環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年4月1日)

(大臣)本日の閣議では、一般案件が3件、国会提出案件が4件、政令が3件、人事案件が7件ありました。
 今日の閣議で、自然再生推進法に基づく基本方針が決定しました。閣議において、私から基本方針のポイントについて発言し、各大臣に対して協力をお願い申し上げたところです。基本方針が決定されましたので、この法律も本格的に動き出します。いろいろな重要な自然が失われてきているということもありますので、本日の基本方針の決定により、地域の多様な主体が参加する自然再生事業が展開されるものと思っています。これは議員立法でしたが、基本方針は環境省が主体的に携わったものです。農林水産省、国土交通省とも十分に連携し、本格運用に万全を期してまいりたいと思います。


(質問)自然再生基本方針が本格的に運用され、失われた自然を回復していこうということですが、今、現実にどんどん失われている自然の破壊をどう止めるかという点については不十分ではないかということを言われています。その辺りと絡めて、これをどう運用していこうと考えていますか。
(大臣)今日の閣議で、私の発言の後に国土交通大臣からも発言がありました。国土交通大臣からの発言要旨は、社会資本整備の長期計画の法律の中にも環境配慮ということが明確にうたわれているので、それをきちっとやりますということ、それと同時に自然再生基本方針が出ましたので、それに沿っても十分にやっていきますという趣旨の発言がありました。従って、いろいろな公共投資において、そういった長期計画が立てられて、そこには環境配慮ということが明確にうたわれていますので、実際に様々な公共事業が行われる中で、十分な環境配慮がなされなければならないということで、環境省もそれにしっかり対応していきたいと思います。

(質問)京都議定書について、ロシアの批准が遅れていますが、日本政府としての働きかけは何か考えていますか。
(大臣)先般、水フォーラムを行いましたとき、EUのフランスをはじめ、数カ国の方々と意見交換をしました。
 先般、EUのトロイカがロシアに行ってきたということで、その辺の情報交換をしました。各国との二国間会談の中で、ロシアに対する働きかけを、今後、お互いにきちっとやっていこうという共通認識を持ちました。
 先般、UNEPの会合がございましたときに、中川事務次官が、その会合で、ロシアの責任者の方にお目に掛かったときも、日本政府の考えを述べていますし、その時の情報も得ております。これからも引き続きロシアに働きかけていきたいと思います。
 我が国の基本的な立場は、京都議定書の早期発効とグローバルな取組の枠組づくりということでありますので、まず、発効させるということが大切だと思います。

(質問)ロシアは議会に出しているのでしょうか。
(大臣)いろいろな手続をしているそうです。やはり日本とは手続上の違いがあるようです。意見書のようなものを国会に提出したということは聞いています。動きはその方向で進んでいるということは確かなようです。

(質問)イラクとの戦争が長期化しそうだという見通しがあります。京都議定書の参加について、アメリカに対してどんな対策をしていくのですか。また、今後、アメリカの温暖化対策についてはどういう対応をしていくつもりでしょうか。
(大臣)先般、京都でもアメリカの国務次官にお目に掛かりました。その時も、日本国内でもアメリカに是非参加をしてもらわなければ困るという意見があるということを率直に伝えました。残念ながら、アメリカは京都議定書に参加しないという方針に変更はないという話がありました。しかし、そうは言ってもそのままでいいとは思っていません。これから国会が終了してから、日米ハイレベル協議等もございます。その他の事務方の折衝をする場もありますので、日本の立場を引き続き先方に伝えていかなければならないと思っています。アメリカも温暖化対策そのものには反対していないし、取組もしているということです。経済界の自主的な取組をアメリカでもやっているということを聞いております。そういう取組については、さらに進めてもらって、日本と協力できる技術革新等の話を進めてもらう一方で、京都議定書の参加の呼びかけも引き続きしなければならないと思っています。

(質問)戦争では油井火災が起きるなど、CO2の大量な排出、大気汚染などの環境破壊が進んでいますが、それについてはどのようにお考えですか。
(大臣)環境委員会でも、戦争というものが最大の環境破壊だというようなご質問がありましたし、私も答弁の中で、そのような答弁をしました。実際に油井が燃えて、大気に対する環境汚染が起こっていることは残念だと言わざるをえません。早期に戦争が終結する、人命被害を最小限に止めるという意味合いもありますが、環境面でも早期に終結することが本当に望まれることだと思います。また、終結いたしましたら、日本政府としても戦後復興に取り組んでいくということですので、環境面においてどういう取組をしていくのか、政府の対応の中の一つとして、環境省としても、環境面での役割をしっかり果たしていかなければならないと思います。

(質問)昨日、大島農林水産大臣が退任しました。政治に対する関心が高まる中、大臣としてはどう思いますか。
(大臣)率直に言って、大変唐突と言いますか、私自身驚いたところです。言われていることがどの程度事実なのかどうなのかということは、ご本人しかわかりませんが、そういうこともお考えになられたと思います。こういう時期ですから、政治に対する国民の信頼が大切だと思っています。大島農林水産大臣の場合、国対委員長などもなさっていましたので、この国会、有事法制もありますし、その他個人情報保護法案などの難しい法案もあるので、そういう日程等も考慮に入れたのではないかと思います。いずれにしても、政治に対する国民の皆様方の信頼、これは本当に大切なものだと思います。いくら良い政策を訴えても、信頼感がないとそういう政策も受け入れてもらえないということがあると思います。我々が一人一人、十分に、心して毎日の仕事に臨んでいかなければならないと、改めて思った次第です。

(質問)温暖化対策に関してですが、原子力発電所を2010年までに9基から13基設置するというのはほぼ無理なのではないかという発表がされたようですが、温暖化対策推進大綱を見直すということになりますでしょうか。
(大臣)毎年毎年出す計画において、昨年に比べますと、原子力発電所の設置の基数が、少なくとも1基少なくなったということは聞いています。資源エネルギー庁としては、基数は1基少なくなるけれども、利用率を高めるということです。時々、点検で休ませるわけですが、その期間を少なくして、稼働する日数を増やすとか、あるいは1基あたりの出力を今よりも少し上げることができると、そういう利用率の向上によって電力そのものは確保できるということを聞いています。従って、今のところ、直ちに大綱の見直しということは考えていません。環境省の立場としては、温暖化対策を進める上でも、安全性を大前提に置いて、原子力発電が施策の柱になっていますので、エネルギー需給長期見通しどおりの供給を、経済産業省資源エネルギー庁にやっていただかなければならないというのが環境省の今の立場です。資源エネルギー庁の方も、今後の整備計画、多少基数は減りますが、そうした利用率の向上で対応できるということなので、今直ちに大綱の見直しということは必要ないと思っています。

(質問)イラク戦争の話ですが、先程、早期終結が望ましいというお話をされていましたが、アメリカが考えていたよりも戦争が長期化するということが言われていますが、その点についてはどうお考えでしょうか。
(大臣)当初、アメリカがどういうことを考えていて、今の状況と比べてどうかというのはわかりません。報道を通じた印象ですが、膠着状態になっているという感じもいたします。いずれにしても、早期の戦争の終結を望んでいるということです。戦況について論評する十分な知識がありません。


(了)