環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年4月18日)

(大臣)本日の閣議では、一般案件が3件、国会提出案件が4件、法律の公布が1件、政令が3件、人事案件が3件ありました。環境省関係の案件はありませんでした。
 さがみ縦貫道路周辺から出てきました旧日本軍の毒ガス、茨城県の神栖町での危険物に関する今後の対応ですが、まず、神栖町につきましては、4月21日、来週月曜日の10時半から、茨城県の協力を得まして、環境省の職員、国立環境研究所の研究者で現地の状況を視察しにまいります。調査範囲、分析の手法などについて検討する予定です。飲用水による健康被害については、茨城県に設置されています専門委員会において調査が進められています。飲用水の安全性については、厚生労働省が所管しているところであります。
 さがみ縦貫道路の関係ですが、4月10日に、さがみ縦貫道路周辺地域化学物質調査検討会を開催したところです。今後、専門家の意見を踏まえまして、夏頃までに調査計画を策定したいと思います。調査計画の策定が出されましたら、それを受け、大気・土壌・地下水等につきまして、毒ガスの環境調査を行いまして、本年度中に取りまとめを行いたいと思います。
 ここにきまして急に重なって、旧日本軍の様々な毒ガスの問題が出てきました。これにつきましては、昭和48年に旧日本軍毒ガス弾等の全国調査を行っていますが、こういった最近の状況も踏まえまして、フォローアップをする必要があるのではないかと考えています。そこで、5月の上旬に、関係省庁連絡会議を開催しまして、全国調査の方法について各省庁と協議し、調査計画を策定して、都道府県・関係各省に情報提供を依頼したいと思います。提出された資料については、環境省が中心になって取りまとめをしまして、今年の秋頃に公表したいと思っています。



(質問)毒ガスの件について、今回、全国調査のフォローアップを行うということですが、さがみ縦貫道路の場合は、実際に問題が出てから大分時間がかかって、内閣を経由して環境省に指示されたようですが、今後こういう問題が出てきたときに、例えば環境省が窓口になるとか、そういった今後の体制についてはどのようになっていくのでしょうか。
(大臣)この問題は、影響が各方面に及ぶと思います。例えば健康被害ですとか、環境に対する影響など、様々ございます。これは政府全体として、扱っていくことだと思います。やはり健康被害ということであれば、厚生労働省の役割というものもあるわけですから、それぞれの役所の立場でやることになると思います。今回は、連絡会議の開催についても、環境省が中心の役割を担ってやれという指示で、特に神栖町の問題については環境省が責任を持って調査をまずやれという指示ですので、私共として、環境省が主体的に取り組んでいく必要があると思います。

(質問)茨城県神栖町を来週の月曜日に視察するということですが、飲用水の問題なので、住民としてはすぐにやってほしいという感情があると思います。毎日飲んでいるものなので、土曜日・日曜日に行ってもよいと思うのですが。
(大臣)飲用については、飲用に供しないということで、一応手だてを取られているということです。この部分については、さがみや平塚と違いまして、瓶に入ったものが出てきたということではありません。どこから地下水の中に浸透していったのかということが重要なのだと思います。まず、現地に行っていろいろな状況を見て、地形や地歴もしっかり見て、土の中に何が埋まっているのかどうかということも調べるというようなことも含めて、どういった調査が必要か、まずそこからやらなければならないと思います。人に対する健康面への対応というのは素早く、県においてもきちっとなされていると認識しています。

(質問)いずれも問題になっているのは、旧日本軍の化学兵器に関するものということなのでしょうか。
(大臣)昭和48年にいたしました全国調査も、旧日本軍の毒ガス弾等の調査ということですので、そういう観点から対応していきたいと思います。

(質問)アメリカ軍は関係ないのでしょうか。
(大臣)考えにくいと思います。アメリカの落とした不発弾などはあるかもしれませんが、毒ガスという面では考えにくいのではないかと思います。

(質問)神栖町に関しては、実際に出てきてから、比較的に早く対応していると思いますが、その前のさがみの件に関しては、大分経ってからの対応だと思います。国土交通省に対して、住民側はもっと広い範囲で調べてくれということを言ったようなのですが、大分時間がかかっていたということです。政府の対応が遅いのだと思います。そういうものが出てきたとき、一括して、さがみの場合は、たまたまそこが国土交通省の土地であったということで国土交通省が調査したようですが、どこがやるかは住民にとっては関係ないことだと思います。そういうことが出てきたときに一括して対応していくような考えが環境省としてありますか。
(大臣)今回、こういう体制が取られていくわけですから、これが下敷きになってくると思います。対応が遅かったというご指摘がありましたが、今のお話のとおり、道路の工事中に出てきたものですから、国土交通省が、とりあえずそこの工事をしている部分を重点的に調べました。しかし、周辺についても調べるべきだということで、当初、その辺のきちっとした窓口が確立していなかったということも確かにありまして、ご承知のとおりの時期に第1回の連絡会議が開かれたわけです。今後、同じようなことが起こった場合、これが一つの下敷きになっていくのだと思います。

