環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年7月29日)

(大臣)本日の閣議では、一般案件が2件、国会提出案件が9件、法律の公布が5件、政令が11件があり、このうち、使用済自動車の再資源化等に関する法律の一部の施行期日を定める政令、使用済自動車の再資源化等に関する法律施行令の一部を改正する政令の2件が、経済産業省と環境省の共管のものです。また、人事案件が4件ございました。


(質問)島根県、鳥取県の両知事が、中海と宍道湖をラムサール条約に登録したいということを会見で話をしているようですが、それについては、どのようにお考えですか。
(大臣)個別の件については、まだ報告を受けておらず承知しておりませんが、ラムサール条約の締約国会議で、今後登録湿地を増やしていこうという決定がなされておりますし、日本もそれに応じて、国内の登録湿地を増やしていこうという計画を立てております。そういう中で、中海というものが対象になるかどうかは別として、一般論として、相応しいところは、今後登録していこうという方針であります。

(質問)先週の金曜日に、中央環境審議会地球温暖化対策税専門委員会で環境税について示されました。今後、更に専門委員会で議論が行われると思いますが、それを踏まえて、環境省として改めてこの問題をどのように展開させていくのでしょうか。特に、肝心の税率については今回示されていませんが、一般的にも注目を集めるような部分を含めて、今後環境省として、どのように議論していくのでしょうか。
(大臣)先日の専門委員会で、ワーキンググループの検討内容が示されて、大変活発な議論がなされたという報告を受けております。非常に肯定的に捉えて、評価をいただいたということです。今後、それを専門委員会で更に検討をして、より国民の皆様にも解りやすい形を示していただけるということですので、是非そうした方向で、専門委員会の先生方に更なる検討をお願いしたいと思っております。なるべく国民の皆様にわかりやすい形を示していただこうと思っておりますが、その中で、例えば、今ご指摘の税率については、第1ステップの取組のレビューで、どの程度効果を上げているのか、達成するためにはどの程度の政策の強化が必要なのか、そういうものが具体的に明らかになっていきますので、従って、第1ステップの見直しをしないと、税率というものについて、出せないと思います。なぜ税率を示せないのかということも、きちんとご説明することも重要だと思います。そういうことを含めて、国民の皆様に解りやすい形をお示しをして、それで、国民的議論といいますか、もちろん産業界はもとより、幅広い検討をしていただくことが重要だと思います。環境省もそういう方向でやってまいりたいと思います。

(質問)先週の具体案の中に盛り込まれましたが、既存のエネルギー税制との調整の問題ですが、エネルギー特別会計が今年の10月から温暖化対策にシフトしてくるということで、そこにも指摘がありましたが、重複している部分についての整理が必要なんですが、この点についての基本的な考え方をお聞かせ下さい。
(大臣)それは非常に重要なポイントだと思います。今の段階で確定的なことは申し上げられませんが、やはり、温暖化対策税というものが必要であるという国民的合意の中で導入する際に、その時に既存のものとの調整をどうするかということであって、そこは明確に申し上げられる段階ではないと思います。ただ、エネルギー特別会計のグリーン化の時に、経済産業大臣との覚書があるわけで、そこには、今回のエネルギー特別会計のグリーン化というものが、いわゆる温暖化対策税導入の妨げになるものではないと、今回のエネルギー特別会計のグリーン化を含めて、全てを含めて見直しを考えるべきだという覚書がございますので、その中でその辺の調整をどうするかということが、検討されて決められていくものと思っております。

(質問)具体的に、経済産業省との調整の作業ですが、どの辺のタイミングで出てくる見通しなのでしょうか。
(大臣)一番早い段階ということになると、来年度見直しで、2005年度の初めから導入となると、来年度の税制改正議論から本格的な議論になると思います。そういう議論と並行して、政府内の調整が行われるということですが、それは、一番早いということを想定しただけで、今はまだそういうところに言及する段階ではありません。我々としてもはじめに税導入ありきということではなく、広く国民の皆様に議論していただくということが重要であるし、それから、まず第1ステップの見直しをきちんとすることが重要ですから、その時期については、一番早いことを考えるとそうでありますが、後ろにずれる可能性もあるわけです。今何か環境省がそのようなスケジュールをがっちり持って、何が何でもそれに向かって突き進んでいくということではなく、やはり手順を一つ一つ手前から踏んでいく必要があると、その第1の手順として、具体案をお示しして、国民の皆様の議論を深めていただくということであります。

