環境省大気環境・自動車対策振動対策について振動規制法施行状況調査

平成23年度振動規制法施行状況調査について

平成24年12月27日(木)
環境省水・大気環境局大気生活環境室
 直通:03-5521-8299
 代表:03-3581-3351
 室長事務取扱:加藤 庸之(内線6510)
 室長補佐:中西 正光(内線6543)
 係長:桑原 厚(内線6548)


 環境省は、全国の都道府県等の報告に基づき、平成23年度における振動規制法の施行状況を取りまとめました。

1.目的

 環境省では、振動防止行政の一層の推進を図るため、毎年度、全国の都道府県、指定都市、中核市、特例市及び特別区を通じ、振動規制法に基づく各種措置の施行状況等について調査を行い、その結果を取りまとめています。

2.調査結果の概要

(1)振動規制法に基づく地域指定の状況及び届出状況

 振動規制法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成23年度末現在、全国の市区町村の70.9%に当たる1,235市区町村でした。
 同法に基づき届出された規制対象の工場・事業場(特定工場等)の総数は、平成23年度末現在、全国で126,864件でした。また、同法に基づき届出された規制対象の建設作業(特定建設作業)の総数は、35,449件でした。

(2)振動苦情の状況

 振動苦情の件数は、平成23年度は3,222件で、前年度に比べ340件増加しました。
 苦情の内訳を見ると、建設作業が最も多く、2,046件(全体の63.5%)、工場・事業場が589件(18.3%)、道路交通が293件(9.1%)等でした。
 前年度と比較すると、建設作業に係る苦情が241件(13.4%)、道路交通に係る苦情が66件(29.1%)、工場・事業場に係る苦情が9件(1.6%)、鉄道に係る苦情が3件(5.1%)増加しました。

(3)振動規制法に基づく措置等の状況

 平成23年度の振動規制法の指定地域内の特定工場等に係る苦情は164件でした。当該年度に行われた振動規制法に基づく立入検査は126件、報告の徴収は39件、振動の測定は62件でした。測定の結果、規制基準を超えていたものは12件であり、改善勧告及び改善命令は行われませんでした。この他、行政指導が127件行われました。
 また、指定地域内の特定建設作業に係る苦情は713件でした。当該年度に行われた振動規制法に基づく立入検査は481件、報告の徴収は102件、振動の測定は134件でした。測定の結果、規制基準を超えていたものは6件であり、改善勧告及び改善命令は行われませんでした。この他、行政指導が616件行われました。

3.調査結果の詳細

3-1 振動規制法に基づく地域指定の状況及び届出状況

(1)地域指定の状況

 振動規制法に基づく規制地域を有する市区町村は、平成23年度末現在、全国の市区町村の70.9%に当たる1,235市区町村であった(表1)。

表1 振動規制法地域指定の状況(平成23年度末現在)
全市区町村数 787 23 748 184 1,742
振動規制法地域指定 751 23 421 40 1,235
割合(%) 95.4% 100.0% 56.3% 21.7% 70.9%

(2)特定工場等総数及び特定施設の届出数

 振動規制法に基づき届出されている特定工場等の総数は、平成23年度末現在126,864件で、前年度(126,412件)より452件(0.4%)増加している(表2)。また、特定施設の総数は861,181件で前年度(854,668件)より6,513件(0.8%)増加している(表3の[2])。
 特定工場等の内訳をみると、主な特定施設として圧縮機を届け出ているものが32.9%と最も多く、次いで、金属加工機械が31.5%、織機が14.6%の順となっている(表3の[1])。
 特定施設の届出数の内訳をみると、金属加工機械が32.1%、織機が29.1%、圧縮機が23.0%とこれら3施設で全体の8割以上を占めている(表3の[2])

表2 特定工場等総数の最近の推移
平成21年度 平成22年度 平成23年度
特定工場等総数 125,556 126,412 126,864
対前年度比 △433 856 452
(増減率) (△0.3%) (0.7%) (0.4%)

△は減少を示す。

表3 法に基づく届出件数(平成23年度末現在)
[1] 特定工場等総数
主要な設置特定施設 総数 (%)
126,864 100.0%
金属加工機械 39,958 31.5%
圧縮機 41,751 32.9%
土石用破砕機等 4,069 3.2%
織機 18,477 14.6%
コンクリートブロックマシン等 854 0.7%
木材加工機械 2,498 2.0%
印刷機械 10,221 8.1%
ロール機 723 0.6%
合成樹脂用射出成形機 7,094 5.6%
鋳型造型機 1,219 1.0%
[2] 特定施設総数
特定施設 総数 (%)
861,181 100.0%
金属加工機械 276,569 32.1%
圧縮機 198,076 23.0%
土石用破砕機等 20,807 2.4%
織機 250,422 29.1%
コンクリートブロックマシン等 2,104 0.2%
木材加工機械 4,624 0.5%
印刷機械 37,146 4.3%
ロール機 3,814 0.4%
合成樹脂用射出成形機 60,993 7.1%
鋳型造型機 6,626 0.8%

