環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成14年9月18日)

(大臣)本日の閣議では、昨日、小泉総理が朝鮮民主主義人民共和国を訪問し、金正日国防委員長と会談したことについて、外務大臣臨時代理である福田官房長官から説明がありました。小泉総理からは、閣議後の閣僚懇談会で「訪朝し、いろいろあったが、これから日朝国交正常化に向けての準備をしなければいけないので、各閣僚には協力をお願いする。」旨のご発言がありました。いろいろご説明がありましたが、日朝間の諸懸案が解決しているわけではなく、日朝国交正常化交渉を始めるということです。総理も、日朝間の諸懸案が解決された訳ではありませんとおっしゃっています。
 閣僚懇談会では、この件について、私も含めたくさんの閣僚から発言がありました。私からは、「日朝間の諸懸案が解決したわけではない、という中に、これから日朝国交正常化交渉を進める過程においての拉致問題の解明があると思います。生存者については帰国させるなどの話が出ていますが、死亡された方の状況について十分に説明がされていません。それについて解明されないと、ご遺族は勿論、国民の皆さんにも理解を得られないのではないか」と申し上げました。他の閣僚の方も何人かが同趣旨の発言をされました。
 日朝国交正常化に向けての交渉については、総理がご決断されたことですから、閣僚としては当然協力していくべきであると思いますが、未解決の諸懸案の解決の中には、拉致問題の解決ということが含まれると思います。

(質問)亡くなった方の死亡時期、死亡理由、遺体の状況などが明らかにならないと、国交正常化の条件がクリアーしないということでしょうか。
(大臣)条件という言葉は使っておりません。日朝間には未解決の諸問題があるという話ですから、日朝国交正常化を進めるにはまずそこか始める必要があるのではないかと申し上げたということです。今後、いろいろな情報が出てくるでしょうが、その出方によっては、日朝国交正常化交渉の進展具合にも影響があると思います。

(質問)条件ではないが必要だと。
(大臣)条件という言葉は使っていません。交渉を進めるためには必要だと申し上げました。

(質問)大臣ご自身としては、拉致問題の被害者の安否確認において、生存者より死亡者の方が多かった結果を受けてもなお、小泉総理が日朝国交正常化に取り組むべきだと判断したことについてどうお考えでしょうか。ご意見をお聞かせ下さい。
(大臣)国交正常化のための交渉を始めることについては、閣僚として協力するということです。今改めて聞かれれば、それについては進めて下さいという気持ちです。ただ、未解決の問題の一つに拉致問題があるので、それについての十分な情報が出てこないと交渉が進まないのではないかということを申し上げているわけです。閣僚懇談会では、皆さんいろいろ発言されました。全体の雰囲気としては、総理が交渉を始めることを決断されたことはわかりましたが、拉致問題、特に亡くなられた方についての情報があまりにも少ないので、それをきちんと明らかにしていただかないと交渉も進まないのではないかということを異口同音におっしゃられたということです。

(質問)小泉総理の決断を良くやったと思われるのか、それとも多くの課題を残したと思われるのかどちらでしょうか。
(大臣)国際情勢が大きく動いていることを受けて、小泉総理が決断されたということだと思っています。ただ、訪朝前にどこまで拉致問題についての情報がわかっていたかということになると十分にはわかっていなかったのではないかと私は思います。まさしく、昨日向こうに行かれて、決断されたのだと思います。

(質問)好意的評価でしょうか。
(大臣)国際情勢が大きく動いたということ、アジア、北朝鮮を巡る情勢、それから北朝鮮自身の状況もいろあって、今が日朝国交正常化交渉を始める時期だと、小泉総理が政治家としての決断をされたということだと思います。これは政治家としての一つのご決断だと思います。

(質問)亡くなった方については、亡くなったというのがあくまで北朝鮮の発表であって、真偽のほどは確定されていないという見方もあります。それについてはどうお考えでしょうか。
(大臣)むこうが亡くなったと言っているだけで、まったく情報がないわけですから、コメントできません。個人的に考えますと、どういう状況で亡くなられたとしても拉致されたことにほとんど間違いはないわけです。むこうが拉致したと言っているわけですから。そのことについては非常に遺憾であり、そういうことが行われたことについては、どこに責任があるかは別として、少なくとも国家全体としてそういうことが度々行われたということは非常に遺憾だと思っております。

(質問)先程のご発言を確認しますが、拉致問題の解明が正常化の前提であるということでしょうか。
(大臣)前提条件とは言いません。そういうことがきちんと解明されないと日朝国交正常化の交渉が進まないのではないかいうことです。日朝間の諸懸案が解決していないということをおっしゃられたので、その点について申し上げました。拉致問題についての事実の究明、情報をきちんともらうことが、解決していない諸懸案の一つであるということです。

(質問)平壌宣言では、直接、拉致のことには触れていません。この宣言の評価できる点とできない点についてお聞かせ下さい。
(大臣)とにかく、閉鎖的であった国家が、最高責任者が拉致の事実を認め、しかも陳謝したということは、今後の日朝間での話し合いを進める上で良い材料であると受け止めております。

(質問)日朝間で今後正常化に向けて大きく進む場合、環境問題では何か懸案となることは出てくるでしょうか。また、あるとすればどんなことでしょうか。
(大臣)出てくると思います。同じ朝鮮半島の韓国とは環境問題についていろいろ話し合っていますし、日中韓三カ国環境大臣会合もやっています。また、広くASEAN諸国とも協力を深めたいと思っています。いつからということはわかりませんが、日朝間でも環境問題が切り離して取り上げられる可能性がある思います。そういう可能性があれば検討するという気持ちを持っていたいと思います。
               (了)