記者会見大臣発言要旨(平成13年5月25日)

(大臣)8時から産業構造改・革雇用対策本部第1回の会合がありました。最近の雇用情勢の説明がありました。検討項目として、新市場・新産業の構築による雇用創出、人材育成・能力開発の推進、安心して働ける就業環境の整備、労働市場の構造改革に適したセーフティーネットの整備が上げられています。また、平沼経済産業大臣から新市場・雇用創出に向けた15の提案がありました。その中の1つに環境・エネルギーの成長エンジンへの転換がありまして、環境事業が新規雇用の場であることが示されました。私からも、循環型社会構築に向けて企業の対応が重要であり、環境省としても協力して施策を考えていきたいと申し上げました。タウンミーティングを通じて、不法投棄の問題が住民にとって、関心事であることを感じていることを申し上げ、リサイクルを進めることと、不法投棄がないように生産者や排出者が責任を持ってやっていくことの議論は同時に行っていくことが必要であると申し上げました。閣議においては、ハンセン病問題の早期かつ全面的解決に向けての内閣総理大臣談話及び政府声明を決定しました。政府声明の主旨は、控訴断念という異例の判断をしたことについて、本判決の法律上の問題に当事者として政府の立場を示すと言うことです。総理大臣談話としては控訴しないという結論に至った経緯が盛り込まれ、本件原告の方々だけでなく、訴訟への参加・不参加を問わず、全国の患者・元患者の方々全員を対象とした統一的な対応を行うことによりハンセン病問題の早期かつ全面的な解決を図ると言うことが含まれています。具体的には、訴訟の参加・不参加を問わず、全国の患者・元患者全員を対象とした新たな補償を立法措置により講ずることとしそのための検討を早急に開始するのが第一点、第二に名誉回復及び福祉増進のために可能な限りの措置を講ずるということ。内容としましては、患者・元患者からの要望のある退所者給与金(年金)の創設、ハンセン病資料館の充実、名誉回復のための啓発事業などの施策に実現について早急に検討を進めると言うことです。三点目に患者・元患者の抱えている様々な問題について話し合い、問題の解決を図るため患者・元患者と厚生労働省との協議の場を設けるということです。また国会提出案件が4件、政令が2件ありましたが環境省関連はありません。そして、平成12年度末の国際収支に関する報告がありまして、対外純資産額が前年と比較して約48兆円増加して、約133兆円となりました。この要因は為替相場が円安になったことが大きいようです。


(質問)今回のハンセン病で控訴しない事についてどのようにお考えですか。
(大臣)難しい判断だったと思いますが、非常に良い判断だと思います。
(質問)水俣関西訴訟との比較についていかがお考えですか。
(大臣)今回のハンセン病訴訟に控訴しない件と水俣関西訴訟の上告の件とは局面が異なると思います。同じ局面でいいますと、平成7年の自・社・さ連立の村山内閣における政治的決着がそれに当たると思います。これによって一万一千人の認定されていなかった方々を救済したわけです。水俣関西訴訟に関しては、この政治的決着に参加なさらなかった方々が訴訟を継続されているのですが、今回上告しなかったとすると、今回の原告と平成7年の政治的決着を受け入れた方との間に不均衡が生じることになり、より大きな問題が生じてくると思います。
(質問)前回の閣僚懇談会において、ハンセン病原告団への面会を行ったほうがよいのではないかと総理に進言されたそうですが、どういったお気持ちからですか。
(大臣)自分が本件の直接の担当ではないということを申し上げた上で、自分も公害病患者の方々と会うようにしており、直接に話をすることが大事であると思ったからです。
(質問)坂口厚生労働大臣からは、そのようなお話はなかったのですか。
(大臣)その時は、予算委員会があり、あまり時間がなかったので、その話をしたのは私だけでした。
(質問)総理の反応はいかがでしたか。
(大臣)特にお言葉はありませんでした。
(質問)坂口大臣は、今回のハンセン病の件について医学者としての立場からも迷われたという事ですが、川口大臣におきましては、水俣病関西訴訟上告の判断をなさる際に迷いはありましたでしょうか。
(大臣)いつも判断するときは迷いがあります。しかし先に述べた理由等を考えまして、正しい判断だったと思います。
(質問)先ほどの雇用創出の話の中で不法投棄の件をご指摘なさいましたがどのようなつながりがあるのですか。
(大臣)具体的な施策をどのように行っていくかということなのですが、環境面でどのような新しい市場があり得るかといいますと、その一つがリサイクルです。リサイクルするものは必ずしもゴミではないわけですが、そうするとゴミとリサイクルするものとの区別がつかなくなってしまいます。そのため、ゴミとリサイクルするものとの判別法や、それらについて誰が責任を持つのかということをはっきりさせなければならないと思います。そのようなつながりになります。
(質問)リサイクルを進めることによって、不法投棄が増えることも懸念されているということでしょうか。
(大臣)それもあり得ると思います。リサイクルをすると言って一時的においてあるものが、結局は不法投棄につながるというケースも現実に出てきているようです。
(質問)ボンのCOP6再開会合まで二ヶ月をきりましたが、非公式閣僚会合を含めてどのような道筋になっているのでしょうか。
(大臣)プロンク議長がどのように進めていきたいと考えているかによりますが、ストックホルムも中止になり、6月はじめという会合時期も下旬に変更ということからもお迷いになっているのだと思います。6月下旬の会合についてもどこで会合を持つかという情報は入ってきておりません。しかし、ハーグの前に会合を持ったことにより意志疎通がうまくいったことからも、7月のボン会議までに会合を持つことは必要だと思います。今回の問題点は、米国の代替案を含めた検討がまだ終了していないことであり、再開会合を七月に延期したことも国際的には米国の結論が出るのを待つということでした。現時点では、米国の結論がいつ出てくるのかについて全く分かりません。できるだけ早く結論を出し友好国には相談をすると言うことが分かっているだけです。私は米国に対し、結論を出すタイミングが重要であることと、京都議定書の枠組み内で戻ってくる事が重要であるということを申し上げています。米国は25%の排出量を持っているので、米国抜きでの発効となると実効性に乏しいものになってしまいます。また、これは米国一国の問題ではなく、米国が入らないということになると途上国の参加も難しくなるわけです。2010年には途上国の排出量が全体の半分に達し、これに加えて世界第一の排出国である米国が入らないとすれば、望ましくない結果になります。ですから米国を枠組みに戻す働きかけを行っている訳です。
(質問)そうしますと6月下旬が米国の代替案の期限ということになりますか。
(大臣)そうですね。それ以上遅れますと実効性のある議論はできなくなると思います。ですから、今後一ヶ月働きかけを続けていくことになると思います。
(質問)京都議定書の枠組みというのは細かい数値目標を含めてのことでしょうか。
(大臣)厳密な意味での枠組みといっている訳ではありません。これを妥協してしまったら京都議定書ではなくなるという最低限の基本的枠組みのことです。国際的な場において何が京都議定書かということについての議論はされていませんが、目標や発効時期、京都メカニズムは重要だと思います。プロンク議長がニューヨークの記者会見で述べたことによりますと、法的拘束力があること、目標や達成年度があること、フレキシビリティメカニズムがあること、途上国に対しての異なる扱いがあること、環境十全性があることというのが京都議定書の基本的骨格であると言っていたと思います。なお京都議定書は完全に出来上がったものと多くの方が理解されているようですが、京都メカニズムや吸収源などをどうするかも議論をしているのです。京都議定書はできあがっているものではなく骨格があるだけでその議定書に戻ってきて欲しいということです。

(了)