(3) 特定建設作業の実施届出件数

 平成23年度中の特定建設作業実施届出件数は35,449件(前年度34,302件)であり(表4)、その内訳をみると、ブレーカーを使用する作業が28,462件(同27,640件)、くい打機等を使用する作業が5,748件(同5,491件)の順となっており、これらが大部分を占めている(表5)。

表4 特定建設作業件数の最近の推移
平成21年度 平成22年度 平成23年度
特定建設作業件数 32,250 34,302 35,449
対前年度比 △ 494 2,052 1,147
(増減率) (△1.5%) (6.4%) (3.3%)

△は減少を示す。

表5 特定建設作業の届出件数
特定建設作業の種類 届出件数 (%)
35,449 100.0%
くい打機等を使用する作業 5,748 16.2%
鋼球を使用して破壊する作業 377 1.1%
舗装版破砕機を使用する作業 862 2.4%
ブレーカーを使用する作業 28,462 80.3%

3-2 振動苦情の状況

(1)苦情件数の推移

  平成23年度に全国の地方公共団体が受理した振動に係る苦情の件数は3,222件であった。これは、前年度(2,882件)と比べて340件(11.8%)増加となった(図1)。

図1

(2)発生源別の苦情件数

 平成23年度の苦情件数を発生源別にみると、建設作業が2,046件(全体の63.5%)で最も多く、次いで工場・事業場589件(同18.3%)、道路交通293件(同9.1%)、鉄道62件(同1.9%)の順となっている(図2、図3)。
 また、前年度と比較すると、建設作業に係る苦情が241件(13.4%)、道路交通に係る苦情が66件(29.1%)、工場・事業場に係る苦情が9件(1.6%)、鉄道に係る苦情が3件(5.1%)増加した。

図2

図3
図3 過去3カ年の苦情件数の発生源別内訳

(3)都道府県別の苦情件数

 平成23年度の苦情件数を都道府県別にみると、東京都の876件が最も多く、次いで大阪府が354件、埼玉県が327件、神奈川県が279件、千葉県が254件となっている。振動苦情件数の上位5都府県における合計件数が全体の64.9%に達するなど、大都市を有する地域における苦情が大きな割合を占めた。この傾向は、人口100万人当たりの苦情件数においてもほぼ同様であった。(表6、表7)。

表6 都道府県別苦情件数(上位5都道府県)
苦情件数 人口100万人当たりの苦情件数
都道府県 件数 都道府県 件数
東京都 876 東京都 66
大阪府 354 埼玉県 45
埼玉県 327 千葉県 41
神奈川県 279 大阪府 40
千葉県 254 岡山県 35
全国 3,222 全国平均 25

※人口は平成23年10月1日現在の総務省統計局推計人口による。

表7 苦情件数の都道府県別対前年度増減状況
都道府県 平成22年度 平成23年度 増減 増減率
北海道 56 58 2 3.6%
青森県 9 8 △1 △11.1%
岩手県 4 4 0 0.0%
宮城県 17 36 19 111.8%
秋田県 10 10 0 0.0%
山形県 7 10 3 42.9%
福島県 16 12 △4 △25.0%
茨城県 25 51 26 104.0%
栃木県 17 18 1 5.9%
群馬県 37 40 3 8.1%
埼玉県 230 327 97 42.2%
千葉県 184 254 70 38.0%
東京都 843 876 33 3.9%
神奈川県 255 279 24 9.4%
新潟県 42 60 18 42.9%
富山県 11 8 △3 27.3%
石川県 7 18 11 157.1%
福井県 6 13 7 116.7%
山梨県 5 3 △2 △40.0%
長野県 19 17 △2 △10.5%
岐阜県 38 29 △9 △23.7%
静岡県 56 60 4 7.1%
愛知県 204 222 18 8.8%
三重県 28 25 △3 △10.7%
都道府県 平成22年度 平成23年度 増減 増減率
滋賀県 11 21 10 90.9%
京都府 42 37 △5 △11.9%
大阪府 336 354 18 5.4%
兵庫県 91 77 △14 △15.4%
奈良県 9 10 1 11.1%
和歌山県 9 11 2 22.2%
鳥取県 5 7 2 40.0%
島根県 3 3 0 0.0%
岡山県 34 67 33 97.1%
広島県 33 25 △8 △24.2%
山口県 11 11 0 0.0%
徳島県 11 7 △4 △36.4%
香川県 4 8 4 100.0%
愛媛県 9 15 6 66.7%
高知県 2 0 △2 △100.0%
福岡県 54 53 △1 △1.9%
佐賀県 3 7 4 133.3%
長崎県 3 5 2 66.7%
熊本県 16 12 △4 △25.0%
大分県 11 15 4 36.4%
宮崎県 9 10 1 11.1%
鹿児島県 36 17 △19 △52.8%
沖縄県 14 12 △2 △14.3%
合計 2,882 3,222 340 11.8%

