環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年6月27日)

(大臣)本日の閣議では、一般案件が3件、国会提出案件が8件、法律の公布が1件、政令が3件、人事案件が4件ありました。
 環境省関係では、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令がありました。これは、改正によって、条を1条ずらしたという形式を整えたものです。
 昨年の12月から、環境と経済活動に関する懇談会を開催しまして、これまでに6回の会議を続けてきました。今回、その懇談会の内容が取りまとめられました。私も、環境と経済を対立軸として捉えるのではなしに、環境が保全されれば経済が良くなる、経済が発展すれば環境も良くなるというような、両者の関係をつくっていくことが21世紀における社会の本来の姿だということを申し上げてきたところでございます。この懇談会でも、「環境と経済の好循環を生み出す」という考え方の下、実現に向けた道筋を明らかにしていただいたところです。私としては、懇談会で整理していただいた新しい道筋を、日本で具体的につくり出していくということが大切だと思いますので、提言内容を来年度の概算要求の重点事項として反映させるなど、できるところから手をつけていきたいと思っています。世界に先駆けて、環境と経済の統合を実現させていき、そうした姿を世界に示していくということが大切だと思います。そのためには、目指すべき社会の具体的な将来像を中長期的視点に立って描き出すことが重要だと思いますので、具体的な将来像について、その検討に着手するように事務方に指示をしたところです。私としましては、本年度中にも提示していきたいと思っています。こうした環境と経済の好循環の社会をつくっていく上で、今後明らかにしていく国家総合戦略の重要な基礎となると思っています。今回の懇談会でもご指摘をいただきましたが、環境に関わる基本的な部分について、ここ5年、10年で、大分、国民の方々の意識も、企業の意識も、様々に変わってきたと思っております。例えば、経済との関係にとどまらずに、社会、文化なども含んだ、大きな持続可能性の中で環境を捉えていかなければならないし、大分、環境保全の取組の基本的な部分に変化があると思っておりますので、こうしたことについて、これから具体的に検討を進めていきたいと思っております。そのための有識者の方々からなる検討の場も設けて、こうした環境保全のための基本的事項についての議論もしていきたいと思っているところです。いずれにしても、環境と経済の統合というのは、これをやり遂げなければ、これからの持続的な発展の社会はあり得ないわけですが、これを実現するには、なかなか難しい問題もあります。知恵と努力を惜しむことなしに、環境省としても、この問題について取り組んでまいりたいと思います。その上で、今回の懇談会は大変有意義でありました。取りまとめを大いに施策に反映させてまいりたいと思っております。

(質問)今のお話の中で、このような形にしていくという具体的な施策はありますか。
(大臣)できるところから来年度予算にしていきたいと思いますが、例えば、提言の中で、地域からの取組の重要性を指摘していただいております。それぞれの地域において、環境保全活動が地域の経済の活性化に結びついている事例等もございますので、そういうものについて、モデル事業、例えば環境産業を中心に、地域経済の活性化、雇用確保を図っていくモデル事業を実施していくということも考えられるのではないかということです。
 それから、最近企業が環境配慮をしております。自社製品、例えば家電製品が環境に配慮した製品ということだけではなく、会社の運営そのものが環境会計を作ったりというように環境配慮をした企業活動があるのですが、そういうものが積極的に評価され、企業の利益に結びつくような環境整備をしていきたいと思います。どのようなことが考えられるのか、これから具体的に詰めていかなければなりませんが、例えば、様々な融資の対象ということになるときに、いろいろ今、金融の方では、業績がどうとか、そういうことを判断して融資するわけですが、この企業は環境に配慮している企業なのかどうかというようなことが、一つの検討の対象となるような条件作りや、例えば年金等の公的な資金運用なども、そういう環境配慮をしているところを優先的にするなど、別に具体的に決まっているわけではありませんが、そういった環境配慮をしている企業活動が、その社のプラスになるような、そういう条件作りも検討していきたいと思います。

(質問)具体的な補助金、支援などは考えているのでしょうか。
(大臣)おそらくそういう形ではないと思います。要するに社会づくりにです。そのためにどういうことができるかということです。

