記者会見大臣発言要旨 (平成13年3月16日)

  本日の閣議案件として環境省案件は法律案が1件、浄化槽法の一部を改正する法律案が閣議決定され、国会に提出されます。政令で環境省案件は2件、再生資源の利用の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令と自然公園法施行令の一部を改正する政令がありました。環境省関連は以上です。閣僚懇談会ではミールについて、万が一に備えて内閣情報集約センターと内閣府で体制をとるという話等がありました。

(質 問)昨日の温室効果ガス削減技術シナリオ策定調査検討会の報告書によると、現状の対策のままでは2010年までに温室効果ガスの排出量を6%削減するのは難しいとされていますが、その内容についてはどのようにお考えですか。
(大 臣)1998年の段階で二酸化炭素の排出量は既に5.6%増加しており、なにか対策をとらなければ難しい状況にあると思います。しかし技術的な面での削減ポテンシャル量でいうと、原子力発電所が7基設置された場合を想定すると2010年時点で90年比で2%~11%の削減が可能となっています。このままでいけば目標達成は難しいけれども、技術的可能性としてやるべきことをきちんとやれば可能であるという報告書であると理解しています。

(質 問)「地球温暖化対策推進大綱」の見直しについて考えていますか。
(大 臣)現在、環境省では中央環境審議会においてどういうことが可能かということを考えていますし、経済産業省の総合資源エネルギー調査会でもこのことについて議論していただだいています。大綱を見直すにしてもどういうふうに見直せばよいかというある程度の目途は必要だと思います。また国際的な合意がどのような形になるかも今は見えていません。大綱を見直すにあたって踏まえなければならない前提条件を国際、国内の両面で議論していくことが必要だと思います。

(質 問)今回の報告書では原子力発電所が効果的なものとして位置付けられていますが、環境省として原子力発電所は電力供給手段として有効なものという認識でしょうか。
(大 臣)「地球温暖化対策に関する基本方針」でも「地球温暖化対策推進大綱」でも原子力発電所は温暖化対策として位置付けられていますので現時点でそれを変える必要はないと思っています。温暖化対策でなにをすることが必要か、技術的になにが可能かということを議論していこうと思っています。

(質 問)原子力発電所については賛否両論ありますが。
(大 臣)例えば、フランスでは電力供給の7割~8割は原子力発電所によるものです。
スウェーデンでもそのウェートはかなり高いものとなっています。現実問題として原子力発電所の必要性は高く、日本もこれまでやってきた政策を続けていこうと考えています。

(質 問)日米首脳会談で環境の話題は出そうでしょうか。
(大 臣)私どもとしましては、COP6再開会合においてアメリカに積極的な対応をして欲しいということを総理にお話していただきたいと思っています。

(質 問)ブッシュ大統領が発電所から出る二酸化炭素排出削減を義務付けないと発言したことに対してどのようにお考えですか。
(大 臣)共和党はこれまで綱領の中で京都議定書に対し途上国が参加していないということであまり前向きな対応は示してきませんでしたが、この点は前の民主党政権の時も上院が反対の議決を行うなど状況は同じです。二酸化炭素を削減義務物質から除外したことは、今後温暖化議定書が合意に達したときにアメリカがそれに対応できるツールをひとつ減らしたということになると思われ、そういう点では残念に思います。ただ実際にどういうふうに二酸化炭素排出削減を行っていくかについてはいろいろな手段が考えられると思います。

(質 問)2月の段階ではホイットマン環境保護庁長官が排出規制に前向きだったのに3月になってブッシュ大統領が先ほどのような発言をしていることについて、その変化についてはどのようにお考えですか。
(大 臣)変化はそれほどないと思っています。ホイットマン長官は気候変動の問題には大きな関心を持っており、それはブッシュ大統領も同じです。ホイットマン長官が言ったのは温暖化対策の政策のレビューをしているということで、どういう対応をとるかについてはまさにレビュー中だと言っています。その点に関してはブッシュ大統領も同じですので、基本的に言っていることは変わらないと認識しています。ただヘーゲル上院議員への手紙がありましたので、今日、ホイットマン長官にはアメリカ政府内におけるレビューのプロセスで是非リーダーシップをとって欲しいという手紙を出すことにしています。他のテーマとの関係で時間的な問題もありますが、総理にもアメリカがイニシアティブを積極的にとるように発言していただきたいとお願い致しました。

(質 問)アメリカ政府内においてこの問題について随分温度差があるように感じられますが、その辺についてはどのようにお考えですか。
(大 臣)エネルギーの供給が大事だというグループと環境問題が大事だというグループがあると思います。アメリカの政府内でレビューをやっているということですので、そのプロセスを見守って、その結果がどういうものになるかを見ているという状況です。言い方について差はあると思いますが、レビュー中であるということは変わっていないので、基本は同じだと思います。COP6再開会合まではまだ時間がありますのでどういう方針をアメリカがとるかはこれからだと思います。先日トリエステで開催されたG8環境大臣会合においてホイットマン長官は日本やEUと非常にいい関係を作られたと聞いています。

(了)