環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年3月25日)

(大臣)本日の閣議は、一般案件が7件、国会提出案件が5件、政令が45件、人事案件が2件ありました。
 閣議後の閣僚懇談会で、私から、第3回世界水フォーラムの閣僚級会議の結果についてご報告をいたしました。5つの分科会のうち、環境省に関係のある第3分科会に出席をしたこと、閣僚宣言には、第3分科会での検討結果である、水環境の保全と水生生物の生態系の保全について一体的に取り組んでいくことが盛り込まれたので、その趣旨で、今後環境省として努力していく旨の発言をいたしました。閣議等については以上です。
 水フォーラムについての感想ですが、大変有意義な会議だったと思います。170の国及び地域と43の国際機関が出席し、閣僚級の出席も100名を上回ったということで、大変規模の大きな会議となりました。会議の運営については、外交辞令ではなく大変うまくいったと、各国から評価をいただきました。5つの分科会のうち、環境省の関係する第3分科会において話し合われた、水環境の保全と水生生物の生態系の保全について一体的に取り組むという環境省の考えが、閣僚宣言にそのまま取り入れられたということで、大変有意義な会議だったと思います。
 また、水フォーラムの後、3月23日から開催された「交通と環境に関する名古屋国際会議」にも出席いたしました。この会議は、国土交通省と環境省、OECDの共催で開催したものです。OECDが持続可能な環境に配慮した交通体系のガイドラインを示していますが、交通を巡る状況はそれぞれの国によって違います。例えば、ヨーロッパはヨーロッパの事情がありますでしょうし、北米、南米などもそれぞれ地域によって違うと思います。今回の会議は、そのOECDのガイドラインについて、アジア各国の地域の特性に合わせて、どういうふうに具体的な成果に結びつけて行くのかを話し合うため、第1回目の会議として開催したものです。アジアの中でも、国によって事情が違うようですが、この会議は今後も継続して開催していきたいと思っております。会議は今日まで行われており、名古屋宣言が取りまとめられる予定です。今回の成果を次に繋げていきたいと思います。次回の開催ですが、フィリピンから、自国で開催したいとの申し出がありましたので、時期は未定ですが、日本とフィリピンの共催で、フィリピンにおいて開催する方向でおります。
 また、名古屋で会議に出席をしましたので、併せて、藤前干潟を視察いたしました。今まで写真などでは見ておりましたが、今回、現場を見て、名古屋のような大都市圏に、あのような重要湿地があるということで、認識を新たにいたしました。ラムサール条約に登録されましたので、重要な湿地としてきちんと保全していくことが大切だと思います。また保全と同時に賢明な利用ということも大切だと思いますので、環境教育、環境学習に活かしていくという意味で、観察、研究、体験などのできる施設の整備を、愛知万博の開催に合わせ平成17年度までに行いたいと思っています。


(質問)イラク情勢ですが、油井火災で黒煙が上がっています。環境上良くないと思いますが、ご感想をお聞かせ下さい。
(大臣)まずは、短期間で終結することが望ましいことだと思っております。実際に油井に火がつけられているようですが、戦時下にありますので、どのくらい環境に影響しているのか、なかなか状況が把握できない状態です。早く終了することを願うものでありますが、終了後は日本政府として戦後復興に取り組むということですから、環境面からの対応についても重要です。環境省としても政府部内で検討して、でき得る限りの協力をする用意があると思っております。

(質問)水フォーラムのレセプションで、モンゴルの環境大臣とお話された聞いております。そんな内容だったのでしょうか。
(大臣)モンゴルの大統領とはお会いしませんで、カザフスタンの環境大臣とお話いたしました。レセプションの場でしたので、ほとんど立ち話という状況でした。先方から、日本の努力で会議の運営がスムーズだったというお話をいただきました。また、カザフスタンでも環境省があり、今、一所懸命に環境行政に取り組み始めているが、日本の環境省はどういう組織なのか、日本の環境関係の法律はどうなっているか教えて欲しいなどのお話もありました。ただ、レセプションでの立ち話でしたので、特に中味のあるお話にはなりませんでした。

(質問)フランスの環境大臣とのバイ会談で、G8環境大臣会合の議題については、何かお話になりましたか。
(大臣)議題については出ませんでした。むしろ、イタリアの環境副大臣とのバイ会談でその話題がでました。私から循環基本計画の話をしまして、その中の資源生産性の指標について、それぞれの国で持つことも大切だが、G8としても国際的な目標を定めることが必要ではないか、資源生産性についても、どういう形で評価するのか、評価の仕方を検討するべきではないかと申し上げました。そして、G8の環境大臣会合で、日本としての取り組みを紹介したいという話をしました。
 フランスの環境大臣とは、気候変動問題について話しました。京都議定書の批准に関し、ロシアの動向はどうかというようなことについてほとんどの時間を費やしました。

(質問)国際的な目標を定めることが必要というのは、G8の中でということですか。
(大臣)とりあえずは、G8の中でということだと思います。

(質問)京都議定書の批准に関するロシアの動向について、フランスの環境大臣は具体的にはどんなお話をされたのでしょうか。
(大臣)批准の時期については、今年中にと皆思っているのですが、それについてフランスは、悲観的というのではないですが、楽観的ではないというニュアンスのお話でした。
私どもも、ロシアの動向については大変関心がありますので、デンマークやイタリアなどのEUの国々とのバイ会談でも、一様に聞いてみました。デンマークやイタリアは比較的日本と同じような認識で、ロシアの中にもいろいろな意見があり、不透明であるという感じでした。
 フランスの環境大臣は、デンマークやイタリアに比べると、楽観視できないというニュアンスのお話でした。結論としては、今後、我が国も含めて、ロシアに対し批准について積極的に働きかけていこうという共通の認識を持ったということです。

(質問)フランスは、どういった点から楽観視できないと言っているのでしょうか。
(大臣)各国がいろいろなレベルでロシアと接触しています。例えば、我が国でも、先日、中川事務次官がUNEPの会議でロシアの担当者と会っています。そういうような接触の過程での印象ではないでしょうか。

(質問)名古屋の交通の会議で、今日、名古屋宣言が出されるということですが、その中で、日本の役割りについて何か示されているのでしょうか。
(大臣)まだ詳しく聞いておりませんが、日本がイニシアチブを取ってやっていかなければならないことだとは思っています。今回も日本がイニシアチブを取って会議を開催いたしましたので、今後も、この問題については、日本が主体的にやっていかなければならないと思っております。まず政策対話、情報交換などを進めていかなければならないと思います。
(環境管理局)昨日、名古屋宣言の案が示されましたが、日本がどうするべきかというようなことは、案の中には位置づけられておりません。我が国としては、情報収集、情報交換などをアジア地域で活発に行っていけるよう一所懸命やっていきたいと思います。


(了)