△は減少を示す。

(4)規制対象とそれ以外の苦情件数との比較

  平成23年度の工場・事業場に対する苦情総数589件のうち、振動規制法の規制対象となる指定地域内の特定工場等に対するものは、164件(全体の27.8%)であった。また、建設作業に対する苦情総数2,046件のうち、同指定地域内の特定建設作業に対する苦情は713件(34.8%)となっている(表8)。

表8 規制対象とそれ以外の苦情件数  (工場・事業場、建設作業)
発生源の種類 工場・事業場 建設作業
特定工場等 左記以外 特定建設作業 左記以外
年度 指定地域内 指定地域外 指定地域内 指定地域外 指定地域内 指定地域外 指定地域内 指定地域外
平成22年度 件数 138 10 378 54 580 661 17 1,084 43 1,805
23.8% 1.7% 68.2% 9.3% 100.0% 36.6% 0.9% 60.1% 2.4% 100.0%
平成23年度 件数 164 25 344 56 589 713 22 1,261 50 2,046
27.8% 4.2% 58.4% 9.5% 100.0% 34.8% 1.1% 61.6% 2.4% 100.0%

3-3 振動規制法に基づく措置等の状況

(1)特定工場等に対する措置等の状況

 平成23年度の振動規制法の指定地域内の特定工場等に係る苦情は164件(前年度138件)であった。
 地方公共団体が受理した苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置は、立入検査が126件(同113件)、報告の徴収が39件(同28件)、振動の測定が62件(同45件)であった。測定の結果、規制基準を超えていたものは12件(同8件)であり、改善勧告及び改善命令は、前年度に引き続き行われなかった。なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、行政指導が127件(同120件)行われた(表9)。

表9 指定地域内の特定工場等振動に係る措置等の状況
平成22年度 平成23年度 増減率
立入検査 113 126 11.5%
報告の徴収 28 39 39.8%
振動の測定 45 62 37.8%
(うち基準超過) 8 12 50.0%
改善勧告 0 0 -
改善命令 0 0 -
行政指導 120 127 5.8%
(参考)苦情件数 138 164 18.8%

注)苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置等は、必ずしも当該年度に受理された苦情に対するものとは限らない。

(2)特定建設作業に対する措置等の状況

 平成23年度の振動規制法の指定地域内における特定建設作業に係る苦情は、713件(前年度661件)であった。
 地方公共団体が受理した苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置は、立入検査481件(同452件)、報告の徴収102件(同68件)、振動の測定134件(同134件)であった。測定の結果、基準を超えていたものは6件(同4件)であり、改善勧告及び改善命令は前年度に引き続き行われなかった。なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、行政指導が616件(同579件)行われた(表10)。

表10 指定地域内の特定建設作業振動に係る措置等の状況
平成22年度 平成23年度 増減率
立入検査 452 481 6.4%
報告の徴収 68 102 50.0%
振動の測定 134 134 0.0%
(うち基準超過) 4 6 50.0%
改善勧告 0 0 -
改善命令 0 0 -
行政指導 579 616 6.4%
(参考)苦情件数 661 713 7.9%

注)苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置等は、必ずしも当該年度に受理された苦情に対するものとは限らない。

(3)道路交通振動に対する措置の状況

 平成23年度の振動規制法の指定地域内における道路交通騒音の苦情は255件(前年度200件)であった。
 地方公共団体が受理した苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置は、振動の測定が86件(同69件)であり、測定の結果、要請限度を超えていたものは3件(同2件)であった。また、都道府県公安委員会に対する要請及び道路管理者に対する要請は、前年度に引き続き行われていない。
  なお、これらの振動規制法に基づく措置のほか、都道府県公安委員会に対する同様の措置依頼が7件(同7件)、道路管理者に対する措置依頼が103件(同72件)行われた(表11)。

表11指定地域内の道路交通振動に係る措置等の状況
平成22年度 平成23年度 増減率
振動の測定 69 86 24.6%
(うち要請限度超) 2 3 50.0%
公安委員会への要請 0 0 -
道路管理者への要請 0 0 -
要請以外の公安委員会への措置依頼 7 7 0.0%
要請以外の道路管理者への措置依頼 72 103 43.1%
(参考)苦情件数 200 255 27.5%

注)苦情に対して振動規制法に基づき行われた措置等は、必ずしも当該年度に受理された苦情に対するものとは限らない。

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