記者会見大臣発言要旨 (平成13年4月17日)

 本日の閣議案件で環境省関係は、私の米国への出張とこれに伴う環境大臣の臨時代理としての谷津農林大臣の任命です。閣僚懇談会では、NBCテロ対策についてのお話と、漁業白書についてのお話がございました。閣議終了後、気候変動に関係する5大臣(環境大臣、外務大臣、経済産業大臣、農林水産大臣、橋本行革担当大臣(COP3開催時の総理大臣))会合がございました。私のニューヨークでの非公式閣僚会合出席にあたりご意見を伺いました。私から、日本としては京都議定書の2002年発効をめざすことに変わりがないこと、そのために必要な国内制度の構築に全力で取り組むこと、今後もあらゆる機会を捉えて、米国が京都議定書の発効に向けた交渉に前向きに参加するよう強力に働きかけることを申し上げました。更に、私はニューヨークでの非公式閣僚会合に出席して直接米国に対し働きかけることを申し上げました。また、米国の代替案はまだわかりませんが、日本としては、京都議定書の枠内で米国の懸念を払拭できるような運用ルールの取り組みなどについて前向きに議論をしていきたいと申し上げました。それから、ニューヨークでは、他の先進国や途上国の閣僚とも積極的に会談をし、米国に働きかけるよう呼びかけたいと思っていると申しました。また、米国の有識者やマスコミの方にもお会いして、米国の世論に直接働きかけることを申しました。日程については、現在、米国の大使館で調整して頂いています。非公式閣僚会合では、新しいプロンクペーパーが議論されるわけですが、先日も申しましたように、新プロンクペーパーはハーグでの最終段階での交渉やその後の交渉が反映されていません。米国を京都議定書の発効に向けての交渉に戻す観点からも、今後の議論のベースとして役立つものとはなっていないと考えている、日本としては、7月のCOP6再開会合の成功に向けてすべての国が建設的に交渉に参加することが大事であると申し上げました。それに対し各大臣からは、全面的にサポートしていただける旨ご発言がありました。閣議等については以上です。
 その他に、私から1つ申し上げることがございます。環境省職員の民間からの募集についてでございます。環境省にとって現場の感覚というのは非常に大事であり、私はかねてから、民間の方に一定期間環境省の職員になっていただき、民間の方の経験や知識を活かして環境省の仕事に当たっていただくことが大事だと思っておりました。それにより、環境省の職場のカルチャーが変わりますでしょうし、より、現場感覚を持つことにもなると思い考えておりました。具体的に検討するよう事務方に指示しておりましたが、公認会計士や技術士などの高度な技術や経験を有する方を対象として職員の募集を始める予定が立ちましたので申し上げたいと思います。採用予定者は1ないし2名で、総合政策局の環境経済課または大臣官房政策評価広報課において補佐級の職員として働いていただき、環境会計や環境ビジネスの振興、その他企業の環境対策の助言・指導に当たっていただくよう考えております。採用は「任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律」に基づきますが、具体的な採用決定手続き等などを現在人事院と協議中でございます。また、公認会計士協会及び技術士会とも募集の周知徹底のやり方について検討しております。5月の連休明けから募集を始める予定です。詳しいお問い合わせは、環境省長官官房秘書課へ御連絡下さい。私からは以上です。


(質 問)民間からの職員の採用ですが、年齢制限はございますか。
(秘書課長)年齢制限ありません。任期付職員については定年制とは関係がないと整理されておりまして、定年を超える方でも対象になります。
(質 問)インターネットのホームページ上では募集されますか。
(秘書課長)まだ、ホームページには載せてありません。とりあえず今は、公認会計士協会の月報と技術士協会のホームページに載せていただくようお願いしております。正確な募集要綱や具体的なことが書けるようになりましたら、環境省のホームページにも載せる予定です。
(大 臣)5月の連休明けにそういうことも含め始めます。
(質 問)公認会計士、技術士を対象に募集されるということですが、大臣としてはどういう方に来ていただいて、環境省をどういうふう変えていって欲しいと思われますか。
(大 臣)現場感覚ですね。現場の知識や外の人の考え方を大いに環境省の中で意見として言ってもらい、歩く現場、考える現場が環境省の中にあるというようにしていきたいですね。
(質 問)具体的に任期はどれくらいですか。
(秘書課長)法律上は5年以内ですが、採用する方と相談して個別に決めたいと思っております。最大5年です。
(質 問)1人か2人という枠は何故ですか。少なすぎるのではありませんか。5~10人くらいという考え方もあると思いますが。
