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記者会見大臣発言要旨(平成14年1月22日)

(大臣)本日の閣議は、質問主意書が4件、政令が6件ありました。政令のうち1件が環境省関連で、経済産業省、農林水産省と共管の新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令の一部を改正する政令です。内容は昨日、事務次官から説明があったとおり、バイオマス燃料製造、バイオマス熱利用、バイオマス発電、雪氷熱利用の4つを利用する事業者が、国やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受けられるよう、この4つを新エネルギーに追加するというものです。 
 

(質問)大臣がご出席された北京でのアジア欧州会合(ASEM)環境大臣会合の成果についてお聞かせ下さい。
(大臣)ASEMの開催の意味は、アジアとヨーロッパの2つのグループの環境大臣が初めて顔を合わせ、環境問題について話し合ったということにあります。テーマは幅広く、一つはASEM参加国間の環境連携の推進、2つ目はグローバルな環境問題についてで、「生態保全」「気候変動とエネルギー」「砂漠化と森林」の3つのグループに分かれて話し合いました。3つ目はヨハネスブルグ・サミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議)に向けての準備、4つ目は将来のASEMの環境協力の展望です。中国の会議の運営は大変効率的で、時間どおりに始まり時間どおりに終わるというものでした。会議はテーマについてリードスピーカーが話し、それに対し他の参加者が意見を言うという方式で行いました。意見をインフォーマルな形で話し合ったということです。私は「気候変動とエネルギー」についてリードスピーカーとして話しました。アジアとヨーロッパは地理的に遠いということもあり、何を協力してやっていくのかということを最初に話し合いました。南と北という対立的な雰囲気は全くなく、それぞれのテーマについて一緒に意見交換をしていこうということでした。中国がASEMの成功にかける取組は非常に大きなものがありました。一つは中国が環境問題を重要視していることを内外に見せるということでもあったと思います。事実、中国は環境問題について大変に熱心な取組みをしています。昨年から第10次5カ年計画を実施していますが、その中に国家基本政策というのがあり、その1つが人口問題で、もう1つが環境問題です。予算も5年間に環境問題に7000億元、日本円で10兆円強を使うということです。会議の最後に議長声明がとりまとめられ、ASEM参加国間の環境連携の促進、ヨハネスブルグ・サミットの準備、今後も環境対話をしていきましょうということでまとまりました。ヨーロッパ、アジアとも5、6人ずつの閣僚が参加しまして、本会合の他にも2国間での会合などを行いました。

(質問)中国でのASEM会合とその前に訪問されたバンコクでの太平洋環境開発フォーラムで、ヨハネスブルグ・サミットの準備が本格的に始まったわけですが、日本政府としてヨハネスブルグ・サミットへの対応と環境省の果たす役割についてお聞かせ下さい。
(大臣)今度のヨハネスブルグ・サミットでは環境が大きな項目だと思っています。ただ、環境だけではなく、経済成長やその他の基盤をなす項目についても幅広い議論が行われると思います。日本政府としてどう対応していくのかは、今、知恵を出し合っているところですので、まだ申し上げる段階ではありません。世界的な流れということで申し上げれば、いくつかの環境問題、それは水ですとか気候変動ですとか、森林と砂漠化など、今回のASEMで取り上げたことなどについて話し合うことが重要だと思います。もう1つ環境問題で大きな項目はガバナンスです。それからもう少し枠を広げて言えば、環境だけではなく、貧困にどう対応していくか、感染症問題にどう対応していくか、それらに対応するための資金をどうするかや効率的な資金の使い方などがあります。またヨハネスブルグ・サミットは政府だけの会合ではなく、政府・産業界・市民グループなどが一緒になって行います。ですから、産業界や市民グループ、NGOも含めた取組みとして何ができるかも議論の対象に入ってくると思います。

(質問)地球温暖化防止問題ですが、日本は米国に対し京都議定書に戻ってくるよう働きかけると言っています。また、中国などの途上国の参加も大きな問題ですが、今回、中国の参加問題について何か話が出ましたでしょうか。
(大臣)今回、中国が環境保全に一生懸命に取り組んでいることが強く印象づけられました。環境問題について実際に数字を上げていろいろ話されました。例えば、この5カ年に汚染物質は10%削減する、硫黄酸化物(SOx)は20%削減すると言っていました。また、温室効果ガスについては排出量を経済成長率より低くすると言っています。実際に北京の町を走っているバスはかなりの部分が天然ガス車になっています。天然ガス・ステーションもありますし、非常に環境問題に熱心に取り組んでいます。地球温暖化問題について、これまでにも中国は言ってきていますが、まず先進国が取り組むべきである、京都議定書の枠組みで途上国が義務を負うのはおかしい、ただ中国は自主的に温暖化防止対策をやっていくつもりであるということです。中国はクリーン開発メカニズム(CDM)に非常に関心がありまして、CDMも含め、日本と温暖化対応の政策についてこれからより密に議論していこうということで合意しています。繰り返して申し上げますが、中国の温暖化問題に取り組む姿勢の真剣さに非常に印象づけられました。

(質問)日本は基本的には中国の対応を見守るということでしょうか。
(大臣)ですから、CDMなど温暖化対応の政策などについて連絡を密にしていこうということです。やり方はこれから考えますが、話し合いの場を持つということです。

(質問)米国に京都議定書に戻るよう働きかけることについて、中国と突っ込んだ話し合いはされましたか。
(大臣)中国との間で、米国をどうやって戻すかについては話していません。ただ、それが重要であると言うことは話しました。

(質問)アフガニスタン復興支援NGO会議に一部NGOの参加を外務省が拒否した件ですが、環境省はパートナーシップを基本としているので、外務省の対応を見てどうお考えでしょうか。
(大臣)その件については、新聞で読んだだけで当事者から何も聞いていませんから、何も言う立場にはありません。一般論ですが、環境問題はみんなで、一人ひとりそれぞれ取り組んでいくことが必要ですから、一緒にパートナーシップでやるということが環境省の姿勢です。

(質問)環境省のみならず、国の省庁はより一層パートナーシップが求められていくということでしょうか。
(大臣)パートナーシップは大事なことだと思います。中国でもNGOの方にお会いしました。環境教育に非常に熱心に取り組んでおられるようでした。


(了)