(質問)既存税制の関係でいきますと、今回の具体案の中には盛り込まれていないのですが、大綱の中では第1ステップで既存の税制のグリーン化ということが示されていますが、4兆円を超える道路特別会計の財源というのは、一円たりとも環境保全に使われていないという状況があると思いますが、ここについては、これから問題提議をしていくようなことになっていくのでしょうか。
(大臣)温暖化対策そのものに使われていないということは、見方によってはあるのかもしれませんが、道路関連のところで、例えば、緑化とか、いくらか道路関連で環境配慮的な使われ方がされていると理解しておりますので、そういう使途を更に広げていくような努力は必要なのではないかと思います。

(質問)一般国民にわかりやすく示すということについてですが、具体的には、生活に対してどのようなメリット、デメリットがあるかということをはっきり示す必要があるのと思います。例えば、物価への影響ですとか、失業率、具体的には、どういう産業からどのくらいの雇用が失われるのか、その辺りについて、どのくらい明確にお示しになるのでしょうか。
(大臣)先日のワーキンググループの検討においても、そうした経済への影響がどの程度なのかということを一定の仮定をおいた上で示されているわけですし、そういうことをわかりやすく示していくことであると思います。

(質問)例えば失業率の関係ですと、国立環境研究所が示した推計の中で、産業間の移動がスムースに行われるものを前提とするものしていて、実際には雇用のミスマッチというのが今の失業率を高めている原因となっていることですとか、その辺をもう少し現実を踏まえた議論をした方がいいのではないかと思われる部分があったりしますが、その副作用の部分について、もう少し明確に示すことができるのでしょうか。
(大臣)それも重要な視点だと思います。特に経済界等で温暖化対策税の導入に慎重な方々、経済界に限らずですが、その心配の一つの理由というのが、経済に対する悪影響というようなことですので、それは率直に、こういうような影響が考えられるということを示していくということが、必要であると思います。ただ、今回、一番基本的に言えることは、この温暖化対策税というものは、経済との両立といいますか、そういった経済の更なる発展につながっていくような考えが基本的にあると理解しておりますので、一方的にこれが経済の足を引っ張って、導入することによって、大きなマイナス要因があるということにはならないと思っておりますので、そういうこともきちんと示していきたいと思っております。

(質問)環境と経済に関連して、環境税の問題については、今後、環境省としての見解をまとめた段階等で、小泉総理から環境と経済は両立すると命題を与えられているかと思いますが、小泉総理に対して、そういった報告をするのでしょうか。
(大臣)環境と経済の両立の問題につきましては、懇談会が終わり、とりまとめをしましたということについては、既に総理に報告しております。温暖化対策税のことについては、広く税制の中での位置付け等ということもあろうかと思いますから、取扱いについては、今後考えたいと思います。

(質問)来年度予算について、作業が進んでいるところですが、大臣として、何か特段の指示をしているのでしょうか。
(大臣)現在、省内で検討しておりますので、いい方向でだんだん議論が深まりつつあると思っております。一つは、環境と経済の両立という、ある意味では、新しい考え方、しかし、新しい考え方ではありますが、今後必要なことについての検討がなされたものですので、それに関連した一つの予算というものを一つの柱と考えております。それから、環境省が現場に出ていくという、例えば、廃棄物処理の問題で、これは法律の建前上、産業廃棄物については都道府県、一般廃棄物については市町村ということがありますが、やはり、環境省もより現場に出向いて、地域に根ざした施策が展開できるようなことも考えたいと思っております。最後に、先程の税についてのスケジュールですが、あれは環境省として、例えば来年の税制改正に向けてやるというようなことがあるというわけではなく、先ほど申し上げたとおり、これからきちんとレビューをして、それで必要があれば導入するということで、まず、そういうことを考えて、今回具体的な案をお示しするということですから、環境省がそういうスケジュールをもって、それに向けて、突っ走ろうということではございませんので、そこは誤解のないように、よろしくお願いします。


(了)