記者会見大臣発言要旨 (平成13年4月10日)

 本日は、環境省の関連は環境省設置法の一部改正する法律の公布が決定されました。それから食料・農業・農村の動向に関する年次報告が決定されました。閣議の後の閣僚懇談会で、官房長官から京都議定書の関係で米国が不支持を表明したことについて、これからも関係各省が協力をしていくようにとのお話がございました。それに関して私からは、米国への働きかけについて、総理を始めとして関係の大臣にご尽力をいただいて、大変感謝をいたしておりますと申し上げて、今後、また様々な動き、様々な展開があると予測されるので、関係の大臣にはよろしくご指導、ご協力、ご支援頂きたいと申し上げました。橋本行革担当大臣からは、4月にニューヨークでの非公式大臣会合に、環境大臣が出席出来るよう、官房長官から各党に働きかけてもらったらどうかというお話をいただきました。以上です。

(質 問)橋本行革担当大臣から、米国が不支持を表明したこの件について特に発言はございましたか。
(大 臣)非公式大臣会合への出席について、官房長官から働きかけることが大事ではないかということだけです。
(質 問)その他の大臣から、この件に関してご発言はありませんでしたか。
(大 臣)ございませんでした。
(質 問)明日、多摩川を視察されるということですが、これはどういう点を視察されたいということですか。
(大 臣)河川における環境の保全がどうなっているかということに関心があったんですが、国会も開会中なので、なかなか時間がとれませんでした。多摩川は近いので、短い時間ですが、視察することになりました。現場主義の一連のことです。河川法が改正になり、環境保全という項目がはいっているので、現場でどういう仕組みでどのように展開をしているのか関心があります。国土交通省の河川局長からもお話を伺ったりしていました。現場を見せて下さいと言いまして、視察することになりました。
(質 問)現場主義ということなら、諫早には行かれませんか。
(大 臣)うまく日程がとれればですが、多摩川に数時間で行ってくるというようにはいかない、時間の取り方がちがうことなので、なかなかうまく日程に入らないですね。
(質 問)京都議定書関係で、米国の一連の離脱表明ですが、最初に不支持を表明し、次に全世界をカバーするという代替案の話が出てきて、きのう、チェイニー副大統領が、TVのインタビューに答えた形で、京都議定書はブッシュ政権成立の前に死文化したという発言をしたらしいですが、米国は次から次に言いたい放題という感じです。大臣としてはそれについていかがお考えですか。
(大 臣)チェイニー副大統領の話は、私はインターネットの情報で見ただけなので、確認していません。ただ、米国はそう言いながら他方で温暖化問題は重要なことで、国際的なプロセスで対応していくんだということは変えていません。訪米した与党・政府代表団に対しても、7月のCOP6再開会合までには代替案を出すと言っています。その代替案の中味がどういうものであるか見せていただく必要があります。それまでの間、私どもは米国に対して国際的に働きかけをしていこうということです。これは、EUとも昨日合意しています。
(質 問)米国は京都議定書は死文書だと言ってますし、代替案の中味が、仮に京都議定書をベースにしていないものであっても、検討の余地があるということですか。
(大 臣)死文書というのがどういう意味なのかわかりませんし、京都議定書のどの部分が問題なのか、今の段階ではそのへんが全然分からないわけです。ですから、私たちとしては、代替案が出るまでの間、米国に対して働きかけを続けるしかないと思っています。その先にどういう案が出てきて、その案と京都議定書との関係がどういうものなのかを予測して今から何か申し上げるのは時期尚早だと思います。
(質 問)仮定の話ばかりで恐縮ですが、米国の代替案が京都議定書の枠組みを踏み越えた、議定書を否定するものであった場合、どういう対応をされますか。
(大 臣)それは米国提案の内容を見ないと分かりません。
(質 問)事務レベルででも、代替案がこんな形になりそうだというような、あるいは京都議定書が全くベースになっていないなどということが聞こえてくれば、また違いますか。
(大 臣)EUとも昨日話をしましたが、途上国の参加、全部の国の参加とか、米国内でサポートされるとか、そういうことを国務省の副長官が政府・与党代表団に言ったようですが、米国からはそういう抽象的なレベルの話しか出てきていません。EUもわからないと言っています。一時期米国は、市場のインセンティブを使った対応ということも言っていましたが、それも、フレキシビリティメカニズムとして京都議定書には入っています。ですから、どういうところが足りないかなどの意見を米国から聞かせていただくようにしたいと思います。その結果次第ですね。
(質 問)きのうの事務方の訪米報告では、米国が代替案を構築していくなかで、事務レベルで随時、代替案の状況を同盟国である日本に出してくるというニュアンスのことを言っていましたが。
(広報室長)事前に日本に相談があるのかということについては、「日本に代替案を見せて直ぐ会議ですよということにはならないと思います」とは言いましたが、随時、小出しにするということは言っていません。
(大臣)いずれにしても、アンブレラの諸国は米国と緊密にコンタクトをして、何か聞くことがあればいつでもオープンですと米国に言っています。仕事のやり方として、極力コミュニケーションしていくつもりです。きのうのEUとの会談でもそういう話はしています。
(質問)代替案を構築している途中で、今どういう状況なのかと日本が米国に問いかければ答えるような体制にはなっているのでしょうか。
(大臣)今の時点では、米国側で事務レベルのカウンターパートが任命されてないわけですから、米国側にそういう体制ができていません。任命された方たちと会って話をして、お互いにそういう関係を作っていくわけです。仕事の仕方として、国際社会でもいかに人間的にコミュニケーションがとれるかというのが大事だと思います。国際交渉というのは話をして組み立てていくものだと思います。米国の政権が変わったので、これからやっていく話です。私がホイットマン環境保護庁長官に会いたいというのも会ってみなければ、コミュニケーションのベースをつくれないということです。
(質問)米国が死文化などというわかりやすい言葉で言っているので、日本としても、たとえば、皆でピザを作ろうかとしている時に、米国が急にステーキが食べたいと言い出したようなもので、ステーキを作り終える前に、何言ってるんだというようにわかりやすく、かつ強力に言うべきではないでしょうか。
(大臣)一緒に料理をしましょうと言える状況ではないですが、全員がおいしいとは思わないかも知れないですが、あるレベルでおいしいと思える食べ物はこれ(京都議定書)しかないということです。それは米国を除く全部の国がそういう料理だと考えているわけですから、それを、米国に働きかけている最中です。その働きかけが重要であるということについては、日中韓の環境大臣会合でも、EUとの会合でも合意しています。たとえば、お砂糖を入れるよりここはお塩を入れた方がいいなど、そういうコミュニケーションをする必要があると思います。その過程で、何故、米国はこちらの料理を食べられないのかを明確にしてもらうことが必要です。その理由がはっきりすれば、みんなが食べた方が世界の健康にはいいので、みんなが食べられるようなレシピにしていけばいいのではないでしょうか。そのためには、EUももっとフレキシブルになる必要があるのではないかと思います。

(了)