(質問)具体的に支援をするというよりか、社会としてのあり方をということですか。
(大臣)環境会計をしているのであれば、比較しやすいようなところがないと、それぞれが環境会計を出しても、その見方によって、これが素晴らしい取組なのかどうかということもありますから、そういうことをフォーマット的に比較しやすくするような条件整理からやっていくのだと思います。

(質問)大臣が事務方に中長期ビジョンの提示を指示したということですが、事務方に指示されたのは、国家総合戦略に繋がるものを指示したということですか。
(大臣)そうです。

(質問)国家総合戦略そのものを作るということの指示ではないということですね。
(大臣)違います。

(質問)今日、一部報道で、環境省が毒ガス関係の新法を策定する方針だという報道がありましたが、これについては。
(大臣)まず、昭和48年のフォローアップ調査をやらなければならないと思います。その結果、全国各地に、どれぐらいの、どういった、どのような状態になって、ということが明らかになるかのか、それがどの程度のもので出てくるかわかりませんが、それによってどういう対応をしていくのかを考えていかなければならないと思います。まずは調査をして現状を把握しなければ、それにどういうような仕組みで対応していくのかということが定まらないわけですから、まずは昭和48年のフォローアップ調査をしっかりやるということです。その結果、どういうものが出るのかわかりませんから、それぞれいろいろなオプションが考えられると思います。従いまして、その調査の結果において、法律で対応するということを否定するものではありませんが、今の時点で、法律を作って対応していくというところまで固まったものはありません。まずは調査をして、それをどういう形で対応するかということです。

(質問)法律を検討するとすれば、どういう形をお考えでしょうか。
(大臣)まだありません。要するに、一般論として法律で対応するというオプションもあると思いますが、いろいろなオプションがあると思います。もし法律でやらなければならないというのであれば、そういう観点から検討するということです。今のところ、そういう定まった方針はありません。オプションの一つです。

(質問)救済について、そろそろ受付を始めると思いますが、いつ頃、どういう形でやるのか決まっていますか。
(大臣)臨床検討会が6月28日土曜日に行われます。そこで、対象になる方等の最後の詰めをしっかりやっていきたいと思います。今月中には受付を開始したいと思います。今月と言っても、6月28日に臨床検討会を行いますと、6月30日月曜日になりますが、6月30日月曜日からは受付を開始し、支援策を開始したいと思います。

(質問)自民党の環境部会でも、法的にやっていかなければいけないという議論があるようですが、これの方向性は。
(大臣)自民党の環境部会において、何らかの法的な対応が必要なのではないかという議論があることは承知しています。いずれ、今回の昭和48年のフォローアップ調査をして、全国にどういう形の実態があるのか、それに対して、どういう形の対応が相応しいのかが決まってくると思いますので、またそういう調査経過も、自民党の環境部会で当然検討されると思います。いずれにせよ、今はまだ実態がよくわかりませんので、どういう形で対応するのか、今の時点では決めきれないと思っております。

(質問)決めきれないと言っても、例えば京都のように情報が寄せられたりして、そこが確からしい話であれば、そこに対しての対応は考えないのでしょうか。
(大臣)そういうものにおいて、個別にやるのではなしに、今、昭和48年のフォローアップ調査をし、秋に取りまとめるということですから、それを取りまとめた上で、全体的な把握を十分した上でどう対応していくかということです。個々に出てくるものについて、その度に法的な対応でやるかどうかということは、政策の進め方としておかしいと思います。昭和48年のフォローアップ調査をやるということを決めていて、秋にまとまるということですので、そこでどういう形で対応するかを決めていくということです。

(質問)昨日、尼崎公害訴訟の元原告の方々が、公害等調整委員会の方に、あっせんを申し立てていた件で、あっせんが成立いたしました。直接の相手方は国土交通省ですが、環境省として、あっせんを受けてどういう姿勢で臨んでいくのでしょうか。
(大臣)公害等調整委員会のあっせんが出され、当事者がこれを受け入れたということで、これは、方向としては良い方向だと思っております。今回、公害等調整委員会という制度的な枠組みの中であっせんが行われているわけでありますから、その枠組みの中で、当事者が十分に話し合って、その結論が出てくるということを環境省としても期待しています。環境省がどう関わるかということになりますと、これは制度的枠組みがあって、その中で進んでいる話でありますので、直接は、原告と国土交通省と阪神高速道路公団での話し合いをあっせんに沿ってしていただくことが大切だと思います。



(了)