環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成15年2月4日)

(大臣)本日の閣議では、一般案件が1件、国会提出案件が4件、条約の公布が1件、法律案が10件、政令が2件、人事案件が1件、配付が4件ありました。
 法律案の決定では、いわゆる省エネリサイクル支援法及び石油特別会計法の一部改正案、石油税法の一部改正案が決定されました。経済産業省、財務省、環境省の共管です。これは、エネルギー特別会計の歳入・歳出両面のグリーン化を図るということで、昨年、11月に経済産業大臣と私、環境大臣との間で合意をした件であります。私どもといたしましては、この石油特別会計のグリーン化により、第1ステップにおいての地球温暖化対策が一層推進されるよう努力してまいりたいと思います。また、経済産業省との連携も強めていきたいと思っております。
 それから、環境省として、道路特定財源のグリーン化につきましても常々申し上げているところですが、これについても、道路特定財源の一部を道路環境対策にあてること等を内容とする法律案が決定されました。
 いずれにいたしましても、地球温暖化対策に係る様々な施策を進めていかなければならないわけですが、それに関する法律案が本日決定されたということです。閣議に関しては以上です。
 私から一つ申し上げることがございます。この度「化学物質アドバイザー」の育成をパイロット事業として行うことにいたしました。化学物質はご承知のとおり、人間の健康に影響を与えるものですが、今後は、生態系に与える悪影響なども防止していかなければならないと思います。そのためには、国民の皆様方に化学物質についてのいろいろな情報を提供して、リスクコミュニケーションを図ることが重要です。その手段の一つとして化学物質アドバイザーを養成し、企業やNPOなどの講演会などで話をしてもらい、情報の伝達がきちっとできるようにしたいと思います。そして、国民の皆様と相互に意志疎通を図っていきたいと思っております。


(質問)本日、石油特別会計のグリーン化について決定されましたが、これは第1ステップのことです。今後、ロシアが批准すれば、京都議定書が発効することになり、早晩、第2ステップについての議論がなされると思います。現在、かなりの原子力発電が止まっているような状況で、あらためて、第2ステップでの環境税導入について大臣のお考え、また、国民にどのように理解を求めていかれるのかをお聞かせ下さい。
(大臣)環境税そのものについては、経済的な意味での大きな手法だと思っております。
私は個人的にはきちっと導入していかなければならないと思っております。その前段として、エネルギー特別会計の見直しが本日決定されたわけです。その見直しの過程においても、今回の決定が第2ステップの温暖化対策税、いわゆる環境税の導入への支障になるものではない、あくまでも、かねてから言っているエネルギー特別会計のグリーン化という位置づけであるということでした。第2ステップの前に対策の見直しを行いますが、その際には、今回のエネルギー特別会計の改正見直しの対象に含めます。経済産業大臣との間でも確認をしております。
 今回のエネルギー特別会計の改正が環境税導入について支障とはなりませんが、やはり新しい税の導入ということになれば、産業界や一般の国民の皆様にご理解をいただかなければならないと思います。どういう形の環境税が想定できるのか、きちんと検討し、第1ステップの後の見直しまでには、こういうものだと示せるような準備をきちんとしていくことが重要だと思います。
 今回、環境省も共管となったことにより、このエネルギー特別会計のうち60億円を使えることになりました。その使途も、きちんと温暖化対策に役に立っているんだという、そういう使い方をすることが、今後の環境税導入にあたって重要な意味を持つと思います。そういうことも含めて準備を万全にして、第2ステップに向けての見直しの中で、必要であれば、環境税の早期導入をしていくという基本的方針で臨んでいきたいと思います。

(質問)財界では、環境税についていわゆる一般大衆課税、消費税型がいいのではないかという意見も強いやにも聞きます。エネルギー課税的なものと消費税型と両方の考え方があると思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(大臣)環境税は他の政策とリンクさせて行う一つの経済的部門からのアプローチで、そのための税制だと思います。そういう位置づけだと思います。おっしゃるような消費税型というのが、どういうものなのかいま一つ理解できませんが、環境税は温暖化対策の施策、例えば排出権取引などの施策とからめていく税制と思っております。先程申し上げたとおり環境税の姿を早くお示しすれば、それについて各方面からのご意見が出てくると思います。私としては、環境税は政策とリンクさせた対策の一つとしての税制であると思いますので、その姿を示す必要があると思います。

(質問)先程の環境税のお話で、大臣は個人的には導入していかなければならないと思っているとおっしゃいました。第1ステップである現在でも、既に環境税について必要であるとのお考えでしょうか。
(大臣)最終的には、第2ステップに向けてきちんと見直しをし、手続きを踏んだ上で決めていかなければならないと思います。これは政府全体として決めていかなければならないと思います。今はその前の段階で、見直しも終わっていませんし、政府全体でどうするかということを相談もしていませんが、私としては、今の状況を眺めた時に、いろんな手段を講じないとなかなか大変だと思っています。環境税というものは、大きな政策的な手段だと思います。従ってどういう形になるかは別として、導入するべきであると私個人的には思っています。

