記者会見大臣発言要旨(平成13年7月6日)

(大臣)政令で環境省関連のものは1件でして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令です。これはPCB処理特別措置法が施行になることに伴いまして、許可を要する産業廃棄物処理施設にPCB汚染物の分解処理施設を追加するという内容の改正です。また新総合物流施策大綱が決定になりまして、この中に環境負荷を低減させる物流体系の構築と循環型社会への貢献を目標としているというところが入っております。質問主意書が3件、法律の公布の決定が10件ほどありましたが環境省関連はございません。また防衛白書と労働経済白書が閣議にかかりました。閣議の前に第一回公害対策会議を開きました。議題としては、1つは札幌地域等の5地域の公害防止計画の策定指示についてでして、2つ目は公害対策会議会長先決要領についてでして、会長が環境大臣になったことに伴うことです。また平成12年度に策定した公害防止計画の概要についてご報告をいたしました。


(質問)「京都議定書における温室効果ガス排出削減の目標年次を再検討したい」というプロンクCOP6議長の発言がブリュッセルから発信されたという記事が共同通信からありましたが、そのような情報は入っていますか。
(大臣)何も聞いておりません。

(質問)2008年~2012年の間とされている目標年次を2010年~2014年にするとのことですが、日本側の反応をお伺いしたいのですが。
(大臣)何も聞いておりません。

(質問)目標年次を2年先送りすることについてはどう思いますか。
(大臣)国際会議の場でいろいろな話がありましたが、目標年次の2年先送りという話は初めて聞きました。

(質問)日本は京都議定書参加へと米国を説得しているのですが、その意味で目標年次2年先送りの案は効果的なものになりますでしょうか。
(大臣)特定の国を対象にするのか、すべての国を対象とするものかいろいろあり得る訳で、その案を詳細を含めて見てみないと分かりません。

(質問)日本から目標年次変更も含め、プロンク議長に申し入れなどはしていないのでしょうか。
(大臣)しておりません。

(質問)目標年次を2年先送りすることによって合意を結べるとすれば、目標年次の変更があってもいいとお考えですか。
(大臣)合意が結べるというのは仮定の話であり、この案でその仮定の話が成立しうるのかどうかが問題だと思います。

(質問)来週の米国でのハイレベル協議での相手方、協議内容等の見通しはどうでしょうか。
(大臣)7月13日にワシントンで行います。日本からは私と朝海外務省地球問題担当大使、浜中環境省地球環境審議官、今野経済産業省経済産業審議官等が出席します。また米国からはホイットマン環境保護庁長官、ハバード大統領経済諮問委員会委員長、ドブリアンスキー国務次官等が出席する予定です。これは日米首脳会談の合意を受け開かれるもので、共通の基盤及び気候変動に対する共通の行動をとるという目的に向けて開かれるものです。

(質問)協議は1日だけ開かれるものですか。
(大臣)1日か半日だと思います。

(質問)今回の協議は第1回という位置づけで今後も継続されるものですか。
(大臣)私はそう思っています。

(質問)この協議では何か日本からの提案をお考えですか。
(大臣)政府全体でどのような対応をしていくかについて議論している最中でして、今の段階では申し上げることはできません。

(質問)米国から一度帰国されてからボンに向かわれるのですか。
(大臣)16日からボン会議が始まりますが、その中で閣僚のセグメントは19日からになります。しかし今までの会議の例によりますと、アンブレラの会合、バイの会合が事前に行われることが多いです。まだその日程が決まっていないので、米国から直行する可能性もあります。

(質問)川口大臣としては、今回のハイレベル協議で米国にどのような主張をするつもりですか。
(大臣)国際会議でも、日本は京都議定書の2002年までの発効を目指して努力するということを申し上げておりますし、米国の京都議定書への参加が重要であるといっております。そのようなメッセージを発信したいと考えています。また米国は代替案を考えているようですので、できるだけ早くその案を出すように申し上げたいと思います。

(質問)米国の代替案が出てこないことで、京都議定書が膠着状態になっていると思うのですが。
(大臣)膠着状態とは考えていません。

(質問)米国がどうするかということについては、代替案が出てこないことによって対応がとれない状況になっていると思うのですが。
(大臣)そういうことではないと思います。小泉総理の働きかけで今回の協議が行われるというのも、一つの動きだと思います。

(質問)先日の懇談や昨日の経団連との会談のなかで米国が動かない限り、日本の動きはとれないといった趣旨の発言をされているようですが、米国からの代替案の提出について期限を設けるのも一つの方法だと思うのですが。
(大臣)先日の懇談は懇談でありますし、昨日の午前中の経団連との会談についてこの場で言及することはさけたいと思いますが、私が米国との関係で申し上げているのは、世界各国が米国の代替案の提出を待っているということです。しかし米国からの代替案の提出がないとCOP6再開会合の議論が進まないということではないと思います。各国の代表が様々な知恵を考えているわけでして、EUはEUの中で話し合いをしたりEU代表が訪日するなどして意見交換が行われたりするのですから膠着状態になっているということはないと思います。前にも申し上げましたが、会議が迫ってくるあるいは会議の終了が迫ってくると、知恵が出てくると考えています。

(質問)米国の代替案提出について期限を設ける予定はないのですか。
(大臣)日米協議については方針を議論している最中ですので、協議の中で米国からの代替案提出に期限を設けるかについてはまだ分かりません。

(質問)知恵が出てくるということですと、今回のプロンク議長から出された目標年次2年先送りも知恵だと思います。また2年目標年次を先送りするということは米国を説得する時間が稼げることになり日本の立場もより重要なものになっていくと思うのですが。
(大臣)プロンク議長がそのような発言をしたかも確認しておりませんし、様々な話がある中で、目標年次2年先送りの話は初めて聞くものですから現実的なものとしてとらえにくいのです。日本の立場は2002年発効を目指して、今回のCOP6再開会合で全力を尽くすということを申し上げているのです。目標年次はいつから始めるかということで、米国にとってその先送りが受け入れやすいかということと、実際に目標が守りやすいものになるかということの両面から見ていかなければならないと思います。またせっかくまとまった京都議定書を変更することについて現実可能性があるかということを総合的に考えることが必要だと思います。

(質問)今回のボンのCOP6再開会合で合意を果たしてしまうと、代替案の提出が間に合わない米国を置いていってしまう形になると思いますが、そういう場合は米国抜きで合意をしていくということになりますか。
(大臣)小泉総理もおっしゃっているように、日本は米国への説得を最後まで続けていくと同時にCOP6再開会合での合意を目指しているのでして、片方が他方に優先するといったものとは考えていません。


(了)