(質問)環境省が窓口になる可能性があるということですか。
(大臣)可能性はあると思います。

(質問)昭和48年の調査の時点で、既に資料が紛失してしまっていたり、関係者の方々がお亡くなりになられていたり、そういうことで調査が難しいと思います。去年あった国会の質問でも、新たな全国調査はないのかと聞かれて、新しい材料がなかなか出てこないという答弁がありました。今度、新しく調査をするとしたら、どんな点を重点的に調査するのでしょうか。
(大臣)やはり各都道府県からの聞き取り、関係者からの聞き取りというものが中心になると思います。ご指摘のとおり、当時に比べれば、大分時が経っていますので、関係者の方もお亡くなりになっておられるなど、確かに困難性はあると思います。しかし、例えば神栖町に関しても、前回の昭和48年の調査では出ていませんが、今回出てきたわけで、そういう視点から、もしかしてということが出てくるかもしれません。いずれにしても昭和48年のものをそのまま放っておくというわけにはいきませんので、フォローアップはしっかりやりたいと思います。確かに時間が経過していますので、いろいろな困難性が伴うということは承知しています。

(質問)青森・岩手県境不法投棄について、来週会議が開かれます。実際、調査が進んでいて、昨日の事務次官の話ですと委託基準違反で数件排出者責任を問えるかもしれないということですが、実際、それに関して、環境省としてどう臨まれるのでしょうか。青森県か岩手県のどちらに捨てられているかわからない場合、両県の協力が必要だと思うのですが、その辺り、どういうふうに後押ししていくのでしょうか。
(大臣)排出者責任を問うことについては、青森・岩手県の事例が、大規模なものでは初めてということで、昨年の夏の段階から、両県が主体的にやっています。首都圏の自治体の協力を得るのは、なかなか大変だということで、環境省がテーブルを設定して、参加しています。環境省の立場は、その延長線上であると思っています。排出事業者は、初めは2千何百ということでしたが、それが5千になり、ついに1万となったということです。8割方は回答し、調査が進んでいるという話を聞いています。夏以降のそうした動きもございますので、来週の会議ではそれをお聞きするということです。その中で、明らかに排出者責任を問えるものもあると聞いていますので、そういうものについて、県の方で排出者責任を問う手続をするということです。環境省としても、両県をしっかり見守り、必要があれば助言を与えていきたいと思います。

(質問)青森県か岩手県のどちらに捨てられているかわからないときに、措置命令をかけるときは両方がかけなければならないということになるのでしょうか。
(大臣)技術的なことですが、県が主体に考えると思います。

(質問)聞いた話ですと、両県が必ずしも足並みを揃えてやろうと言っていない部分もあるようで、措置命令をかけないところもあるのかなと思いますが、この辺りは環境省としてどのように対応していくのでしょうか。
(大臣)両県といろいろな相談・対応をしておりますので、そういう中で、具体的にこの案件はどちらがどうだ、どうすればいいのだということを明らかにして、個別に対応をなされると思います。

(質問)環境省としては、排出者責任を問えるものは問うということですか。
(大臣)問えるものは問うということです。

(質問)毒ガスの調査の件ですが、取りまとめを秋ぐらいに公表されるということを言っていましたが、前回の調査の時、十分に調査したものを公表していないのではないかということが国会のやりとりの中でありました。今回の調査は、わかったことについては公表されますか。
(大臣)そうあるべきだと思います。

(質問)昭和48年の調査の結果の本体について、まだ出していないと思いますが、これについては存在しますでしょうか。
(官房長)本体というものがどういったものなのかよくわかりませんが、立派な製本のようなものはないと思います。

(質問)全国調査をして、A4紙1枚ということは、普通に考えてないと思いますが。
(官房長)確認させて下さい。

(質問)G8でロシアの方とお会いすると思います。これまで何度か閣僚級の方とお話していると思いますが、今回、非常に貴重な機会だと思いますが、大臣としてはどのように働きかけをしようと思っていますか。
(大臣)日本の立場は2つありまして、京都議定書の早期発効、グローバルな取組への枠組みづくりを目指していくということです。京都議定書の早期発効は、ご承知のとおり、ロシアの動向にかかっているわけですが、ロシア政府内からもいろいろな意見が間接的に聞こえてきます。第3回世界水フォーラムで、フランスの環境大臣をはじめ、EUの方々ともお会いしました。この間、EUのトロイカで、モスクワを訪問し、いろいろと接触をしたということです。その辺りの感触等も聞きましたが、EUの方も、まだロシアがいつまでに確実にやるという情報は持っていないという状況です。その中でも、お互いロシアについては批准の働きかけを継続してやっていきましょうという共通認識を持ちましたので、今度のG8でも、気候変動の問題、京都議定書の問題になれば、そういうことは申し上げたいと思います。また、バイ会談の設定も、いくつかの国とはやらせていただくということですので、ロシアの代表の方と二国会談がなされることになりましたら、そういう場での早期批准を働きかけていきたいと思います。

(質問)バイ会談の働きかけの成果については、早めにお知らせいただきたいと思いますが、どのような形でお知らせしていただけるのでしょうか。
(大臣)現地でプレスの方とお話する機会があると思います。



(了)