(質問)エネルギー特別会計の歳出についてですが、NGOなどからは、歳出についてもっとNGOの意見を聞くべきではないか、また、透明性を確保するべきではないかという意見が出ています。透明性を確保するための新たな仕組みなどお考えでしょうか。
(大臣)とりたてて、このエネルギー特別会計について、透明性を特に確保するということではなく、国の予算は常に透明性を確保するべきです。ただ、このエネルギー特別会計は省エネ、代エネに使うわけで、環境税の本格導入にも影響を及ぼすと思いますので、おっしゃったように透明性についても十分に注意しなければならないと思います。

(質問)エネルギー特別会計については、今回、共管になりましたが、道路特別会計のグリーン化については今後、どういうふうに進んでいくことが望ましいのかお考えをお聞かせ下さい。
(大臣)今まで道路特別会計の中で使われているものは、道路整備に使うということで、道路周辺の緑化などの分野に使われていました。一般会計にまわる部分から、DPF(ディーゼル微粒子除去フィルター)に使うことなど使途が若干広がることになると聞いています。いずれにしても、私どもは第1ステップにおいて、特別会計の歳入・歳出のグリーン化を進めていくんだということを申し上げていたので、その方向に着実に進んでいると思います。

(質問)次の段階ではどうでしょうか。経済産業省と共管することになったエネルギー特別会計のように、国土交通省と共管にということが将来的に出て来るのでしょうか。
(大臣)各省の問題もありますので、今、直ちにということはありません。共管になるかならないかはストレートに関係しないかもしれませんが、特別会計の歳入・歳出のグリーン化を進めることが原則的な考え方です。事実その方向で進みつつあるということです。

(質問)特別会計の枠の中では、例えばエネルギー特別会計は森林対策には使えないというような制限があります。今後グリーン化を進めるなら、特別会計の枠自体を見直さなければならないという議論が出てくるのは避けられないと思います。どうお考えでしょうか。
(大臣)特別会計と言っている限りには、何故、特別会計が置かれているかということですから、その枠の中で使うということはしょうがないと思います。ただそういう一定の枠で使うという中でも、環境問題とりわけ温暖化対策については使うべきものがございますので、今のところ、枠がある故に使うべき所に使えないということにはなっていないと思います。省エネ、代エネでもやらなければならないことがありますから。また一方では、今おっしゃったような森林対策などについては、これはこれで政府全体として農林水産省とも連携をとって進めていかなければならないと思っています。

(質問)国土交通省が、社会資本整備重点計画法案をまとめましたが、その中で、環境大臣への協議の義務付けと環境基本計画との調和という二つが入りました。社会資本整備の中に環境保全という観点を盛り込むという視点から見た場合、どの位の効果を期待できるのかお聞かせ下さい。
(大臣)今回決定した長期計画の中で、環境に対する配慮、環境大臣への協議について盛り込まれたと報告を受けています。今までも個々の事業において、環境に配慮するよう進められていたと思いますが、長期計画の中で環境配慮というものが明記されたということは、非常に大きな前進だと思いますし、私ども環境省としても評価しているところでございます。

(質問)京都議定書の発効に関し、ロシアの批准時期について依然読み切れない感じがあります。その辺についての大臣の現状認識と、何か特段のアクションを考えておられるかお聞かせ下さい。
(大臣)私も4、5日前、ロシアの批准時期が延びそうだという報道を知りました。それまでは、昨年末に川口外務大臣がロシアの担当者と会った際の話として、6月位に批准されそうだと聞いておりましたので、今回の報道はどういう意味なのかと思っています。しかし、日本の立場は京都議定書の早期発効とグローバルな参加ということが基本原則ですから、特に早期発効に向け努力しなければいけないと思っております。具体的な働きかけはまだはっきりしてはいませんが、G8環境大臣会合もありますし、その他にも事務的にもいろいろな接触もありますので、あらゆる機会を捉えて、京都議定書の早期発効、とりわけロシアが批准すれば発効するわけですから、発効に向け努力しなければいけないと思っています。

(質問)先日、第3回世界水フォーラムの準備会合がありましたが、環境省として水フォーラムについてどういう関わりをしていこうというお考えでしょうか。
(大臣)先週の木・金曜日に非公式諮問会合がありました。第3回世界水フォーラムの準備会合ということで、95カ国、21国際機関の300人という多くの参加があり、活発な意見交換があったと聞いています。国土交通省も一所懸命対応されていますが、環境省としても環境面において大変重要な分野だと思っています。3月22日、23日には閣僚級会合も行われると聞いていますので、水質汚濁防止、生態系の保全、安全な飲料水など環境に関わる議題もありますので私も参加する予定です。

(質問)小泉総理も出席されるのでしょうか。
(大臣)聞いておりません。


(了)