環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成14年1月24日)

(大臣)本日の閣議では、一般案件が5件、法律案が1件、政令が4件、人事案件が4件ありました。環境省関係の案件はありませんでした。
 移入種対策についてですが、1月10日に中央環境審議会に諮問したところです。これを受け、今日の10時半から開かれる中央環境審議会野生生物部会で、移入種対策小委員会が設置される予定です。今年の秋までに答申をいただき、その答申の内容を踏まえて、必要があれば移入種対策について、法律も視野に入れた具体的な制度の検討を進めたいと思っています。
 また、本日、廃棄物の排出及び処理など廃棄物・リサイクルに関しまして平成12年度の状況を公表することとしています。
 一般廃棄物の総排出量は、5236万トンで、前年度に比べますと微増しています。この5236万トンがどれくらいの量かと申しますと、東京ドームの141杯分、国民1日1人当りの排出量は1132グラムになります。総排出量は増えたわけですが、リサイクル率が昨年に比べ1.2%増え、14.3%になりました。総排出量は増えましたが、リサイクル率が上がった関係で、最終処分量は1051万トンということで、前年度に比べて3.3%減少することができました。
 産業廃棄物の方ですが、総排出量が4億600万トンで、こちらも前年度に比べると微増しておりますが、リサイクル率の方は、昨年から2.6%増加をしておりまして、45.4%になりました。こういったリサイクル率の向上もございまして、最終処分量につきましては4500万トンということで、対前年度比1割削減することができました。
 以上のように一般廃棄物、産業廃棄物は、総排出量は増えておりますが、リサイクル率が向上することによって、最終処分量を減少することができました。全体として、廃棄物の減量化が着実に進んでいると思います。しかし、産業廃棄物の最終処分量残余年数については、全国で3.9年、首都圏では1.2年ということで、依然として厳しい状況にあると思っています。
 循環型社会の形成に向けて努力しているわけでありますが、循環型社会形成推進基本計画については半年前倒しをして今年度中に策定しようと中央環境審議会の方で御審議いただいているところです。その中では、特に数値目標、例えば如何に少ない天然資源で大きなGDPが得られるかを表す資源生産性という指標につきましては、平成22年度に平成2年度比で概ね倍増、平成12年度比概ね4割増とする目標を盛り込む方向で御議論いただいています。この基本計画につきましては、27日の審議会でまとまりましたらパブリックコメントの手続きに入りたいと思っています。

(質問)産業廃棄物の件ですが、首都圏の最終処分場残余年数は1.2年、全国でも4年ぐらいということでかなり切迫していると思いますが、この対策については早急に手を打つ必要があると思われます。大臣はどのようにお考えですか。
(大臣)残余年数を見てみますとここ数年、若干厳しくはなっていますが、そう大きく変わっていません。最終処分場を増設することは難しく、あまり増えません。一方において、リサイクル率が上がっているために、残余年数があまり変わらずに推移しているということがあると思います。しかし、首都圏の残余年数が1.2年ということですので、さらに一層、リサイクル率を高め、循環型社会を形成していくことが必要だと思います。必要な最終処分場というのは、一方において確保していかなければならないと思います。

(質問)移入種の件ですが、今日にも専門委員会が設置されるということですが、大臣としてはどのようなことについて審議してもらいたいと思っていますか。
(大臣)内容はともかく、期限は秋頃までと思っています。移入種の問題を包括的に幅広く議論していただければと思います。幅広く専門家や有識者の方に集まっていただきますので、その中で十分な議論をしていただきたいと思います。予め環境省の方でここに結論を持ってきてくれというようなものはありません。

(質問)法整備についてですが、ブラックバスなどの魚類関係で議論がありますが、何らかの形で規制していく、除去していくという内容になるのですか。
(大臣)移入種の問題というのはいろいろあると思います。今おっしゃられたブラックバスなどの移入種が在来種を捕食してしまうというものもありますし、飼い主が飼いきれなくなったペットを放り出し、それが野生化してしまうという問題などもあり、個々の切り口はあるのですが、法体系を考えるとすれば、個別個別の規制ではなく、包括的な、全体的な制度の在り方を検討していくということだと思います。

