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記者会見大臣発言要旨(平成14年1月25日)

(大臣) 構造改革と経済財政の中期展望について、竹中経済財政政策担当大臣、小泉総理大臣からご発言がありました。平成14年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度についての決定がなされました。また、消費者物価指数について片山総務大臣からご発言がありました。
 国会提出案件は、質問主意書が4件、政令が4件ありました。
 ウズベキスタン、タジキスタンにおける干ばつ災害に対する緊急援助として、それぞれ40万ドルの資金供与を行うことになりました。
 閣議に先だって、稲嶺沖縄県知事出席の下、沖縄政策協議会が開かれました。
 環境省の関連では、沖縄振興計画に規定すべき事項として「環境の保全」が位置付けられました。沖縄振興計画に基づき事業を行う際に、補助率の加算を行うものとして、ゴミ処理施設及びし尿処理施設が含まれました。エコツーリズムの推進が新たに規定されました。私から、エコツーリズムに関してしっかりとやっていきますと申し上げました。沖縄振興特別調整費の配分として、ジュゴン保護対策の事業費が配分されました。昨年6月の第7回代替施設協議会で、ジュゴンと藻場の広域的な調査を行う旨申し上げておりますが、本調査予算は、その調査を行うための費用であり、環境省は関係省庁や沖縄県と協力して調査を適切に実施し、ジュゴンの全般的な保護方策を検討していきます。具体的には、環境省にジュゴンの生息状況の把握、藻場の分布調査等を対象に1億1500万円が配分され、農林水産省にジュゴンと漁業との共存のための調査に3700万円が配分されました。
 昨日、環境省ヨハネスブルグサミット準備推進本部第1回会合を開催しました。私からいくつか話しをしました。順に申し上げますと、1点目に、ヨハネスブルグサミットは全世界が期待している持続可能な開発を促進するための政治的な意思を表明する場であり、環境省としても全省の協力の下、対応することが必要であること、2点目に、持続可能な社会の実現は国だけで行うのではなく、地方公共団体、市民グループ、NGOの方々と協力し進めることが重要であること、3点目に、狭い意味での環境問題だけでなく持続可能な開発は幅の広い問題を扱いますので、国の中でも、環境省だけで行うのではなく、各省庁と連携して行うことが重要であること、4点目に環境問題についての日本の貢献に対する世界の期待を念頭において取り組んで欲しいということです。昨日の第1回会合では、少ない時間の中、非常にいい議論が出来たのではないかと思います。


(質問)環境問題についての日本の貢献に対する世界の期待とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
(大臣)世界の各地域で環境問題に対する議論を行い、その結果をもとに今後全体で議論していくことになります。ですから、世界から日本に対する期待が個別具体的にこの項目についてこうして下さいといった段階まで煮詰まってはいません。しかし、私がアジア欧州会合(ASEM)環境大臣会合に出席した際やそれ以前の様々な機会において、持続可能な開発に関する世界サミット(ヨハネスブルグサミット、WSSD)で、日本に是非リーダーシップをとって欲しいと何人もの方から直接言われております。

(質問)ジュゴンの保護に関連してお聞きします。普天間基地の代替地として、防衛施設庁案の1つにあがっていたリーフ上がいいのではないかとの話がありますが、その一方で環境省では数年かけて、ジュゴンの調査を行うことになっています。本来であれば、ジュゴンの調査を先行して行い、どの地域にジュゴンが生息し、絶滅危惧種として保護策を決定した上で、それを配慮しつつ普天間基地の代替地を決めていくべきだと思うのですが。
(大臣)普天間基地の代替施設の建設については、基本計画の策定後、事業者つまり防衛施設庁によって環境影響評価が行われることになっています。その中でジュゴンを含む自然環境に対する影響が評価され、自然環境への影響を小さくするよう最大限の努力が払われることになります。自然環境へ著しい影響が及ばないように努力することについては、閣議でも決定されています。今回のジュゴンと藻場の広域的調査は、普天間基地代替施設建設の基本計画の策定とは別に、政府として、ジュゴンの全般的な保護方策を検討するために実施するものです。調査の主な内容を申し上げますと、ジュゴンの分布調査、ジュゴンの遺伝学的調査、ジュゴンのえさとなる海草藻場の分布調査が挙げられます。この調査は、普天間基地の代替施設の建設についての環境影響評価のための調査ではありません。

(質問)環境省の行うジュゴンと藻場の広域調査を、普天間基地の代替施設建設に先立って行うべきではないのでしょうか。
(大臣)普天間基地の代替施設の建設については、ルールに則り、環境影響評価調査を事業者(防衛施設庁)が行い、その結果により、自然環境に対しての影響を小さくするよう最大限の努力がなされるのですから、両者(ジュゴンと藻場の広域的調査と普天間基地の代替施設の建設における環境影響評価)それぞれ粛々と動いていくということです。環境影響評価は、きちんと行われ、それに基づき必要な努力はなされます。

(質問)昨日行われました中央環境審議会地球環境部会第5回会合においてとりまとめられました「京都議定書の締結に向けた国内制度の在り方に関する答申」についての評価をお伺いしたいのですが。
(大臣)私もある段階でこの部会に出させていただいたのですが、非常に真剣に議論をしていただいた成果だと受けとめています。環境省としては、今回の答申を受け、今後の取り組みにできるだけ反映させていきたいと考えています。
                        
(質問)今回の答申の中身的なことで申し上げますと、第1ステップでは、強制力を持った政策もなく、公聴会などでは様子見をしているだけではないかとの意見も出ています。このような対策で温室効果ガス6パーセント削減を担保出来るものなのかといったことについてどのようにお考えですか。
(大臣)いろいろな意見があって当然だと思います。しかし、現に産業部門の温室効果ガスの排出量は、他の民生、運輸の部門がのばしている中にあって、ほぼ横ばいになっています。そういう意味では産業界の取り組みがこれまで行われてきた温室効果ガス排出削減に向けた取り組みの中で一番効果が上がっているのではないかと思います。環境問題は国民、企業、消費者、政府などすべての人間が取り組み、成果を上げるべきものです。現在までの取り組みで、成果が上がっていないということでは決してなく、また産業界の方々も今後とも環境問題に一生懸命に取り組みますと言っておられるので、私どもとしては、その成果に期待させていただきたいと思っています。その上で、社会状況の変化、技術の向上など様々な変化が起こりえますので、そのような変化により環境問題に対する成果があがったり、あがらなかったりした場合には、それをベースに次のステップで考えていくことになります。

(質問)3年後このままでは温室効果ガス6パーセント削減がどうにもならないといった状況になった場合に、急に厳しい政策を取っていくのか、そうならないために早い段階から徐々に厳しくなるような政策を取っていくのかは、難しい判断だと思うのですが。
(大臣)企業の方々が環境問題へ自主的に取り組むという強い気持ちを持っていることは、非常に貴重だと思います。その強い気持ちをもって一生懸命に環境問題への取組を行っていただき、私どもとしては、出来うる限りそれをお手伝いさせていただきたいと考えています。

(質問)改めてお伺いしますが、今回の答申にあるような対策で温室効果ガス6パーセント削減は達成されるとお考えですか。
(大臣)温室効果ガスの6パーセント削減には様々な取組の組み合わせが必要だと思います。産業界の取り組みもその1つであり、運輸関係、建物など民生関係の分野の取り組みもあります。どのような取り組みが必要かについて現在各省で議論がなされていて、産業界の自主的取り組みはその一部になります。各省で方策を出し合って、温室効果ガス6パーセント削減に向けた実行可能なプログラムを政府として作っていこうと努力しています。


(了)