るかわからないということを言っているんです。


(質問)閣僚懇の中で、そういった大臣のお考えなどは、お話しされたのでしょうか。
(大臣)そこまでの話はしていません。今回私が発言させていただいたのは、外務省の葬儀ではなくて、お別れの会をということです。前にタジキスタンで秋野さんが亡くなったときのやり方、あの方は役人ではありませんでしたが、役所とか組織とかいう形を少し広げたものだったと思います。その辺の方法については、これから検討されるのではないかと思います。茂木大臣がバグダッドにいらした時の通訳であり、かつナビゲーターを務めたということで、非常に接点があったようです。私もバグダッドに行っていますが、大使館が忙しいので手間をかけてはいけないと思って自分で歩いていましたから、奥参事官とは電話で話をしただけです。奥参事官は、私の地元の宝塚出身で、友達がたくさんいて、
いいやつだったという話が圧倒的に多くて、そういう方と電話で話をしました。


(質問)イラクの国民は、自衛隊を軍隊と捉えて、来てほしくないという報道が結構あり、イラク国民の感情をいろいろと聞いていると思いますが、その辺はどのように感じていらっしゃいますか。
(大臣)イラク人全員が言っているとは、全く思いません。むしろ早く助けに来てほしいという意見というように、私は受け止めています。


(質問)先週末のH2Aの失敗についてのご感想と、今後の影響についてお聞かせ下さい。
(大臣)大変残念です。例のみどりIIの話もありますので、私は技術のことはよくわかりませんが、既にみどりIIの時に立ち上げました地球観測検討会を通じて、次は12月25日に開催することとしておりますので、今回どういう形で起こり、何が問題だったのかということを、JAXAからヒアリングをすることになっております。関係者の方々がおっしゃるのは、打ち上げ回数が日本はあまりにも少ないということで、逆に一球入魂されるのではないかと思います。国家として、ロケットとか衛星とか、今後どれくらい本腰を入れてやるのかどうか、問われることになるのではないかと思います。これによって予算を100億円下げますとか、80億円増やしますとか、そういう話ではないと私は思っています。ちなみに、我が省の100億円を減らすのは大変でありました。90億円強ですが。
環境省の予算は、H2Aロケットの2.5回分ということで、効率よくやらせていただいています。

(了)