(質問)包括的なイメージとしては、移入種を除去、減少させていくということですか。
(大臣)生物の多様性を確保していくことについて、一つの障害になっている移入種の的確な規制、対応をしていくということだと思います。規制も視野に入れてと思っていますが、とにかく小委員会で十分議論していただくということです。今の動物愛護法ですとか鳥獣保護法、水産資源保護法など、いくつかの法律には移入種に対応できる部分がございますので、今ある既存の法律の部分を改正するのか、あるいは別途新法を作っていくのか、そういうことについても小委員会の御議論を踏まえた上で決めていきたいと思います。
(質問)廃棄物の関係ですが、今回処分を受けた排出処理業者の件数がかなり増えているという実態があると思います。例えば不法投棄を行ったり暴力団に関与するなど、悪質な業者を排除していき、レベルアップをしていくための、今後の対応はどうお考えですか。
(大臣)いろいろな側面があると思います。一つは法改正によって排出者責任というものを問えるようになりましたので、明らかに悪質、劣悪な業者には排出者も頼めないんだということで、劣悪な業者が自然に排除されていくということが基本にあると思います。

(質問)そういう意味では、どういった業者が劣悪で、どういった業者が優良なのかというような情報を出していった方がいいのではないかと思います。その辺についてはどうお考えでしょうか。
(大臣)それも考えなくてはならないと思います。例えば、実際に処分を受けた業者が明らかにならないということであっては、排出者も選択する基準がありません。処分を受けた業者に関する情報開示システムとしてありますので、それに不備があるということであれば、それを充実していくということがあると思います。

(質問)今のお話は悪質な業者の公表ということだと思いますが、逆に優良な業者について、財務内容など、ある程度評価してあげないとわかりにくいということがあると思います。青森・岩手県境の不法投棄については、役所が廃棄物の処理を委託した実績があるところに出しても、結果的に不法投棄になっているということがあります。その辺についてはどうお考えでしょうか。
(大臣)そうした情報開示、例えば処分を受けたところの人を記録に載せておくとか、今お話がありましたように、ここの業者は財務内容がしっかりしているというようなことを外から判断できるようにすることは必要なことだと思います。そういったデータも整理するということです。

(質問)産業廃棄物処理事業というマーケットの中で、まじめにやっていたら潰れてしまうという側面があると思います。規制は守るべきだが、チェック体制があまいなどの問題があり、不法投棄も見つからなければやり得というようなモラルハザード的問題があるのではないかと思います。廃棄物処理ビジネスとしての環境を整備するという側面があると思いますが、その辺について大臣はどのようにお考えですか。
(大臣)今のお話の逆になるかもしれませんが、今までは不法投棄についても捨て得といったことがあったと思います。しかしこれからは責任追及、未然防止を徹底しますので、不法投棄は割に合わないんだということが徹底すると思います。そういうことによって優良な業者がきちっと育っていき、業として成り立ち、環境が整備されていくと思います。環境省としても、業としてきちっと成り立つ環境ができるように気配りしていかなければならないと思います。

(質問)リサイクルについてですが、リサイクル率を上げたり、個人や企業の意識を変えるということも計画に入ってくると思いますが、なかなか難しいと思います。その辺はどうお考えでしょうか。
(大臣)年々リサイクル率が上がっているということは本当に良い傾向だと思います。それは一人一人の意識や個々の企業の意識が非常に高まっているということだと思います。一人一人、企業企業で、まずできるところからリサイクルに取り組んでいただくということと、最近の傾向ですが、リサイクルを含めて環境に取り組んでいる企業が、社会的に評価されるという気運が出てきているということは非常に良いことだと思います。今までも順調にリサイクル率が上がっていますが、これからも個人の意識、企業の意識というものを評価する社会的な土壌づくりをさらに進めていくということが基本だと思います。

(質問)繰り返しですが、優良業者についてのデータ整理というのは来年度から一応やられて、どうすれば優良業者がわかるようにできるかということを検討されるということですか。
(廃棄物・リサイクル対策部)業者の格付けみたいなものは、行政がやった方がいいのか、第三機関みたいなものがやった方がいいのか、まだ御議論がある話だと考えています。
(大臣)ただ、問題意識としては重要な視点だと思います。優良業者に頼まなければいけない、劣悪な業者に頼んだら排出者も責任が追及されるというときに、排出者が情報を持たずにということでは困りますので。
(質問)産業廃棄物業者のランキング、格付けですが、1年ぐらい前から検討していると思いますが、結局どうするということですか。
(廃棄物・リサイクル対策部)昨年の夏に、産業廃棄物業者の格付けに関しての研究ということで報告書は取りまとめております。その中で、民間でやるべきなのか、公的主体でやった方がいいのかで、両論併記いたしました。その中では、格付けの手法としまして、処分歴など、そもそもどのような項目について評価をするのかということを盛り込んでいます。

(質問)両論併記が出て、要するにどうなるのでしょうか。
(廃棄物・リサイクル対策部)中央環境審議会の廃棄物・リサイクル対策の基本問題に関する意見具申におきましても、今の業者に関する情報提供の話は非常に重要なものと位置づけています。そこにつきましては、大臣からもお話がありましたように、積極的に排出者に情報提供していくということで検討していくということになっています。

          (了)