環境省お知らせ記者会見大臣発言要旨


記者会見大臣発言要旨(平成14年6月11日)

(大臣)本日の閣議では特に環境省関連はありませんでした。
 私からは、バリで行われたヨハネスブルグ・サミット準備会合の結果について概要を報告いたしました。今回の準備会合では、「ヨハネスブルグ・サミット実施計画」の合意を目指した交渉と、同サミットにおける「政治宣言」に盛り込むべき項目についての議論等が行われました。しかし、「ヨハネスブルグ・サミット実施計画」の交渉は、資金と貿易を巡る先進国グループと途上国グループの対立が先鋭化し、この問題に関して途上国側が最終段階で案に対してイエス・オア・ノーの二者択一を迫るという姿勢を出してきたため、先進国側としてはそれはないだろうということになりました。結局、それが大きな争点になり「ヨハネスブルグ・サミット実施計画」は文書全体のとりまとめができませんでした。
 また「政治宣言」については、もともと今回の準備会合で完全にまとめるという予定ではなかったこともあり、また、「ヨハネスブルグ・サミット実施計画」についての議論に時間をかけたので、閣僚レベルでもあまり議論できませんでした。
 「ヨハネスブルグ・サミット実施計画」をどういう形で調整するかが課題です。サリム議長は今回の準備会合で議長としての任期は終わりですが、引き続き取りまとめの仕事をお願いすることになっております。今後、外交チャンネルを通じ、またカナダで行われるG8先進国首脳会合でも話し合う機会があると思います。米国のドブリアンスキー国務次官とも、バリからの帰りの飛行機で一緒だったので、いろいろお話をしました。
 G8先進国首脳会合には日本の他、EU、米国、カナダ、ロシアなども出席すると思いますので、何らかの話が出ると思います。
 本日、夕方から川口外務大臣がG8の外務大臣会合に出発されるそうですので、ヨハネスブルグ・サミットについても話が出るかもしれません。
 昨日、元総務庁事務次官の八木俊道氏に顧問を委嘱しました。環境庁から環境省になって、仕事も増え、省の体制を更に充実するためにどういったことが必要か、また、予算や行政改革も頭に入れながらニーズに耐えうる環境省にするには何が必要かについて、八木さんの知識や経験を活かしてアドバイスをお願いしたいと思います。

(質問)ヨハネスブルグ・サミットまでに2ヶ月程あります。今後、何か準備会合などを日本として呼びかけることはありますか。
(大臣)まだ、バリの準備会合が終わったばかりなので何とも言えません。先程も申しましたが、一つはカナダでのG8先進国首脳会合があります。そこでの議題にアフリカ問題があります。ヨハネスブルグ・サミットの開催地はアフリカですが、アフリカは最貧国が非常に多く、経済的に自立ができていない国が多いわけです。貧困問題を話し合っていくと資金、貿易という問題が出てきます。WTOの姿勢は一言で言えば自由貿易を進めていくというものですが、途上国は、貿易における特恵的な取扱いを望んでいます。あるいは先進国側の障壁、いわゆる非課税障壁があると言います。これに対して先進国側は、途上国の要望をきちんと実施できる体制を整えなければだめだという立場です。ガバナンス、行政、社会体制全体、もっと言えば教育などを整備するということが大事であるということです。そうすると、途上国側は自分たちの国内問題に干渉するかということになります。なかなか難しいということです。
 いずれにしましても、今回の準備会合では、実施計画は8割方の合意はできていました。先進国側は残った問題について話し合いをして全体をとりまとめるつもりがあると何回も言いました。しかし、途上国側がイエス・オア・ノーという二者択一を迫るという態度を取ったのでまとまりませんでした。また、とりまとめにあたった途上国の代表がどこまでまとめる熱意があったのかということです。私は、時間はまだあるのでやろうと言いましたが、だめでした。

(質問)この件について、総理からは特に何かありましたか。
(大臣)今日の閣議では特にありませんでした。私としては、総理がカナダのG8先進国首脳会合に行かれる前に報告しようと思っています。

(質問)食品の安全に関わる新しい機関の設置について政府内で議論が出ています。環境省としての関わり方はどうなるのでしょうか。
(大臣)今日、総理からお話がありました。村井国家公安委員会委員長が担当大臣になるということです。環境省としてはいろいろなところで関係は出てくるとは思いますが、食品の人体への影響ということでは初めから全面的に関わるということではないと思います。これからの話の発展具合によって、環境省としても必要に応じて協力していきたいと思っています。

(質問)ヨハネスブルグ・サミットまでの話し合いは誰が責任を持つのでしょうか。
(大臣)形式的には国連のデサイ事務次長と主催国である南アメリカの環境大臣と、議長の任期は終わりましたがサリム氏の三者が責任者になると思います。当然、中身の議論についてはそれぞれのグループが責任を持って意思統一を努力してやらなければいけないと思います。先進国でいえば、今度のカナダでのG8先進国首脳会合でも話し合う一つの機会になっています。
 サリム氏が、7月に来日するそうですので、滞在中に先進国側の閣僚を集めるということもありますが、そういうことにはなっていません。

(質問)大臣から、サリム氏が来日の際に日本で会合を開いても良いとおっしゃったのですか。
(大臣)必ずやるということではなく、サリム氏が本当に来日するのであれば、せっかくの機会ですので活用しましょうと言ったまでです。私としては前向きに何とかまとめたいので、努力する用意があるということです。いろいろな場を考えるということです。

(質問)昨日、日本経済団体連合会の奥田会長が環境税について検討するという発言をされましたが。これについてどう考えておられますか。
(大臣)環境税については環境省としても以前から検討しております。京都議定書の国内実施対策も2年後には見直しがありますので、今から勉強していきたいと思います。

(質問)奥田会長の発言に対するご感想はございますか。
(大臣)日本経済団体連合会会長がおっしゃったので、歓迎します。一所懸命、勉強したいと思います。
          (了)