(大 臣)これは定員との関係があるのですね。
(秘書課長)はい、そうです。定員のすきまが限られていることと、まだこの制度に習熟していませんので、省内ですぐ欲しいというところに優先的に対応していくことになりました。
(大 臣)民間の方々の意見を環境省に強く影響させるためには、かなりまとまった人数が入った方が本来は望ましいと思います。私は民間の登用がもっと簡単にできるだろうと思っておりましたところ、定員とか、あるいは環境省の職員ができない仕事などという制約がありまして、思ったほど柔軟に採用できる仕組みになっていないとわかりました。可能なところから可能な範囲でやっていくということです。国全体としてこの制度が徐々に広がっていくには少し時間が必要だと思います。
(質 問)閣議後の温暖化対策に関する5大臣会合ですが、他の大臣からは具体的にどんなお話がありましたでしょうか。
(大 臣)様々なお話がございました。たとえば、平沼経済産業大臣からは、米国が温室効果ガスの4分の1を占めているので、温暖化対策の国際的な実効性の確保という意味では、米国の参加が非常に重要である、米国に対し京都議定書への参加を強く働きかけることが必要であるというお話がございました。また、京都議定書への米国の参加を実現するためには、交渉においてEUが柔軟性を示すことが大事であるとのお話もありました。今回の非公式閣僚会合に経済産業審議官を出席させるということでした。基本的に私が申し上げたことに皆さん同じご意見だとおっしゃいました。それから、米国大使館にお願いしている日程調整の件も、皆さんそうした方がいいとおっしゃいました。今、むこうはイースターの休暇で先方が不在でなかなかつかまらないようです。
(質 問)ホイットマン米国環境保護庁長官との面会日程も決まっていないのでしょうか。
(大 臣)まだ決まっていません。
(質 問)米国に次いでオーストラリアも京都議定書に反対と言っているようですが、どうお考えですか。
(大 臣)私は報道で見ましたが、外交ルートで確認中です。従ってよくわかりません。
(質 問)5大臣会合の際、橋本行革担当大臣からはなにかご発言がありましたか。
(大 臣)米国の方針に対する、各国の対応についてご質問があり、私と外務大臣からお答えしまた。
(質 問)職員の募集の件ですが、大臣も民間のご出身ということで、民間の登用の必要性を感じたということでしょうか。また、大臣ご自身の発案でしょうか。
(大 臣)そうです。
(質 問)どういう点で民間の登用が必要と思われたのかお聞かせ下さい。
(大 臣)私は民間出身ですが、その前は官におりまして、官から民、そして官と移ってきた中で官と民の発想の違いを強く感じてきました。相互に理解することが大事で、そのためには交流が大事だとずっと思っておりました。民間登用の門戸が広くなってきましたので、この機会に是非環境省で実現したいと思いました。特に環境分野については民間も強く関心を持っているので、共通のベースに乗って発想の違いを交流で埋めていくのが可能な分野だと思います。もう少し民間登用の制度が柔軟になるといいですね。
(質 問)たとえば、一番発想の違いをお感じになったのはどんな点ですか。
(大 臣)たとえば、民間企業でいえば企業のコスト意識についての発想、効率性についての発想などです。環境行政は企業ではないでので民間企業とはやり方が異なりますが、そういった発想の差を埋めていくことが大事だと思います。規制改革についての考え方の違いなどもそうですね。それから民間にいると官の事もなかなかわからないです。官が徹夜して仕事をしていることもわからないということもあるわけです。何故そんなに忙しいのという感じもあるわけで、そういうことも含め交流が必要だと思います。民間にわかって欲しいと思うことは、マクロな、日本経済全体、日本社会全体、あるいは世界も考えてやっていく必要性です。企業も全体を考えて何が大事なのかをそばに置きながら、必要な行動をとるというのが大事だと思います。そのためにも交流していただくのが大事です。
(質 問)当初は1,2名ということですが、制度が許せば広げていきたいというお考えですか。
(大 臣)そうですね。制度が許せば拡大していきたいと私は思います。いつまでそういうことを言っていられるかは別の問題ですから、環境省には是非、広げていって欲しいと思っております。
(質 問)採用は来年の4月からですか。
(秘書課長)採用する方との相談ではありますが、最短で今年の7月からと思っております。
(質 問)他省庁でも、このような課長補佐程度の民間登用は始まっていますか。
(秘書課長)はい。4月1日現在で全体で29人です。大半が内閣府の科学技術関連の仕事をする方で17人です。そのほか5省2庁に各1名くらい入っているということです。